2018/12/17(月) - 18:42
12月15日の土曜日、毎年恒例となったエキップアサダイヤーエンドパーティーが赤坂シュビアにて催され、この中でEQADS(エカーズ)の今季活動報告と、先日発表となった2019年体制が改めて案内された。パーティーの模様とともに、その内容をお伝えする。
パーティーの幕開けは、壇上に揃った選手とスタッフを前に、チームスポンサーを長年続ける渡辺クリニックの渡辺仁院長の音頭による乾杯。ここから歓談を挟んだ後、浅田顕監督がスクリーンにスライドを映し出し、今季実績を紹介するプレゼンテーションが始まった。
2018年のエカーズは、浅田監督からも「目に見える成長」と評された通り、数々のレースで選手が優勝、あるいは上位入賞を果たし、大きな成果を挙げた。その主な戦績を、浅田監督の人柄が垣間見えるジョークを写真で紹介しながら月別に追っていこう。
まず、レースシーズンのはじまりとなった2月のアジア選手権ロードレースで松田祥位がチームTT優勝。石上優大、渡邉は同大会のU23ロードで優勝した山本大喜のアシストとして貢献した。3月は仏のトロフェ・デ・バスティドで渡邉が2位、小笠原匠海が最優秀ジュニア賞を獲得。4月のツール・ド・オート=ビゴールでは松田が優勝。5月にはプロへの登竜門とされるロンド・リザール(UCI2.2U)で石上がスプリントに絡み9位入賞。
そして迎えた6月末の全日本選手権、U23で石上と松田がワンツー体制を築き、そのままフィニッシュ。U17は津田悠義が独走でチームTTとロードのダブルタイトルを獲得した。他、この間に行われた欧州のレースの多くで選手達がトップ10入りを果たしている。8月に入るとプリ・デ・フェット・デ・サン・シンフォリアンで小笠原と蠣崎優仁がワンツーフィニッシュ。小笠原は2日後のクレオン・ダルマニャックでも優勝し、2連勝を遂げている。
しかしながら最大の目標とされた2つのレースの1つ、8月のツール・ド・ラヴニールではエースとして臨んだ石上が鎖骨骨折によりリタイア。残った渡邉、松田も思うような成績を挙げられないまま閉幕。一方の9月の世界選手権ロードレースU23では同3名がDNFとなった。この結果を見て一部関係者の中からは「U23の選手育成など必要なのか?」と言った、俄には信じ難い意見も聞かれたと言う。
だが、それを除けば9月は松田がエリートレースのブエルタ・ア・カンタブリア第3ステージで優勝、国内へ戦いの舞台を移した10月のおおいたアーバンクラシック(UCI1.2)では石上と松田がエリートライダー達を退けワンツーフィニッシュ。ジャパンカップでも石上が17位とUCIポイント圏内でゴールしている。U17〜ジュニアで走った津田悠義も、11月のツール・ド・おきなわで骨折の回復途上ながらジュニア部門で優勝を遂げており、浅田監督が取り組んでいる若手選手の強化育成が実を結びつつあることも事実だ。
数字にも目をやると、2018年にエカーズの選手たちが積み重ねた主な勝利は14勝、UCIアジアツアーのポイントは261.67ポイント。後者はあくまでも所属選手個別のポイントを累計したヴァーチャルなものだが、これはランキング首位のキナンサイクリングチーム(976P)、2位のチーム右京(902.67P)に次ぐ第3位の成績となる。こういった実際の数字からも選手たちの成長を見てとれる事が、2018年のエカーズの成果と言って良いだろう。
2019年所属選手は、湯浅と平井が加入し計9名
パーティーでは、12月3日に発表となった2019年のチーム体制も改めて案内された。正所属は松田祥位、蠣崎優仁、宇賀隆貴、小笠原匠海の4名が継続、浜田大雅と新城銀二が抜け、平井光介と湯浅博貴が新規加入となる。
平井光介は山梨県出身、U23カテゴリーでのスタートで、浅い競技経験ながら2018年は国体ロードレースの少年の部や、JBCF宇都宮ロードレースのE1優勝と言う成績を収めている。湯浅博貴は埼玉県出身。合宿中のためパーティーへは参加出来なかったが、今季のJBCF東日本ロードクラシック群馬のE3や秩父宮杯 高校の部で優勝している期待のジュニア選手だ。
U23のうち石上優大と渡邉歩はひき続き欧州クラブチームへの派遣と言う形を取る。石上は今季と同じくAVC Aix-en-Provence(フランスDN1チーム)へ、渡邉歩は移籍し、POC Côte de Lumiére(フランスDN2チーム)が来季の所属先だ。ジュニアの津田悠義も今季と同様に三好高校で高体連への登録をしながらエカーズ準所属選手として走る。
また、2019年度JBCFのJPTカテゴリー登録申請を断念したことも合わせて説明された。海外での活動が中心であるチームの特性上、参加レース数不足や都度のメンバー不足によりJPT規定を守ることが出来ない事、限られた強化育成費用の中で低頻度のレース参加に対し加盟金の負担が過剰になってしまう事などが理由として述べられた。
選手のゼッケンや新城幸也グッズも登場の抽選会
今季報告と来季所属選手の発表の間に行われたパーティー内イベント。今年は、スポンサー各社や選手達の提供による、グッズ抽選会が催された。選手たちからはジャージやゼッケン、はたまた自分のお気に入りグッズや地元の名物などが、スポンサーからはヘルメットやバッグ、サプリメント、ホテルのペア宿泊券など、豪華な賞品が提供された。
この抽選会ではチームOBである新城幸也からも数々のグッズが贈られた。新城本人はバーレン・メリダのチームキャンプに参加中のため、パートナーの飯島美和さんが参加し、自らMCをしながら抽選を行ってくれた。
チーム内年間表彰、金賞は石上優大
パーティー終盤には、今年活躍した選手たちへの年間表彰も行われた。見事金賞に輝いたのは石上優大。全日本ロードU23やおおいたアーバンクラシックなどの勝利が評価された。銀賞は松田祥位。U23初年度ながら、石上に次ぐ成績を挙げており、こちらも文句なしの受賞だ。銅賞は、小笠原、宇賀、蠣崎、渡邉の4名。U17やジュニアのレースを席巻した津田悠義は特別賞を与えられた。
表彰が終わると、パーティー終了に先だって、今なおトッププロとしてワールドツアーを走る新城幸也から選手たちへのメッセージが、その歴史を振り返る映像とともに飯島美和さんにより代読された。「おじさんの昔話」と謙遜しながらも、かつて福島晋一に「常に明確な目標を持て」と言われ「10年日記を書き、それよりも1年早くプロ入りを果たした」と言うエピソードなどを披露。「エキップアサダで走るからには誇りを持ってください、そして強くなってください」と結んだ。
その後、エキップアサダ後援会の田之頭宏明会長の挨拶、浅田顕監督の挨拶と続きパーティーは幕を閉じた。チームとしては大きな成果を残した1年となったが、選手自身はプロ入りを目指している以上、1年どころか1レースごとが勝負であり、今後さらなる成績を残さねばならない。このオフの過ごし方も重要となるだろう。2018年を締める日を終え、気の抜けない1年がまた始まる。
パーティーの幕開けは、壇上に揃った選手とスタッフを前に、チームスポンサーを長年続ける渡辺クリニックの渡辺仁院長の音頭による乾杯。ここから歓談を挟んだ後、浅田顕監督がスクリーンにスライドを映し出し、今季実績を紹介するプレゼンテーションが始まった。
2018年のエカーズは、浅田監督からも「目に見える成長」と評された通り、数々のレースで選手が優勝、あるいは上位入賞を果たし、大きな成果を挙げた。その主な戦績を、浅田監督の人柄が垣間見えるジョークを写真で紹介しながら月別に追っていこう。
まず、レースシーズンのはじまりとなった2月のアジア選手権ロードレースで松田祥位がチームTT優勝。石上優大、渡邉は同大会のU23ロードで優勝した山本大喜のアシストとして貢献した。3月は仏のトロフェ・デ・バスティドで渡邉が2位、小笠原匠海が最優秀ジュニア賞を獲得。4月のツール・ド・オート=ビゴールでは松田が優勝。5月にはプロへの登竜門とされるロンド・リザール(UCI2.2U)で石上がスプリントに絡み9位入賞。
そして迎えた6月末の全日本選手権、U23で石上と松田がワンツー体制を築き、そのままフィニッシュ。U17は津田悠義が独走でチームTTとロードのダブルタイトルを獲得した。他、この間に行われた欧州のレースの多くで選手達がトップ10入りを果たしている。8月に入るとプリ・デ・フェット・デ・サン・シンフォリアンで小笠原と蠣崎優仁がワンツーフィニッシュ。小笠原は2日後のクレオン・ダルマニャックでも優勝し、2連勝を遂げている。
しかしながら最大の目標とされた2つのレースの1つ、8月のツール・ド・ラヴニールではエースとして臨んだ石上が鎖骨骨折によりリタイア。残った渡邉、松田も思うような成績を挙げられないまま閉幕。一方の9月の世界選手権ロードレースU23では同3名がDNFとなった。この結果を見て一部関係者の中からは「U23の選手育成など必要なのか?」と言った、俄には信じ難い意見も聞かれたと言う。
だが、それを除けば9月は松田がエリートレースのブエルタ・ア・カンタブリア第3ステージで優勝、国内へ戦いの舞台を移した10月のおおいたアーバンクラシック(UCI1.2)では石上と松田がエリートライダー達を退けワンツーフィニッシュ。ジャパンカップでも石上が17位とUCIポイント圏内でゴールしている。U17〜ジュニアで走った津田悠義も、11月のツール・ド・おきなわで骨折の回復途上ながらジュニア部門で優勝を遂げており、浅田監督が取り組んでいる若手選手の強化育成が実を結びつつあることも事実だ。
数字にも目をやると、2018年にエカーズの選手たちが積み重ねた主な勝利は14勝、UCIアジアツアーのポイントは261.67ポイント。後者はあくまでも所属選手個別のポイントを累計したヴァーチャルなものだが、これはランキング首位のキナンサイクリングチーム(976P)、2位のチーム右京(902.67P)に次ぐ第3位の成績となる。こういった実際の数字からも選手たちの成長を見てとれる事が、2018年のエカーズの成果と言って良いだろう。
2019年所属選手は、湯浅と平井が加入し計9名
パーティーでは、12月3日に発表となった2019年のチーム体制も改めて案内された。正所属は松田祥位、蠣崎優仁、宇賀隆貴、小笠原匠海の4名が継続、浜田大雅と新城銀二が抜け、平井光介と湯浅博貴が新規加入となる。
平井光介は山梨県出身、U23カテゴリーでのスタートで、浅い競技経験ながら2018年は国体ロードレースの少年の部や、JBCF宇都宮ロードレースのE1優勝と言う成績を収めている。湯浅博貴は埼玉県出身。合宿中のためパーティーへは参加出来なかったが、今季のJBCF東日本ロードクラシック群馬のE3や秩父宮杯 高校の部で優勝している期待のジュニア選手だ。
U23のうち石上優大と渡邉歩はひき続き欧州クラブチームへの派遣と言う形を取る。石上は今季と同じくAVC Aix-en-Provence(フランスDN1チーム)へ、渡邉歩は移籍し、POC Côte de Lumiére(フランスDN2チーム)が来季の所属先だ。ジュニアの津田悠義も今季と同様に三好高校で高体連への登録をしながらエカーズ準所属選手として走る。
また、2019年度JBCFのJPTカテゴリー登録申請を断念したことも合わせて説明された。海外での活動が中心であるチームの特性上、参加レース数不足や都度のメンバー不足によりJPT規定を守ることが出来ない事、限られた強化育成費用の中で低頻度のレース参加に対し加盟金の負担が過剰になってしまう事などが理由として述べられた。
選手のゼッケンや新城幸也グッズも登場の抽選会
今季報告と来季所属選手の発表の間に行われたパーティー内イベント。今年は、スポンサー各社や選手達の提供による、グッズ抽選会が催された。選手たちからはジャージやゼッケン、はたまた自分のお気に入りグッズや地元の名物などが、スポンサーからはヘルメットやバッグ、サプリメント、ホテルのペア宿泊券など、豪華な賞品が提供された。
この抽選会ではチームOBである新城幸也からも数々のグッズが贈られた。新城本人はバーレン・メリダのチームキャンプに参加中のため、パートナーの飯島美和さんが参加し、自らMCをしながら抽選を行ってくれた。
チーム内年間表彰、金賞は石上優大
パーティー終盤には、今年活躍した選手たちへの年間表彰も行われた。見事金賞に輝いたのは石上優大。全日本ロードU23やおおいたアーバンクラシックなどの勝利が評価された。銀賞は松田祥位。U23初年度ながら、石上に次ぐ成績を挙げており、こちらも文句なしの受賞だ。銅賞は、小笠原、宇賀、蠣崎、渡邉の4名。U17やジュニアのレースを席巻した津田悠義は特別賞を与えられた。
表彰が終わると、パーティー終了に先だって、今なおトッププロとしてワールドツアーを走る新城幸也から選手たちへのメッセージが、その歴史を振り返る映像とともに飯島美和さんにより代読された。「おじさんの昔話」と謙遜しながらも、かつて福島晋一に「常に明確な目標を持て」と言われ「10年日記を書き、それよりも1年早くプロ入りを果たした」と言うエピソードなどを披露。「エキップアサダで走るからには誇りを持ってください、そして強くなってください」と結んだ。
その後、エキップアサダ後援会の田之頭宏明会長の挨拶、浅田顕監督の挨拶と続きパーティーは幕を閉じた。チームとしては大きな成果を残した1年となったが、選手自身はプロ入りを目指している以上、1年どころか1レースごとが勝負であり、今後さらなる成績を残さねばならない。このオフの過ごし方も重要となるだろう。2018年を締める日を終え、気の抜けない1年がまた始まる。
EQADS 2019年所属選手(世代順)
text&photo: Yuichiro Hosoda
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