2019/04/27(土) - 18:36
マヴィックよりNon SLモデルのカーボンディスクブレーキホイール「COSMIC PRO CARBON UST DISC」を2人のライダーがインプレッション。上位モデルと同一のリムながら、スポークパターンの変更によって剛性を調整し快適性を増したエンデュランスレーシングモデルに仕上がる。
カーボンからアルミまでロードレーシングホイールの幅広いグレードでディスクブレーキモデルを展開しているマヴィック。ディスクロードの最初のアップグレード用ホイールとしても選択しやすい同社より、今回ピックアップするのはNon SLタイプの「COSMIC PRO CARBON UST DISC」である。
リアホイールのスポークをマヴィック独自のイソパルス(ドライブ側ラジアル、反ドライブ側2クロス)で組んだトップモデルの「SL」グレードに対し、その逆パターンで組まれたのが「Non SL」タイプ(SLがモデル名に入らないもの)だ。ディスクブレーキモデルではイソパルスのSLグレードに対し、Non SLは左右どちらも2クロスで組まれたスポークパターンを採用した点が特徴だ。
ハブもNon SL用に最適化されたものを使用し、フランジ径を小さくすることでスポークをSLグレードよりも長めに取っている。またスポーク自体もSLグレードはエアロと剛性に優れた楕円形の断面形状だが、Non SLは薄く扁平したエアロバテッド形状で、しなやかさを重視。これらの設計により脚当たりのほど良い剛性感に仕立て、ロングライドにも最適なエンデュランスレーシングな性能を獲得している。
スポークはスチール製のストレートプルタイプ、フロント/リアともに24本組みだ。ハブボディはアルミニウム製でフリーにはインスタントドライブ360を採用。細かいノッチでギアが噛み合うことでロスのないパワー伝達性を発揮してくれる。
またマヴィックのディスクブレーキホイールで注目すべきはリムハイトだろう。ブレーキトラックが不要なためリムを軽量化することができ、その分リムブレーキモデルよりもハイトを高くした設計としているのだ。リム/ディスクブレーキモデルで完全にリムを作り分けており、同社のこだわりが見て取れるというもの。
COSMIC PRO CARBON UST DISCではリムブレーキモデルから5mmハイトを高くしたリム高45mmとし、よりディープになった設計がエアロダイナミクスを強化している。またリム自体は上位モデルのSLグレードと同一であり、レーススペックの剛性と軽量性は変わらず引き継いでいる。
リム内幅19mmのワイド設計で推奨タイヤサイズは25~32mm。マヴィックのチューブレスシステムであるロードUST対応で、標準でチューブレスタイヤのYKSION PRO UST(25mm)がアセンブルされる。シーラント剤やリムテープ、チューブレスバルブなども装備されており、購入から即チューブレス仕様で走り出せるパッケージとなっている。価格は24万円(税抜)だ。
今回マヴィックホイールを長年愛用する2人のライダーによるインプレッションも合わせてお届け。スマートコーチング代表でトップアスリートからホビーサイクリストやトライアスリートのプロコーチを務める安藤隼人さん。元プロトライアスリートで日本代表経験を持ち、現在は多方面へのパーソナルコーチングやトレーニング指導を行う青山剛さんのホイールレポートを紹介しよう。
― インプレッション
安藤隼人(スマートコーチング代表)コメント
初めてチューブレスを試したのが、昨年のつくば8耐。正直なところ、チューブレスが巷で話題になっても、自転車コーチということもあり「身体の使い方で自転車を楽に、速く走らせることができますよ」と考えていたし、伝えていた。そんな私が初めてチューブレスを試したのが昨年のつくば8耐。COSMIC PRO CARBON USTを初めて使用した。
前半は雨上がりのウェットコンディションでサーキットコースということもあり、滑りやすい条件が揃っていた。しかし、YKSION PRO USTタイヤのグリップ感に驚いた。体重70kgで5.5気圧くらいしか入れていないのに転がりが軽い。周回コースなので進入速度の違いをいろいろ試したが、イン・イン・インを走らないといけないシーンでも不安なくグリップしてくれたのには驚いた。
前置きが長くなったが、ゲストライダーとして呼んでいただいたびわ湖一周サイクリングには、キャノンデールのエアロロードSYSTEMSIXに「COSMIC PRO CARBON UST DISC」を履かせて参加した。このホイールは2ヶ月くらい前から使っていたが100km以上走るのは今回が初めてだった。
当日は生憎の雨予報。なんとか午前中までは雨が降りそうにないとのことだったが、結局11時頃から降り始め、土砂降りになった。初めてサイクリングイベントに参加という方が多いので、前日のステージトークショーでも、キャリパーブレーキやカーボンホイールは雨でブレーキが効かなくなる事や、寒くてブレーキレバーを引けなくなる事、寒さ対策について話をさせていただいたが、その通りになってしまった。
ただ、COSMIC PRO CARBON UST DISCは問題なくコントロールしてくれた。なんだか参加者に申し訳ないくらいに。レーシング向けのSLグレードもラインアップされているが、今回私が履いていたのはNon SLタイプ。ガツっと踏んですぐに進むような硬さはなく、ペダルを綺麗に回し続けるロングライドに最適だ。
私はKSYRIUM PRO CARBON SL UST DISCも使っているが、SLグレードの方が剛性が高く加速性に優れているためレーシングに使うならこちらをオススメしたい。COSMICもKSYRIUMも、ディスクブレーキモデルとリムブレーキモデルは別物と思っていいほど乗り味が異なる。しかしいずれも乗り心地の素晴らしいUSTならでは恩恵を感じられる。そんなマヴィックのUSTホイールで新緑のロングライドに出かけてみてはいかがでしょうか?
スマートコーチング フェイスブック
青山剛(TeamAOYAMAヘッドコーチ)コメント
私はちょうど20年前からマヴィックホイールを使用し続けています。自分のトライアスロン出場時、トレーニング時、日頃の自転車指導時などでこれまで様々な種類のホイールを使用してきました。
さて今回のCOSMIC PRO CARBON UST DISCは1ヶ月程使用してみました。当初はディスクブレーキ、そしてディスクブレーキホイールにあまり乗り気ではなかったのですが、乗り込んでみてその良さが段々と染みてきた感じです。
まず、これまでのキャリパーブレーキ用のホイールに比べ、ブレーキ面の強度が必要なくなることでホイール外周が軽くなっており、これまでの同モデルホイールに比べ、明らかに「踏み出し」が軽く感じます。マヴィックの場合リムとディスクでハイトが異なるため厳密に比較できませんが、重量が抑えられたリムによって格段に走りが良くなりますね。高速巡行はもちろん、国内トライアスロンレースのようなコーナーや立ち上がりが多いクリテリウムコースでも、その踏み出しの軽さが有効になると思います。
また、私が使用しているNon SLタイプとともに剛性が高めなSLモデルもラインアップされています。こちらは剛性が高い分、バリバリのロードレース向きで、個人的にはNon SLモデルのほうがトライアスリートにはお勧めです。あまり剛性が高すぎる(=脚へのダメージも懸念される)と、自転車の後にランもあるので、その辺りを考慮して選ばれるといいと思います。
青山剛公式ホームページ
TeamAOYAMA公式ホームページ
マヴィック COSMIC PRO CARBON UST DISC
タイヤタイプ:ロードチューブレス
リム素材:3Kカーボンファイバー
リムプロファイル:高さ45mm、内幅19mm
スポーク:F24/R24 スチール
ハブ:インスタントドライブ360、シールドカートリッジベアリング
重量:1,650g(F760g、R890g)
付属タイヤ:マヴィック YKSION PRO UST 25mm
価格:240,000円(税抜)
カーボンからアルミまでロードレーシングホイールの幅広いグレードでディスクブレーキモデルを展開しているマヴィック。ディスクロードの最初のアップグレード用ホイールとしても選択しやすい同社より、今回ピックアップするのはNon SLタイプの「COSMIC PRO CARBON UST DISC」である。
リアホイールのスポークをマヴィック独自のイソパルス(ドライブ側ラジアル、反ドライブ側2クロス)で組んだトップモデルの「SL」グレードに対し、その逆パターンで組まれたのが「Non SL」タイプ(SLがモデル名に入らないもの)だ。ディスクブレーキモデルではイソパルスのSLグレードに対し、Non SLは左右どちらも2クロスで組まれたスポークパターンを採用した点が特徴だ。
ハブもNon SL用に最適化されたものを使用し、フランジ径を小さくすることでスポークをSLグレードよりも長めに取っている。またスポーク自体もSLグレードはエアロと剛性に優れた楕円形の断面形状だが、Non SLは薄く扁平したエアロバテッド形状で、しなやかさを重視。これらの設計により脚当たりのほど良い剛性感に仕立て、ロングライドにも最適なエンデュランスレーシングな性能を獲得している。
スポークはスチール製のストレートプルタイプ、フロント/リアともに24本組みだ。ハブボディはアルミニウム製でフリーにはインスタントドライブ360を採用。細かいノッチでギアが噛み合うことでロスのないパワー伝達性を発揮してくれる。
またマヴィックのディスクブレーキホイールで注目すべきはリムハイトだろう。ブレーキトラックが不要なためリムを軽量化することができ、その分リムブレーキモデルよりもハイトを高くした設計としているのだ。リム/ディスクブレーキモデルで完全にリムを作り分けており、同社のこだわりが見て取れるというもの。
COSMIC PRO CARBON UST DISCではリムブレーキモデルから5mmハイトを高くしたリム高45mmとし、よりディープになった設計がエアロダイナミクスを強化している。またリム自体は上位モデルのSLグレードと同一であり、レーススペックの剛性と軽量性は変わらず引き継いでいる。
リム内幅19mmのワイド設計で推奨タイヤサイズは25~32mm。マヴィックのチューブレスシステムであるロードUST対応で、標準でチューブレスタイヤのYKSION PRO UST(25mm)がアセンブルされる。シーラント剤やリムテープ、チューブレスバルブなども装備されており、購入から即チューブレス仕様で走り出せるパッケージとなっている。価格は24万円(税抜)だ。
今回マヴィックホイールを長年愛用する2人のライダーによるインプレッションも合わせてお届け。スマートコーチング代表でトップアスリートからホビーサイクリストやトライアスリートのプロコーチを務める安藤隼人さん。元プロトライアスリートで日本代表経験を持ち、現在は多方面へのパーソナルコーチングやトレーニング指導を行う青山剛さんのホイールレポートを紹介しよう。
― インプレッション
安藤隼人(スマートコーチング代表)コメント
初めてチューブレスを試したのが、昨年のつくば8耐。正直なところ、チューブレスが巷で話題になっても、自転車コーチということもあり「身体の使い方で自転車を楽に、速く走らせることができますよ」と考えていたし、伝えていた。そんな私が初めてチューブレスを試したのが昨年のつくば8耐。COSMIC PRO CARBON USTを初めて使用した。
前半は雨上がりのウェットコンディションでサーキットコースということもあり、滑りやすい条件が揃っていた。しかし、YKSION PRO USTタイヤのグリップ感に驚いた。体重70kgで5.5気圧くらいしか入れていないのに転がりが軽い。周回コースなので進入速度の違いをいろいろ試したが、イン・イン・インを走らないといけないシーンでも不安なくグリップしてくれたのには驚いた。
前置きが長くなったが、ゲストライダーとして呼んでいただいたびわ湖一周サイクリングには、キャノンデールのエアロロードSYSTEMSIXに「COSMIC PRO CARBON UST DISC」を履かせて参加した。このホイールは2ヶ月くらい前から使っていたが100km以上走るのは今回が初めてだった。
当日は生憎の雨予報。なんとか午前中までは雨が降りそうにないとのことだったが、結局11時頃から降り始め、土砂降りになった。初めてサイクリングイベントに参加という方が多いので、前日のステージトークショーでも、キャリパーブレーキやカーボンホイールは雨でブレーキが効かなくなる事や、寒くてブレーキレバーを引けなくなる事、寒さ対策について話をさせていただいたが、その通りになってしまった。
ただ、COSMIC PRO CARBON UST DISCは問題なくコントロールしてくれた。なんだか参加者に申し訳ないくらいに。レーシング向けのSLグレードもラインアップされているが、今回私が履いていたのはNon SLタイプ。ガツっと踏んですぐに進むような硬さはなく、ペダルを綺麗に回し続けるロングライドに最適だ。
私はKSYRIUM PRO CARBON SL UST DISCも使っているが、SLグレードの方が剛性が高く加速性に優れているためレーシングに使うならこちらをオススメしたい。COSMICもKSYRIUMも、ディスクブレーキモデルとリムブレーキモデルは別物と思っていいほど乗り味が異なる。しかしいずれも乗り心地の素晴らしいUSTならでは恩恵を感じられる。そんなマヴィックのUSTホイールで新緑のロングライドに出かけてみてはいかがでしょうか?
スマートコーチング フェイスブック
青山剛(TeamAOYAMAヘッドコーチ)コメント
私はちょうど20年前からマヴィックホイールを使用し続けています。自分のトライアスロン出場時、トレーニング時、日頃の自転車指導時などでこれまで様々な種類のホイールを使用してきました。
さて今回のCOSMIC PRO CARBON UST DISCは1ヶ月程使用してみました。当初はディスクブレーキ、そしてディスクブレーキホイールにあまり乗り気ではなかったのですが、乗り込んでみてその良さが段々と染みてきた感じです。
まず、これまでのキャリパーブレーキ用のホイールに比べ、ブレーキ面の強度が必要なくなることでホイール外周が軽くなっており、これまでの同モデルホイールに比べ、明らかに「踏み出し」が軽く感じます。マヴィックの場合リムとディスクでハイトが異なるため厳密に比較できませんが、重量が抑えられたリムによって格段に走りが良くなりますね。高速巡行はもちろん、国内トライアスロンレースのようなコーナーや立ち上がりが多いクリテリウムコースでも、その踏み出しの軽さが有効になると思います。
また、私が使用しているNon SLタイプとともに剛性が高めなSLモデルもラインアップされています。こちらは剛性が高い分、バリバリのロードレース向きで、個人的にはNon SLモデルのほうがトライアスリートにはお勧めです。あまり剛性が高すぎる(=脚へのダメージも懸念される)と、自転車の後にランもあるので、その辺りを考慮して選ばれるといいと思います。
青山剛公式ホームページ
TeamAOYAMA公式ホームページ
マヴィック COSMIC PRO CARBON UST DISC
タイヤタイプ:ロードチューブレス
リム素材:3Kカーボンファイバー
リムプロファイル:高さ45mm、内幅19mm
スポーク:F24/R24 スチール
ハブ:インスタントドライブ360、シールドカートリッジベアリング
重量:1,650g(F760g、R890g)
付属タイヤ:マヴィック YKSION PRO UST 25mm
価格:240,000円(税抜)
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