2019/05/12(日) - 05:32
イタリア中部ボローニャで第102回ジロ・デ・イタリアが開幕。サンルーカ聖母教会への登りを含む8km個人タイムトライアルでライバルを圧倒したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)がマリアローザを獲得。西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)はタイムオーバーによりリタイアとなった。
エミリア=ロマーニャ州の州都ボローニャで開幕した第102回ジロ・デ・イタリア。マリアローザの最初の着用者を決めるのは急勾配の登りを含む8kmの個人タイムトライアルだ。ボローニャ中心部のマッジョーレ広場(チームプレゼンの開催場所)に設置されたスタート台から郊外を目指すコース全体の3/4が平坦路で、残り1/4が登り。残り2.1km地点から、ボローニャの街を見下ろす標高274mの3級山岳に向かって高低差204mを駆け上がる。サンルーカ聖母教会への参道でもあるこの登りは平均勾配が9.7%で、ちょうど登り中腹の残り1kmアーチ付近にかけて最大勾配が16%まで跳ね上がる。
この前半と後半で極端に性質が変わるコースに対応するため、3級山岳の麓でTTバイクからノーマルバイクに乗り換える選手も。そして何よりこの日は天候の悪化が予想されたため、マリアローザを狙う優勝候補たちが前半にスタートするという異例の個人タイムトライアルとなった。
2017年大会の総合優勝者であるトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)が16時50分に第1走としてスタートを切り、全体の基準となる13分22秒の暫定トップタイムを記録する。ステージ優勝候補とも目されたデュムランだったが、5番手スタートのミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)がすぐさまホットシートを奪った。
ロペスの暫定トップタイムを更新したのは9番手スタートのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)。この日ガゼッタ紙の表紙を飾った2013年と2016年の総合優勝者が13分17秒で暫定トップに。しかし、そのわずか3分後、12番手スタートのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が圧倒的なタイムでサンルーカ聖母教会のフィニッシュラインにやってきた。
13分の壁を破る12分54秒でフィニッシュしたログリッチェが暫定トップに。総合優勝候補の中で唯一後半スタートを選択したサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)も好走したが19秒届かず、3時間近くホットシートに座り続けたログリッチェのステージ優勝ならびにマリアローザ獲得が決まった。
「長い間ホットシートで待つことになったけど、とにかくステージ優勝を嬉しく思う。今日は『なるべく速く走る』という他に、ペース配分や戦略なんてなかった。ライバルたちとのタイム差には正直驚いたよ」。平均スピード37.209km/hで3級山岳を含むコースを駆け抜けたログリッチェは語る。
ログリッチェは初出場した2016年ジロ第9ステージの個人タイムトライアルでマティアス・ブランドル(オーストリア、当時IAMサイクリング)やファビアン・カンチェラーラ(スイス、当時トレック・セガフレード)らを下してステージ優勝を飾っており、これが自身ステージ2勝目となる。
今シーズン3つのUCIワールドツアーレースで総合優勝を飾っているログリッチェがキャリア30勝目/シーズン8勝目。早速大会初日にマリアローザを獲得したログリッチェは「2日前に、大会初日から最終日までマリアローザを着る偉業を(1990年に)成し遂げたジャンニ・ブーニョに会った。そんなことが可能なのかどうかは分からない。何よりも大事なのは最終日のヴェローナでマリアローザを着ていること」と語っている。集団スプリントのボーナスタイムでマリアローザに手が届くようなスプリンターがステージ上位に入らなかったため、最終的な総合争いに関係しない大逃げが決まらない限り、ログリッチェがマリアローザを着続ける可能性は高い。
決して得意ではない個人タイムトライアルで4位に入ったロペスがマリアビアンカ(ヤングライダー賞ジャージ)を獲得。マリアローザ候補たちが順当にステージ上位に入る中で、ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)は1分07秒遅れのステージ36位、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)は1分20秒遅れのステージ53位と出遅れる結果に。8kmの個人タイムトライアルでログリッチェからの遅れを1分以内に抑え込むことができたのはわずか25名だけだった。
ステージ成績には目もくれずに前半の平坦区間を比較的ゆっくりと走り、ノーマルバイクに乗り換えて3級山岳を全開で駆け上がったジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)が狙い通りマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を獲得。山岳賞2位にはログリッチェ、同賞3位にはイェーツが入っている。
124番手スタートの初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が2分47秒遅れのステージ170位で終えた一方で、「ローラーでウォーミングアップし始めた段階から体調が急変した」というチームメイトの西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は4分36秒遅れ。この日のタイムリミットはステージ優勝者(ログリッチェ)の優勝タイム(12分54秒)のプラス30%、つまり16分46秒(3分52秒遅れ)。この規定により西村はタイムオーバー扱いとなり、大会初日にレースを去ることとなった。
エミリア=ロマーニャ州の州都ボローニャで開幕した第102回ジロ・デ・イタリア。マリアローザの最初の着用者を決めるのは急勾配の登りを含む8kmの個人タイムトライアルだ。ボローニャ中心部のマッジョーレ広場(チームプレゼンの開催場所)に設置されたスタート台から郊外を目指すコース全体の3/4が平坦路で、残り1/4が登り。残り2.1km地点から、ボローニャの街を見下ろす標高274mの3級山岳に向かって高低差204mを駆け上がる。サンルーカ聖母教会への参道でもあるこの登りは平均勾配が9.7%で、ちょうど登り中腹の残り1kmアーチ付近にかけて最大勾配が16%まで跳ね上がる。
この前半と後半で極端に性質が変わるコースに対応するため、3級山岳の麓でTTバイクからノーマルバイクに乗り換える選手も。そして何よりこの日は天候の悪化が予想されたため、マリアローザを狙う優勝候補たちが前半にスタートするという異例の個人タイムトライアルとなった。
2017年大会の総合優勝者であるトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)が16時50分に第1走としてスタートを切り、全体の基準となる13分22秒の暫定トップタイムを記録する。ステージ優勝候補とも目されたデュムランだったが、5番手スタートのミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)がすぐさまホットシートを奪った。
ロペスの暫定トップタイムを更新したのは9番手スタートのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)。この日ガゼッタ紙の表紙を飾った2013年と2016年の総合優勝者が13分17秒で暫定トップに。しかし、そのわずか3分後、12番手スタートのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が圧倒的なタイムでサンルーカ聖母教会のフィニッシュラインにやってきた。
13分の壁を破る12分54秒でフィニッシュしたログリッチェが暫定トップに。総合優勝候補の中で唯一後半スタートを選択したサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)も好走したが19秒届かず、3時間近くホットシートに座り続けたログリッチェのステージ優勝ならびにマリアローザ獲得が決まった。
「長い間ホットシートで待つことになったけど、とにかくステージ優勝を嬉しく思う。今日は『なるべく速く走る』という他に、ペース配分や戦略なんてなかった。ライバルたちとのタイム差には正直驚いたよ」。平均スピード37.209km/hで3級山岳を含むコースを駆け抜けたログリッチェは語る。
ログリッチェは初出場した2016年ジロ第9ステージの個人タイムトライアルでマティアス・ブランドル(オーストリア、当時IAMサイクリング)やファビアン・カンチェラーラ(スイス、当時トレック・セガフレード)らを下してステージ優勝を飾っており、これが自身ステージ2勝目となる。
今シーズン3つのUCIワールドツアーレースで総合優勝を飾っているログリッチェがキャリア30勝目/シーズン8勝目。早速大会初日にマリアローザを獲得したログリッチェは「2日前に、大会初日から最終日までマリアローザを着る偉業を(1990年に)成し遂げたジャンニ・ブーニョに会った。そんなことが可能なのかどうかは分からない。何よりも大事なのは最終日のヴェローナでマリアローザを着ていること」と語っている。集団スプリントのボーナスタイムでマリアローザに手が届くようなスプリンターがステージ上位に入らなかったため、最終的な総合争いに関係しない大逃げが決まらない限り、ログリッチェがマリアローザを着続ける可能性は高い。
決して得意ではない個人タイムトライアルで4位に入ったロペスがマリアビアンカ(ヤングライダー賞ジャージ)を獲得。マリアローザ候補たちが順当にステージ上位に入る中で、ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)は1分07秒遅れのステージ36位、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)は1分20秒遅れのステージ53位と出遅れる結果に。8kmの個人タイムトライアルでログリッチェからの遅れを1分以内に抑え込むことができたのはわずか25名だけだった。
ステージ成績には目もくれずに前半の平坦区間を比較的ゆっくりと走り、ノーマルバイクに乗り換えて3級山岳を全開で駆け上がったジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)が狙い通りマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を獲得。山岳賞2位にはログリッチェ、同賞3位にはイェーツが入っている。
124番手スタートの初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が2分47秒遅れのステージ170位で終えた一方で、「ローラーでウォーミングアップし始めた段階から体調が急変した」というチームメイトの西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は4分36秒遅れ。この日のタイムリミットはステージ優勝者(ログリッチェ)の優勝タイム(12分54秒)のプラス30%、つまり16分46秒(3分52秒遅れ)。この規定により西村はタイムオーバー扱いとなり、大会初日にレースを去ることとなった。
ジロ・デ・イタリア2019第1ステージ結果
1位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 0:12:54 |
2位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:19 |
3位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:23 |
4位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:28 |
5位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | |
6位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:33 |
7位 | タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームイネオス) | 0:00:35 |
8位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) | |
9位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 0:00:39 |
10位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:40 |
11位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 0:00:42 |
12位 | ビクトル・デラパルテ(スペイン、CCCチーム) | 0:00:45 |
13位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:46 |
14位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 0:00:47 |
15位 | タネル・カンゲルト(エストニア、EFエデュケーションファースト) | |
16位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) | |
17位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:50 |
18位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
19位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:53 |
20位 | ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル) | |
170位 | 初山翔(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | 0:02:47 |
OTL | 西村大輝(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | 0:04:36 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 0:12:54 |
2位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:19 |
3位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:23 |
4位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:28 |
5位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | |
6位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:33 |
7位 | タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームイネオス) | 0:00:35 |
8位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) | |
9位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 0:00:39 |
10位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:40 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 15pts |
2位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 12pts |
3位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 9pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | 9pts |
2位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 4pts |
3位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 2pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:13:22 |
2位 | タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームイネオス) | 0:00:07 |
3位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィズマ | 0:40:23 |
2位 | バーレーン・メリダ | 0:00:15 |
3位 | アスタナ | 0:00:28 |
text&photo:Kei Tsuji in Bologna, Italy
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