2010/04/30(金) - 20:58
旧白浜空港滑走路を使うレースは最終周回に突入。逃げから集団ゴールへ作戦を切り替えたシマノは、鈴木真理がこれを制しなんと開幕4連勝。BR-1は辻貴光が圧勝して4勝目を挙げた。
4月29日(木)、和歌山県白浜町の旧白浜空港滑走路でJサイクルツアー第4戦白浜エアポートクリテリウム2010が行われた。
Jサイクルツアーとしては2007年以来の開催で、シマノレーシング、宇都宮ブリッツェン、マトリックスパワータグ・コラテックがフルメンバーで参戦した。
旧滑走路だけあって自転車には粗い路面と緩い起伏があるが、最大の敵は強い風。滑走路を往復+αのコースで、バックストレートが強い向かい風だ。
TR決勝は予選2組を勝ち上がった50名で行われた。1周3kmを15周する45kmだ。ここまで3勝のシマノレーシングに対抗して最も注目されたのは鹿屋体大BLUESKYだ。野中竜馬、野口正則、高宮正嗣に加えてOBの角令央奈が参加。角はこの3月に競輪学校を卒業、5月にプロ登録して競輪選手の道を歩む。なお角は今後も実業団などのレースはこの所属で出場する。
シマノは7人、ブリッツェンは6人、そしてマトリックスは6人が決勝へ。鹿屋も4人全員が決勝へ。
序盤からアタックの応酬となる。ファーストアタックは米山一輝(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)。その後はシマノ、鹿屋、ブリッツェン、マトリックス、湘南ベルマーレ、なるしまフレンドレーシングチーム八王子、MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS、GRUPPO ACQUA TAMA、Esperance Stage/WAVE ONEらほぼすべての参加チームメンバーがアタックする。その中でも中心はシマノだ。自らアタックする場面と追走の場面には必ずシマノが入る。ブリッツェンも同様に動きがいい。
20分経過後、鈴木真理(シマノレーシング)と野中竜馬(鹿屋体大 BLUE SKY)が抜け出し2人で逃げる。メイン集団とは最大15秒差をつける。いっぽうメイン集団は落車の影響で大きく2つに分断、機材故障のニュートラル適用選手は前方に復帰。後方集団はさらに遅れ、優勝候補の角らを含むこの集団は結局このままの位置で走り続ける。
鈴木と野中の逃げは3周弱に渡ったが、ブリッツェン、マトリックス、クラブチーム勢の牽きでこれを吸収。カウンターで再びシマノ勢や辻善光(宇都宮ブリッツェン)がアタック。ブリッツェンは辻と長沼隆行はじめ全員がよく動く。
そしてラスト3周、先ほどまで逃げていた鈴木が再びアタック。これはブリッツェンが吸収し、ラスト2周で辻、畑中勇介(シマノレーシング)、小室雅成(湘南ベルマーレ)の3人がアタック、さらに最終周回突入後に山下貴宏(マトリックスパワータグ・コラテック)が合流して先頭は4人に。この4人のままゴール勝負に持ち込まれるかと思われた。
しかしマトリックス勢らがこれを追走、ラスト1kmで全ての逃げが吸収されてシマノ先頭で集団ゴールへ。ゴール前300mから150mはコーナーが連続するためここの入りでおよその順位が決まる。
村上純平(シマノレーシング)、鈴木、向川尚樹(マトリックスパワータグ・コラテック)、辻、畑中、小室らが先頭付近で突入、そして立ち上がりラスト150mへ。村上の番手につけていた鈴木が圧倒的なスプリントでこれを制した。
上位陣はみなよく動いた選手で、鈴木と辻はあまりにも動いたのでエースは別の選手かと思わせるほど。
ブリッツェンは自ら動いて取りに行く積極策をとった。そしてシマノは実は最終周回に入ってから作戦を変更した。ブリッツェンやマトリックスらの攻撃が王者シマノの作戦を変更させたが、それでも勝てるのが今のシマノの強さだ。
優勝した鈴木真理(シマノレーシング)がそれを語る。
「角君のスプリントが未知だったのでそこだけ注意でした。あとはとにかく自分達から動いて逃げを作ろうと思ったけどなかなかできなかったですね。今回は集団スプリントになったのでボクがやらせてもらったけれども、逃げてチームの若い選手が勝つ、ということをしたかったですね」
「今回は参加していないチームもあるし、今後TOJなどもあるので、まずはここで勝っておかないと。先のツアー・オブ・ザ・フィリピンズでは勝てなかったけれど、弱いところがわかったのでそれを収穫として明日からの白浜合宿で強くしたいです」
今西監督も「勝ててよかったと思います。まだまだだと思うので安心はできませんが。贅沢はいえないけれども、できれば若い選手で勝ちたかったですね。ミーティングでは、集団ゴールのときは真理か畑中で行く。でも第一目標は小集団の逃げを作って勝つ、ということでした。真理は序盤からよく動いていたので、実は内心少し不安だったのですが」
「逃げをつぶす動きに見えたかもしれないが、チームに不利なメンバーだったらもっと前に加われ、という指示を出していました。今日、一番気をつけるべきは鹿屋の角君と野口君でした。マークを忘れがちになるけれどスプリントは凄く強いから。真理には、スプリントでは角をマークから外すなと言っていました」と語る。
2位の向川尚樹(マトリックスパワータグ・コラテック)は「2位という成績そのもの、負けは負けです。でも今までいい成績がなかったのでまずまずとは思います。今日、最後はいい番手に入れたのだから自分なりには1着を狙えていたはずです。チームメンバーはよく動いていたので、最後は自分がなんとしてもそれを形にしないといけないと思っていました。練習でも阿部さん真鍋さんの闘争心が伝わってきます。いいチームです。今後のレースで結果を出したいですね」
FRは中盤から4人の勝負に持ち込まれ、豊岡英子(パナソニックレディース)がゴール勝負を制した。豊岡は中間ポイントも全て取り、平地レースでは絶対の強さを見せた。
BR-1は数人の逃げが続く展開となった。特に岡崎陽介(トラクターRC)の単独での逃げは強烈だったが集団はこれを吸収。最後は今回も全員からマークされていた辻貴光(CIERVO NARA PROCYCLINGTEAM)が、ゴール前で圧倒的な差で抜け出し優勝。実に実業団レース今季4勝目を挙げた。
結果
TR 45km
1位 鈴木真理(シマノレーシング)59分12秒
2位 向川尚樹(マトリックスパワータグ・コラテック)
3位 辻善光(宇都宮ブリッツェン)
4位 村上純平(シマノレーシング)
5位 畑中勇介(シマノレーシング)
6位 野寺秀徳(シマノレーシング)
7位 野口正則(鹿屋体大 BLUE SKY)+01秒
8位 小室雅成(湘南ベルマーレ)
9位 鈴木譲(シマノレーシング)
10位 辻本翔太(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)
FR 21km
1位 豊岡英子(パナソニックレディース)33分46秒
2位 針谷千紗子(サイクルベースあさひレーシング)
3位 西塚優美(SQUADRA CORSA cicli HIDE)
BR-1 30km
1位 辻貴光(CIERVO NARA PROCYCLINGTEAM)42分10秒
2位 高塚亮輔(spacebikes.com)
3位 岩尾伸一(クラブシルベスト)
4位 所司純一(TEAM☆ルパンttm)
5位 松井響(立命館大学)
6位 加地邦彦(なるしまフレンド)
ER 21km
1位 鬼頭拓也(クラブシルベスト)30分01秒
2位 伊藤透(セオレーシング)+01秒
3位 和坂素材(サニーサイドレーシング)
4位 松本剛(ZIPPYタケウチRC)+02秒
5位 福田透(ナカガワAS.K'デザイン)
6位 姫野正志(まつしまROSEcitta')+03秒
photo&text:高木秀彰
4月29日(木)、和歌山県白浜町の旧白浜空港滑走路でJサイクルツアー第4戦白浜エアポートクリテリウム2010が行われた。
Jサイクルツアーとしては2007年以来の開催で、シマノレーシング、宇都宮ブリッツェン、マトリックスパワータグ・コラテックがフルメンバーで参戦した。
旧滑走路だけあって自転車には粗い路面と緩い起伏があるが、最大の敵は強い風。滑走路を往復+αのコースで、バックストレートが強い向かい風だ。
TR決勝は予選2組を勝ち上がった50名で行われた。1周3kmを15周する45kmだ。ここまで3勝のシマノレーシングに対抗して最も注目されたのは鹿屋体大BLUESKYだ。野中竜馬、野口正則、高宮正嗣に加えてOBの角令央奈が参加。角はこの3月に競輪学校を卒業、5月にプロ登録して競輪選手の道を歩む。なお角は今後も実業団などのレースはこの所属で出場する。
シマノは7人、ブリッツェンは6人、そしてマトリックスは6人が決勝へ。鹿屋も4人全員が決勝へ。
序盤からアタックの応酬となる。ファーストアタックは米山一輝(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)。その後はシマノ、鹿屋、ブリッツェン、マトリックス、湘南ベルマーレ、なるしまフレンドレーシングチーム八王子、MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS、GRUPPO ACQUA TAMA、Esperance Stage/WAVE ONEらほぼすべての参加チームメンバーがアタックする。その中でも中心はシマノだ。自らアタックする場面と追走の場面には必ずシマノが入る。ブリッツェンも同様に動きがいい。
20分経過後、鈴木真理(シマノレーシング)と野中竜馬(鹿屋体大 BLUE SKY)が抜け出し2人で逃げる。メイン集団とは最大15秒差をつける。いっぽうメイン集団は落車の影響で大きく2つに分断、機材故障のニュートラル適用選手は前方に復帰。後方集団はさらに遅れ、優勝候補の角らを含むこの集団は結局このままの位置で走り続ける。
鈴木と野中の逃げは3周弱に渡ったが、ブリッツェン、マトリックス、クラブチーム勢の牽きでこれを吸収。カウンターで再びシマノ勢や辻善光(宇都宮ブリッツェン)がアタック。ブリッツェンは辻と長沼隆行はじめ全員がよく動く。
そしてラスト3周、先ほどまで逃げていた鈴木が再びアタック。これはブリッツェンが吸収し、ラスト2周で辻、畑中勇介(シマノレーシング)、小室雅成(湘南ベルマーレ)の3人がアタック、さらに最終周回突入後に山下貴宏(マトリックスパワータグ・コラテック)が合流して先頭は4人に。この4人のままゴール勝負に持ち込まれるかと思われた。
しかしマトリックス勢らがこれを追走、ラスト1kmで全ての逃げが吸収されてシマノ先頭で集団ゴールへ。ゴール前300mから150mはコーナーが連続するためここの入りでおよその順位が決まる。
村上純平(シマノレーシング)、鈴木、向川尚樹(マトリックスパワータグ・コラテック)、辻、畑中、小室らが先頭付近で突入、そして立ち上がりラスト150mへ。村上の番手につけていた鈴木が圧倒的なスプリントでこれを制した。
上位陣はみなよく動いた選手で、鈴木と辻はあまりにも動いたのでエースは別の選手かと思わせるほど。
ブリッツェンは自ら動いて取りに行く積極策をとった。そしてシマノは実は最終周回に入ってから作戦を変更した。ブリッツェンやマトリックスらの攻撃が王者シマノの作戦を変更させたが、それでも勝てるのが今のシマノの強さだ。
優勝した鈴木真理(シマノレーシング)がそれを語る。
「角君のスプリントが未知だったのでそこだけ注意でした。あとはとにかく自分達から動いて逃げを作ろうと思ったけどなかなかできなかったですね。今回は集団スプリントになったのでボクがやらせてもらったけれども、逃げてチームの若い選手が勝つ、ということをしたかったですね」
「今回は参加していないチームもあるし、今後TOJなどもあるので、まずはここで勝っておかないと。先のツアー・オブ・ザ・フィリピンズでは勝てなかったけれど、弱いところがわかったのでそれを収穫として明日からの白浜合宿で強くしたいです」
今西監督も「勝ててよかったと思います。まだまだだと思うので安心はできませんが。贅沢はいえないけれども、できれば若い選手で勝ちたかったですね。ミーティングでは、集団ゴールのときは真理か畑中で行く。でも第一目標は小集団の逃げを作って勝つ、ということでした。真理は序盤からよく動いていたので、実は内心少し不安だったのですが」
「逃げをつぶす動きに見えたかもしれないが、チームに不利なメンバーだったらもっと前に加われ、という指示を出していました。今日、一番気をつけるべきは鹿屋の角君と野口君でした。マークを忘れがちになるけれどスプリントは凄く強いから。真理には、スプリントでは角をマークから外すなと言っていました」と語る。
2位の向川尚樹(マトリックスパワータグ・コラテック)は「2位という成績そのもの、負けは負けです。でも今までいい成績がなかったのでまずまずとは思います。今日、最後はいい番手に入れたのだから自分なりには1着を狙えていたはずです。チームメンバーはよく動いていたので、最後は自分がなんとしてもそれを形にしないといけないと思っていました。練習でも阿部さん真鍋さんの闘争心が伝わってきます。いいチームです。今後のレースで結果を出したいですね」
FRは中盤から4人の勝負に持ち込まれ、豊岡英子(パナソニックレディース)がゴール勝負を制した。豊岡は中間ポイントも全て取り、平地レースでは絶対の強さを見せた。
BR-1は数人の逃げが続く展開となった。特に岡崎陽介(トラクターRC)の単独での逃げは強烈だったが集団はこれを吸収。最後は今回も全員からマークされていた辻貴光(CIERVO NARA PROCYCLINGTEAM)が、ゴール前で圧倒的な差で抜け出し優勝。実に実業団レース今季4勝目を挙げた。
結果
TR 45km
1位 鈴木真理(シマノレーシング)59分12秒
2位 向川尚樹(マトリックスパワータグ・コラテック)
3位 辻善光(宇都宮ブリッツェン)
4位 村上純平(シマノレーシング)
5位 畑中勇介(シマノレーシング)
6位 野寺秀徳(シマノレーシング)
7位 野口正則(鹿屋体大 BLUE SKY)+01秒
8位 小室雅成(湘南ベルマーレ)
9位 鈴木譲(シマノレーシング)
10位 辻本翔太(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)
FR 21km
1位 豊岡英子(パナソニックレディース)33分46秒
2位 針谷千紗子(サイクルベースあさひレーシング)
3位 西塚優美(SQUADRA CORSA cicli HIDE)
BR-1 30km
1位 辻貴光(CIERVO NARA PROCYCLINGTEAM)42分10秒
2位 高塚亮輔(spacebikes.com)
3位 岩尾伸一(クラブシルベスト)
4位 所司純一(TEAM☆ルパンttm)
5位 松井響(立命館大学)
6位 加地邦彦(なるしまフレンド)
ER 21km
1位 鬼頭拓也(クラブシルベスト)30分01秒
2位 伊藤透(セオレーシング)+01秒
3位 和坂素材(サニーサイドレーシング)
4位 松本剛(ZIPPYタケウチRC)+02秒
5位 福田透(ナカガワAS.K'デザイン)
6位 姫野正志(まつしまROSEcitta')+03秒
photo&text:高木秀彰
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