2019/10/06(日) - 21:42
勝負を決めたのは最終周回突入直後のアタック。ライバル勢を振り落とし、ヴィクトール・コレツキー(フランス)をスプリントで下したニノ・シューター(スイス)がプレ五輪男子レースで勝利。スイスが男女共に金メダルを収めた。
リラックスした様子のニノ・シューター(スイス) photo:So.Isobe
集中した表情でウォームアップを行う山本幸平 photo:So.Isobe
世界のトップ選手が集結したREADY STEADY TOKYO MTB男子がスタートする
1.3kmのスタートラップと、ワールドクラスのテクニカルセクションと急峻な登りが連続する1周4000mのコースを6周回、合計25.3kmで争われた男子レース。女子レース終盤から空を覆った厚い雲によって気温は大きく下がったものの、幸い雨は瞬間的にパラつく程度と路面はドライに保たれた。
修善寺の特設コースに顔を揃えたのは、クロスカントリー界の絶対王者ニノ・シューター(スイス)を筆頭に、世界選手権銀メダルのステファン・テンピエール(フランス)、ヘンリケ・アヴァンチーニ(ブラジル)、ゲルハルド・ケルシュバウマー(イタリア)ら、ワールドクラスのトップ選手を数多く含む23ヶ国から集った46人。迎える日本勢は山本幸平を筆頭に平林安里、平野星矢、そして前田公平という4人がスタートラインに並んだ。
スタートラップで先行するヘンリケ・アヴァンチーニ(ブラジル) photo:Gakuto Fujiwara
ドロップオフでウィップを披露するヨルダン・サルー(フランス)
先頭グループを率いるラース・フォースター(スイス) photo:So.Isobe
大声援を背に登りを進む平林安里 photo:So.Isobe
14時の号砲と共に飛び出したのは、真っ黄色のブラジルチャンピオンジャージが眩しいアヴァンチーニ。ティトゥアン・カロッド(フランス)やラース・フォースター(スイス)らが続き、シューターは10番手ほどの位置から様子を伺いつつ静かに動き出した。
先頭グループ内では、序盤にシューターのチームメイトで、普段もスコット・スラムのチームメイトとして走るフォースターが、中盤からはアヴァンチーニが先頭に立ってレースを進めていく。3周目には昨年のワールドカップ初戦でシューターを破る大金星を挙げ、今年8月にドゥクーニンク・クイックステップと研修生契約を結んだサミュエル・ゲイズ(ニュージーランド)が落車リタイアする場面も。
先頭集団は人数の増減を繰り返しながらもひと塊のまま進み、最終周回まで決定的な動きが生まれることはなかった。この日最終的に2位に入ったヴィクトール・コレツキー(フランス)は言う。「レース中盤は誰もが疲れていたし、長い登りが無かったことも大きな差が生まれなかった理由。しかしそれでもペースは常に速いままで、テクニカルセクション突入前の位置取り争いも激しく緊張感は高かった」。
後半までレースを引っ張ったへンリケ・アヴァンチーニ(ブラジル) photo:So.Isobe
ライバルの様子を伺いながら走るニノ・シューター(スイス) photo:So.Isobe
最終周回の天城越えでアタックをかけたニノ・シューター(スイス) photo:Gakuto Fujiwara
最終周回突入時で先頭グループは7名。シューター、アヴァンチーニ、ルカ・ブライドットとゲルハルド・ケルシュバウマーのイタリアコンビ、そしてコレツキー、サルー、そしてカロッド(共にフランス)。すると激坂区間を後に控えたホームストレートの芝生区間で、アヴァンチーニの背後からシューターが仕掛けた。
「序盤こそほぼノープランだったけれど、レースを進めながら最終周回でアタックしようと決めた」と言うシューターは、カウンターを試みたアヴァンチーニの動きを封じこめながらアタックを継続。ブライドットだけがシューターに追随し、カロッドとケルシュバウマーは脱落。先頭はシューターと「彼の攻撃に出遅れてしまったけれど、インフィールドで他選手をパスして追いつくことができた」と言うコレツキーの2人となり、優勝の行方はホームストレートでのスプリント勝負に委ねられた。
最後の激坂区間を有利に進め、最終コーナーを先頭で立ち上がったシューターが先行する。後方を確認しながらスプリントする世界王者に対し、「中盤に脚を使っていたことが響いた」と振り返るコレツキーは距離を詰められない。勝利を確信したシューターがフィニッシュラインで雄叫びを上げた。
世界王者の貫禄を見せつけたニノ・シューター(スイス) photo:Gakuto Fujiwara
観客とのハイタッチで勝利を喜ぶニノ・シューター(スイス) photo:So.Isobe
フィニッシュ後もファンサービスに努めていたニノ・シューター(スイス) photo:So.Isobe
「オフシーズンに入っているので、レースがどう動くか、そしてどう自分のカードを切っていくかを考えつつ走った。実際はもう少し序盤からバラけるかと思っていたのでレース展開的には少しサプライズ。先頭集団の力が拮抗していたので序盤でリードを得るのは難しかったと思う」と振り返るシューター。事前から東京五輪を大きな目標に掲げており、「本番向けてすごく良いイメージを掴むことができた」とも。フィニッシュ後はチームテントに戻ることなくファンサービスに努めた。
2位ヴィクトール・コレツキー(フランス)、1位ニノ・シューター(スイス)、3位ルカ・ブライドット(イタリア)
2位には「いつかニノを超える日が来ると信じている」と言うコレツキーが入り、3位はブライドット。以下はサルー、アヴァンチーニ、ケルシュバウマーと続き、「(オフシーズンの今は)トップコンディションではなく、成績よりも自分のペースで走った時に何を感じるか、何を感じて練習に取り入れていくかを考える時間に充てようと考えていた」と言う山本は8分38秒遅れの35位でフルラップ完走。その他日本勢は前田がマイナス1ラップの40位、平林はマイナス3ラップ42位、平野はマイナス4ラップ43位という結果に終わった。
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1.3kmのスタートラップと、ワールドクラスのテクニカルセクションと急峻な登りが連続する1周4000mのコースを6周回、合計25.3kmで争われた男子レース。女子レース終盤から空を覆った厚い雲によって気温は大きく下がったものの、幸い雨は瞬間的にパラつく程度と路面はドライに保たれた。
修善寺の特設コースに顔を揃えたのは、クロスカントリー界の絶対王者ニノ・シューター(スイス)を筆頭に、世界選手権銀メダルのステファン・テンピエール(フランス)、ヘンリケ・アヴァンチーニ(ブラジル)、ゲルハルド・ケルシュバウマー(イタリア)ら、ワールドクラスのトップ選手を数多く含む23ヶ国から集った46人。迎える日本勢は山本幸平を筆頭に平林安里、平野星矢、そして前田公平という4人がスタートラインに並んだ。
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14時の号砲と共に飛び出したのは、真っ黄色のブラジルチャンピオンジャージが眩しいアヴァンチーニ。ティトゥアン・カロッド(フランス)やラース・フォースター(スイス)らが続き、シューターは10番手ほどの位置から様子を伺いつつ静かに動き出した。
先頭グループ内では、序盤にシューターのチームメイトで、普段もスコット・スラムのチームメイトとして走るフォースターが、中盤からはアヴァンチーニが先頭に立ってレースを進めていく。3周目には昨年のワールドカップ初戦でシューターを破る大金星を挙げ、今年8月にドゥクーニンク・クイックステップと研修生契約を結んだサミュエル・ゲイズ(ニュージーランド)が落車リタイアする場面も。
先頭集団は人数の増減を繰り返しながらもひと塊のまま進み、最終周回まで決定的な動きが生まれることはなかった。この日最終的に2位に入ったヴィクトール・コレツキー(フランス)は言う。「レース中盤は誰もが疲れていたし、長い登りが無かったことも大きな差が生まれなかった理由。しかしそれでもペースは常に速いままで、テクニカルセクション突入前の位置取り争いも激しく緊張感は高かった」。
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最終周回突入時で先頭グループは7名。シューター、アヴァンチーニ、ルカ・ブライドットとゲルハルド・ケルシュバウマーのイタリアコンビ、そしてコレツキー、サルー、そしてカロッド(共にフランス)。すると激坂区間を後に控えたホームストレートの芝生区間で、アヴァンチーニの背後からシューターが仕掛けた。
「序盤こそほぼノープランだったけれど、レースを進めながら最終周回でアタックしようと決めた」と言うシューターは、カウンターを試みたアヴァンチーニの動きを封じこめながらアタックを継続。ブライドットだけがシューターに追随し、カロッドとケルシュバウマーは脱落。先頭はシューターと「彼の攻撃に出遅れてしまったけれど、インフィールドで他選手をパスして追いつくことができた」と言うコレツキーの2人となり、優勝の行方はホームストレートでのスプリント勝負に委ねられた。
最後の激坂区間を有利に進め、最終コーナーを先頭で立ち上がったシューターが先行する。後方を確認しながらスプリントする世界王者に対し、「中盤に脚を使っていたことが響いた」と振り返るコレツキーは距離を詰められない。勝利を確信したシューターがフィニッシュラインで雄叫びを上げた。
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「オフシーズンに入っているので、レースがどう動くか、そしてどう自分のカードを切っていくかを考えつつ走った。実際はもう少し序盤からバラけるかと思っていたのでレース展開的には少しサプライズ。先頭集団の力が拮抗していたので序盤でリードを得るのは難しかったと思う」と振り返るシューター。事前から東京五輪を大きな目標に掲げており、「本番向けてすごく良いイメージを掴むことができた」とも。フィニッシュ後はチームテントに戻ることなくファンサービスに努めた。
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2位には「いつかニノを超える日が来ると信じている」と言うコレツキーが入り、3位はブライドット。以下はサルー、アヴァンチーニ、ケルシュバウマーと続き、「(オフシーズンの今は)トップコンディションではなく、成績よりも自分のペースで走った時に何を感じるか、何を感じて練習に取り入れていくかを考える時間に充てようと考えていた」と言う山本は8分38秒遅れの35位でフルラップ完走。その他日本勢は前田がマイナス1ラップの40位、平林はマイナス3ラップ42位、平野はマイナス4ラップ43位という結果に終わった。
READY STEADY TOKYO MTB男子レース リザルト
1位 | ニノ・シューター(スイス) | 1:17:18 |
2位 | ヴィクトール・コレツキー(フランス) | +0:02 |
3位 | ルカ・ブライドット(イタリア) | +0:10 |
4位 | ヨルダン・サルー(フランス) | +0:14 |
5位 | へンリケ・アヴァンチーニ(ブラジル) | +0:18 |
6位 | ゲルハルド・ケルシュバウマー(イタリア) | +0:36 |
7位 | オンドレイ・シンク(チェコ) | +0:44 |
8位 | マヌエル・フミック(ドイツ) | +0:47 |
9位 | アントン・クーパー(ニュージーランド) | +0:54 |
10位 | ティトゥアン・カロッド(フランス) | +1:10 |
35位 | 山本幸平 | +8:38 |
40位 | 前田公平 | -1Lap |
42位 | 平林安里 | -3Lap |
43位 | 平野星矢 | -4Lap |
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