2019/10/15(火) - 21:18
ニースで開幕を迎える2020年の第107回ツール・ド・フランスのコース全貌が発表。フランスの5つすべての山脈/山塊を網羅し、個人TTは激坂ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユにフィニッシュする最終日前日の1ステージのみという山がちなコースが披露された。
パリの国際会議場で行われたコースプレゼンテーション photo:CorVos
ツール・ド・フランス2020 photo:A.S.O.10月15日にパリのパレ・デ・コングレ(国際会議場)で行われた第107回ツールのコースプレゼンテーション。エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)をはじめとするトップ選手を含めた4,000人の観衆を前に、大会ディレクターを務めるクリスティアン・プリュドム氏がコースの全貌を明らかにした。
開幕地は事前の発表通り地中海に面した南仏ニースで、そこからアルプス山脈をかすめるようにして中央山塊を通過し、足早にピレネー山脈を駆け抜けて1回目の休息日を迎える。大西洋に面したオレロン島から中央山塊とジュラ山脈を経由して2回目の休息日を迎え、最終週にアルプス山脈とヴォージュ山脈を走ってパリにフィニッシュする。
『時計回り』か『反時計回り』かを定義しにくいコースレイアウト。山頂フィニッシュは第4ステージ(オルシエール・メルレット)、第6ステージ(モン・エグアル)、第13ステージ(ピュイマリー)、第15ステージ(グラン・コロンビエール)、第17ステージ(メリベル)の5つ。主催者が「フランスの5つすべての山脈/山塊を詰め込んだ」と自信を見せているように、3週間にわたって難易度の高い山岳が満遍なく散りばめられている。
プレゼンテーションに出席したクリストファー・フルーム(イギリス、チームイネオス)ら photo:CorVos
大会2日目にはコルミアーヌ峠やトゥリーニ峠といった南仏コートダジュールらしい標高1,600m級の山岳が設定されており、初日の集団スプリントを制したスプリンターは早速マイヨジョーヌをクライマーたちに明け渡すことになりそうだ。
そして第4ステージの標高1,825mオルシエール・メルレット(距離7.1km/平均6.7%)の山頂フィニッシュでマイヨジョーヌ候補は絞り込まれることになる。中央山塊を走る第6ステージの標高1,560mモン・エグアル(距離8.3km/平均4%)の山頂フィニッシュは一見イージーだが、直前のラ・ルセット峠(距離11.7km/平均7.3%)とセットで考えると難易度は高い。
ツール・ド・フランス2020第1ステージ〜第7ステージ photo:A.S.O.
ピレネー山脈の山頂フィニッシュは無し。しかし第8ステージは標高1,755mのバレ峠(距離11.7km/平均7.7%)と標高1,569mのペイルスルド峠(距離9.7km/平均7.8%)を立て続けにクリアしてから下ってフィニッシュするレイアウトであり、登りだけでなく下りにも注意が必要。翌日の第9ステージもラ・ウルセル峠(距離11.1km/平均8.8%)とスデ峠(距離3.8km/平均8.5%)、マリーブランク峠(距離7.7km/平均8.6%)が組み込まれるなど、ピレネーらしい難関山岳が連続する。
オレロン島まで空路で移動して1回目の休息日を迎えた選手たちは、大西洋から吹き付ける風に注意しながら中央山塊へ。第13ステージはネロンヌ峠(距離3.8km/平均9.1%)を越えてから標高1,589mのピュイマリー(距離5.4km/平均8.1%)を駆け上がる中央山塊らしいアップダウンコース。ジュラ山脈随一の難易度を誇る標高1,501mのグラン・コロンビエール(距離17.4km/平均7.1%)の山頂フィニッシュで第2週は締めくくられる。登り中盤にかけてコンスタントに勾配が10%を超えるグラン・コロンビエールの山頂にフィニッシュが置かれるのは今回が初めて。
ツール・ド・フランス2020第8ステージ〜第14ステージ photo:A.S.O.
アルプス山脈の標高2,000mラ・マドレーヌ峠(距離17.1km/平均8.4%)を越えて標高2,304mのメリベル(距離21.5km/平均7.8%)にフィニッシュする第17ステージが今大会のクイーンステージ。ラスト4kmの平均勾配が10%を超え、部分的に勾配が20%に達するメリベル(正式名称ラ・ローズ峠)でマイヨジョーヌは本命の手に渡る。
標高1,968mのロズラン峠(距離18.6km/平均6.1%)や激坂モンテ・デュ・プラトー・デ・グリエール(距離6km/平均11.2%)を含む4つの峠が登場する第18ステージの破壊力も大きい。そんな山岳コースで繰り広げられてきたマイヨジョーヌ争いを締めくくるのが今大会唯一の個人タイムトライアル。とは言え36kmコースはTTスペシャリスト向きではなく、後半にかけてラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ(距離5.9km/平均8.5%)を駆け上がる。ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユの登場は2年連続。しかし2019年に追加された未舗装路&最大27%の激坂の採用は見送られた。最大20%の急勾配区間を走った先にあるラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユの高原でマイヨジョーヌを受け取った選手が、翌日、430km離れたパリのシャンゼリゼ通りに総合優勝者として凱旋することになる。
ツール・ド・フランス2020第15ステージ〜第21ステージ photo:A.S.O.
主催者は「アタックして集団を抜け出すアグレッシブなライダー向きのコースであり、総合上位の順位が毎日入れ替わるようなレースになる」と予想する。カテゴリー2級以上の山岳(超級、1級、2級)は合計29ヶ所。内訳はアルプス山脈13ヶ所、中央山塊7ヶ所、ピレネー山脈5ヶ所、ジュラ山脈3ヶ所、ヴォージュ山脈1ヶ所。参考までに2019年は27ヶ所(当初の予定は30ヶ所)、2018年は26ヶ所、2017年は23ヶ所だった。
フィニッシュ地点のボーナスタイム(10秒、6秒、4秒)は継続。さらに第2、6、8、9、12、13、16、18ステージの終盤の山岳にボーナスタイム(8秒、5秒、2秒)が設定される『ボーナスポイント』も2019年から引き継がれている。賞金総額は230万ユーロ(2億7400万円)で、総合優勝者には50万ユーロ(6,000万円)が与えられる。
なお、ツール最終日(7月19日)は東京五輪ロードレース(7月25日)の6日前。マイヨジョーヌと五輪金メダルを狙う選手は時差調整を含めたタイトスケジュールに挑むことになる。
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『時計回り』か『反時計回り』かを定義しにくいコースレイアウト。山頂フィニッシュは第4ステージ(オルシエール・メルレット)、第6ステージ(モン・エグアル)、第13ステージ(ピュイマリー)、第15ステージ(グラン・コロンビエール)、第17ステージ(メリベル)の5つ。主催者が「フランスの5つすべての山脈/山塊を詰め込んだ」と自信を見せているように、3週間にわたって難易度の高い山岳が満遍なく散りばめられている。
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大会2日目にはコルミアーヌ峠やトゥリーニ峠といった南仏コートダジュールらしい標高1,600m級の山岳が設定されており、初日の集団スプリントを制したスプリンターは早速マイヨジョーヌをクライマーたちに明け渡すことになりそうだ。
そして第4ステージの標高1,825mオルシエール・メルレット(距離7.1km/平均6.7%)の山頂フィニッシュでマイヨジョーヌ候補は絞り込まれることになる。中央山塊を走る第6ステージの標高1,560mモン・エグアル(距離8.3km/平均4%)の山頂フィニッシュは一見イージーだが、直前のラ・ルセット峠(距離11.7km/平均7.3%)とセットで考えると難易度は高い。
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ピレネー山脈の山頂フィニッシュは無し。しかし第8ステージは標高1,755mのバレ峠(距離11.7km/平均7.7%)と標高1,569mのペイルスルド峠(距離9.7km/平均7.8%)を立て続けにクリアしてから下ってフィニッシュするレイアウトであり、登りだけでなく下りにも注意が必要。翌日の第9ステージもラ・ウルセル峠(距離11.1km/平均8.8%)とスデ峠(距離3.8km/平均8.5%)、マリーブランク峠(距離7.7km/平均8.6%)が組み込まれるなど、ピレネーらしい難関山岳が連続する。
オレロン島まで空路で移動して1回目の休息日を迎えた選手たちは、大西洋から吹き付ける風に注意しながら中央山塊へ。第13ステージはネロンヌ峠(距離3.8km/平均9.1%)を越えてから標高1,589mのピュイマリー(距離5.4km/平均8.1%)を駆け上がる中央山塊らしいアップダウンコース。ジュラ山脈随一の難易度を誇る標高1,501mのグラン・コロンビエール(距離17.4km/平均7.1%)の山頂フィニッシュで第2週は締めくくられる。登り中盤にかけてコンスタントに勾配が10%を超えるグラン・コロンビエールの山頂にフィニッシュが置かれるのは今回が初めて。
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アルプス山脈の標高2,000mラ・マドレーヌ峠(距離17.1km/平均8.4%)を越えて標高2,304mのメリベル(距離21.5km/平均7.8%)にフィニッシュする第17ステージが今大会のクイーンステージ。ラスト4kmの平均勾配が10%を超え、部分的に勾配が20%に達するメリベル(正式名称ラ・ローズ峠)でマイヨジョーヌは本命の手に渡る。
標高1,968mのロズラン峠(距離18.6km/平均6.1%)や激坂モンテ・デュ・プラトー・デ・グリエール(距離6km/平均11.2%)を含む4つの峠が登場する第18ステージの破壊力も大きい。そんな山岳コースで繰り広げられてきたマイヨジョーヌ争いを締めくくるのが今大会唯一の個人タイムトライアル。とは言え36kmコースはTTスペシャリスト向きではなく、後半にかけてラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ(距離5.9km/平均8.5%)を駆け上がる。ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユの登場は2年連続。しかし2019年に追加された未舗装路&最大27%の激坂の採用は見送られた。最大20%の急勾配区間を走った先にあるラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユの高原でマイヨジョーヌを受け取った選手が、翌日、430km離れたパリのシャンゼリゼ通りに総合優勝者として凱旋することになる。
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主催者は「アタックして集団を抜け出すアグレッシブなライダー向きのコースであり、総合上位の順位が毎日入れ替わるようなレースになる」と予想する。カテゴリー2級以上の山岳(超級、1級、2級)は合計29ヶ所。内訳はアルプス山脈13ヶ所、中央山塊7ヶ所、ピレネー山脈5ヶ所、ジュラ山脈3ヶ所、ヴォージュ山脈1ヶ所。参考までに2019年は27ヶ所(当初の予定は30ヶ所)、2018年は26ヶ所、2017年は23ヶ所だった。
フィニッシュ地点のボーナスタイム(10秒、6秒、4秒)は継続。さらに第2、6、8、9、12、13、16、18ステージの終盤の山岳にボーナスタイム(8秒、5秒、2秒)が設定される『ボーナスポイント』も2019年から引き継がれている。賞金総額は230万ユーロ(2億7400万円)で、総合優勝者には50万ユーロ(6,000万円)が与えられる。
なお、ツール最終日(7月19日)は東京五輪ロードレース(7月25日)の6日前。マイヨジョーヌと五輪金メダルを狙う選手は時差調整を含めたタイトスケジュールに挑むことになる。
ツール・ド・フランス2020ステージリスト
6月27日(土) | 第1ステージ | ニース〜ニース | 156km | 平坦 |
6月28日(日) | 第2ステージ | ニース〜ニース | 187km | 山岳 |
6月29日(月) | 第3ステージ | ニース〜シストロン | 198km | 平坦 |
6月30日(火) | 第4ステージ | シストロン〜オルシエール・メルレット | 157km | 丘陵 |
7月1日(水) | 第5ステージ | ギャップ〜プリヴァ | 183km | 平坦 |
7月2日(木) | 第6ステージ | ル・テイユ〜モン・エグアル | 191km | 丘陵 |
7月3日(金) | 第7ステージ | ミヨー〜ラヴァール | 168km | 平坦 |
7月4日(土) | 第8ステージ | カゼール・シュル・ガロンヌ〜ルダンヴィエル | 140km | 山岳 |
7月5日(日) | 第9ステージ | ポー〜ラランス | 154km | 山岳 |
7月6日(月) | 休息日 | |||
7月7日(火) | 第10ステージ | ル・シャトー=ドレロン〜サンマルタン=ド=レ | 170km | 平坦 |
7月8日(水) | 第11ステージ | シャトライヨン=プラージュ〜ポアティエ | 167km | 平坦 |
7月9日(木) | 第12ステージ | ショヴィニー〜サラン | 218km | 丘陵 |
7月10日(金) | 第13ステージ | シャテル=ギヨン〜ピュイマリー | 191km | 山岳 |
7月11日(土) | 第14ステージ | クレルモン・フェラン〜リヨン | 197km | 平坦 |
7月12日(日) | 第15ステージ | リヨン〜グラン・コロンビエール | 175km | 山岳 |
7月13日(月) | 休息日 | |||
7月14日(火) | 第16ステージ | ラ・トゥール=デュ=パン〜ヴィラール=ド=ラン | 164km | 山岳 |
7月15日(水) | 第17ステージ | グルノーブル〜メリベル | 168km | 山岳 |
7月16日(木) | 第18ステージ | メリベル〜ラ・ロシュ=シュル=フォロン | 168km | 山岳 |
7月17日(金) | 第19ステージ | ブールカン=ブレス〜シャンパニョル | 160km | 平坦 |
7月18日(土) | 第20ステージ | リュール〜ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ | 36km | 個人TT |
7月19日(日) | 第21ステージ | マント=ラ=ジョリー〜パリ | 122km | 平坦 |
text:Kei Tsuji