2019/03/16(土) - 05:24
風が吹き、落車が多発し、登りが連続したパリ〜ニース第6ステージ。プロヴァンスの丘で41名に絞られた小集団スプリントで、「ただ身を任せていれば勝てるような調子の良さ」と語るサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)がステージ2勝目を飾った。
晴れ時々曇り、風の強い1日 photo:CorVos
パリ〜ニース2019第6ステージ photo:A.S.O.ペニエからブリニョールまで、南仏プロヴァンスの丘を駆け抜ける176.5kmのパリ〜ニース第6ステージ。獲得標高差2,100mのアップダウンコースには、終盤にかけて2級、3級、2級というカテゴリー山岳が設定されている。いずれも急勾配ではないが、北西から吹く風速38〜48km/h(10〜13m/s)の強風がレースの難易度を上げた。
レース序盤から逃げたのはアレックス・キルシュ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)、ローラン・ピション(フランス、アルケア・サムシック)、マウロ・フィネット(イタリア、デルコ・マルセイユプロヴァンス)の3名。ファーストアタックを仕掛けたリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)は、一旦は逃げに乗りながらも、総合で危険な存在(総合19位/2分15秒遅れ)であるとして集団に戻っている。
3分後方のメイン集団内では落車が頻発し、さらに追い風によってエシュロンを形成して分裂するシーンも。この日はファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)やディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)、ローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーションファースト)ら合計7名がレースを去る結果になっている。
フィニッシュまで48kmを残して早くも逃げを飲み込んだメイン集団は、ピュアスプリンターにとってハードな展開に持ち込みたいバーレーン・メリダとドゥクーニンク・クイックステップ、チームスカイがペースを上げる。連続するカテゴリー山岳で人数を減らしながら残り30km地点の第1中間スプリントに差し掛かると、ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ)に引き連れられる形でルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)がアタック。総合3位のサンチェスはここで貴重なボーナスタイム3秒獲得に成功した。
プロヴァンスに広がるワイン畑を走る photo:CorVos
逃げグループを形成するマウロ・フィネット(イタリア、デルコ・マルセイユプロヴァンス)ら photo:CorVos
横風区間で飛び出したミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)ら photo:CorVos
前日のステージ優勝者サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が翌日の山岳ステージに向けて脚を溜める中、ミッチェルトン・スコットがペースアップに合流。相次ぐ落車の影響でメイン集団がさらに絞り込まれていく。
残り4km地点の第2中間スプリントが近づくと再びイサギレとサンチェスがボーナスタイム獲得のために動いたが、今度はリーダージャージのミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がぴったりとマーク。先着したクウィアトコウスキーがボーナスタイム3秒を奪い返すことに成功している。
後方ではカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)やタオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)、クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)を含む落車が発生。ステージ優勝候補の一角であるユアンはここで脱落してしまう。集団先頭では、メンバー5名を揃えるグルパマFDJが先頭でリードアウトトレインを走らせた。
ライバルチームに主導権を譲らず、最終牽引役ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)が完璧な形でデマールを発射。第1ステージ7位、第2ステージ8位、第3ステージ8位と、今大会まだ勝利を飾っていないデマールが残り150mから加速して勝ちパターンに持ち込んだが、その後ろからマッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)とサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が追い上げる。
フィニッシュライン手前でデマールの先行は終わり、差し切ったベネットが激しく右手を振り上げた。
スプリントで競り合うサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)やアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) photo:CorVos
接戦スプリントを制したサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
「自信があると、全てが流れるように進む。全てがスムーズに流れているように感じるんだ。がむしゃらに勝利に向かって突き進まなくても、ただ身を任せていれば勝てるような。それほど調子が良くて、正しいポジションにつけていれば勝てるという自信があった」。今シーズン4勝目を飾ったアイルランド生まれのスプリンターは波に乗る。
第3ステージに続く勝利でポイント賞トップに立ったベネット。「自分にできることは、チームメイトを信頼してついていくこと。終盤は登りが連続してハードな展開だったけど、チームは完璧な走りでポジションを守ってくれた。次なる目標であるミラノ〜サンレモに向けて仕上がっている」。ベネットは過去に3回ミラノ〜サンレモに出場し、2017年の66位が最高位。ティレーノ〜アドリアティコ出場中のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)とダブルエース体制で『ラ・プリマヴェーラ』に挑むことになりそうだ。
ボーナスタイム3秒を獲得したクウィアトコウスキーが総合首位を堅守。2つの中間スプリントで合計5秒を獲得したサンチェスとの総合タイム差は22秒に縮まったが、依然としてチームスカイが総合ワンツー体制を保ったまま。翌日は1級山岳テュリニ峠(全長14.9km/平均勾配7.3%)にフィニッシュするクイーンステージが待っている。
ポイント賞トップに立ったサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
総合首位を守ったミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:CorVos
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レース序盤から逃げたのはアレックス・キルシュ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)、ローラン・ピション(フランス、アルケア・サムシック)、マウロ・フィネット(イタリア、デルコ・マルセイユプロヴァンス)の3名。ファーストアタックを仕掛けたリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)は、一旦は逃げに乗りながらも、総合で危険な存在(総合19位/2分15秒遅れ)であるとして集団に戻っている。
3分後方のメイン集団内では落車が頻発し、さらに追い風によってエシュロンを形成して分裂するシーンも。この日はファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)やディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)、ローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーションファースト)ら合計7名がレースを去る結果になっている。
フィニッシュまで48kmを残して早くも逃げを飲み込んだメイン集団は、ピュアスプリンターにとってハードな展開に持ち込みたいバーレーン・メリダとドゥクーニンク・クイックステップ、チームスカイがペースを上げる。連続するカテゴリー山岳で人数を減らしながら残り30km地点の第1中間スプリントに差し掛かると、ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ)に引き連れられる形でルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)がアタック。総合3位のサンチェスはここで貴重なボーナスタイム3秒獲得に成功した。
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前日のステージ優勝者サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が翌日の山岳ステージに向けて脚を溜める中、ミッチェルトン・スコットがペースアップに合流。相次ぐ落車の影響でメイン集団がさらに絞り込まれていく。
残り4km地点の第2中間スプリントが近づくと再びイサギレとサンチェスがボーナスタイム獲得のために動いたが、今度はリーダージャージのミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がぴったりとマーク。先着したクウィアトコウスキーがボーナスタイム3秒を奪い返すことに成功している。
後方ではカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)やタオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)、クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)を含む落車が発生。ステージ優勝候補の一角であるユアンはここで脱落してしまう。集団先頭では、メンバー5名を揃えるグルパマFDJが先頭でリードアウトトレインを走らせた。
ライバルチームに主導権を譲らず、最終牽引役ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)が完璧な形でデマールを発射。第1ステージ7位、第2ステージ8位、第3ステージ8位と、今大会まだ勝利を飾っていないデマールが残り150mから加速して勝ちパターンに持ち込んだが、その後ろからマッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)とサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が追い上げる。
フィニッシュライン手前でデマールの先行は終わり、差し切ったベネットが激しく右手を振り上げた。
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「自信があると、全てが流れるように進む。全てがスムーズに流れているように感じるんだ。がむしゃらに勝利に向かって突き進まなくても、ただ身を任せていれば勝てるような。それほど調子が良くて、正しいポジションにつけていれば勝てるという自信があった」。今シーズン4勝目を飾ったアイルランド生まれのスプリンターは波に乗る。
第3ステージに続く勝利でポイント賞トップに立ったベネット。「自分にできることは、チームメイトを信頼してついていくこと。終盤は登りが連続してハードな展開だったけど、チームは完璧な走りでポジションを守ってくれた。次なる目標であるミラノ〜サンレモに向けて仕上がっている」。ベネットは過去に3回ミラノ〜サンレモに出場し、2017年の66位が最高位。ティレーノ〜アドリアティコ出場中のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)とダブルエース体制で『ラ・プリマヴェーラ』に挑むことになりそうだ。
ボーナスタイム3秒を獲得したクウィアトコウスキーが総合首位を堅守。2つの中間スプリントで合計5秒を獲得したサンチェスとの総合タイム差は22秒に縮まったが、依然としてチームスカイが総合ワンツー体制を保ったまま。翌日は1級山岳テュリニ峠(全長14.9km/平均勾配7.3%)にフィニッシュするクイーンステージが待っている。
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パリ〜ニース2019第6ステージ
1位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 4:12:35 |
2位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | |
3位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット) | |
4位 | ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード) | |
5位 | ブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト・B&Bホテルズ) | |
6位 | アントニー・テュルジス(フランス、ディレクトエネルジー) | |
7位 | フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
8位 | オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール) | |
9位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | |
10位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) |
個人総合成績
1位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 21:35:26 |
2位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 0:00:18 |
3位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | 0:00:22 |
4位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:00 |
5位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
6位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:01:04 |
7位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:08 |
8位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 0:01:17 |
9位 | ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ) | 0:01:21 |
10位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:01:24 |
ポイント賞
1位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 37pts |
2位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 33pts |
3位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 32pts |
山岳賞
1位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 29pts |
2位 | ダミアン・ゴダン(フランス、ディレクトエネルジー) | 21pts |
3位 | アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、CCCチーム) | 20pts |
ヤングライダー賞
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 21:35:54 |
2位 | ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ) | 0:02:08 |
3位 | イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:11:34 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 64:50:26 |
2位 | アージェードゥーゼール | 0:01:41 |
3位 | バーレーン・メリダ | 0:03:20 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos
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