2019/05/09(木) - 16:27
サイクリングシューズ専門メーカーのLAKE(レイク)では、上位モデルのカラーカスタムやオリジナルグラフィックでのシューズ制作を行っている。この企画では、ウェアとバイクを完璧にコーディネートしたいと願うこだわり派サイクリストにおすすめのカラーカスタムプログラムを、ライター浅野真則が実際に体験してレポートする。後編はこちら。
自分は無類の青好きである。プライベートでは乗りたいバイクに青色のフレームがなければ新品でも塗装するほどで、ウェアもシューズも青いものを選ぶ。そんな僕がレイクシューズに興味を持ったのは、サイクリングシューズのカラーカスタムができるからだった。「キレイな青いシューズがほしい」。
きっかけはあくまでミーハーだったが、レイクのシューズのことをいろいろ調べていくうちに、サイクリングシューズ本来の性能が素晴らしいことにも感動した。そのこともレイクでカスタムシューズを作ろうと決意することを後押しした。まずはレイクというブランドについて、歴史と製品の特徴を紹介しよう。
レイクは1982年にアメリカで創業したサイクリングシューズ専門メーカー。発泡ウレタンインソールやマウンテンバイク専用シューズ、トライアスロン専用シューズ、量産シューズ初のカーボンアウトソール、サイクリング用ウインターブーツ、女性専用シューズ、熱成形カーボンヒールシステムなど、業界初の製品やテクノロジーを次々と開発した革新的なブランドだ。日本での知名度はそれほど高くないかもしれないが、欧米では非常に高い評価を受けている。
創業以来サイクリングシューズだけを作り続けているのもレイクの特徴だ。革新的な技術をいくつも生み出してきたブランドではあるが、サイクリングシューズで最も重視するのはフィット感だという。ペダリング時の足の動きや力が入るポイント、痛みが発生しやすい場所などを研究し続けてきた結果、他社のハイエンドシューズのように足をガチガチに固めるのではなく、ペダリングで踏力を伝達するのに重要な土踏まずからかかとのホールド感を重視し、アッパーはしなやかにフィットさせるというのが基本設計だ。
そこで、上位モデルを中心に、アッパーにはしなやかで足になじみやすく、履き込むうちに最適なフィットが得られる本革を使用。クロージャーを締めたときに足を包むように均一に締まるため、強く締め込まなくても良好なフィット感が得られるようになっている。
さらにつま先の芯材には熱可塑性素材、上位グレードのCX402と332シリーズにはそれに加えて熱整形式カーボンヒールカウンターも採用。オーブンで熱を加え柔らかくして成形した後に、冷やし固めることでさらにフィット感を向上させることもできる。
シューズのラスト(足型)もレース、コンペティション、スポーツなど用途別のほか、ワイドサイズや女性仕様なども展開。優れたパワー伝達性能と極上の履き心地を多くのサイクリストにもたらす。
最高の一足を“自分だけの一足”にするカスタムカラープログラム
履き心地やフィット感といったシューズ本来の性能というベースの上に、カスタムカラープログラムで自分だけのオリジナルシューズを作れるという付加価値があるのがレイクの魅力だ。「カスタムカラープログラム」について見ていこう。
レイクのカスタムカラープログラムは大きく分けて2つ。カラーセレクトプログラム(CSP)とオリジナルグラフィックプログラム(OGP)だ。対象モデルはいずれもCX402と332シリーズ(CX332、MX332、MX332スーパークロス)だ。
カラーセレクトプログラムは、アッパーを構成する革の各パネル、メッシュ部分(CX402のみ)、ソールのパッドごとにあらかじめ用意された色から好みの色を選んで組み合わせるもの。アッパーについては各パネルの色と組み合わせを変更でき、レイクロゴやモデル名のロゴの色も変えられるお手軽なカスタムだ。とはいえ、アッパーの革パネルは22色、メッシュは3色、ソールのパッドは8色から選べ、左右非対称のカラーのシューズも作れるので制作の自由度は高い。
オリジナルグラフィックプログラムは、イラストレーターで作成したデザインデータをシルクスクリーンでシューズにプリントするという、より高度なカスタマイズが可能なコース。使用できる色に制限はなく、世界的に使われているカラーチャート・パントーンのカラーコードで色を指定する。たとえばチームジャージの色やデザインに合わせてシューズを作る場合や、シューズにチームロゴを入れる場合は、こちらのシステムを選ぶことになる。
ちなみに、平昌五輪のスピードスケート女子500m金メダリストの小平奈緒選手は、バイクトレーニング用にレイクシューズを使い始めるという。オリジナルグラフィックプログラムで、彼女のトレードマークである四つ葉のクローバーのイラストをあしらったカスタムシューズを作る予定だそうだ。
カラーセレクトプログラムとオリジナルグラフィックプログラムには、色を選べる以外にもメリットがある。それはサイズについても左右別サイズを注文できることだ。左右で足の大きさが微妙に違うという人は、自分にピッタリのシューズを作れる上にカラーカスタムも楽しめるといいことずくめだ。
それでは実際にカラーセレクトプログラムで注文する流れを体験レポートしよう。
レイクのカラーカスタムプログラムは、あらかじめ用意された色から選んで色だけを変更する「セレクトカラープログラム」と、グラフィックも含めて完全オリジナルデザインのシューズを作れる「オリジナルグラフィックプログラム」という2つのプログラムがある。いずれのプログラムを選ぶにしても、まずは足の採寸を行い、試着用のサンプルを試してから発注するという流れになっている。紙とペンを用意し、まずは両足のサイズを採寸する。
足の採寸は、自転車用ソックスを履いてイスに座った状態で足の下に紙を敷き、足に少しだけ体重を乗せながらペンで足の輪郭をなぞり、つま先先端とかかとの距離、母指球と小指球の距離をそれぞれミリ単位で計測すればOK。これを左右両足行う。足の採寸時に足に体重をかけながら行うのは、ペダルを踏み込んだときの足が広がった状態を再現するためで、この状態でつま先がシューズ先端にギリギリ当たらないサイズがジャストサイズとなる。
こうして計測した両足のサイズをレイクシューズの日本代理店・キルシュベルクのWEBに掲載されているサイズチャートに当てはめると、左右それぞれのシューズのサイズが決まる。
レイクシューズは、足の長さと幅で最適なサイズを選ぶ。▼つま先先端(点1)とかかと(点2)の距離、▼母指球(点3)と小指球(点4)の距離をそれぞれミリ単位で計測し、サイズチャートに当てはめる。
ベースモデルを選び、いよいよデザイン決定
続いて試着用サンプルを送ってもらうための手続きを行うが、その前にベースとなるシューズを選ぶ必要がある。カラーカスタムに対応するのはCX402と332シリーズ(CX332、MX332、MX332スーパークロス)なので、このいずれかが候補になる。
CX402は、熱成形可能なヒールカップ一体型の中空2層構造のフルカーボンアウトソールを採用したレイクロードシューズのハイエンドモデル。ソールはレイクのラインアップの中で最も剛性が高く、アッパーには足にしなやかにフィットするカンガルー革を採用。最高のフィット感を得られるシューズだ。
ロードシューズCX332は、中空2層構造のフルカーボンアウトソールを採用し、アッパーにはカンガルー革を採用した上位モデル。優れた履き心地を実現しつつ、CX402よりも軽量に仕上がっている。自分はヒルクライムにも出ることもあり、シューズは軽いものが好みなので、ベースモデルにはCX332を選ぶことにした。
ベースモデルが決まったら、いよいよデザイン決めだ。ここで色指定だけを行うカラーセレクトプログラムか完全オリジナルデザインのオリジナルグラフィックプログラムのいずれを選ぶかも決める。
基本的な流れは、まずキルシュベルク・オンラインストアからPDFテンプレートをダウンロードする。カラーセレクトプログラムの場合は、イラストレーターで各部に色を入れたデータを作るか、プリントアウトしたものに各部のカラー名を記入する。オリジナルグラフィックプログラムの場合は完成イメージをイラストレーターで作成する。これが注文時の色・デザイン指定となる。
ちなみに僕は今回、カラーセレクトプログラムで色のカスタムだけを行うことにした。イメージは愛車や練習用ジャージにマッチするブルーをベースに、所属チームジャージのスカイブルーを差し色にするというものだ。
上が実際にライター浅野が作成したCX332カラーセレクトプログラムの色指定。レイクサイクリング社のWEBページのウィザードを利用した。このデザインで注文したので、およそ3カ月後にこれと同じデザインのシューズが納品されるはずだ。
色指定のデータを作るに当たっては、レイクサイクリング社のカラーカスタムのウィザードを利用した。レイクサイクリング社WEBサイトから「COLLECTION」「CUSTOM」の順に選択。「GET STARTED HERE」をクリックするとウィザードが始まる。指示に従って革の各パネルやロゴ、ソールの色を決めていくと、イメージ画像が出来上がる。その画面をキャプチャーすれば、イラストレーターがなくても簡単かつ確実に色指定が可能だ。
カスタムシューズづくりで何が一番楽しいかというと、この色を決める作業だと思う。僕は最初に作ったものも含め、結局4つもデザインを作ってしまい、最終的に1つに絞るのにやや苦労した。
制作にあたり、インスピレーションを刺激するようなお手本がほしいという人もいらっしゃるだろう。そんなときはキルシュベルク・オンラインストアのギャラリーやインスタグラムの#lakecustomで過去のカスタム例を参考にするのもいい。掲載されているオリジナルグラフィックプログラムで作られたシューズの色違いを作りたい——というオーダーももちろんOKだ。その場合は、製版代が不要なので、シューズ代とカスタムカラーのアップチャージだけでオリジナルグラフィックのシューズを作ることができる。つまりカラーセレクトプログラムと同額でオリジナルグラフィックプログラムが利用できるわけだ。
カラーセレクトプログラムの製作例
同じモデルでも、色を変えるだけでもがらりと印象が変わる。
オリジナルグラフィックプログラムの製作例
かなり凝ったデザインも自由自在。これらの色違いを作る場合は、カラーセレクトプログラムと同額で作ることも可能だ(一部例外あり)。
サンプルシューズを試着し、最終オーダーへ
両足の採寸データ、カスタムシューズの色指定ができたら、今使っているシューズのメーカーとモデル名、サイズ、フィット感についての説明(長さはジャストだが幅がややきつい、など)とともに、キルシュベルクにメールまたは郵送で発送し、キルシュベルク・オンラインストアでサンプルシューズ貸し出しの注文をしよう。数日で複数のサンプルシューズが指定の住所に届くはずだ。
シューズは表記上のサイズは同じでもブランドによって足型も違うため、合うか合わないかは実際に試着しないと分からないものだ。レイクの試着サービスでは実際のシューズを試着できるので、「シューズが出来上がったがサイズが微妙に合わない」なんてことにならないのは素晴らしい。ただし、サンプルシューズは走行用ではないため、実際に走って試すことは控えよう。僕は長さ2種類と幅2種類の4種類を試させていただいた。
試着時のポイントは、自転車に乗るときと同様にクロージャーを締め、大まかに全体にフィットしていることを確認すること。さらに足に少し体重をかけた状態でつま先がギリギリ当たらないことも確認しよう。その状態で部分的に痛い箇所(母指球のあたりが少しきつくて痛いなど)があっても、全体的にフィットしていればそのサイズが有力候補だという。
レイクシューズの日本代理店・キルシュベルクの中川悟志さんは次のように補足する。「本革のシューズはある程度伸縮性があって足になじむので、履いていくうちに違和感が消えるはず。それでも気になる場合はストレッチャーで伸ばしたり、つま先の場合はオーブンで熱を加えてドライバーで気になる箇所だけ押し出して成形することもできます」。
ちなみにCX402の場合は熱成形用のオーブンも一緒に送られてくるので、熱成形してフィット感をチェックすることもできる。
サンプルシューズの試着は自宅で好きなときにできるので、近くに取扱店がない場合やショップの営業日にお店に足を運べない場合には便利だ。しかし、レンタル料と送料は利用者の負担になる。少しでも料金を節約したいなら、全国のショップやレース・イベント会場のレイクブースで行われる試着イベントを利用するのも賢い方法だ。
キルシュベルクのFacebookページでは、試着会のスケジュールも発信されているので、こまめにチェックし、近くで試着会が行われているときに足を運んでみよう。もし購入したシューズの微調整をお願いしたい場合も、試着イベントの会場で可能な限り対応してくださるそうだ。
試着して自分のサイズが決まったらシューズを返送し、サイズをキルシュベルクに連絡しよう。連絡したサイズとカラーで工場に発注され、3カ月ほどでシューズが納品される。
僕もシューズを年明けに注文した。シーズン序盤には新しいシューズが届くはずだ。今から完成が楽しみでならない。次回は「完成編」をお届けします。
レイクシューズ カスタムカラープログラム
●カラーセレクトプログラム(CSP)
対象モデル:CX402、332シリーズ
料金:シューズ代金+カスタムカラーアップチャージ10,000円
(CX402の場合70,000円、332シリーズの場合60,000円)
納期:3〜4カ月
●オリジナルグラフィックプログラム(OGP)
対象モデル:CX402、332シリーズ
料金:シューズ代金+製版代12,000円+カスタムカラーアップチャージ10,000円
(CX402の場合82,000円、332シリーズの場合72,000円)
※既存のデザインで作成する場合(新規デザインの2足目以降も含む)は製版代無料
(CX402の場合70,000円、332シリーズの場合60,000円)
納期:3〜4カ月
photo&text:Masanori ASANO
体験ライターのプロフィール
浅野真則(あさのまさのり)
各種自転車WEBメディアや自転車専門誌で執筆活動を行いながら、実業団登録選手としても活動する業界屈指の実走派自転車ライター。強豪ロードチーム「VC VELOCE」に所属し本業の合間を縫ってJBCFレースやホビーレースにも参戦。2015年にはイタリアのグランフォンド「ラ・カンピオニッシモ」の最長コースを完走した。「青好き」を公言し、ブルーにペイントしたロードバイクを駆り、アパレルなどもブルーで揃えるなどしてサイクルライフを楽しんでいる。
ライターアサノFacebook
自分は無類の青好きである。プライベートでは乗りたいバイクに青色のフレームがなければ新品でも塗装するほどで、ウェアもシューズも青いものを選ぶ。そんな僕がレイクシューズに興味を持ったのは、サイクリングシューズのカラーカスタムができるからだった。「キレイな青いシューズがほしい」。
きっかけはあくまでミーハーだったが、レイクのシューズのことをいろいろ調べていくうちに、サイクリングシューズ本来の性能が素晴らしいことにも感動した。そのこともレイクでカスタムシューズを作ろうと決意することを後押しした。まずはレイクというブランドについて、歴史と製品の特徴を紹介しよう。
レイクは1982年にアメリカで創業したサイクリングシューズ専門メーカー。発泡ウレタンインソールやマウンテンバイク専用シューズ、トライアスロン専用シューズ、量産シューズ初のカーボンアウトソール、サイクリング用ウインターブーツ、女性専用シューズ、熱成形カーボンヒールシステムなど、業界初の製品やテクノロジーを次々と開発した革新的なブランドだ。日本での知名度はそれほど高くないかもしれないが、欧米では非常に高い評価を受けている。
創業以来サイクリングシューズだけを作り続けているのもレイクの特徴だ。革新的な技術をいくつも生み出してきたブランドではあるが、サイクリングシューズで最も重視するのはフィット感だという。ペダリング時の足の動きや力が入るポイント、痛みが発生しやすい場所などを研究し続けてきた結果、他社のハイエンドシューズのように足をガチガチに固めるのではなく、ペダリングで踏力を伝達するのに重要な土踏まずからかかとのホールド感を重視し、アッパーはしなやかにフィットさせるというのが基本設計だ。
そこで、上位モデルを中心に、アッパーにはしなやかで足になじみやすく、履き込むうちに最適なフィットが得られる本革を使用。クロージャーを締めたときに足を包むように均一に締まるため、強く締め込まなくても良好なフィット感が得られるようになっている。
さらにつま先の芯材には熱可塑性素材、上位グレードのCX402と332シリーズにはそれに加えて熱整形式カーボンヒールカウンターも採用。オーブンで熱を加え柔らかくして成形した後に、冷やし固めることでさらにフィット感を向上させることもできる。
シューズのラスト(足型)もレース、コンペティション、スポーツなど用途別のほか、ワイドサイズや女性仕様なども展開。優れたパワー伝達性能と極上の履き心地を多くのサイクリストにもたらす。
最高の一足を“自分だけの一足”にするカスタムカラープログラム
履き心地やフィット感といったシューズ本来の性能というベースの上に、カスタムカラープログラムで自分だけのオリジナルシューズを作れるという付加価値があるのがレイクの魅力だ。「カスタムカラープログラム」について見ていこう。
レイクのカスタムカラープログラムは大きく分けて2つ。カラーセレクトプログラム(CSP)とオリジナルグラフィックプログラム(OGP)だ。対象モデルはいずれもCX402と332シリーズ(CX332、MX332、MX332スーパークロス)だ。
カラーセレクトプログラムは、アッパーを構成する革の各パネル、メッシュ部分(CX402のみ)、ソールのパッドごとにあらかじめ用意された色から好みの色を選んで組み合わせるもの。アッパーについては各パネルの色と組み合わせを変更でき、レイクロゴやモデル名のロゴの色も変えられるお手軽なカスタムだ。とはいえ、アッパーの革パネルは22色、メッシュは3色、ソールのパッドは8色から選べ、左右非対称のカラーのシューズも作れるので制作の自由度は高い。
オリジナルグラフィックプログラムは、イラストレーターで作成したデザインデータをシルクスクリーンでシューズにプリントするという、より高度なカスタマイズが可能なコース。使用できる色に制限はなく、世界的に使われているカラーチャート・パントーンのカラーコードで色を指定する。たとえばチームジャージの色やデザインに合わせてシューズを作る場合や、シューズにチームロゴを入れる場合は、こちらのシステムを選ぶことになる。
ちなみに、平昌五輪のスピードスケート女子500m金メダリストの小平奈緒選手は、バイクトレーニング用にレイクシューズを使い始めるという。オリジナルグラフィックプログラムで、彼女のトレードマークである四つ葉のクローバーのイラストをあしらったカスタムシューズを作る予定だそうだ。
カラーセレクトプログラムとオリジナルグラフィックプログラムには、色を選べる以外にもメリットがある。それはサイズについても左右別サイズを注文できることだ。左右で足の大きさが微妙に違うという人は、自分にピッタリのシューズを作れる上にカラーカスタムも楽しめるといいことずくめだ。
それでは実際にカラーセレクトプログラムで注文する流れを体験レポートしよう。
レイクのカラーカスタムプログラムは、あらかじめ用意された色から選んで色だけを変更する「セレクトカラープログラム」と、グラフィックも含めて完全オリジナルデザインのシューズを作れる「オリジナルグラフィックプログラム」という2つのプログラムがある。いずれのプログラムを選ぶにしても、まずは足の採寸を行い、試着用のサンプルを試してから発注するという流れになっている。紙とペンを用意し、まずは両足のサイズを採寸する。
足の採寸は、自転車用ソックスを履いてイスに座った状態で足の下に紙を敷き、足に少しだけ体重を乗せながらペンで足の輪郭をなぞり、つま先先端とかかとの距離、母指球と小指球の距離をそれぞれミリ単位で計測すればOK。これを左右両足行う。足の採寸時に足に体重をかけながら行うのは、ペダルを踏み込んだときの足が広がった状態を再現するためで、この状態でつま先がシューズ先端にギリギリ当たらないサイズがジャストサイズとなる。
こうして計測した両足のサイズをレイクシューズの日本代理店・キルシュベルクのWEBに掲載されているサイズチャートに当てはめると、左右それぞれのシューズのサイズが決まる。
レイクシューズは、足の長さと幅で最適なサイズを選ぶ。▼つま先先端(点1)とかかと(点2)の距離、▼母指球(点3)と小指球(点4)の距離をそれぞれミリ単位で計測し、サイズチャートに当てはめる。
ベースモデルを選び、いよいよデザイン決定
続いて試着用サンプルを送ってもらうための手続きを行うが、その前にベースとなるシューズを選ぶ必要がある。カラーカスタムに対応するのはCX402と332シリーズ(CX332、MX332、MX332スーパークロス)なので、このいずれかが候補になる。
CX402は、熱成形可能なヒールカップ一体型の中空2層構造のフルカーボンアウトソールを採用したレイクロードシューズのハイエンドモデル。ソールはレイクのラインアップの中で最も剛性が高く、アッパーには足にしなやかにフィットするカンガルー革を採用。最高のフィット感を得られるシューズだ。
ロードシューズCX332は、中空2層構造のフルカーボンアウトソールを採用し、アッパーにはカンガルー革を採用した上位モデル。優れた履き心地を実現しつつ、CX402よりも軽量に仕上がっている。自分はヒルクライムにも出ることもあり、シューズは軽いものが好みなので、ベースモデルにはCX332を選ぶことにした。
ベースモデルが決まったら、いよいよデザイン決めだ。ここで色指定だけを行うカラーセレクトプログラムか完全オリジナルデザインのオリジナルグラフィックプログラムのいずれを選ぶかも決める。
基本的な流れは、まずキルシュベルク・オンラインストアからPDFテンプレートをダウンロードする。カラーセレクトプログラムの場合は、イラストレーターで各部に色を入れたデータを作るか、プリントアウトしたものに各部のカラー名を記入する。オリジナルグラフィックプログラムの場合は完成イメージをイラストレーターで作成する。これが注文時の色・デザイン指定となる。
ちなみに僕は今回、カラーセレクトプログラムで色のカスタムだけを行うことにした。イメージは愛車や練習用ジャージにマッチするブルーをベースに、所属チームジャージのスカイブルーを差し色にするというものだ。
上が実際にライター浅野が作成したCX332カラーセレクトプログラムの色指定。レイクサイクリング社のWEBページのウィザードを利用した。このデザインで注文したので、およそ3カ月後にこれと同じデザインのシューズが納品されるはずだ。
色指定のデータを作るに当たっては、レイクサイクリング社のカラーカスタムのウィザードを利用した。レイクサイクリング社WEBサイトから「COLLECTION」「CUSTOM」の順に選択。「GET STARTED HERE」をクリックするとウィザードが始まる。指示に従って革の各パネルやロゴ、ソールの色を決めていくと、イメージ画像が出来上がる。その画面をキャプチャーすれば、イラストレーターがなくても簡単かつ確実に色指定が可能だ。
カスタムシューズづくりで何が一番楽しいかというと、この色を決める作業だと思う。僕は最初に作ったものも含め、結局4つもデザインを作ってしまい、最終的に1つに絞るのにやや苦労した。
制作にあたり、インスピレーションを刺激するようなお手本がほしいという人もいらっしゃるだろう。そんなときはキルシュベルク・オンラインストアのギャラリーやインスタグラムの#lakecustomで過去のカスタム例を参考にするのもいい。掲載されているオリジナルグラフィックプログラムで作られたシューズの色違いを作りたい——というオーダーももちろんOKだ。その場合は、製版代が不要なので、シューズ代とカスタムカラーのアップチャージだけでオリジナルグラフィックのシューズを作ることができる。つまりカラーセレクトプログラムと同額でオリジナルグラフィックプログラムが利用できるわけだ。
カラーセレクトプログラムの製作例
同じモデルでも、色を変えるだけでもがらりと印象が変わる。
オリジナルグラフィックプログラムの製作例
かなり凝ったデザインも自由自在。これらの色違いを作る場合は、カラーセレクトプログラムと同額で作ることも可能だ(一部例外あり)。
サンプルシューズを試着し、最終オーダーへ
両足の採寸データ、カスタムシューズの色指定ができたら、今使っているシューズのメーカーとモデル名、サイズ、フィット感についての説明(長さはジャストだが幅がややきつい、など)とともに、キルシュベルクにメールまたは郵送で発送し、キルシュベルク・オンラインストアでサンプルシューズ貸し出しの注文をしよう。数日で複数のサンプルシューズが指定の住所に届くはずだ。
シューズは表記上のサイズは同じでもブランドによって足型も違うため、合うか合わないかは実際に試着しないと分からないものだ。レイクの試着サービスでは実際のシューズを試着できるので、「シューズが出来上がったがサイズが微妙に合わない」なんてことにならないのは素晴らしい。ただし、サンプルシューズは走行用ではないため、実際に走って試すことは控えよう。僕は長さ2種類と幅2種類の4種類を試させていただいた。
試着時のポイントは、自転車に乗るときと同様にクロージャーを締め、大まかに全体にフィットしていることを確認すること。さらに足に少し体重をかけた状態でつま先がギリギリ当たらないことも確認しよう。その状態で部分的に痛い箇所(母指球のあたりが少しきつくて痛いなど)があっても、全体的にフィットしていればそのサイズが有力候補だという。
レイクシューズの日本代理店・キルシュベルクの中川悟志さんは次のように補足する。「本革のシューズはある程度伸縮性があって足になじむので、履いていくうちに違和感が消えるはず。それでも気になる場合はストレッチャーで伸ばしたり、つま先の場合はオーブンで熱を加えてドライバーで気になる箇所だけ押し出して成形することもできます」。
ちなみにCX402の場合は熱成形用のオーブンも一緒に送られてくるので、熱成形してフィット感をチェックすることもできる。
サンプルシューズの試着は自宅で好きなときにできるので、近くに取扱店がない場合やショップの営業日にお店に足を運べない場合には便利だ。しかし、レンタル料と送料は利用者の負担になる。少しでも料金を節約したいなら、全国のショップやレース・イベント会場のレイクブースで行われる試着イベントを利用するのも賢い方法だ。
キルシュベルクのFacebookページでは、試着会のスケジュールも発信されているので、こまめにチェックし、近くで試着会が行われているときに足を運んでみよう。もし購入したシューズの微調整をお願いしたい場合も、試着イベントの会場で可能な限り対応してくださるそうだ。
試着して自分のサイズが決まったらシューズを返送し、サイズをキルシュベルクに連絡しよう。連絡したサイズとカラーで工場に発注され、3カ月ほどでシューズが納品される。
僕もシューズを年明けに注文した。シーズン序盤には新しいシューズが届くはずだ。今から完成が楽しみでならない。次回は「完成編」をお届けします。
レイクシューズ カスタムカラープログラム
●カラーセレクトプログラム(CSP)
対象モデル:CX402、332シリーズ
料金:シューズ代金+カスタムカラーアップチャージ10,000円
(CX402の場合70,000円、332シリーズの場合60,000円)
納期:3〜4カ月
●オリジナルグラフィックプログラム(OGP)
対象モデル:CX402、332シリーズ
料金:シューズ代金+製版代12,000円+カスタムカラーアップチャージ10,000円
(CX402の場合82,000円、332シリーズの場合72,000円)
※既存のデザインで作成する場合(新規デザインの2足目以降も含む)は製版代無料
(CX402の場合70,000円、332シリーズの場合60,000円)
納期:3〜4カ月
photo&text:Masanori ASANO
体験ライターのプロフィール
浅野真則(あさのまさのり)
各種自転車WEBメディアや自転車専門誌で執筆活動を行いながら、実業団登録選手としても活動する業界屈指の実走派自転車ライター。強豪ロードチーム「VC VELOCE」に所属し本業の合間を縫ってJBCFレースやホビーレースにも参戦。2015年にはイタリアのグランフォンド「ラ・カンピオニッシモ」の最長コースを完走した。「青好き」を公言し、ブルーにペイントしたロードバイクを駆り、アパレルなどもブルーで揃えるなどしてサイクルライフを楽しんでいる。
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