2019/07/20(土) - 04:20
マイヨジョーヌマジック!ポーの街を発着する27.2kmコースで行われたツール・ド・フランス第13ステージで、優勝候補トーマスやデヘントを下す鮮烈な走りを披露した最終走者ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が勝利。総合リード拡大に成功した。
7月19日(金)第13ステージ
ポー〜ポー
距離:27.2km(個人TT)
獲得標高差:360m
天候:晴れ
気温:28〜32度
27.2kmコースで『逃げ屋』デヘントが長時間ホットシート
ツール第106回大会の唯一の個人タイムトライアルがピレネー山岳ステージに挟まれた第2週の第13ステージに組み込まれた。ピレネーの入り口に位置し、ツール登場71回目というポーを発着する27.2kmコースは中盤にかけて高低差100m程度のアップダウンが2つ登場。南方に広がる丘陵〜山岳を走ってポー市内に戻るコースの獲得標高差は360m。フィニッシュ手前には最大勾配17%の急坂も組み込まれている。
真夏の太陽に照らされ、気温が32度ほどまで上昇したこの日、6日前の第8ステージで独走逃げ切り勝利を飾ったトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)が長時間にわたって暫定トップタイムを維持した。
クリテリウム・デュ・ドーフィネの個人タイムトライアルで優勝しているワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)が下馬評通り3つの中間計測ポイントでデヘントに迫るタイムを連発。しかしベルギーTTチャンピオンは終盤のコーナーでフェンスと接触して落車し、太ももに深い傷を負ったためリタイアを余儀なくされた。幸い骨折は免れたが、第10ステージの集団スプリントで勝利した大会前半の主役の一人が姿を消した。
この日はシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)やマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)も落車。シャフマンは再スタートしてフィニッシュしたものの、左手の中手骨の骨折が発見されたためこの第13ステージを最後にツールを去ることが決まっている。
ウランやクライスヴァイク、ポートが総合順位を上げる走り
デヘントが首位を譲らないまま、いよいよスタートの間隔が1分から2分に広がる総合上位33名の走りが始まる。第2ステージのチームタイムトライアルで大きくタイムを失った総合19位リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)がデヘントに9秒差に迫る好タイムを出し、総合6位のエンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)や総合10位のティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)もそれに続く。
3つの中間計測ポイントをいずれもデヘントから数秒遅れで通過した総合12位リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト)は終盤の急坂を目一杯追い込んでフィニッシュ。しかしデヘントのトップタイムには0.28秒届かずに暫定2位に甘んじる。
第1計測(7.7km地点)で最初にデヘントのタイムを更新したのは総合4位のステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)だった。第2計測(15.5km地点)でリードを1秒から5秒に広げたクライスヴァイクだったが、逆に後半の平坦区間でタイムを失ってデヘントには9秒届かずにフィニッシュする。タイムを伸ばせなかった総合9位ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)や総合7位アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)らが下位に沈む中、総合トップスリーの戦いが始まった。
トーマスやベルナルを寄せ付けず、トップタイムをマークしたアラフィリップ
タイムを伸ばせないマイヨブラン&総合3位エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)を追いかける形で、総合2位のゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)が第2計測でトップタイムをマーク。しかし最終走者のジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)はさらにその上を行った。前日に「マイヨジョーヌが自分のリミットを押し上げてくれることを願う」と語っていたアラフィリップが第1計測をトーマスより6秒早いタイムで通過した。
登りでもポジションを変えずにTTバーを握ってシッティングで踏み続けるトーマスに対し、ダンシングを多用しながら登りを突き進んだアラフィリップが第2計測でも6秒差でトップタイムを記録。その後の平坦区間でトーマスは挽回したが、それでも第3計測(21.9km地点)でアラフィリップが5秒リードしたままフィニッシュへ。
心無いブーイングを浴びせられながら、トーマスが35分14秒の暫定トップタイムでフィニッシュ。その1分46秒後に、フランスの大歓声を受けて17%の急坂を勢いよく駆け上がったアラフィリップがフィニッシュに飛び込んだ。終盤の登りでリードを広げる烈々たる走りで、アラフィリップがトーマスに14秒差をつけてステージ優勝を飾った。
アラフィリップが18年ぶりとなるフランス人による個人TT制覇を達成
「信じられない」。再びアラフィリップのレース直後のインタビューはこの言葉で始まった。「今日のようなコースで良いパフォーマンスを見せることができると思っていたけど、ステージ優勝できるとは思っていなかった。まさかゲラント・トーマスに大きなタイム差(14秒)をつけて勝てるとは」。
「トーマスとの1分12秒を守りきれるか否か」という周囲の声を完全にひっくり返し、再びフランスに興奮をもたらしたアラフィリップ。ツールの個人タイムトライアルでフランス人選手が優勝するのは2001年のモロー以来18年ぶり。マイヨジョーヌを着るフランス人選手の個人タイムトライアル勝利は1984年のフィニョン以来35年ぶりとなる。いわゆる"マイヨジョーヌマジック"を、マイヨジョーヌの100回目の誕生日(正しくは誕生ステージ)に果たした。
「今日は観客たちに後押しされた。自分のリミットを押し上げることができたし、フィニッシュラインまで全開で追い込むことができた。無線からはチームカーに乗る監督たちの泣き声が聞こえたよ」。そう語るアラフィリップはトーマスから1分26秒のリードで翌日の超級山岳トゥールマレー峠山頂フィニッシュに挑む。
ドゥクーニンク・クイックステップはマイヨジョーヌを守っただけでなく、ステージトップ10に3名を送り込むことに成功。ステージ9位に入ったエンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)がベルナルからマイヨブランを奪うことに成功している。
ステージ22位に沈んだベルナルは総合3位から総合5位にダウン。ステージ6位に入ったクライスヴァイクが総合3位に浮上し、マスが総合4位に続いている。他にもピノやウランが総合順位を上げ、ブッフマンやキンタナ、Aイェーツ、マーティンらが総合順位を下げる結果となった。
7月19日(金)第13ステージ
ポー〜ポー
距離:27.2km(個人TT)
獲得標高差:360m
天候:晴れ
気温:28〜32度
27.2kmコースで『逃げ屋』デヘントが長時間ホットシート
ツール第106回大会の唯一の個人タイムトライアルがピレネー山岳ステージに挟まれた第2週の第13ステージに組み込まれた。ピレネーの入り口に位置し、ツール登場71回目というポーを発着する27.2kmコースは中盤にかけて高低差100m程度のアップダウンが2つ登場。南方に広がる丘陵〜山岳を走ってポー市内に戻るコースの獲得標高差は360m。フィニッシュ手前には最大勾配17%の急坂も組み込まれている。
真夏の太陽に照らされ、気温が32度ほどまで上昇したこの日、6日前の第8ステージで独走逃げ切り勝利を飾ったトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)が長時間にわたって暫定トップタイムを維持した。
クリテリウム・デュ・ドーフィネの個人タイムトライアルで優勝しているワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)が下馬評通り3つの中間計測ポイントでデヘントに迫るタイムを連発。しかしベルギーTTチャンピオンは終盤のコーナーでフェンスと接触して落車し、太ももに深い傷を負ったためリタイアを余儀なくされた。幸い骨折は免れたが、第10ステージの集団スプリントで勝利した大会前半の主役の一人が姿を消した。
この日はシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)やマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)も落車。シャフマンは再スタートしてフィニッシュしたものの、左手の中手骨の骨折が発見されたためこの第13ステージを最後にツールを去ることが決まっている。
ウランやクライスヴァイク、ポートが総合順位を上げる走り
デヘントが首位を譲らないまま、いよいよスタートの間隔が1分から2分に広がる総合上位33名の走りが始まる。第2ステージのチームタイムトライアルで大きくタイムを失った総合19位リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)がデヘントに9秒差に迫る好タイムを出し、総合6位のエンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)や総合10位のティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)もそれに続く。
3つの中間計測ポイントをいずれもデヘントから数秒遅れで通過した総合12位リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト)は終盤の急坂を目一杯追い込んでフィニッシュ。しかしデヘントのトップタイムには0.28秒届かずに暫定2位に甘んじる。
第1計測(7.7km地点)で最初にデヘントのタイムを更新したのは総合4位のステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)だった。第2計測(15.5km地点)でリードを1秒から5秒に広げたクライスヴァイクだったが、逆に後半の平坦区間でタイムを失ってデヘントには9秒届かずにフィニッシュする。タイムを伸ばせなかった総合9位ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)や総合7位アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)らが下位に沈む中、総合トップスリーの戦いが始まった。
トーマスやベルナルを寄せ付けず、トップタイムをマークしたアラフィリップ
タイムを伸ばせないマイヨブラン&総合3位エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)を追いかける形で、総合2位のゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)が第2計測でトップタイムをマーク。しかし最終走者のジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)はさらにその上を行った。前日に「マイヨジョーヌが自分のリミットを押し上げてくれることを願う」と語っていたアラフィリップが第1計測をトーマスより6秒早いタイムで通過した。
登りでもポジションを変えずにTTバーを握ってシッティングで踏み続けるトーマスに対し、ダンシングを多用しながら登りを突き進んだアラフィリップが第2計測でも6秒差でトップタイムを記録。その後の平坦区間でトーマスは挽回したが、それでも第3計測(21.9km地点)でアラフィリップが5秒リードしたままフィニッシュへ。
心無いブーイングを浴びせられながら、トーマスが35分14秒の暫定トップタイムでフィニッシュ。その1分46秒後に、フランスの大歓声を受けて17%の急坂を勢いよく駆け上がったアラフィリップがフィニッシュに飛び込んだ。終盤の登りでリードを広げる烈々たる走りで、アラフィリップがトーマスに14秒差をつけてステージ優勝を飾った。
アラフィリップが18年ぶりとなるフランス人による個人TT制覇を達成
「信じられない」。再びアラフィリップのレース直後のインタビューはこの言葉で始まった。「今日のようなコースで良いパフォーマンスを見せることができると思っていたけど、ステージ優勝できるとは思っていなかった。まさかゲラント・トーマスに大きなタイム差(14秒)をつけて勝てるとは」。
「トーマスとの1分12秒を守りきれるか否か」という周囲の声を完全にひっくり返し、再びフランスに興奮をもたらしたアラフィリップ。ツールの個人タイムトライアルでフランス人選手が優勝するのは2001年のモロー以来18年ぶり。マイヨジョーヌを着るフランス人選手の個人タイムトライアル勝利は1984年のフィニョン以来35年ぶりとなる。いわゆる"マイヨジョーヌマジック"を、マイヨジョーヌの100回目の誕生日(正しくは誕生ステージ)に果たした。
「今日は観客たちに後押しされた。自分のリミットを押し上げることができたし、フィニッシュラインまで全開で追い込むことができた。無線からはチームカーに乗る監督たちの泣き声が聞こえたよ」。そう語るアラフィリップはトーマスから1分26秒のリードで翌日の超級山岳トゥールマレー峠山頂フィニッシュに挑む。
ドゥクーニンク・クイックステップはマイヨジョーヌを守っただけでなく、ステージトップ10に3名を送り込むことに成功。ステージ9位に入ったエンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)がベルナルからマイヨブランを奪うことに成功している。
ステージ22位に沈んだベルナルは総合3位から総合5位にダウン。ステージ6位に入ったクライスヴァイクが総合3位に浮上し、マスが総合4位に続いている。他にもピノやウランが総合順位を上げ、ブッフマンやキンタナ、Aイェーツ、マーティンらが総合順位を下げる結果となった。
ツール・ド・フランス2019第13ステージ結果
1位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:35:00 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス) | 0:00:14 |
3位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:00:36 |
4位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト) | |
5位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | 0:00:45 |
6位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
7位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:49 |
8位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:52 |
9位 | エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:58 |
10位 | ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、CCCチーム) | 0:01:01 |
12位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 0:01:07 |
15位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:19 |
22位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | 0:01:36 |
28位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:01:51 |
33位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:02:06 |
34位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:02:08 |
39位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:02:26 |
DNF | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 53:01:09 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス) | 0:01:26 |
3位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 0:02:12 |
4位 | エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:02:44 |
5位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | 0:02:52 |
6位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:03:04 |
7位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:03:22 |
8位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト) | 0:03:54 |
9位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:03:55 |
10位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:02:33 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 277pts |
2位 | ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 191pts |
3位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 184pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | 54pts |
2位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 37pts |
3位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | 30pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 53:03:53 |
2位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | 0:00:08 |
3位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 0:05:50 |
チーム総合成績
1位 | トレック・セガフレード | 159:16:27 |
2位 | モビスター | 0:10:12 |
3位 | アージェードゥーゼール | 0:13:56 |
text:Kei Tsuji in Pau, France
Amazon.co.jp
日本製紙クレシア ワイプオール X70 不織布ワイパー レギュラー 335×343mm 四つ折り (50枚入り) 60570
日本製紙クレシア(NIPPON PAPER CRECIA)
¥902 (¥18 / 枚)