2019/11/11(月) - 02:14
ツール・ド・おきなわ市民レース最高峰の市民210km。「ホビーレーサーの甲子園」の加熱するタイトル争奪戦は壮絶なサバイバルレースとなった。高岡亮寛(Roppong Express)が通算6度目の勝利を挙げたレースのバトルを詳細にレポートする。
「ホビーレーサーの甲子園」の異名をもつツール・ド・おきなわ市民レース。その最高峰となるのが市民210kmだ。31回大会の市民レース王者のタイトルに挑むのは314人の参加者たち。この日を最大の目標として年間を通して厳しい練習を積み、研鑽してきた選手も多いことだろう。
コースは沖縄北部のやんばる地方を舞台に、名護から本部半島をほぼ一周してから海岸線を北上し、最北端の辺戸岬を経由し、「与那の坂」と呼ばれる普久川ダムへの6kmの登りを2回こなし、アップダウンが連続する東海岸を南下。消耗したレース終盤には勝負どころとして羽地ダムへの登坂が待ち構える。
少し肌寒さも感じるが天気予報は晴れ。雨の心配は不要なコンディション。午前7時27分、参加者たちが朝陽を浴びて走り出す。ニュートラル走行も無いままスタート直後から飛び出したのは櫻井一輝(なるしまフレンド)。続いて徳田鍛造(鹿児島FunRide)が抜け出す。合流しようとバラバラと飛び出していく選手たち。メイン集団は逃げを容認。本部半島を一周し、与那の上り入り口まで80km続く海岸線で8人の逃げができた。
与那の上り入り口までに逃げた8人
阿曽圭佑(あそクリニック)
元山高嶺(シマノドリンキング)
櫻井一輝(なるしまフレンド)
徳田鍛造(鹿児島FunRide)
木村豊(ハヤサカサイクルレーシングチーム)
山口史明(湾岸サイクリング・ユナイテッド)
梶島侑馬(シマノドリンキング)
高橋伸成(FIETS GROEN)
8人の逃げはメイン集団に約8分の差をつけて普久川ダムへの上りへ。そして頂上KOMは元愛三工業レーシングで走った阿曽が取る。奥、そして辺戸岬へと回る間に人数は減り、2回めの普久川ダムの登り口では阿曽とシマノドリンキングの元山の2人に。高岡亮寛(Roppongi Express)ら優勝候補がすべて入る15人ほどの追走集団とは約5分の差で補給所を通過し、ダウンヒルへと入った。
下りきってからの急坂、通称「学校坂」を経て厳しいアップダウンが始まる。ペースが上がりだす追走グループ。阿曽と元山との差は徐々に縮まり、2人は捕まる。しかし阿曽と元山が抵抗、再びアタック。しかし森本誠(GOKISO)がチェック。高岡もかぶせるようにペースアップ。落車が発生して2人が減り、11人に。落車したのは大森慶太(BREZZA-KAMIHAGI&NPCC)と荒瀧隆公(Innocent)。
後半に入った先頭グループ。宮城関門で11人に絞られる。ここに残ったメンバーは以下の通りだ。
宮城関門までに絞られた先頭グループ
阿曽圭佑(あそクリニック)
高岡亮寛(Roppong Express)
松木健治(VC福岡)
井上 亮(Magellan Systems Japan)
持留叶汰郎(thcrew)
森本誠(GOKISO)
中村俊介(SEKIYA)
岡泰誠(SBC Vertex Racing Team)
紺野元汰(SBC Vertex Racing Team)
西谷雅史(オーベスト)
石井祥平(アーティファクトレーシングチーム)
強力なメンバーを揃える先頭集団では攻撃が断続的にかかり、慶佐次の補給所を越えたアップダウンで52歳のベテラン、西谷とアーティファクトの石井が遅れる。これで9人に。
紺野、井上、高岡と交代交代にペースアップし、パンチの効いた上りで分裂、再吸収を繰り返す。紺野が位置を下げる。そしてついに安部の関門の手前で遅れを喫した。紺野はタイヤのスローパンクもあったようで、ホイール交換のため一度ストップしている。ディフェンディングチャンピオンのレースはここで終わったかに思えた。
一方通行帯を抜けて大浦湾へは高岡、井上、松木、森本、中村、持留の6人で突入。長い上りが始まる。高度を上げ、番越トンネルが迫るとまず乗鞍ヒルクライムのチャンピオン、中村が脱落。トンネルを抜けて右折、多数のギャラリーの応援がある急登坂では持留と森本が脱落、勝負は高岡、松木、井上の3人に。
羽地ダムへ向かう3段階の上りでは井上が果敢に攻める。そして井上がジャブを打てば高岡がカウンターで返すといった応酬に。耐える松木。井上が緩い下り坂のトンネル内でアタックすれば、高岡は国道58号へと下るつづら折れのダウンヒルで、ディスクブレーキの性能を生かしてコーナーを攻めると、リムブレーキの井上と松木は距離を開かれる。しかし58号線に出る前に3人はまとまり、平坦基調の広々としたメイン通りで名護へと向かう。
最後の「ワンチャンス」がある通称「イオン坂」でも井上が仕掛けるが、アタックは決まらず差はつかない。ラスト5kmは牽制しながらこなし、ゴールスプリントへ。見通しの効く2車線道路を目一杯使ってのストレート勝負は、高岡と松木が先行。松木の脚が攣ったことで伸びが止まった瞬間、高岡の勝利が決まった。
2位の松木は言う。「少人数に絞ってスプリントに持ち込む走りは自分の狙いどおりで、それが唯一の高岡さんに勝てる展開だと思っていたんです。でもアタックを何度も繰り返されて、対応してるうちに脚が削られて、スプリントする前にすでに脚が攣っていました。完敗です。また来年、リベンジします」。
一方3位の井上は「スプリントで自分に分がないのは分かっていたので、それまでに何度も仕掛けて何とかしようとしたんですが、駄目でしたね。悔しいですが、どうしようもなかった。でも、最高に楽しいレースができました」。
昨年は井上と森本とともに落車し、7分以上遅れて20位でフィニッシュした高岡。2年越しの強さを見つけ、大会史上前例のない通算6度目の勝利を更新した。
高岡亮寛が通算6度目の勝利で再び市民レース王者に
高岡は言う。「結果的に勝てたので気分は最高です。途中から徐々に人数を絞っていくレースにできたのは良かった。数年前に15人ぐらい残ったことがあり、そうした展開を嫌っていましたが、今年は皆が警戒する選手であった阿曽選手が逃げたことで追走のペースが上がり、必然的に人数が絞れたのが良かった」。
3人での勝負にもつれこんだが、もはや安定のスプリント力で不安なく制したように見えた。「でも松木さんのほうが純粋なスプリント力は自分よりもあると思っています。彼はかつて陸上の短距離選手でしたからね。松木さんがスプリントに持ち込みたがっているのは感じました。井上君はスプリント力が無いので、それまでになんとかしたいという動き。そして調子も良かった。僕がアタックしても絶対に井上君が追って着いてくると判っていたので、逃げようとするよりも、スプリントにならざるを得ないと思っていました。でもそれで勝てるかどうかは五分五分。松木さんは足が攣っていたらしいです。着いていくのがうまい。
おきなわでの松木さんとのスプリント勝負はこれで3回め。今まで全部勝っているんです(笑)。でも純粋なスプリントというより、5時間走った後の脚が削れてからの勝負なんです。だから勝てた。スプリントになるだろうと覚悟したけれど、ただ脚を溜めて待つのではなく、ちょっとした上りなどで仕掛けて、追わせて脚を使わせる動きを意識したんです。下りコーナーでも攻めて、後ろを離して、差を詰めるために彼らに脚を使わせた。細かい積み重ねが最後は差になるんです。松木さんは限界に来ていた。イオン坂では井上君がアタックしたおかげで松木さんは足が攣りかけていたと言っていました。長距離レースではどの動きが勝利につながるかはわからない。動いたことは無駄になっていないんです。
自分にとっては徐々に人数が減るという得意な展開に持ち込めた。過去には逃げて勝っていますが、それらは意図したものではなくて展開上のこと。流れのうえでそうなっただけです。ここ数年は全体のレベルが上って逃げが難しくなっている。無理に逃げようとしても自滅するだけ。流れに任せ、展開に合わせて走るのも大事です。それがうまくできた」。
市民210kmでの6勝目とは、高岡にとってどんな意味を持つのだろうか。そして、まだ伸ばせる記録なのだろうか?
「レースは毎回毎回、水もので、すべてがうまくいってやっと勝てるというものなので、6勝つまで勝利数を積み上げられたことは自分でも信じられないです。何回勝てるかなんてわからないけど、過去に何回勝ったとかは関係なく、42歳の自分として、どこまでできるかは分からないないけれど、まだまだ自分を伸ばしたいと思います」。
連覇叶わなかった紺野元汰。ブレーキのワケは?
連覇の叶わなかった紺野元汰。しかし遅れと一旦のストップから復帰して追走、フタを開けてみればなんと8位でフィニッシュしている。紺野は言う。「敗者には語るべき言葉はありませんが、じつは『今年は駄目だな』というメンタルで来て、よくトップ10に食い込めたな、と思います。
乗り込みが足りていなかったんです。去年は10月に3200kmぐらい乗れたんですが、今年は1500kmしか乗れていなかった。そして1年間Jプロツアーレースを走ったんですが、通年レースを走ると集中力が続かないですね。グランフォンド世界選があったり、台風での被害や混乱もあり、集中力を欠いた部分がある。直前に乗り込んでトップ10に入れればと思っていたんです。勝負どころで遅れるというのはやはり悔しい。しかしトップ10に入ったのは目標どおり。来年、また勝ちたいという気持ちが沸いてきました。JPTレースを止めてでもおきなわに来たい。グランフォンド世界選とおきなわのタイトルを獲りたいです」。
紺野のアシストをつとめたチームメイトの岡泰誠は言う。「2人とも走れていないながら、僕がアシスト、紺野がエースでした。紺野がマークされないように僕が意表を突く動きができればいいと思っていました。高岡さんは『それはクレバーな走りじゃない』と思わず言いたくなるぐらい、ずっと先頭を引いていたし、アタックしていた。そのまま皆を引きちぎっていくような凄い走りでした」。
市民レース210kmリザルト 暫定版
1位 高岡亮寛(Roppong Express)5:19:32.730
2位 松木健治(VC福岡)+0:00.147
3位 井上 亮(Magellan Systems Japan)+0:01.508
4位 持留叶汰郎(thcrew)+0:18.356
5位 森本誠(GOKISO)+0:19.137
6位 中村俊介(SEKIYA)+2:53.312
7位 岡泰誠(SBC Vertex Racing Team)+4:36.715
8位 紺野元汰(SBC Vertex Racing Team)+4:38.465
9位 西谷雅史(オーベスト)+5:58.351
10位 阿曽圭佑(あそクリニック)+6:36.078
text&photo:Makoto AYANO
「ホビーレーサーの甲子園」の異名をもつツール・ド・おきなわ市民レース。その最高峰となるのが市民210kmだ。31回大会の市民レース王者のタイトルに挑むのは314人の参加者たち。この日を最大の目標として年間を通して厳しい練習を積み、研鑽してきた選手も多いことだろう。
コースは沖縄北部のやんばる地方を舞台に、名護から本部半島をほぼ一周してから海岸線を北上し、最北端の辺戸岬を経由し、「与那の坂」と呼ばれる普久川ダムへの6kmの登りを2回こなし、アップダウンが連続する東海岸を南下。消耗したレース終盤には勝負どころとして羽地ダムへの登坂が待ち構える。
少し肌寒さも感じるが天気予報は晴れ。雨の心配は不要なコンディション。午前7時27分、参加者たちが朝陽を浴びて走り出す。ニュートラル走行も無いままスタート直後から飛び出したのは櫻井一輝(なるしまフレンド)。続いて徳田鍛造(鹿児島FunRide)が抜け出す。合流しようとバラバラと飛び出していく選手たち。メイン集団は逃げを容認。本部半島を一周し、与那の上り入り口まで80km続く海岸線で8人の逃げができた。
与那の上り入り口までに逃げた8人
阿曽圭佑(あそクリニック)
元山高嶺(シマノドリンキング)
櫻井一輝(なるしまフレンド)
徳田鍛造(鹿児島FunRide)
木村豊(ハヤサカサイクルレーシングチーム)
山口史明(湾岸サイクリング・ユナイテッド)
梶島侑馬(シマノドリンキング)
高橋伸成(FIETS GROEN)
8人の逃げはメイン集団に約8分の差をつけて普久川ダムへの上りへ。そして頂上KOMは元愛三工業レーシングで走った阿曽が取る。奥、そして辺戸岬へと回る間に人数は減り、2回めの普久川ダムの登り口では阿曽とシマノドリンキングの元山の2人に。高岡亮寛(Roppongi Express)ら優勝候補がすべて入る15人ほどの追走集団とは約5分の差で補給所を通過し、ダウンヒルへと入った。
下りきってからの急坂、通称「学校坂」を経て厳しいアップダウンが始まる。ペースが上がりだす追走グループ。阿曽と元山との差は徐々に縮まり、2人は捕まる。しかし阿曽と元山が抵抗、再びアタック。しかし森本誠(GOKISO)がチェック。高岡もかぶせるようにペースアップ。落車が発生して2人が減り、11人に。落車したのは大森慶太(BREZZA-KAMIHAGI&NPCC)と荒瀧隆公(Innocent)。
後半に入った先頭グループ。宮城関門で11人に絞られる。ここに残ったメンバーは以下の通りだ。
宮城関門までに絞られた先頭グループ
阿曽圭佑(あそクリニック)
高岡亮寛(Roppong Express)
松木健治(VC福岡)
井上 亮(Magellan Systems Japan)
持留叶汰郎(thcrew)
森本誠(GOKISO)
中村俊介(SEKIYA)
岡泰誠(SBC Vertex Racing Team)
紺野元汰(SBC Vertex Racing Team)
西谷雅史(オーベスト)
石井祥平(アーティファクトレーシングチーム)
強力なメンバーを揃える先頭集団では攻撃が断続的にかかり、慶佐次の補給所を越えたアップダウンで52歳のベテラン、西谷とアーティファクトの石井が遅れる。これで9人に。
紺野、井上、高岡と交代交代にペースアップし、パンチの効いた上りで分裂、再吸収を繰り返す。紺野が位置を下げる。そしてついに安部の関門の手前で遅れを喫した。紺野はタイヤのスローパンクもあったようで、ホイール交換のため一度ストップしている。ディフェンディングチャンピオンのレースはここで終わったかに思えた。
一方通行帯を抜けて大浦湾へは高岡、井上、松木、森本、中村、持留の6人で突入。長い上りが始まる。高度を上げ、番越トンネルが迫るとまず乗鞍ヒルクライムのチャンピオン、中村が脱落。トンネルを抜けて右折、多数のギャラリーの応援がある急登坂では持留と森本が脱落、勝負は高岡、松木、井上の3人に。
羽地ダムへ向かう3段階の上りでは井上が果敢に攻める。そして井上がジャブを打てば高岡がカウンターで返すといった応酬に。耐える松木。井上が緩い下り坂のトンネル内でアタックすれば、高岡は国道58号へと下るつづら折れのダウンヒルで、ディスクブレーキの性能を生かしてコーナーを攻めると、リムブレーキの井上と松木は距離を開かれる。しかし58号線に出る前に3人はまとまり、平坦基調の広々としたメイン通りで名護へと向かう。
最後の「ワンチャンス」がある通称「イオン坂」でも井上が仕掛けるが、アタックは決まらず差はつかない。ラスト5kmは牽制しながらこなし、ゴールスプリントへ。見通しの効く2車線道路を目一杯使ってのストレート勝負は、高岡と松木が先行。松木の脚が攣ったことで伸びが止まった瞬間、高岡の勝利が決まった。
2位の松木は言う。「少人数に絞ってスプリントに持ち込む走りは自分の狙いどおりで、それが唯一の高岡さんに勝てる展開だと思っていたんです。でもアタックを何度も繰り返されて、対応してるうちに脚が削られて、スプリントする前にすでに脚が攣っていました。完敗です。また来年、リベンジします」。
一方3位の井上は「スプリントで自分に分がないのは分かっていたので、それまでに何度も仕掛けて何とかしようとしたんですが、駄目でしたね。悔しいですが、どうしようもなかった。でも、最高に楽しいレースができました」。
昨年は井上と森本とともに落車し、7分以上遅れて20位でフィニッシュした高岡。2年越しの強さを見つけ、大会史上前例のない通算6度目の勝利を更新した。
高岡亮寛が通算6度目の勝利で再び市民レース王者に
高岡は言う。「結果的に勝てたので気分は最高です。途中から徐々に人数を絞っていくレースにできたのは良かった。数年前に15人ぐらい残ったことがあり、そうした展開を嫌っていましたが、今年は皆が警戒する選手であった阿曽選手が逃げたことで追走のペースが上がり、必然的に人数が絞れたのが良かった」。
3人での勝負にもつれこんだが、もはや安定のスプリント力で不安なく制したように見えた。「でも松木さんのほうが純粋なスプリント力は自分よりもあると思っています。彼はかつて陸上の短距離選手でしたからね。松木さんがスプリントに持ち込みたがっているのは感じました。井上君はスプリント力が無いので、それまでになんとかしたいという動き。そして調子も良かった。僕がアタックしても絶対に井上君が追って着いてくると判っていたので、逃げようとするよりも、スプリントにならざるを得ないと思っていました。でもそれで勝てるかどうかは五分五分。松木さんは足が攣っていたらしいです。着いていくのがうまい。
おきなわでの松木さんとのスプリント勝負はこれで3回め。今まで全部勝っているんです(笑)。でも純粋なスプリントというより、5時間走った後の脚が削れてからの勝負なんです。だから勝てた。スプリントになるだろうと覚悟したけれど、ただ脚を溜めて待つのではなく、ちょっとした上りなどで仕掛けて、追わせて脚を使わせる動きを意識したんです。下りコーナーでも攻めて、後ろを離して、差を詰めるために彼らに脚を使わせた。細かい積み重ねが最後は差になるんです。松木さんは限界に来ていた。イオン坂では井上君がアタックしたおかげで松木さんは足が攣りかけていたと言っていました。長距離レースではどの動きが勝利につながるかはわからない。動いたことは無駄になっていないんです。
自分にとっては徐々に人数が減るという得意な展開に持ち込めた。過去には逃げて勝っていますが、それらは意図したものではなくて展開上のこと。流れのうえでそうなっただけです。ここ数年は全体のレベルが上って逃げが難しくなっている。無理に逃げようとしても自滅するだけ。流れに任せ、展開に合わせて走るのも大事です。それがうまくできた」。
市民210kmでの6勝目とは、高岡にとってどんな意味を持つのだろうか。そして、まだ伸ばせる記録なのだろうか?
「レースは毎回毎回、水もので、すべてがうまくいってやっと勝てるというものなので、6勝つまで勝利数を積み上げられたことは自分でも信じられないです。何回勝てるかなんてわからないけど、過去に何回勝ったとかは関係なく、42歳の自分として、どこまでできるかは分からないないけれど、まだまだ自分を伸ばしたいと思います」。
連覇叶わなかった紺野元汰。ブレーキのワケは?
連覇の叶わなかった紺野元汰。しかし遅れと一旦のストップから復帰して追走、フタを開けてみればなんと8位でフィニッシュしている。紺野は言う。「敗者には語るべき言葉はありませんが、じつは『今年は駄目だな』というメンタルで来て、よくトップ10に食い込めたな、と思います。
乗り込みが足りていなかったんです。去年は10月に3200kmぐらい乗れたんですが、今年は1500kmしか乗れていなかった。そして1年間Jプロツアーレースを走ったんですが、通年レースを走ると集中力が続かないですね。グランフォンド世界選があったり、台風での被害や混乱もあり、集中力を欠いた部分がある。直前に乗り込んでトップ10に入れればと思っていたんです。勝負どころで遅れるというのはやはり悔しい。しかしトップ10に入ったのは目標どおり。来年、また勝ちたいという気持ちが沸いてきました。JPTレースを止めてでもおきなわに来たい。グランフォンド世界選とおきなわのタイトルを獲りたいです」。
紺野のアシストをつとめたチームメイトの岡泰誠は言う。「2人とも走れていないながら、僕がアシスト、紺野がエースでした。紺野がマークされないように僕が意表を突く動きができればいいと思っていました。高岡さんは『それはクレバーな走りじゃない』と思わず言いたくなるぐらい、ずっと先頭を引いていたし、アタックしていた。そのまま皆を引きちぎっていくような凄い走りでした」。
市民レース210kmリザルト 暫定版
1位 高岡亮寛(Roppong Express)5:19:32.730
2位 松木健治(VC福岡)+0:00.147
3位 井上 亮(Magellan Systems Japan)+0:01.508
4位 持留叶汰郎(thcrew)+0:18.356
5位 森本誠(GOKISO)+0:19.137
6位 中村俊介(SEKIYA)+2:53.312
7位 岡泰誠(SBC Vertex Racing Team)+4:36.715
8位 紺野元汰(SBC Vertex Racing Team)+4:38.465
9位 西谷雅史(オーベスト)+5:58.351
10位 阿曽圭佑(あそクリニック)+6:36.078
text&photo:Makoto AYANO
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