2019/05/21(火) - 12:53
デローザ、アルゴン18、カンパニョーロ、スコープ、セッレイタリア、カスク、スポーツフル、タックス…。数多くの海外ブランドを取り扱う日直商会が展示会を開催。東京サンエスと共に行われたディーラーショーの様子をお届けしよう。
今シーズンはアスタナの活躍が目覚ましい。ボルタ・ア・バレンシアでヨン・イザギレが勝利を挙げてから5月中旬までに23勝と、クラシックハンターのドゥクーニンク・クイックステップに迫る勢いで活躍を続けている。彼らが今シーズン乗るバイクは引き続きカナダのレーシングバイクブランド、アルゴン18だ。
輝かしい成績を収めているアスタナの選手たちと共に勝利に貢献しているバイクと会社を紹介するために、本国からセールスディレクターのジェフ・ハモンドさんが来日。アルゴン18という会社を説明し、アスタナと各国のトラックナショナルチームが使用するバイクの開発バックグラウンドを集まったディーラーたちに紹介した。
元選手であったジェルベー・リューさんによって創業されたアルゴン18は、会社のリソースの多くを研究開発に投じているのだという。「イノベーションこそがアルゴン18、もしイノベーションを追求しないのであればアルゴン18というのは存在しない」と技術革新を行っていく強い意志をハモンドさんは表明する。
バイク開発においては、創業者のジェルベー・リューさんが身長160cm前半という小柄な体型であったこともあり、どのサイズでも最適なバランスの自転車を作り上げることに強みを持つ。それがAFSであり、3Dヘッドチューブテクノロジーでもある。アルゴン18が有するラボには様々なテスト機材があり、悪路での振動減衰性を測定する機械も備えられている。
エアロダイナミクスもアルゴン18の得意分野。ロードではNITROGEN、タイムトライアル系バイクではTT-119 TRI+、トラックではELECTRONに研究開発の成果が落とし込まれている。いずれのモデルもトッププロたちが結果を残している機材であり、特にカナダ、デンマーク、オーストラリアのトラック強豪国のチームにバイクを供給していることからも評価されていることがわかるはずだ。
またエアロダイナミクスの研究はアルゴン18のバイクだけではなく、空気抵抗を計測するノシオコネクトというデバイスにも落とし込まれている。ハモンドさんによるとこのデバイスはパワーメーターを組み合わせることで、風速、パワー、気圧、湿度など様々なデータから、ライド中の空気抵抗値を算出するものだという。
例えば、ホイールやウエア、ヘルメット、フォームなど空気抵抗に関わる条件を変化させることで、空気抵抗の違いを明らかにすることが可能となる。ガーミンのサイクルコンピューターで数値を確認することができるため、ライドしながら最もエアロダイナミクスに優れる条件を見つけることができるはずだ。
ノシオコネクトにより、風洞やベロドロームでしっかりとしたテストを行わずとも、ある程度の比較検討が行えるようになるのは、レーサーや少しでも省エネ走行を行いたいロングライド派にはメリットがあるだろう。日本での展開も予定しているという。
これらのイノベーションに対する姿勢から生み出されるアルゴン18のバイクラインアップ。ロードではGallium、Nitrogen、Kryptonという3タイプに分けられているが、ハモンドさんがオススメするのはKrypton。彼はKryptonはエンデュランスバイクではなくロードレーサーだと言う。
「アルゴン18はレーシングカンパニー。我々のレースDNAをコンフォータブルな性能に振ったのがKryptonで、パワーを効率よく推進力に変える研究やカーボンレイアップ、ハンドリングのノウハウを落とし込んでいます。プロレースまでとは言わないもののファンレースのニーズには応えられる性能は備えている。ただ、タイヤのクリアランスに余裕があるなど様々な面で長距離を走るような使い方もできるバイクです。」
実際にKryptonは今年の石畳のクラシックレースでアスタナが使用していた。レースメインではなく、ロングライドイベントや週末のサイクリング、たまにレースに出場するサイクリストにとっては必要十分な走行性能と優れた快適性を持っているバイクなのではないだろうか。
今回の展示会ではカンパニョーロのミドルグレード12速コンポーネント「CHORUS」と「BORA WTO 45」がお披露目されていた。特にCHORUSの注目度は高く、クランク、シフトレバー、ディレイラーの質感をくまなくチェックする方が多かった。既存の11速ホイールを使えることもあり、現在もっとも手の届きやすい12速コンポーネントとなった。新しいもの好きのサイクリストは一度チェックしてみても良いだろう。
セッレイタリアはブランドを象徴する名作SLRをBOOST仕様とした新モデルが登場している。BOOSTとはセッレイタリアのショートノーズサドル設計のこと。愛用するサイクリストが多いSLRにトレンドを取り入れたことで、前乗りポジションを好むスタイルにマッチしやすくなった。また、今年もSP-01 BOOSTにジロ・デ・イタリアモデルが登場する。数量限定のため気になる方は早めにチェックしたほうが良いだろう。
カスクは新しいMTB用ヘルメット「Caipi」をリリースする。バイザーはビルトインされており、装着したままで使用することが前提となる。ベンチレーションホールはバイザー下に設けられている上、内側にエアチャンネルも設けられているため、通気性にも期待できそうだ。また、軽量に作られていることもポイントだ。
そして同じスペースには東京サンエスも出展。今回はワンバイエスやディズナといったオリジナルブランドよりも、リッチーやソーマなどインポートブランドを中心とした展示が行われていた。
中でも注目なのは数社ある代理店の中で東京サンエスのみが国内展開を行うリッチーのSwiss Cross25周年モデルだ。リッチーらしい派手すぎない赤色と白色のグラデーションペイントがスイスをイメージさせる。カウベル付きというのも面白い仕様。すでに完売しているサイズもあるとのことなので、気になる方は早めにチェックしたほうが良いだろう。
また、シクロクロスレースの第一人者である辻浦圭一さんにグラベルバイクとMTBの選び方について伺ってみた。「舗装路の比率が高い時はグラベルバイクが良いでしょう。私も釣りライドの際はバックパックを背負い、自転車に積載するのはチューブやツールなどのアクセサリーのみ、というスタイルで遊んでいます。マウンテンバイクはやはりシングルトラックのトレイルで遊びたい人向けですね」と辻浦さんは言う。オフロードは遊び方が細分化されているため、ショップと相談しながら決めるのが良いとも。
日直商会はアルゴン18を中心としたロードバイクを展開し、東京サンエスはオフロードに強いブランドで展開した今回の展示会では、自転車の幅広い遊び方を感ずることができた。各ブランドの最新情報などは下記ホームページでチェックすることが可能だ。
text&photo: Gakuto Fujiwara
今シーズンはアスタナの活躍が目覚ましい。ボルタ・ア・バレンシアでヨン・イザギレが勝利を挙げてから5月中旬までに23勝と、クラシックハンターのドゥクーニンク・クイックステップに迫る勢いで活躍を続けている。彼らが今シーズン乗るバイクは引き続きカナダのレーシングバイクブランド、アルゴン18だ。
輝かしい成績を収めているアスタナの選手たちと共に勝利に貢献しているバイクと会社を紹介するために、本国からセールスディレクターのジェフ・ハモンドさんが来日。アルゴン18という会社を説明し、アスタナと各国のトラックナショナルチームが使用するバイクの開発バックグラウンドを集まったディーラーたちに紹介した。
元選手であったジェルベー・リューさんによって創業されたアルゴン18は、会社のリソースの多くを研究開発に投じているのだという。「イノベーションこそがアルゴン18、もしイノベーションを追求しないのであればアルゴン18というのは存在しない」と技術革新を行っていく強い意志をハモンドさんは表明する。
バイク開発においては、創業者のジェルベー・リューさんが身長160cm前半という小柄な体型であったこともあり、どのサイズでも最適なバランスの自転車を作り上げることに強みを持つ。それがAFSであり、3Dヘッドチューブテクノロジーでもある。アルゴン18が有するラボには様々なテスト機材があり、悪路での振動減衰性を測定する機械も備えられている。
エアロダイナミクスもアルゴン18の得意分野。ロードではNITROGEN、タイムトライアル系バイクではTT-119 TRI+、トラックではELECTRONに研究開発の成果が落とし込まれている。いずれのモデルもトッププロたちが結果を残している機材であり、特にカナダ、デンマーク、オーストラリアのトラック強豪国のチームにバイクを供給していることからも評価されていることがわかるはずだ。
またエアロダイナミクスの研究はアルゴン18のバイクだけではなく、空気抵抗を計測するノシオコネクトというデバイスにも落とし込まれている。ハモンドさんによるとこのデバイスはパワーメーターを組み合わせることで、風速、パワー、気圧、湿度など様々なデータから、ライド中の空気抵抗値を算出するものだという。
例えば、ホイールやウエア、ヘルメット、フォームなど空気抵抗に関わる条件を変化させることで、空気抵抗の違いを明らかにすることが可能となる。ガーミンのサイクルコンピューターで数値を確認することができるため、ライドしながら最もエアロダイナミクスに優れる条件を見つけることができるはずだ。
ノシオコネクトにより、風洞やベロドロームでしっかりとしたテストを行わずとも、ある程度の比較検討が行えるようになるのは、レーサーや少しでも省エネ走行を行いたいロングライド派にはメリットがあるだろう。日本での展開も予定しているという。
これらのイノベーションに対する姿勢から生み出されるアルゴン18のバイクラインアップ。ロードではGallium、Nitrogen、Kryptonという3タイプに分けられているが、ハモンドさんがオススメするのはKrypton。彼はKryptonはエンデュランスバイクではなくロードレーサーだと言う。
「アルゴン18はレーシングカンパニー。我々のレースDNAをコンフォータブルな性能に振ったのがKryptonで、パワーを効率よく推進力に変える研究やカーボンレイアップ、ハンドリングのノウハウを落とし込んでいます。プロレースまでとは言わないもののファンレースのニーズには応えられる性能は備えている。ただ、タイヤのクリアランスに余裕があるなど様々な面で長距離を走るような使い方もできるバイクです。」
実際にKryptonは今年の石畳のクラシックレースでアスタナが使用していた。レースメインではなく、ロングライドイベントや週末のサイクリング、たまにレースに出場するサイクリストにとっては必要十分な走行性能と優れた快適性を持っているバイクなのではないだろうか。
今回の展示会ではカンパニョーロのミドルグレード12速コンポーネント「CHORUS」と「BORA WTO 45」がお披露目されていた。特にCHORUSの注目度は高く、クランク、シフトレバー、ディレイラーの質感をくまなくチェックする方が多かった。既存の11速ホイールを使えることもあり、現在もっとも手の届きやすい12速コンポーネントとなった。新しいもの好きのサイクリストは一度チェックしてみても良いだろう。
セッレイタリアはブランドを象徴する名作SLRをBOOST仕様とした新モデルが登場している。BOOSTとはセッレイタリアのショートノーズサドル設計のこと。愛用するサイクリストが多いSLRにトレンドを取り入れたことで、前乗りポジションを好むスタイルにマッチしやすくなった。また、今年もSP-01 BOOSTにジロ・デ・イタリアモデルが登場する。数量限定のため気になる方は早めにチェックしたほうが良いだろう。
カスクは新しいMTB用ヘルメット「Caipi」をリリースする。バイザーはビルトインされており、装着したままで使用することが前提となる。ベンチレーションホールはバイザー下に設けられている上、内側にエアチャンネルも設けられているため、通気性にも期待できそうだ。また、軽量に作られていることもポイントだ。
そして同じスペースには東京サンエスも出展。今回はワンバイエスやディズナといったオリジナルブランドよりも、リッチーやソーマなどインポートブランドを中心とした展示が行われていた。
中でも注目なのは数社ある代理店の中で東京サンエスのみが国内展開を行うリッチーのSwiss Cross25周年モデルだ。リッチーらしい派手すぎない赤色と白色のグラデーションペイントがスイスをイメージさせる。カウベル付きというのも面白い仕様。すでに完売しているサイズもあるとのことなので、気になる方は早めにチェックしたほうが良いだろう。
また、シクロクロスレースの第一人者である辻浦圭一さんにグラベルバイクとMTBの選び方について伺ってみた。「舗装路の比率が高い時はグラベルバイクが良いでしょう。私も釣りライドの際はバックパックを背負い、自転車に積載するのはチューブやツールなどのアクセサリーのみ、というスタイルで遊んでいます。マウンテンバイクはやはりシングルトラックのトレイルで遊びたい人向けですね」と辻浦さんは言う。オフロードは遊び方が細分化されているため、ショップと相談しながら決めるのが良いとも。
日直商会はアルゴン18を中心としたロードバイクを展開し、東京サンエスはオフロードに強いブランドで展開した今回の展示会では、自転車の幅広い遊び方を感ずることができた。各ブランドの最新情報などは下記ホームページでチェックすることが可能だ。
text&photo: Gakuto Fujiwara
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