2019/05/16(木) - 03:39
終盤の周回コースがニュートラル扱いになるほどの雨に降られたジロ・デ・イタリア第5ステージ。前日に落車負傷したトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)がレースを去る中、マリアチクラミーノを着るパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がスプリント2勝目を飾った。
前日のフィニッシュ地点フラスカーティをスタートしたジロ第5ステージ。前半に標高700m級の峠と後半に4級山岳を含むステージ全体の難易度は低めだが、スタートからずっと降り続く雨が選手たちの体力を奪うタフなコンディションに。ドーピングへの関与疑惑が浮上したクリスティアン・コレン(スロベニア、バーレーン・メリダ)を除く171名が140kmの比較的距離の短い平坦ステージに挑んだ。
落車で左膝を負傷したトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)はスタートしたものの、ニュートラル区間終了後すぐにバイクを降りた。2017年の総合優勝者が無念のリタイア。続いてイエール・ファネンデル(ベルギー、ロット・スーダル)も怪我によってステージ序盤にリタイアを選択している。
エースを失ったサンウェブはルイス・フェルファーク(ベルギー)を逃げグループに送り込む作戦に出た。フェルファークとともに逃げたのはウンベルト・オルジーニ(イタリア、バルディアーニCSF)、エンリーコ・バルビン(イタリア、バルディアーニCSF)、イヴァン・サンタロミータ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)、ミゲル・フロレス(コロンビア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)というメンバー。マリアアッズーラを着るジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)は一旦は逃げグループに入ったものの、しばらくしてメイン集団に戻っている。
逃げグループの中で総合成績が最も良いのはフェルファークで、この日ディスクブレーキを選択したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)から6分07秒遅れの総合75位。マリアローザの脅威になる逃げではないが、確実に集団スプリントに持ち込みたいグルパマFDJやボーラ・ハンスグローエ、ドゥクーニンク・クイックステップがタイム差を2分前後に押さえ込みながら雨のレースは進んだ。
降り止むどころか勢いを増す雨を考慮して、終盤に設定された9kmの周回コースでは総合タイムが争われないことが決定。残り9km地点のフィニッシュライン通過タイムが総合成績に反映され、仮に周回コースで脱落してもタイム差がつかない措置が取られた。
この日唯一のカテゴリー山岳である4級山岳でフェルファークが独走を開始すると、脱落したメンバーはメイン集団に吸収。先頭で独走を続けたフェルファークも残り23km地点で捕まり、大集団が水しぶきを上げながらテッラチーナの周回コースへと向かう。
ユンボ・ヴィズマを先頭に一旦フィニッシュラインを通過すると、総合狙いの選手たちは危険を回避するためにスローダウン。先頭では引き続きスプリンターチームがポジション争いを繰り広げ、テクニカルコーナーを含む土砂降りの周回コースを駆け抜けた。
ここまでUCIプロコンチネンタルチームの中で逃げグループに選手を送り込んでいないイスラエルサイクリングアカデミーがメンバーを揃えて集団先頭に上がるが、ボーラ・ハンスグローエやグルパマFDJが主導権を奪い返す。水たまりの点在する最終ストレートに入り、最終リードアウト役のジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、グルパマFDJ)が先頭へ。
しかしアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)はリードアウトマンに続くことが出来ず、その隙を突いてフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が真っ先にスプリントを開始。「寒さで身体が動かなかった」というエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)を置き去りにし、正真正銘のステージ優勝に向かって加速したガビリアだったが、その後ろにはぴったりとマリアチクラミーノが張り付いた。
タイミングを見計らって加速したアッカーマンがガビリアのスリップストリームを飛び出す。ロングスプリントとなったガビリアはフィニッシュラインまで先頭を守ることが出来ない。ガビリアと同じ1994年生まれのアッカーマンが先頭を奪うとともに最高スピード64.8km/hの集団スプリントを制した。
今大会ステージ2勝目を飾った25歳のアッカーマンは「ずっと冷たい雨が降り続いたので、どうしてプロ選手になろうと思ったのか自問したくなるような1日だった。でも相変わらず調子は良く、最後まで踏み切る力があった。残り250mで少し減速を強いられたけど、そこからガビリアが絶好のリードアウトになったんだ」とコメント。身長180cm/体重78kgの大柄な身体から繰り出すパワフルさだけでなく、ポジションを読む力でステージ優勝量産体制に入る。
初優勝を飾った第2ステージ以降、3位、4位、1位と上位入賞を繰り返すアッカーマンはポイント賞トップを快走中。ヘルメットやバーテープをシクラメン色に揃えるアッカーマンは「ヴェローナまで完走を目指すとともに、このマリアチクラミーノを着ながら残るスプリントのチャンスをしっかりと狙いたい。マリアチクラミーノを守るために必要であれば中間スプリントも狙っていくかもしれない」と語っている。
マリアローザのログリッチェをはじめとする総合上位陣はスプリント集団から1分ほど遅れてフィニッシュ。ニュートラル扱いによってタイム差は生まれず、サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)と35秒差、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)と39秒差でマリアローザを守っている。
前日のフィニッシュ地点フラスカーティをスタートしたジロ第5ステージ。前半に標高700m級の峠と後半に4級山岳を含むステージ全体の難易度は低めだが、スタートからずっと降り続く雨が選手たちの体力を奪うタフなコンディションに。ドーピングへの関与疑惑が浮上したクリスティアン・コレン(スロベニア、バーレーン・メリダ)を除く171名が140kmの比較的距離の短い平坦ステージに挑んだ。
落車で左膝を負傷したトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)はスタートしたものの、ニュートラル区間終了後すぐにバイクを降りた。2017年の総合優勝者が無念のリタイア。続いてイエール・ファネンデル(ベルギー、ロット・スーダル)も怪我によってステージ序盤にリタイアを選択している。
エースを失ったサンウェブはルイス・フェルファーク(ベルギー)を逃げグループに送り込む作戦に出た。フェルファークとともに逃げたのはウンベルト・オルジーニ(イタリア、バルディアーニCSF)、エンリーコ・バルビン(イタリア、バルディアーニCSF)、イヴァン・サンタロミータ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)、ミゲル・フロレス(コロンビア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)というメンバー。マリアアッズーラを着るジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)は一旦は逃げグループに入ったものの、しばらくしてメイン集団に戻っている。
逃げグループの中で総合成績が最も良いのはフェルファークで、この日ディスクブレーキを選択したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)から6分07秒遅れの総合75位。マリアローザの脅威になる逃げではないが、確実に集団スプリントに持ち込みたいグルパマFDJやボーラ・ハンスグローエ、ドゥクーニンク・クイックステップがタイム差を2分前後に押さえ込みながら雨のレースは進んだ。
降り止むどころか勢いを増す雨を考慮して、終盤に設定された9kmの周回コースでは総合タイムが争われないことが決定。残り9km地点のフィニッシュライン通過タイムが総合成績に反映され、仮に周回コースで脱落してもタイム差がつかない措置が取られた。
この日唯一のカテゴリー山岳である4級山岳でフェルファークが独走を開始すると、脱落したメンバーはメイン集団に吸収。先頭で独走を続けたフェルファークも残り23km地点で捕まり、大集団が水しぶきを上げながらテッラチーナの周回コースへと向かう。
ユンボ・ヴィズマを先頭に一旦フィニッシュラインを通過すると、総合狙いの選手たちは危険を回避するためにスローダウン。先頭では引き続きスプリンターチームがポジション争いを繰り広げ、テクニカルコーナーを含む土砂降りの周回コースを駆け抜けた。
ここまでUCIプロコンチネンタルチームの中で逃げグループに選手を送り込んでいないイスラエルサイクリングアカデミーがメンバーを揃えて集団先頭に上がるが、ボーラ・ハンスグローエやグルパマFDJが主導権を奪い返す。水たまりの点在する最終ストレートに入り、最終リードアウト役のジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、グルパマFDJ)が先頭へ。
しかしアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)はリードアウトマンに続くことが出来ず、その隙を突いてフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が真っ先にスプリントを開始。「寒さで身体が動かなかった」というエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)を置き去りにし、正真正銘のステージ優勝に向かって加速したガビリアだったが、その後ろにはぴったりとマリアチクラミーノが張り付いた。
タイミングを見計らって加速したアッカーマンがガビリアのスリップストリームを飛び出す。ロングスプリントとなったガビリアはフィニッシュラインまで先頭を守ることが出来ない。ガビリアと同じ1994年生まれのアッカーマンが先頭を奪うとともに最高スピード64.8km/hの集団スプリントを制した。
今大会ステージ2勝目を飾った25歳のアッカーマンは「ずっと冷たい雨が降り続いたので、どうしてプロ選手になろうと思ったのか自問したくなるような1日だった。でも相変わらず調子は良く、最後まで踏み切る力があった。残り250mで少し減速を強いられたけど、そこからガビリアが絶好のリードアウトになったんだ」とコメント。身長180cm/体重78kgの大柄な身体から繰り出すパワフルさだけでなく、ポジションを読む力でステージ優勝量産体制に入る。
初優勝を飾った第2ステージ以降、3位、4位、1位と上位入賞を繰り返すアッカーマンはポイント賞トップを快走中。ヘルメットやバーテープをシクラメン色に揃えるアッカーマンは「ヴェローナまで完走を目指すとともに、このマリアチクラミーノを着ながら残るスプリントのチャンスをしっかりと狙いたい。マリアチクラミーノを守るために必要であれば中間スプリントも狙っていくかもしれない」と語っている。
マリアローザのログリッチェをはじめとする総合上位陣はスプリント集団から1分ほど遅れてフィニッシュ。ニュートラル扱いによってタイム差は生まれず、サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)と35秒差、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)と39秒差でマリアローザを守っている。
ジロ・デ・イタリア2019第6ステージ結果
1位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 3:15:44 |
2位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | |
3位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | |
4位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | |
5位 | マッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
6位 | ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ) | |
7位 | パオロ・シミオン(イタリア、バルディアーニCSF) | |
8位 | イエンセ・ビエルマンス(ベルギー、カチューシャ・アルペシン) | |
9位 | ジョヴァンニ・ロナルディ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | |
10位 | マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | |
158位 | 初山翔(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | |
DNF | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | |
DNF | イエール・ファネンデル(ベルギー、ロット・スーダル) | |
DNS | クリスティアン・コレン(スロベニア、バーレーン・メリダ) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 19:35:04 |
2位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:35 |
3位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:39 |
4位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:44 |
5位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:49 |
7位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 0:00:55 |
8位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:56 |
9位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01:02 |
10位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:06 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 121pts |
2位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 93pts |
3位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 86pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | 24pts |
2位 | フランソワ・ビダール(フランス、アージェードゥーゼール) | 6pts |
3位 | マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 4pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 19:35:48 |
2位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) | 0:00:32 |
3位 | パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームイネオス) | 0:00:40 |
チーム総合成績
1位 | ボーラ・ハンスグローエ | 58:48:06 |
2位 | ミッチェルトン・スコット | 0:00:29 |
3位 | UAEチームエミレーツ | 0:00:36 |
text&photo:Kei Tsuji in Terracina, Italy