2019/05/18(土) - 01:17
再び逃げ向きのコースが設定されたジロ・デ・イタリア第7ステージは8名が逃げ切る展開に。終盤の起伏を利用して飛び出したペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ)がグランツール初勝利を飾り、懸命に追走したヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)がマリアローザを死守した。
アドリア海に面したヴァストから、丘の街リパテアティーナやキエーティを経て内陸に向かうジロ・デ・イタリア第7ステージ。残り46km地点に2級山岳レ・ズヴォルテ・ディ・ポポリ(距離7.9km/平均6.2%)が設定され、しかも残り1kmアーチから先は平均7.6%/最大11%の登り坂。スプリンター向きではない獲得標高差2,800mのステージは再び逃げ切り向きだと予想された。
クリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエルサイクリングアカデミー)のファーストアタックを皮切りに始まった逃げグループ形成のためのアタック合戦は熾烈を極めた。39km地点に第1スプリントポイントが設定されたことも影響し、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)をはじめとするスプリンターたちもアタック合戦に合流。平坦路を平均スピード54.7km/hで巡航した末に、マリアチクラミーノのパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が第1スプリントポイントを先頭通過した。
気温20度ほどの晴天に恵まれたアブルッツォ州の丘陵地帯で約2時間にわたって繰り広げられたアタック合戦。ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ)やヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ)を含む19名が45秒先行するシーンも見られたが、バーレーン・メリダの集団牽引によって80km地点でこの動きは吸収される。最初の2時間を平均スピード48.1km/hで駆け抜けたメイン集団から、86km地点でようやく12名の先行が決まった。
逃げグループを形成した12名(総合成績順)
ホセ・ロハス(スペイン、モビスター)2分09秒遅れ ※2日連続
ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)6分30秒遅れ
ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ)6分40秒遅れ
トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール)6分42秒遅れ
マティア・カッタネオ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)7分14秒遅れ
ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)8分26秒遅れ
ルーベン・プラサ(スペイン、イスラエルサイクリングアカデミー)8分42秒遅れ ※2日連続
ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)10分03秒遅れ
セバスティアン・エナオ(コロンビア、チームイネオス)12分30秒遅れ
アンドレイ・ツェイツ(カザフスタン、アスタナ)13分04秒遅れ
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)21分46秒遅れ
アントニオ・ペドレロ(スペイン、モビスター)22分03秒遅れ
総合で2分09秒遅れのロハスが2日連続で逃げに乗ったため、マリアローザ擁するUAEチームエミレーツは逃げグループとのタイム差を2分前後に抑え込んだ。しかし、序盤からのハイスピードな展開によって、ポイント賞2位につけるエーススプリンターのフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が左膝の痛みを理由にリタイア。さらに数日前から体調を崩していたローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)もバイクを降りている。
2級山岳レ・ズヴォルテ・ディ・ポポリでデヘントとプラサを切り離した逃げグループは、メイン集団から1分55秒のリードでペドレロを先頭に頂上を通過していく。マリアローザを守るためにヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)やディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)らが引き続きメイン集団の牽引を担い、残り30kmを切るとトレック・セガフレードとバルディアーニCSFもペースアップに力を貸した。
タイム差が1分05秒まで縮まった状態で始まった残り10kmからのアップダウンで先頭はガロパン、カッタネオ、ビルバオ、フォルモロ、ハミルトンの5名に絞られ、何とかメイン集団から逃げ切りたいロハスが単独追走。先頭グループに復帰したロハスがカウンターアタックを仕掛けたものの引き戻され、残り1.5km地点からコースが再び上昇を開始すると、ビルバオが飛び出した。
カッタネオの追走は届かずに、独走で最大勾配11%の登りを突き進んだビルバオ。最終ストレートに入ってガロパンとフォルモロが距離を詰めたが、ビルバオには後ろを振り返って早めに勝利を祝福するほどのリードが十分にあった。逃げメンバーに5秒差をつけてビルバオがステージ優勝。1分07秒遅れのメイン集団から逃げ切ったのは最終的に8名だった。
2011年に地元バスクのエウスカルテルでプロ入りし、2014年から3年間カハルラルに所属、2017年にアスタナに移籍した29歳のビルバオ。アスタナにシーズン24勝目をもたらしたビルバオは「グランツールでステージ優勝を飾るまで長い時間がかかった。今日は自分にとってとても重要な1日だったんだ。逃げグループの中にアスタナは2人を乗せることができたので、有利にレースを進めることができたよ。アンドレイ(ツェイツ)が長時間逃げを引いてくれた。元々はダリオ(カタルド)で勝負する予定だったけど、このハードで複雑なステージで展開に合わせて動いたんだ。幸い、最後まで踏み抜く力があった」と語る。2018年ジロを総合6位で終えているビルバオは、この日の逃げ切りによって総合11位まで順位を上げている。
ロハスらに逃げ切りを許したものの、UAEチームエミレーツの懸命な集団牽引によってコンティはマリアローザをキープ。コンティは総合2位に浮上したロハスから1分32秒、マリアビアンカを守った総合3位ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF)から1分41秒のリードを得ている。「今日は集団内の全員が逃げに乗りたがっているような状態だったので、マリアローザを守るのは大変だった。ロハスとビルバオという総合上位の選手が逃げに入ったけど、チームが力強い走りを見せてくれたおかげでマリアローザを守ることができて本当に良かった」と、マリアローザ1日目を無事に終えたコンティは胸をなでおろす。
ピュアスプリンターたちや初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は2級山岳レ・ズヴォルテ・ディ・ポポリで形成されたグルペット内でフィニッシュ。サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト)がリタイアしたため、集団の大きさは164名にまで絞られている。
アドリア海に面したヴァストから、丘の街リパテアティーナやキエーティを経て内陸に向かうジロ・デ・イタリア第7ステージ。残り46km地点に2級山岳レ・ズヴォルテ・ディ・ポポリ(距離7.9km/平均6.2%)が設定され、しかも残り1kmアーチから先は平均7.6%/最大11%の登り坂。スプリンター向きではない獲得標高差2,800mのステージは再び逃げ切り向きだと予想された。
クリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエルサイクリングアカデミー)のファーストアタックを皮切りに始まった逃げグループ形成のためのアタック合戦は熾烈を極めた。39km地点に第1スプリントポイントが設定されたことも影響し、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)をはじめとするスプリンターたちもアタック合戦に合流。平坦路を平均スピード54.7km/hで巡航した末に、マリアチクラミーノのパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が第1スプリントポイントを先頭通過した。
気温20度ほどの晴天に恵まれたアブルッツォ州の丘陵地帯で約2時間にわたって繰り広げられたアタック合戦。ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ)やヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ)を含む19名が45秒先行するシーンも見られたが、バーレーン・メリダの集団牽引によって80km地点でこの動きは吸収される。最初の2時間を平均スピード48.1km/hで駆け抜けたメイン集団から、86km地点でようやく12名の先行が決まった。
逃げグループを形成した12名(総合成績順)
ホセ・ロハス(スペイン、モビスター)2分09秒遅れ ※2日連続
ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)6分30秒遅れ
ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ)6分40秒遅れ
トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール)6分42秒遅れ
マティア・カッタネオ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)7分14秒遅れ
ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)8分26秒遅れ
ルーベン・プラサ(スペイン、イスラエルサイクリングアカデミー)8分42秒遅れ ※2日連続
ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)10分03秒遅れ
セバスティアン・エナオ(コロンビア、チームイネオス)12分30秒遅れ
アンドレイ・ツェイツ(カザフスタン、アスタナ)13分04秒遅れ
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)21分46秒遅れ
アントニオ・ペドレロ(スペイン、モビスター)22分03秒遅れ
総合で2分09秒遅れのロハスが2日連続で逃げに乗ったため、マリアローザ擁するUAEチームエミレーツは逃げグループとのタイム差を2分前後に抑え込んだ。しかし、序盤からのハイスピードな展開によって、ポイント賞2位につけるエーススプリンターのフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が左膝の痛みを理由にリタイア。さらに数日前から体調を崩していたローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)もバイクを降りている。
2級山岳レ・ズヴォルテ・ディ・ポポリでデヘントとプラサを切り離した逃げグループは、メイン集団から1分55秒のリードでペドレロを先頭に頂上を通過していく。マリアローザを守るためにヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)やディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)らが引き続きメイン集団の牽引を担い、残り30kmを切るとトレック・セガフレードとバルディアーニCSFもペースアップに力を貸した。
タイム差が1分05秒まで縮まった状態で始まった残り10kmからのアップダウンで先頭はガロパン、カッタネオ、ビルバオ、フォルモロ、ハミルトンの5名に絞られ、何とかメイン集団から逃げ切りたいロハスが単独追走。先頭グループに復帰したロハスがカウンターアタックを仕掛けたものの引き戻され、残り1.5km地点からコースが再び上昇を開始すると、ビルバオが飛び出した。
カッタネオの追走は届かずに、独走で最大勾配11%の登りを突き進んだビルバオ。最終ストレートに入ってガロパンとフォルモロが距離を詰めたが、ビルバオには後ろを振り返って早めに勝利を祝福するほどのリードが十分にあった。逃げメンバーに5秒差をつけてビルバオがステージ優勝。1分07秒遅れのメイン集団から逃げ切ったのは最終的に8名だった。
2011年に地元バスクのエウスカルテルでプロ入りし、2014年から3年間カハルラルに所属、2017年にアスタナに移籍した29歳のビルバオ。アスタナにシーズン24勝目をもたらしたビルバオは「グランツールでステージ優勝を飾るまで長い時間がかかった。今日は自分にとってとても重要な1日だったんだ。逃げグループの中にアスタナは2人を乗せることができたので、有利にレースを進めることができたよ。アンドレイ(ツェイツ)が長時間逃げを引いてくれた。元々はダリオ(カタルド)で勝負する予定だったけど、このハードで複雑なステージで展開に合わせて動いたんだ。幸い、最後まで踏み抜く力があった」と語る。2018年ジロを総合6位で終えているビルバオは、この日の逃げ切りによって総合11位まで順位を上げている。
ロハスらに逃げ切りを許したものの、UAEチームエミレーツの懸命な集団牽引によってコンティはマリアローザをキープ。コンティは総合2位に浮上したロハスから1分32秒、マリアビアンカを守った総合3位ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF)から1分41秒のリードを得ている。「今日は集団内の全員が逃げに乗りたがっているような状態だったので、マリアローザを守るのは大変だった。ロハスとビルバオという総合上位の選手が逃げに入ったけど、チームが力強い走りを見せてくれたおかげでマリアローザを守ることができて本当に良かった」と、マリアローザ1日目を無事に終えたコンティは胸をなでおろす。
ピュアスプリンターたちや初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は2級山岳レ・ズヴォルテ・ディ・ポポリで形成されたグルペット内でフィニッシュ。サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト)がリタイアしたため、集団の大きさは164名にまで絞られている。
ジロ・デ・イタリア2019第7ステージ結果
1位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 4:06:27 |
2位 | トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:05 |
3位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:09 |
5位 | マティア・カッタネオ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | |
6位 | ホセ・ロハス(スペイン、モビスター) | 0:00:30 |
7位 | セバスティアン・エナオ(コロンビア、チームイネオス) | 0:00:48 |
8位 | アントニオ・ペドレロ(スペイン、モビスター) | 0:01:01 |
9位 | ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ) | 0:01:07 |
10位 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | |
48位 | ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
146位 | 初山翔(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | 0:18:06 |
DNF | ローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) | |
DNF | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | |
DNF | サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 29:29:34 |
2位 | ホセ・ロハス(スペイン、モビスター) | 0:01:32 |
3位 | ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF) | 0:01:41 |
4位 | ナンス・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:02:09 |
5位 | ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ) | 0:02:17 |
6位 | アマーロ・アントゥネス(ポルトガル、CCCチーム) | 0:02:45 |
7位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 0:03:14 |
8位 | ピーター・セリー(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:03:25 |
9位 | アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) | 0:03:27 |
10位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:04:57 |
11位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 0:05:23 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 133pts |
2位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 87pts |
3位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | 66pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | 24pts |
2位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 18pts |
3位 | アントニオ・ペドレロ(スペイン、モビスター) | 18pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF) | 29:31:15 |
2位 | ナンス・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:28 |
3位 | ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:36 |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 88:36:54 |
2位 | ドゥクーニンク・クイックステップ | 0:05:55 |
3位 | アンドローニジョカトリ・シデルメク | 0:06:29 |
text&photo:Kei Tsuji in L’Aquila, Italy
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