2020/03/24(火) - 09:02
ピレリのグラベル&シクロクロス系チューブレス・レディタイヤ CINTURATO GRAVEL、CROSSを実走インプレッション。グラベルとクロスの2系統の太さプロフィール、そしてミックスとハードの2系統のトレッドで車種と狙った路面に合わせてチョイスできるオフロードタイヤだ。
140年以上の歴史を持ち、自動車タイヤ、F1でも活躍するイタリアの老舗タイヤブランド・ピレリ。2017年に自転車用タイヤにカムバックして以来、次々と新型タイヤをリリースし、シェアを伸ばしている。
2017年にロード用パフォーマンスタイヤ「P ZERO VELO」をリリースしたことを皮切りに、2018年にはタフなロードタイヤCINTURATO(チントゥラート)、2019年の初めにはMTB用のSCOPIONをローンチし、着々とラインアップを埋めてきた。そして、今回CINTURATOシリーズにシクロクロス用とグラベル用モデルが追加されることに。
「UNSTOPPABLE PERFORMANCE(止められないパフォーマンス)をキャッチフレーズに、ハンドリング、グリップ、パフォーマンス、クオリティのすべてにおいてサイクリストを満足させるタイヤをプロデュースするピレリ。「POWER IS NOTHING WITHOUT CONTROL」(コントロールを伴わないパワーは意味が無い)とのポリシーは、ピレリのどの自転車タイヤのパッケージにも刻まれている。
今回はCINTURATOシリーズに加わったグラベル用とシクロクロス用のチューブレス・レディタイヤシリーズをまとめて紹介しよう。
グラベル用の「CINTURATO GRAVEL」、シクロクロス用の「CINTURATO CROSS」という2つの新しいオフロードタイヤには、スピードグリップ・コンパウンドという新設計コンパウンドが用いられている。路面コンディションや地形に左右されずグリップ力を発揮するMTB用スマートグリップ・コンパウンドをベースとし、グラベルや舗装路を走行する際のスピードレンジにあわせて配合を微調整することで転がり抵抗を低減したという。
加えてSCOPION MTBタイヤの開発で得たノブの設計ノウハウを投入し、未舗装路でのグリップ力を確保。さらにCINTURATO GRAVELとCROSSでは、それぞれ「M」=MIXED TERRAINモデルと「H」=HARD TERRAINの2つモデルを用意することで、グリップ重視か転がり重視かを選べるようになっている。
HARD TERRAINはその名の通りハードパックなグラベルや舗装路を走行する際に適したモデル。MIXED TERRAINとは、トレイルとハードパックのどちらも登場するオフロードで活躍するモデル。いずれのモデルもセンターノブが直線的に並ぶことで転がり抵抗を低減。中間部分のノブの間隔を広くとることでオフロードの路面を捉えやすく、かつ泥はけの良さを確保。サイド部分は背が高めなノブを敷き詰めることで、高いグリップ力を実現している。
GRAVELとCROSSとの違いは2つ。太さのラインアップとトレッドノブの設計傾向だ。
まずCROSSは公式シクロクロスレースで使用できる規定サイズの700x33C。それにHとMの2種のトレッドを揃える。
そしてGRAVELは700x35C、40Cに加え、エアボリュームを大きく確保できる650b×45Cの3サイズをラインアップ。HとMの2種のトレッドを揃えるのはCROSSと同様だが、ノブの高さはCROSSに比べるとGRAVELはやや低めの設計となる。
GRAVELモデルは全体を背の低いノブとすることで軽い転がり抵抗を実現。サイド部分のみ若干高くすることで、オフロードのコーナーも安心できるグリップ力を備えた。いっぽう、CROSSは目の詰まったノブ設計とすることでハードパックでの走行性能を確保しつつ、しっかりと背の高いノブをサイドまで配置することでオフロードを攻められるタイヤに仕上げている。
いずれのモデルもビードの端から端までカバーする高強度ナイロンファブリック素材によるアンチパンクレイヤーが挟み込まれているためサイドカットとパンクに対して強力なプロテクションを発揮する。また、スピードグリップ・コンパウンド自体も強度が向上しており、鋭利な石などが突き刺さりにくくなっている。
今回はGRAVEL2種をグラベルライドで、CROSS2種の合計4モデルのタイヤをシクロクロスレースで実走してインプレッションして紹介する。
インプレッション
CINTURATO GRAVEL HARD、MIXED トレッドの異なる2モデルをグラベルライドでテスト
まずグラベルシリーズのHとMをインプレッション。サイズは700×40Cで、湖畔の砂利混じりのジープロード、脇道のトレイル、舗装路、芝生、サイクリングロードなど、用途を想定していると思われるライトオフロードのほとんどの状況でライドを行ってみた。
まずチューブレスのネックになりがちなリムとの嵌合性について。パッケージには「40CはETRTO23C幅リムにあわせて設計した」とする表示があり、このタイヤが新たなETRTO規格に適応した最新設計であることがわかる。装着したテストに用いたホイールはWTB Frequency Team i23 TCSで、インナーリム幅23Cはピレリの設計通りの組み合わせだ。
リムとタイヤ、双方がETRTO規定に沿った設計を謳っているこの場合だから例にもれず、装着はいたってスムーズで、素手で可能。ビード上げもハンドポンプで簡単にできた。シーラントは60cc程度を注入。パンクリスクの多いグラベルライドでも自己修復可能な十分な分量だ。
タイヤ重量は40CサイズでHとMともに500gと、グラベルタイヤとしては特別に軽量タイヤではなく、標準的な重量といえそうだ。ノブの大きめなMが重そうなイメージがあるが、細かな小ノブが密に並ぶHと使用されるコンパウンド量は同じということだ。
ともに手触りや見た目では少々硬そうな印象のあるタイヤだったが、セットアップしてみると弾力性に富んでおり、しなやか。振動吸収性も良いレベルだ。
トレッドデザインにより、Hは走行感が軽く、Mはややグリップ重視だ。砂利道や締まった道にはH。緩んだ土系のトレイルでグリップを稼ごうと思ったらMのトレッドが頼もしい。舗装路の抵抗感はMも重くはなく、センター部のつながった、面の広いノブの設計の良さが功を奏していると感じる。
使い分けに関しては両方がオールラウンドにミックス路面をこなせるため、迷うところだ。自分が気に入って良く走りに行くフィールドがハードパックが多いならH、山道にも入り込んでいくような人ならMを選べば良いといったところか。35Cになればノブの違いによるキャラクターが際立ってくるが、40C以上の太さがあればどちらを選んでも許容量が広いため、両方が正解といったところ。
速さを重視するなら前輪にM、後輪にHを装着すれば走行抵抗が軽く、サイドグリップも稼げそうだ。個人的な用途ではその組み合わせが気に入っている。
タイヤサイドの表面からは耐パンクメッシュが入っていることがわかる。ライド中に曲がった釘を踏んでトレッドに刺さったが、シーラントで自己修復したためエア補充だけで良かった。重量がややあるため走りの軽快感は乏しいが、十分なゴム量があるためタフさ、耐久性は高そうだ。そのうえ乗り心地が良いから、デイリーのグラベルライドを気持ちよく、永く愉しめるタイヤだ。
CINTURATO CROSS HARD、MIXEDをシクロクロスレースでテスト
シクロクロス向けのCINTURATO CROSS HARDとMIXEDをレース&トレーニングでテストした。
サイズはともに700x33Cで、Hが380g、Mが390g。グラベルモデルと違ってHとMの重量が違うのは、おそらくMのノブを少しアグレッシブな設計にしているからだろう。
33CはETRTO21Cリムにあわせて設計されたとパッケージに記されている。今回はDT SWISS XR 361リムを使用した手組みホイールでテスト。このリムのインナーリム幅20mmで、設計の理想より1mm細いもの。装着後のタイヤ幅はノギスで測って31.6mmと少し細身になった。嵌合性はグラベルモデルと同様に簡単だった。
Hはノブが低く、密なためハードパックの高速レースに向くだろう。湘南シクロクロス・開成ステージで使用。芝が多く、階段と締まったキャンバー走行のど平坦・高速コース。当日はドライで、ぬかるんだ土のセクションは少しあったが、直線的であるため問題なし。
そんなコースにマッチするHは走りが軽く、倒し込んだときのサイドグリップも良く、天候コンディションが良いシクロクロスレースで出番が非常に多いタイヤだと思った。選択して失敗したのは宇都宮シクロクロス。気温が上って霜が溶けて泥のレースになった時。細かなノブが密集した隙間に泥が詰まってグリップが低下。ウェット路面は全般に苦手そうだ。
もっとも、土やウェット路面が出てくればMのノブ形状からくる安心感は高い。レース中に地表が緩むの想定してMを選んでいればベストチョイスだったと後悔。Mはやや走行抵抗は重めだが、ノブが立っているため柔らかい土に刺さり、グリップ力はかなり高めだ。
HとMの2種のチョイスは、例えばIRCやヴィットリア、チャレンジなどの他社が路面コンディションにあわせてドライ、スタンダード、ウェット、サンドなどと3〜4種のトレッドを取り揃えていることを考えると、バリエーションに欠けるのは事実。しかし「路面が完全に乾いていればH、ウェット部があるならM」あるいは「スピードで攻めるならH、コーナリングを重視するならM」というように、2つの選択肢で選ぶのはCXレース入門者にとってかえって迷いが少ないとも言える。HとM、どちらも極端なキャラクターにはなっていないので、選択間違いによるミスが少ないとも言えるだろう。どちらか1本を選ぶなら、キャパの大きなMがオススメだ。
国内CXレースで大きなシェアをとっている他社のチューブレス系タイヤ群に対して、レース性能を突き詰めれば少し譲る面もあるだろうが、ピレリが優っているのは耐久性や耐パンク性、そして扱いやすさだと思う。またレース性能に振ったチューブレスCXタイヤではリム打ちパンクが多く発生する傾向があり、空気圧低下でレースを捨てることも多い。その点ピレリCROSSはタフで、トレーニングとレースの両方を高レベルにこなせるバランスのいいタイヤに仕上がっていると思う。(インプレッション:綾野 真/CW編集部)
ピレリ CINTURATO GRAVEL HARD
サイズ(重量):700x35C(410g)、40C(500g)、650b×45C(510g)
ケーシング:127tpi
コンパウンド:スピードグリップコンパウンド
アンチパンクチャー:ナイロンファブリック
税抜価格:8,200円(35/40C)、8,700円(45C)
ピレリ CINTURATO GRAVEL MIXED
サイズ(重量):700x35C(430g)、40C(500g)、650b×45C(520g)
ケーシング:127tpi
コンパウンド:スピードグリップコンパウンド
アンチパンクチャー:ナイロンファブリック
税抜価格:8,200円(35/40C)、8,700円(45C)
※クラシックシリーズ(パラサイドモデル)もあり
ピレリ CINTURATO CROSS HARD
サイズ:700x33C
重量:380g
ケーシング:127tpi
コンパウンド:スピードグリップコンパウンド
アンチパンクチャー:ナイロンファブリック
税抜価格:8,200円
ピレリ CINTURATO CROSS MIXED
サイズ:700x33C
重量:390g
ケーシング:127tpi
コンパウンド:スピードグリップコンパウンド
アンチパンクチャー:ナイロンファブリック
税抜価格:8,200円
140年以上の歴史を持ち、自動車タイヤ、F1でも活躍するイタリアの老舗タイヤブランド・ピレリ。2017年に自転車用タイヤにカムバックして以来、次々と新型タイヤをリリースし、シェアを伸ばしている。
2017年にロード用パフォーマンスタイヤ「P ZERO VELO」をリリースしたことを皮切りに、2018年にはタフなロードタイヤCINTURATO(チントゥラート)、2019年の初めにはMTB用のSCOPIONをローンチし、着々とラインアップを埋めてきた。そして、今回CINTURATOシリーズにシクロクロス用とグラベル用モデルが追加されることに。
「UNSTOPPABLE PERFORMANCE(止められないパフォーマンス)をキャッチフレーズに、ハンドリング、グリップ、パフォーマンス、クオリティのすべてにおいてサイクリストを満足させるタイヤをプロデュースするピレリ。「POWER IS NOTHING WITHOUT CONTROL」(コントロールを伴わないパワーは意味が無い)とのポリシーは、ピレリのどの自転車タイヤのパッケージにも刻まれている。
今回はCINTURATOシリーズに加わったグラベル用とシクロクロス用のチューブレス・レディタイヤシリーズをまとめて紹介しよう。
グラベル用の「CINTURATO GRAVEL」、シクロクロス用の「CINTURATO CROSS」という2つの新しいオフロードタイヤには、スピードグリップ・コンパウンドという新設計コンパウンドが用いられている。路面コンディションや地形に左右されずグリップ力を発揮するMTB用スマートグリップ・コンパウンドをベースとし、グラベルや舗装路を走行する際のスピードレンジにあわせて配合を微調整することで転がり抵抗を低減したという。
加えてSCOPION MTBタイヤの開発で得たノブの設計ノウハウを投入し、未舗装路でのグリップ力を確保。さらにCINTURATO GRAVELとCROSSでは、それぞれ「M」=MIXED TERRAINモデルと「H」=HARD TERRAINの2つモデルを用意することで、グリップ重視か転がり重視かを選べるようになっている。
HARD TERRAINはその名の通りハードパックなグラベルや舗装路を走行する際に適したモデル。MIXED TERRAINとは、トレイルとハードパックのどちらも登場するオフロードで活躍するモデル。いずれのモデルもセンターノブが直線的に並ぶことで転がり抵抗を低減。中間部分のノブの間隔を広くとることでオフロードの路面を捉えやすく、かつ泥はけの良さを確保。サイド部分は背が高めなノブを敷き詰めることで、高いグリップ力を実現している。
GRAVELとCROSSとの違いは2つ。太さのラインアップとトレッドノブの設計傾向だ。
まずCROSSは公式シクロクロスレースで使用できる規定サイズの700x33C。それにHとMの2種のトレッドを揃える。
そしてGRAVELは700x35C、40Cに加え、エアボリュームを大きく確保できる650b×45Cの3サイズをラインアップ。HとMの2種のトレッドを揃えるのはCROSSと同様だが、ノブの高さはCROSSに比べるとGRAVELはやや低めの設計となる。
GRAVELモデルは全体を背の低いノブとすることで軽い転がり抵抗を実現。サイド部分のみ若干高くすることで、オフロードのコーナーも安心できるグリップ力を備えた。いっぽう、CROSSは目の詰まったノブ設計とすることでハードパックでの走行性能を確保しつつ、しっかりと背の高いノブをサイドまで配置することでオフロードを攻められるタイヤに仕上げている。
いずれのモデルもビードの端から端までカバーする高強度ナイロンファブリック素材によるアンチパンクレイヤーが挟み込まれているためサイドカットとパンクに対して強力なプロテクションを発揮する。また、スピードグリップ・コンパウンド自体も強度が向上しており、鋭利な石などが突き刺さりにくくなっている。
今回はGRAVEL2種をグラベルライドで、CROSS2種の合計4モデルのタイヤをシクロクロスレースで実走してインプレッションして紹介する。
インプレッション
CINTURATO GRAVEL HARD、MIXED トレッドの異なる2モデルをグラベルライドでテスト
まずグラベルシリーズのHとMをインプレッション。サイズは700×40Cで、湖畔の砂利混じりのジープロード、脇道のトレイル、舗装路、芝生、サイクリングロードなど、用途を想定していると思われるライトオフロードのほとんどの状況でライドを行ってみた。
まずチューブレスのネックになりがちなリムとの嵌合性について。パッケージには「40CはETRTO23C幅リムにあわせて設計した」とする表示があり、このタイヤが新たなETRTO規格に適応した最新設計であることがわかる。装着したテストに用いたホイールはWTB Frequency Team i23 TCSで、インナーリム幅23Cはピレリの設計通りの組み合わせだ。
リムとタイヤ、双方がETRTO規定に沿った設計を謳っているこの場合だから例にもれず、装着はいたってスムーズで、素手で可能。ビード上げもハンドポンプで簡単にできた。シーラントは60cc程度を注入。パンクリスクの多いグラベルライドでも自己修復可能な十分な分量だ。
タイヤ重量は40CサイズでHとMともに500gと、グラベルタイヤとしては特別に軽量タイヤではなく、標準的な重量といえそうだ。ノブの大きめなMが重そうなイメージがあるが、細かな小ノブが密に並ぶHと使用されるコンパウンド量は同じということだ。
ともに手触りや見た目では少々硬そうな印象のあるタイヤだったが、セットアップしてみると弾力性に富んでおり、しなやか。振動吸収性も良いレベルだ。
トレッドデザインにより、Hは走行感が軽く、Mはややグリップ重視だ。砂利道や締まった道にはH。緩んだ土系のトレイルでグリップを稼ごうと思ったらMのトレッドが頼もしい。舗装路の抵抗感はMも重くはなく、センター部のつながった、面の広いノブの設計の良さが功を奏していると感じる。
使い分けに関しては両方がオールラウンドにミックス路面をこなせるため、迷うところだ。自分が気に入って良く走りに行くフィールドがハードパックが多いならH、山道にも入り込んでいくような人ならMを選べば良いといったところか。35Cになればノブの違いによるキャラクターが際立ってくるが、40C以上の太さがあればどちらを選んでも許容量が広いため、両方が正解といったところ。
速さを重視するなら前輪にM、後輪にHを装着すれば走行抵抗が軽く、サイドグリップも稼げそうだ。個人的な用途ではその組み合わせが気に入っている。
タイヤサイドの表面からは耐パンクメッシュが入っていることがわかる。ライド中に曲がった釘を踏んでトレッドに刺さったが、シーラントで自己修復したためエア補充だけで良かった。重量がややあるため走りの軽快感は乏しいが、十分なゴム量があるためタフさ、耐久性は高そうだ。そのうえ乗り心地が良いから、デイリーのグラベルライドを気持ちよく、永く愉しめるタイヤだ。
CINTURATO CROSS HARD、MIXEDをシクロクロスレースでテスト
シクロクロス向けのCINTURATO CROSS HARDとMIXEDをレース&トレーニングでテストした。
サイズはともに700x33Cで、Hが380g、Mが390g。グラベルモデルと違ってHとMの重量が違うのは、おそらくMのノブを少しアグレッシブな設計にしているからだろう。
33CはETRTO21Cリムにあわせて設計されたとパッケージに記されている。今回はDT SWISS XR 361リムを使用した手組みホイールでテスト。このリムのインナーリム幅20mmで、設計の理想より1mm細いもの。装着後のタイヤ幅はノギスで測って31.6mmと少し細身になった。嵌合性はグラベルモデルと同様に簡単だった。
Hはノブが低く、密なためハードパックの高速レースに向くだろう。湘南シクロクロス・開成ステージで使用。芝が多く、階段と締まったキャンバー走行のど平坦・高速コース。当日はドライで、ぬかるんだ土のセクションは少しあったが、直線的であるため問題なし。
そんなコースにマッチするHは走りが軽く、倒し込んだときのサイドグリップも良く、天候コンディションが良いシクロクロスレースで出番が非常に多いタイヤだと思った。選択して失敗したのは宇都宮シクロクロス。気温が上って霜が溶けて泥のレースになった時。細かなノブが密集した隙間に泥が詰まってグリップが低下。ウェット路面は全般に苦手そうだ。
もっとも、土やウェット路面が出てくればMのノブ形状からくる安心感は高い。レース中に地表が緩むの想定してMを選んでいればベストチョイスだったと後悔。Mはやや走行抵抗は重めだが、ノブが立っているため柔らかい土に刺さり、グリップ力はかなり高めだ。
HとMの2種のチョイスは、例えばIRCやヴィットリア、チャレンジなどの他社が路面コンディションにあわせてドライ、スタンダード、ウェット、サンドなどと3〜4種のトレッドを取り揃えていることを考えると、バリエーションに欠けるのは事実。しかし「路面が完全に乾いていればH、ウェット部があるならM」あるいは「スピードで攻めるならH、コーナリングを重視するならM」というように、2つの選択肢で選ぶのはCXレース入門者にとってかえって迷いが少ないとも言える。HとM、どちらも極端なキャラクターにはなっていないので、選択間違いによるミスが少ないとも言えるだろう。どちらか1本を選ぶなら、キャパの大きなMがオススメだ。
国内CXレースで大きなシェアをとっている他社のチューブレス系タイヤ群に対して、レース性能を突き詰めれば少し譲る面もあるだろうが、ピレリが優っているのは耐久性や耐パンク性、そして扱いやすさだと思う。またレース性能に振ったチューブレスCXタイヤではリム打ちパンクが多く発生する傾向があり、空気圧低下でレースを捨てることも多い。その点ピレリCROSSはタフで、トレーニングとレースの両方を高レベルにこなせるバランスのいいタイヤに仕上がっていると思う。(インプレッション:綾野 真/CW編集部)
ピレリ CINTURATO GRAVEL HARD
サイズ(重量):700x35C(410g)、40C(500g)、650b×45C(510g)
ケーシング:127tpi
コンパウンド:スピードグリップコンパウンド
アンチパンクチャー:ナイロンファブリック
税抜価格:8,200円(35/40C)、8,700円(45C)
ピレリ CINTURATO GRAVEL MIXED
サイズ(重量):700x35C(430g)、40C(500g)、650b×45C(520g)
ケーシング:127tpi
コンパウンド:スピードグリップコンパウンド
アンチパンクチャー:ナイロンファブリック
税抜価格:8,200円(35/40C)、8,700円(45C)
※クラシックシリーズ(パラサイドモデル)もあり
ピレリ CINTURATO CROSS HARD
サイズ:700x33C
重量:380g
ケーシング:127tpi
コンパウンド:スピードグリップコンパウンド
アンチパンクチャー:ナイロンファブリック
税抜価格:8,200円
ピレリ CINTURATO CROSS MIXED
サイズ:700x33C
重量:390g
ケーシング:127tpi
コンパウンド:スピードグリップコンパウンド
アンチパンクチャー:ナイロンファブリック
税抜価格:8,200円
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