2010/05/22(土) - 15:56
最難関のクイーンステージである第6ステージは、ビッグベアレイクの山岳道路を登ってのゴール。絞られた集力選手ばかりの20人の集団スプリントをペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)が制し、第5ステージに続いて2勝目を挙げた。
パサデナ~ビッグベアレイクの213.7kmで行なわれたツアー・オブカリフォルニア第6ステージは、今大会で最も厳しいコース。
ローズボウルをスタートしてすぐに登り始め、一度下るものの80kmで約2000mを上る。そして約1500mを下り、再びビッグベアレイク目指して登る。最高標高は約2400mだ。
一度平坦になってゴールするため山頂フィニッシュではないものの、登坂力が問われる、上りが勝敗を分ける総合争いの選手たちのための山岳ステージだ。
スタートして29km地点で早くもビッグネームが動く。ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、BMCレーシング)とヤコブ・フグルサング(デンマーク・サクソバンク)が逃げる。
そしてジェイソン・マッカート二ー(アメリカ、レディオシャック)、アンディ・シュレク(ルクセンブルグ、サクソバンク)、マシュー・ウィルソン(オーストラリア、ガーミン・トランジションズ)、カルロス・バレード(スペイン、クイックステップ)、トーマス・ラブー(アメリカ、チームタイプワン)、スタフ・クレメント(オランダ、ラボバンク)が合流し、8人に。
大物の動きがリーダージャージのマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTCコロンビア)にプレッシャーを掛ける。逃げたアンディ・シュレクは総合で18:38秒遅れのため、ステージ優勝を狙う動きだ。そしてトーマス・ラブーは一度奪われた山岳ジャージを取り返す動きだ。
カルロス・バレドが脱落した後も、この7人は協力しながら順調に差を広げ、最高で集団に6分40秒差をつけ星条旗ジャージを着たヒンカピーがバーチャルリーダーとなる。
アンディ・シュレクが2つのスプリントポイントを先頭通過。4つ目の山岳ポイントまでポイント獲得の動きを見せる。
残り42km、先頭グループから脱落したアンディらが集団に戻る。
マッカートニーがアタックすると、ラブーとフグルサングが遅れ、逃げ続けるのは5人。
後方メイン集団はリーダージャージ擁するHTCが先頭に集結し、前との差を計りながら追うが、それに割り込むのはレディオシャック勢。人数を減らしているとはいえクリストファー・ホーナー(アメリカ)とヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア)がアタックを掛け、ペースを撹乱する。前方ではヒンカピーとウィルソンがマッカートニーに追いつき、再びハイペースを取り戻した。集団とは約1分30秒差だ。
残り30kmで差は2分。後方でブライコヴィッチがアタックすると、ホーナー、トーマス・ダニエルソンアメリカ、ガーミントランジションズ)ライダー・ヘジダル(アメリカ、同)がつく。メイン集団を絞る動きは激しさを増した。
残り25kmで総合5位につけるマーク・デマール(ユナイテッドヘルスケア・マキシス)が集団からアタックし、前を追う。
集団は有力選手だけの25人程度に絞られた。ここに残っているのは総合を争える選手たちだけだ。
デマールがラスト25kmでウィルソンに合流し、ビッグベアレイクの湖畔を通過。ここから一度平坦になるが、さらに上ってのフィニッシュを目指す。集団はHTCコロンビアが引き、ロジャースのための懸命のアシストを見せる。残り5kmでデマールらとの差は12秒。そして上りが始まり、ラスト2kmで2人も捕まった。
勝負はステージ優勝と、総合争いの選手たちにとってはボーナスタイム争いを決める重要なスプリントだ。チームHTCコロンビアのトニ・マルティンが献身的に働き、先頭を引き続ける。ロジャースは3番手につけるが、背後にはペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)がピッタリとマーク。
ひとりラインを変えて早駆けしたのはテオ・ボス(オランダ、ラボバンク)。しかしパワーを見せたのはサガンだった。力強いスプリントで圧倒し、今季(=プロ入り)5勝目を意味する5本指をアピールしながらフィニッシュラインに飛び込んだ。
サガンはボーナスタイムを得て総合でもライプハイマーを逆転して3位に躍進した。
この日躍進したのはロリー・サザーランド(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア・マキシス)。デマールの献身的アシストを受けステージ2位となり、総合を5位に上げた。そしてトーマス・ラブー(オランダ、チームタイプワン)が山岳ジャージを取り戻した。
サガンのステージ2連勝。プロ入り5勝目。パリ~ニースでのステージ2勝、ツール・ド・ロマンディでステージ1勝、そしてこのカリフォルニアで咲ステージに次ぐ2連勝。いずれもビッグレースでの勝利だけに、この20歳の若者に誰しも驚かざるをえない。
サガンは言う「とても嬉しい。すでにひとつ勝っているのに、また勝てた。勝つことは容易じゃない。クライマーに対して勝つことも。当然のように思わないで欲しい。でもこんな小さな集団スプリントなら僕が強いのは知っている」
そして明日のタイムトライアルに付いて聞かれると「僕のタイムトライアルの能力は、これぐらい長い(33.6km)タイムトライアルについてはまだ未知数なんだ。明日はどうなるかな」と話した。
リーダージャージをキープしたロジャースは言う。
「ラスト800mはすごくタフだった。登り坂で向かい風。6時間バイクに乗って14000フィートを登ってからだから...。最後に飛び出るのが早くなりすぎないようにした。なぜなら早く行くと後ろについたヤツ(サガン)に全部持っていかれると思った。300mまで待った。するとサガンがスプリントを開始したんだ。
サガンはクイーンステージでも勝って彼のクラス(質)を見せてくれたね。スプリントであんなに速いヤツを倒すのは難しい」。
翌第7ステージは個人タイムトライアル。33.6kmの挑戦で総合順位はどう入れ替わるだろうか?
第6ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス) 6h07'08"
2位 ロリー・サザーランド(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア・マキシス)
3位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTCコロンビア)
4位 テオ・ボス(オランダ、ラボバンク)
5位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ)
6位 ジョナサン・キャントウェル(フライVオーストリア)
7位 ポール・マルテンス(ドイツ、ラボバンク)
8位 デーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
9位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)
10位 トーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
個人総合成績
1位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTCコロンビア)29h04'03"
2位 デーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)+04"
3位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス) +09"
4位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)+14"
5位 ロリー・サザーランド(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア・マキシス)+29"
6位 マーク・デマール(ユナイテッドヘルスケア・マキシス) +32"
7位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ)
8位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)+35"
9位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)
10位 トーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)
山岳賞
トーマス・ラブー(オランダ、チームタイプワン)
新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)
チーム総合成績
レディオシャック
text:MakotoAYANO
photo:(c)CorVos
パサデナ~ビッグベアレイクの213.7kmで行なわれたツアー・オブカリフォルニア第6ステージは、今大会で最も厳しいコース。
ローズボウルをスタートしてすぐに登り始め、一度下るものの80kmで約2000mを上る。そして約1500mを下り、再びビッグベアレイク目指して登る。最高標高は約2400mだ。
一度平坦になってゴールするため山頂フィニッシュではないものの、登坂力が問われる、上りが勝敗を分ける総合争いの選手たちのための山岳ステージだ。
スタートして29km地点で早くもビッグネームが動く。ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、BMCレーシング)とヤコブ・フグルサング(デンマーク・サクソバンク)が逃げる。
そしてジェイソン・マッカート二ー(アメリカ、レディオシャック)、アンディ・シュレク(ルクセンブルグ、サクソバンク)、マシュー・ウィルソン(オーストラリア、ガーミン・トランジションズ)、カルロス・バレード(スペイン、クイックステップ)、トーマス・ラブー(アメリカ、チームタイプワン)、スタフ・クレメント(オランダ、ラボバンク)が合流し、8人に。
大物の動きがリーダージャージのマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTCコロンビア)にプレッシャーを掛ける。逃げたアンディ・シュレクは総合で18:38秒遅れのため、ステージ優勝を狙う動きだ。そしてトーマス・ラブーは一度奪われた山岳ジャージを取り返す動きだ。
カルロス・バレドが脱落した後も、この7人は協力しながら順調に差を広げ、最高で集団に6分40秒差をつけ星条旗ジャージを着たヒンカピーがバーチャルリーダーとなる。
アンディ・シュレクが2つのスプリントポイントを先頭通過。4つ目の山岳ポイントまでポイント獲得の動きを見せる。
残り42km、先頭グループから脱落したアンディらが集団に戻る。
マッカートニーがアタックすると、ラブーとフグルサングが遅れ、逃げ続けるのは5人。
後方メイン集団はリーダージャージ擁するHTCが先頭に集結し、前との差を計りながら追うが、それに割り込むのはレディオシャック勢。人数を減らしているとはいえクリストファー・ホーナー(アメリカ)とヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア)がアタックを掛け、ペースを撹乱する。前方ではヒンカピーとウィルソンがマッカートニーに追いつき、再びハイペースを取り戻した。集団とは約1分30秒差だ。
残り30kmで差は2分。後方でブライコヴィッチがアタックすると、ホーナー、トーマス・ダニエルソンアメリカ、ガーミントランジションズ)ライダー・ヘジダル(アメリカ、同)がつく。メイン集団を絞る動きは激しさを増した。
残り25kmで総合5位につけるマーク・デマール(ユナイテッドヘルスケア・マキシス)が集団からアタックし、前を追う。
集団は有力選手だけの25人程度に絞られた。ここに残っているのは総合を争える選手たちだけだ。
デマールがラスト25kmでウィルソンに合流し、ビッグベアレイクの湖畔を通過。ここから一度平坦になるが、さらに上ってのフィニッシュを目指す。集団はHTCコロンビアが引き、ロジャースのための懸命のアシストを見せる。残り5kmでデマールらとの差は12秒。そして上りが始まり、ラスト2kmで2人も捕まった。
勝負はステージ優勝と、総合争いの選手たちにとってはボーナスタイム争いを決める重要なスプリントだ。チームHTCコロンビアのトニ・マルティンが献身的に働き、先頭を引き続ける。ロジャースは3番手につけるが、背後にはペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)がピッタリとマーク。
ひとりラインを変えて早駆けしたのはテオ・ボス(オランダ、ラボバンク)。しかしパワーを見せたのはサガンだった。力強いスプリントで圧倒し、今季(=プロ入り)5勝目を意味する5本指をアピールしながらフィニッシュラインに飛び込んだ。
サガンはボーナスタイムを得て総合でもライプハイマーを逆転して3位に躍進した。
この日躍進したのはロリー・サザーランド(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア・マキシス)。デマールの献身的アシストを受けステージ2位となり、総合を5位に上げた。そしてトーマス・ラブー(オランダ、チームタイプワン)が山岳ジャージを取り戻した。
サガンのステージ2連勝。プロ入り5勝目。パリ~ニースでのステージ2勝、ツール・ド・ロマンディでステージ1勝、そしてこのカリフォルニアで咲ステージに次ぐ2連勝。いずれもビッグレースでの勝利だけに、この20歳の若者に誰しも驚かざるをえない。
サガンは言う「とても嬉しい。すでにひとつ勝っているのに、また勝てた。勝つことは容易じゃない。クライマーに対して勝つことも。当然のように思わないで欲しい。でもこんな小さな集団スプリントなら僕が強いのは知っている」
そして明日のタイムトライアルに付いて聞かれると「僕のタイムトライアルの能力は、これぐらい長い(33.6km)タイムトライアルについてはまだ未知数なんだ。明日はどうなるかな」と話した。
リーダージャージをキープしたロジャースは言う。
「ラスト800mはすごくタフだった。登り坂で向かい風。6時間バイクに乗って14000フィートを登ってからだから...。最後に飛び出るのが早くなりすぎないようにした。なぜなら早く行くと後ろについたヤツ(サガン)に全部持っていかれると思った。300mまで待った。するとサガンがスプリントを開始したんだ。
サガンはクイーンステージでも勝って彼のクラス(質)を見せてくれたね。スプリントであんなに速いヤツを倒すのは難しい」。
翌第7ステージは個人タイムトライアル。33.6kmの挑戦で総合順位はどう入れ替わるだろうか?
第6ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス) 6h07'08"
2位 ロリー・サザーランド(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア・マキシス)
3位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTCコロンビア)
4位 テオ・ボス(オランダ、ラボバンク)
5位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ)
6位 ジョナサン・キャントウェル(フライVオーストリア)
7位 ポール・マルテンス(ドイツ、ラボバンク)
8位 デーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
9位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)
10位 トーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
個人総合成績
1位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTCコロンビア)29h04'03"
2位 デーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)+04"
3位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス) +09"
4位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)+14"
5位 ロリー・サザーランド(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア・マキシス)+29"
6位 マーク・デマール(ユナイテッドヘルスケア・マキシス) +32"
7位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ)
8位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)+35"
9位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)
10位 トーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)
山岳賞
トーマス・ラブー(オランダ、チームタイプワン)
新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)
チーム総合成績
レディオシャック
text:MakotoAYANO
photo:(c)CorVos