2019/03/03(日) - 08:47
3月2日に開催されたUAEツアー最終ステージでサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)がスプリント勝利。プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が第1回大会の総合優勝のタイトルを手にした。
世界一の高さ(828m)を誇るブルジュハリファが佇む photo:RCS Sport
UAEツアー2019第7ステージ photo:RCS Sport
UAEツアー2019第7ステージ photo:RCS Sport
7日間にわたって開催されたUAEツアーを締めくくるのはドバイ首長国の首都ドバイを駆け抜ける平坦ステージ。町外れのドバイ動物園をスタートし、幹線道路や市街地を駆け抜けて世界一の高さを誇る高層ビル『ブルジュハリファ』近くにフィニッシュする。
標高差が400mほどしかないこのピュアスプリンター向きの145kmステージでファーストアタックを仕掛けたのはドミトリー・グルズジェフ(カザフスタン、アスタナ)。ここにブノワ・コズネフロワ(フランス、アージェードゥーゼール)とウィリアム・クラーク(オーストラリア、トレック・セガフレード)が合流して逃げグループが出来上がる。最大5分のリードを得たエスケープトリオをメイン集団が追いかける展開に。
ポイント賞ジャージを着るステパン・クリアノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)が2つある中間スプリントでリード拡大を狙ったものの、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が集団先頭(全体の4番手通過)を取ったためポイント差は縮小。最終的にヴィヴィアーニがポイント賞逆転を果たしている。
ドバイの海岸通を走るプロトン photo:RCS Sport
風によって砂埃が舞う photo:RCS Sport
この日もユンボ・ヴィズマが徹底的にプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)をプロテクト photo:RCS Sport
タイム差は残り50kmで2分30秒、残り30kmで2分15秒、残り20kmで1分45秒、そして残り10kmで52秒。スプリンターチームも先頭に上がってペースを上げるメイン集団は残り2.8km地点で逃げを飲み込んでしまう。メイン集団の残り10km地点からフィニッシュまでの平均スピードは58.0km/hに達している。
ロット・スーダルを主導権を握って残り1kmアーチを切り、そのままロジャー・クルーゲ(ドイツ)が残り400mで最終リードアウト役のアダム・ブライス(イギリス)にバトンをつなぐ。ブライスにリードアウトされたカレブ・ユアン(オーストラリア)がスプリント開始のタイミングを待つ中、その横からアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)が最速リードアウトを走らせた。
クリストフの後ろから残り100mでフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が発進。これにユアンとサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が対抗して先頭で競り合う。もっとも伸びやかなスプリントを見せたベネットがガビリアを追い抜いた。
ハンドルを投げ込むフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)とサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:RCS Sport
最終ステージの集団スプリントを制したサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:RCS Sport
「今日は最終コーナーまでにフェルナンド・ガビリアの番手まで連れていって欲しいとチームメイトにお願いしていた。多くのライバルたちが彼の番手を狙っていたけど、上手くポジションを守り抜いてスプリントへ。多くのチームが競り合う中で新しくリードアウトトレインを組むのではなく、こうして狙ったポジションをキープすることにチーム力を割くのが最善だと判断したんだ」。ライバルの動きを巧みに利用して勝利したベネットはそう語る。ラスト300mのデータを見ると、ベネットは19秒間にわたって平均850Wを出力し、最高スピードは66.9km/h、最大出力は1,380W。一方のガビリアは19秒間の平均出力が895Wで最大出力1,330Wだった。
ブエルタ・ア・サンフアンでステージ1勝を飾り、このUAEツアーでは第1ステージ9位、第2ステージ6位、第5ステージ4位という成績を残していた28歳のアイリッシュスプリンターが最終ステージ勝利。サガンやアッカーマン、ゼーリッヒとともにボーラ・ハンスグローエのスプリント部隊の一員であるベネットは「この勝利で、自分が世界最速スプリンターの一人であることを実感できたよ」とコメントしている。
「スキージャンパーだった自分がサイクリングを始めたのは2012年のこと。時間が早く簡単に過ぎていったとは思わないし、ここに至るまで厳しい道のりだった」。そう語るのは初日からリーダージャージを着続け、UAEツアーの初代チャンピオンに輝いたプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)。
「このUAEツアーは退屈で簡単なレースだと思っていたけど実際は全く違った。2つの山頂フィニッシュだけでなく、チームTTとハッタダムの急坂フィニッシュが総合争いを難しいものにした。砂漠の砂や風に包まれる日々が続いて、毎日全開走行だった。ビッグネームが勢ぞろいしたレースでの勝利は格別だ」。2018年ツール・ド・フランスで総合4位に入ったログリッチェは2019年にジロ・デ・イタリアでマリアローザを狙う予定だ。
最終ステージを制したサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:RCS Sport
総合2位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、総合1位プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)、総合3位ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) photo:RCS Sport
総合優勝を果たしたプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) photo:RCS Sport
ポイント賞を獲得したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:RCS Sport
ヤングライダー賞を獲得したダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) photo:RCS Sport
中間スプリント賞を獲得したステパン・クリアノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) photo:RCS Sport
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7日間にわたって開催されたUAEツアーを締めくくるのはドバイ首長国の首都ドバイを駆け抜ける平坦ステージ。町外れのドバイ動物園をスタートし、幹線道路や市街地を駆け抜けて世界一の高さを誇る高層ビル『ブルジュハリファ』近くにフィニッシュする。
標高差が400mほどしかないこのピュアスプリンター向きの145kmステージでファーストアタックを仕掛けたのはドミトリー・グルズジェフ(カザフスタン、アスタナ)。ここにブノワ・コズネフロワ(フランス、アージェードゥーゼール)とウィリアム・クラーク(オーストラリア、トレック・セガフレード)が合流して逃げグループが出来上がる。最大5分のリードを得たエスケープトリオをメイン集団が追いかける展開に。
ポイント賞ジャージを着るステパン・クリアノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)が2つある中間スプリントでリード拡大を狙ったものの、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が集団先頭(全体の4番手通過)を取ったためポイント差は縮小。最終的にヴィヴィアーニがポイント賞逆転を果たしている。
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タイム差は残り50kmで2分30秒、残り30kmで2分15秒、残り20kmで1分45秒、そして残り10kmで52秒。スプリンターチームも先頭に上がってペースを上げるメイン集団は残り2.8km地点で逃げを飲み込んでしまう。メイン集団の残り10km地点からフィニッシュまでの平均スピードは58.0km/hに達している。
ロット・スーダルを主導権を握って残り1kmアーチを切り、そのままロジャー・クルーゲ(ドイツ)が残り400mで最終リードアウト役のアダム・ブライス(イギリス)にバトンをつなぐ。ブライスにリードアウトされたカレブ・ユアン(オーストラリア)がスプリント開始のタイミングを待つ中、その横からアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)が最速リードアウトを走らせた。
クリストフの後ろから残り100mでフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が発進。これにユアンとサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が対抗して先頭で競り合う。もっとも伸びやかなスプリントを見せたベネットがガビリアを追い抜いた。
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「今日は最終コーナーまでにフェルナンド・ガビリアの番手まで連れていって欲しいとチームメイトにお願いしていた。多くのライバルたちが彼の番手を狙っていたけど、上手くポジションを守り抜いてスプリントへ。多くのチームが競り合う中で新しくリードアウトトレインを組むのではなく、こうして狙ったポジションをキープすることにチーム力を割くのが最善だと判断したんだ」。ライバルの動きを巧みに利用して勝利したベネットはそう語る。ラスト300mのデータを見ると、ベネットは19秒間にわたって平均850Wを出力し、最高スピードは66.9km/h、最大出力は1,380W。一方のガビリアは19秒間の平均出力が895Wで最大出力1,330Wだった。
ブエルタ・ア・サンフアンでステージ1勝を飾り、このUAEツアーでは第1ステージ9位、第2ステージ6位、第5ステージ4位という成績を残していた28歳のアイリッシュスプリンターが最終ステージ勝利。サガンやアッカーマン、ゼーリッヒとともにボーラ・ハンスグローエのスプリント部隊の一員であるベネットは「この勝利で、自分が世界最速スプリンターの一人であることを実感できたよ」とコメントしている。
「スキージャンパーだった自分がサイクリングを始めたのは2012年のこと。時間が早く簡単に過ぎていったとは思わないし、ここに至るまで厳しい道のりだった」。そう語るのは初日からリーダージャージを着続け、UAEツアーの初代チャンピオンに輝いたプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)。
「このUAEツアーは退屈で簡単なレースだと思っていたけど実際は全く違った。2つの山頂フィニッシュだけでなく、チームTTとハッタダムの急坂フィニッシュが総合争いを難しいものにした。砂漠の砂や風に包まれる日々が続いて、毎日全開走行だった。ビッグネームが勢ぞろいしたレースでの勝利は格別だ」。2018年ツール・ド・フランスで総合4位に入ったログリッチェは2019年にジロ・デ・イタリアでマリアローザを狙う予定だ。
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UAEツアー2019第7ステージ結果
1位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 3:17:51 |
2位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | |
3位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | |
4位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | |
5位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
6位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・メリダ) | |
7位 | マックス・ヴァルシャイド(ドイツ、サンウェブ) | |
8位 | ルカ・メズゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット) | |
9位 | マッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
10位 | クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームスカイ) |
個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 26:27:29 |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:00:31 |
3位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:44 |
4位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:56 |
5位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:04 |
6位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:08 |
7位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:01:11 |
8位 | ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01:29 |
9位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) | 0:01:45 |
10位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 0:01:49 |
ポイント賞
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 57pts |
2位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 52pts |
3位 | ステパン・クリアノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) | 52pts |
ヤングライダー賞
1位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 26:28:13 |
2位 | ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:45 |
3位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) | 0:01:01 |
中間スプリント賞
1位 | ステパン・クリアノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) | 52pts |
2位 | シャルル・プラネ(フランス、ノボノルディスク) | 43pts |
3位 | ウィリアム・クラーク(オーストラリア、トレック・セガフレード) | 16pts |
チーム総合成績
1位 | ボーラ・ハンスグローエ | 78:52:35 |
2位 | UAEチームエミレーツ | 0:00:35 |
3位 | アスタナ | 0:05:46 |
text:Kei Tsuji
photo:RCS Sport
photo:RCS Sport
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