超級山岳オタカムで圧巻の走りを見せたタデイ・ポガチャルは饒舌に勝利を振り返り、敗れたヴィンゲゴーは足早にその場を去った。マイヨブランを守ったエヴェネプールなど、ツール第12ステージを選手たちの言葉で振り返ります。
ステージ優勝&マイヨジョーヌ&マイヨアポワ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)

ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG)にはポガチャルとヴィンゲゴーしかついていけない photo:A.S.O.
レース直後インタビュー
今日のステージを楽しみにしており、皆に「今日はリベンジだね」と言われていた。そして3年前とは真逆の展開となった。先頭にはあの時とは違うベルギー人のティム(ウェレンス)が牽引し、僕がタイムを稼いで勝利した。
落車の後、身体がどう反応するかは分からなかった。だけどそれほど悪くはなかった。アクロバットみたいな動きをすれば股関節が痛むけど、いまはただ自転車を漕ぐだけだからね。
僕たちは素晴らしい走りを見せたし、またベン・ヒーリーのいるEFにも敬意を払いたい。彼らはマイヨジョーヌを守ろうと強い意志を示し、ウノエックスもまた総合成績のために戦った。皆にとってとてもハードな1日だったけど、最終的に僕らがその強さを見せた。ずっと前から狙っていたステージなので本当に嬉しい。

ヴィンゲゴーに対し2分以上のリードを築いたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
このステージの勝利はサムエレ(プリヴィテーラ)と彼の家族に捧げたい。とても悲しいニュースを今朝知り、ラスト数kmは彼と、このスポーツの過酷さに思いを馳せていた。
表彰式後インタビュー
残り12kmからアタックしたのは、仲間内で「ドーフィネの金曜日(第6ステージ)の再現ができたら」と話していたから。半分ジョークのような会話を、どうやらジョニー(ナルバエス)は本気にしたらしい。だからハイスピードで僕を送り出し、僕は無線のマイクが故障していたので、黙ってそのままアタックせざるを得なかった。

フィニッシュ後、天に人差し指を突き上げたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
その後は単独で登りながら、同じく単独で苦しみながらラスト10kmを登坂していた3年前を思い出していた。だれかを追いかけるよりも、先頭に立って登る方が良いし、差を拡げてフィニッシュできて嬉しかった。
今日は調子が良く、明日もまた良い脚が必要なステージ。またその翌日も山岳ステージが待っているし、パリまで気が抜けないね。この後も今日のようにチーム一丸となって強い走りができれば理想的だ。

表彰式でマクロン大統領と握手するポガチャル photo:A.S.O.
─これで戦争(war)に勝ったと思うか?
レースを戦争とは思っていない。これは僕らがプレイするゲームで、良い給料をもらいながら作り上げるショー。僕が勝ったのはその中の一つでしかない。
ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)に代わりコメントしたグリシャ・ニールマン監督

2分10秒遅れの2位でフィニッシュしたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos
我々のプランはレースをできる限り厳しい展開に持ち込むことだった。その通り実行したものの、マッテオ(ジョーゲンソン)が早い段階で遅れてしまった。その後はペースを緩めながらも、狙いはヨナスがオタカムでアタックすることだった。だが、明らかにポガチャルの方が強かった。
総合で大きなタイム差をつけられてしまったが、まだ総合2位をキープしている。明日のタイムトライアルではベストを尽くし、どうなるかを見てみよう。我々は依然として闘志を失っていない。
ステージ3位&総合4位 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
今日もまたとてもハードなステージだった。スタートからとても速く、大きな逃げ集団が形成され、最初の長い登りで既に苦しんでいた。自分の調子には満足しているものの、明日に向けて回復に努めなければならない。
ステージ7位&総合3位&マイヨブラン(ヤングライダー賞) レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

粘りの走りで区間7位に入り、マイヨブランを守ったレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.
今日はスマートな走りをした、というより、あのような走りしかできなかった。今日は絶好調ではなかったので、頂上まで苦しみ続けた。最も楽にフィニッシュする方法は(最後から3つ目の)コル・デュ・スロールで全てを諦めてしまうことだった。でも僕はそんな戦い方をするためにツールに来たわけではなく、パリで総合表彰台に上がるイメージを描きながら走っていた。
フルームやコンタドールが語っていた「バッドデイの時は耐えてタイムロスを最小限に抑えろ」という言葉を思い出し、苦しい中でも踏み続けた。またチームメイトは懸命にアシストしてくれたので、彼らをがっかりさせたくなかった。ここに来るまで妻や家族など、多くの犠牲を払ってきたからね。
─これでポガチャルのツール総合優勝が決まったと思うか?
昨日、タデイは落車した。もちろん誰も落車なんて望んでいないが、ツールはパリにたどり着くまで何が起こるか分からない。そこまで1週間半も戦い続けなければならない。だけど今日、彼が総合優勝を引き寄せたのは確かだ。
ヴィンゲゴーの最終アシストを期待されながらも、遅れてしまったマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)
バッドデイのため遅れてしまった。それはスタートから分かっていて、1つ目の山岳で集団についていくのに精一杯だった。そして最後の山岳では完全に空っぽだった。暑さに加え、100kmまで集団のペースはとても速かった。(ポガチャルとヴィンゲゴーの)タイム差は把握していないが、前を向いて戦い続ける。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
ステージ優勝&マイヨジョーヌ&マイヨアポワ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)

レース直後インタビュー
今日のステージを楽しみにしており、皆に「今日はリベンジだね」と言われていた。そして3年前とは真逆の展開となった。先頭にはあの時とは違うベルギー人のティム(ウェレンス)が牽引し、僕がタイムを稼いで勝利した。
落車の後、身体がどう反応するかは分からなかった。だけどそれほど悪くはなかった。アクロバットみたいな動きをすれば股関節が痛むけど、いまはただ自転車を漕ぐだけだからね。
僕たちは素晴らしい走りを見せたし、またベン・ヒーリーのいるEFにも敬意を払いたい。彼らはマイヨジョーヌを守ろうと強い意志を示し、ウノエックスもまた総合成績のために戦った。皆にとってとてもハードな1日だったけど、最終的に僕らがその強さを見せた。ずっと前から狙っていたステージなので本当に嬉しい。

このステージの勝利はサムエレ(プリヴィテーラ)と彼の家族に捧げたい。とても悲しいニュースを今朝知り、ラスト数kmは彼と、このスポーツの過酷さに思いを馳せていた。
表彰式後インタビュー
残り12kmからアタックしたのは、仲間内で「ドーフィネの金曜日(第6ステージ)の再現ができたら」と話していたから。半分ジョークのような会話を、どうやらジョニー(ナルバエス)は本気にしたらしい。だからハイスピードで僕を送り出し、僕は無線のマイクが故障していたので、黙ってそのままアタックせざるを得なかった。

その後は単独で登りながら、同じく単独で苦しみながらラスト10kmを登坂していた3年前を思い出していた。だれかを追いかけるよりも、先頭に立って登る方が良いし、差を拡げてフィニッシュできて嬉しかった。
今日は調子が良く、明日もまた良い脚が必要なステージ。またその翌日も山岳ステージが待っているし、パリまで気が抜けないね。この後も今日のようにチーム一丸となって強い走りができれば理想的だ。

─これで戦争(war)に勝ったと思うか?
レースを戦争とは思っていない。これは僕らがプレイするゲームで、良い給料をもらいながら作り上げるショー。僕が勝ったのはその中の一つでしかない。
ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)に代わりコメントしたグリシャ・ニールマン監督

我々のプランはレースをできる限り厳しい展開に持ち込むことだった。その通り実行したものの、マッテオ(ジョーゲンソン)が早い段階で遅れてしまった。その後はペースを緩めながらも、狙いはヨナスがオタカムでアタックすることだった。だが、明らかにポガチャルの方が強かった。
総合で大きなタイム差をつけられてしまったが、まだ総合2位をキープしている。明日のタイムトライアルではベストを尽くし、どうなるかを見てみよう。我々は依然として闘志を失っていない。
ステージ3位&総合4位 フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
今日もまたとてもハードなステージだった。スタートからとても速く、大きな逃げ集団が形成され、最初の長い登りで既に苦しんでいた。自分の調子には満足しているものの、明日に向けて回復に努めなければならない。
ステージ7位&総合3位&マイヨブラン(ヤングライダー賞) レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

今日はスマートな走りをした、というより、あのような走りしかできなかった。今日は絶好調ではなかったので、頂上まで苦しみ続けた。最も楽にフィニッシュする方法は(最後から3つ目の)コル・デュ・スロールで全てを諦めてしまうことだった。でも僕はそんな戦い方をするためにツールに来たわけではなく、パリで総合表彰台に上がるイメージを描きながら走っていた。
フルームやコンタドールが語っていた「バッドデイの時は耐えてタイムロスを最小限に抑えろ」という言葉を思い出し、苦しい中でも踏み続けた。またチームメイトは懸命にアシストしてくれたので、彼らをがっかりさせたくなかった。ここに来るまで妻や家族など、多くの犠牲を払ってきたからね。
─これでポガチャルのツール総合優勝が決まったと思うか?
昨日、タデイは落車した。もちろん誰も落車なんて望んでいないが、ツールはパリにたどり着くまで何が起こるか分からない。そこまで1週間半も戦い続けなければならない。だけど今日、彼が総合優勝を引き寄せたのは確かだ。
ヴィンゲゴーの最終アシストを期待されながらも、遅れてしまったマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)
バッドデイのため遅れてしまった。それはスタートから分かっていて、1つ目の山岳で集団についていくのに精一杯だった。そして最後の山岳では完全に空っぽだった。暑さに加え、100kmまで集団のペースはとても速かった。(ポガチャルとヴィンゲゴーの)タイム差は把握していないが、前を向いて戦い続ける。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
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