2018/11/22(木) - 08:59
スプリント自慢たちがしのぎを削るツール・ド・おきなわ2018市民50kmフォーティーで優勝した白鳥興寛(ARCC)のレポートをお届け。ディフェンディングチャンピオンらしい貫禄のある走りで勝利し、市民50kmレース史上初の5連覇を達成した。
5連覇がかかった沖縄に戻ってきた。今年もチャンピンゼッケン3001番を付けて市民レース50kmフォーティーを走る。
今シーズンの冬場はクリテリウムレース中心に心肺機能が落ちないように走り込み、またタイムトライアルのシーズン戦にもエントリーし、例年以上にTTバイクで走り込み、高いアベレージで走れるように身体の使い方もトレーニングした。また、今年はツール・ド・宮古島にも参戦。6月ながらパフォーマンスをピークを近づけるため、例年の沖縄向け対策メニューをこの時期に行い調整。その甲斐あって無事チームARCCでワン・ツーフィニッシュという最高の結果で宮古島を終えた。
その反動があったのか、今夏の酷暑の影響もあり、7、8月は最低のコンディション。チーム練でも完走がやっとの状態で、初めてチームの練習会で千切れるなど最悪の経験をする。ヘルメットを変えたり、シューズ、ドリンク、サプリメントなども色々試して、トレーニングメニューも初心に戻り、イチからインターバルメニューに取り組んで、8月後半には何とかピークの80%くらいまでは戻ってきた。
その後は順調に調子が上がり、秋のレースでは秩父宮杯に勝ち、日産フェス3位、ジャパンカップチャレンジで2位と安定したレース結果が残せたので、自信を持ってツール・ド・おきなわまでの残り1ヶ月を十分な調整に充てられた。そして迎えたツール・ド・おきなわ。例年通り土曜日に沖縄入りし、受付を済ませてからホテル近くの試走コースへ移動。
今回、チームメンバーの多くが近くのホテルに滞在しているため、今年から50kmフィフティーを走る重田兄さん始めARCCのメンバーたちと軽めに1時間ほど試走。恒例のゲン担ぎスポットで記念写真を撮る。
市民レース50キロは2年前からチャレンジレースが新設され、エントリー人数こそ絞られたが、全国からスプリント自慢が集まってくるのは変わらない。年々レースレベルが上がっているのはもちろん、ゴールラインまでの残り5キロは過密な大集団がカオス状態のなかペースが上がり、毎年いくつかの落車が発生するため、残り200mのスプリントポイントまでどう立ち回り、生き残るかが重要になってくる。
昨年はうまく立ち回り、完璧な位置取りでスプリント発射出来て何とか勝ち切ったが、やはり昨年2位のチェン・チー・ハオ選手(台湾)のスプリントパワーは圧倒的で、トップスピードは彼の方が明らかに速い。それでもパワー値だけで順位は決まらないのがロードレース。ツール・ド・おきなわに向けて自分の強みを活かせる様に、今年も肉体改造を実施。一昨年オフシーズンに筋トレで増やした体重を3キロほど絞り、スプリントに、また走りにもキレを出せるように沖縄に向けて仕上げてきた。
毎年毎年、沖縄用調整メニューを少しずつ微調整して、今年の目標・課題に合わせてやっているから、それがどう結果につながるか? やはり不安ではあるが、毎年それなりに結果が付いてきているので、自分の勘所は間違ってはいないのだろう。2018年ツール・ド・おきなわの目標は前年チャンピオンらしい走りをし、どんな展開、どんなスプリントになっても確実に1番でゴールラインに戻って来る事を目標に、沖縄へ戻ってきた。今年はどんな展開になるだろう?
レース当日。前日の早朝便で沖縄入りしたので寝不足気味。レース前夜も23時くらいまで中々寝付けなかったが、レース当日は4時の起床時間までは少し深い眠りが出来たので安心する。
普段通りの軽食を食べ、ホテルを5時頃に出発し5:20には会場着。同じ50キロ組みの重田兄さん、山本くんと待ち合わせして名護漁港内で軽くアップ。お互いに健闘を祈りつつ、気合いを注入して6:30に集合場所へ行く。
今年も1番危険な人、昨年2位のチェン・チー・ハオ選手。元オリンピックロードレースの台湾代表だ。つまりガチスプリントで勝負しちゃダメな選手だ。上位常連の鷹組・安藤選手の姿も確認。あとライバル達を挙げていけばキリがないが、オリンピアンに引けを取らないデカさの谷口選手、宇野選手、あと確実に最後のスプリント勝負に絡んでくる元チャンピオンのSPADE ACEの岡野選手。
まだ知らない選手も多く、彼らだけを意識していたら足元をすくわれるので、毎年起こる逃げ展開に注意し、それを潰しながら国道58号線に戻ってくるまでは落車なく、安全に展開したい。特に旧ジャスコ坂を越えた残り5キロからは過去2年連続で落車に巻き込まれて足止めを食らっているので、足を削ってでも前方をキープしなきゃならない。そして最後のスプリント勝負は.....今年は昨年以上に負けない秘策あり‼。ガチンコ勝負を望むところの心持ちで行く。とりあえず気持ちを強く持って勝負に臨む。
7:06、定刻通りレーススタート。今日の気温は26度くらいまで上がるらしい。念のため2ボトルを準備してレースに挑む。例年通り、落ちついた立ち上がり。さっそくチェン選手を含む数名ほどが逃げているが、これは彼らのアップだろうと容認する。適度な距離を保ちながらローテーションに入り、数キロ程度で吸収。その後、前方キープで走っていたが集団はローテーションが回らなく、ペースは上がらないまま。今年のペースは遅く、なぜかいつもと違う違和感を感じる。自然と先頭に位置取ることが多く、ローテーションが回らない。そんな牽制状態が続いていたので有り難く前方キープで走らせていただく。
そんな中、エイル宮崎の泊選手を中心に散発的に逃げが発生するので、その対応で集団コントロールしなくちゃならないのでそこそこ忙しい時間が多い。そんなタイミングでQUAKE NETWORKの熊谷選手が本部大橋付近までほぼ1本引きして集団を引っ張って頂いたので、本当に助かった。前半戦はそんな展開で、特に集団のペースも上がらず、ここまでは大きな落車音も聞かず。中盤、本部大橋を下って美ら海水族館へ。
登り区間、本部のスプリント前では当然ペースが上がる。今年はジャパンカップに向けて体重を絞っていたからどんなにペースが上がっても3分くらいまでの登りならまず遅れる事はない。マイペースで登って前方付近でクリアしたところでteam fun cycle本田選手のSP賞を確認。とりあえず「おめでとう」と言っておく。
今帰仁村に入ってからも泊選手が積極的にアタックを仕掛る。たまに数名がブリッジし、それを集団が追いかける展開が繰り返し行われるが、ここも落ち着いて対応する。ここまで比較的スムーズに距離を消化していったが、ほぼ先頭付近で走り、例年以上に足を使っていた。
落車の危険性は少ないので有難いが、ここまでの出力をサイコンで確認すると例年より明らかに高いアベレージ。それでも6月のツール・ド・宮古島では序盤からチームの山本くんが逃げて、そのため終盤まで集団をコントロールした経験値があったので、それなりの走り方でダメージを最小限に抑えて走る。
今帰仁の登り。ここでも集団ペースが上がるが、スプリントポイントも先頭付近で登り切って残り10km、海岸線を走り国道58号へ入る。
後半戦、ここからはカオスな危険地帯の始まり。例年集団がペースアップする場面だが、今年は35km/h程度しか速度が上がらない。この場面で1名、キレの良い逃げが発生し、どんどん差が広がり始めすぐ10秒以上に広がる。
序盤から積極的に逃げていた選手で足がありそうな走り。さらに先にスタートした年代組の集団も交わり逃げを見失う恐れが出てきた。この展開はマズいので自分で動き、単走でも追う意思を見せるがごとく追走。ペースを上げて集団も引っ張り上げる。その動きでやっと集団も活性化し、旧ジャスコ坂で逃げを吸収、それをキッカケに45km/hまで集団のペースが一気に上がる。これでやっとひと安心だ。このスピード域なら少々の逃げは発生する事もなく、後はスプリント勝負に持ち込むだけの展開になった。想定通り。
ここからは先頭付近を絶対にキープしないといけない展開。ここからも先頭固定で位置取りをし、意地でも先頭を譲らない走りをする。もちろん足を削りながら走ることになるし、ライバル選手に1番いい番手を渡す事になるが、それも想定内で勝てる練習をしてきたからと自分に言い聞かせる。途中、なるしまフレンドの永井選手と先頭並走し、目が合って、なぜか苦しいはずが楽しくなっていた。
最終局面、宮里交差点のカーブを先頭で通過。横から谷口選手が上がってきたので先頭交代。アーリースプリントでもしてくれないか?と持ちかけてみたが、もちろんダメだった。残念(笑)。交差点のカーブを曲がり終わって残り500mの直線を残すのみ。再び先頭に位置取りし、周りの展開に合わせるべく感覚を研ぎ澄ます。
今年はどんな展開、どんなパターンになっても勝ちきれる練習をしてきたから、この位置取りで全く問題なし。周りの状況に注意しつつ、スプリントタイミングをうかがう。残り300m、嘉手川選手がアーリースプリント。すぐさま反応して番手について引き上げてもらう。残り200m、周囲の気配を確認しつつスプリント開始。残り100m、後ろを確認、左後方にチェン選手がいるが捲られる距離ではない。この時点でほぼ優勝を確信し4年間出来なかったガッツポーズでゴールラインを切った。
ついに5連覇達成。今年も最後は大集団のスプリント勝負。やはり今年もチェン選手との一騎打ちになったが、ベストなタイミングで発射出来て競り勝てた。今回はレース序盤からの走り、展開の作り方含めて少しはチャンピオンらしい走りが出来たんじゃないかなと思う。
今年はARCCチームメンバー7名で各年代、カテゴリーのレースに参加。みんな大きな怪我なくレースを終えてまずは一安心。ひとまず今年もツール・ド・おきなわでシーズン終了。
毎年沖縄が終わる度に「来年はどうしようかな?」と考えていたが、今年もレース会場で年に1回しか会わない自転車好きな人たちに会い、また知り合いもどんどん増えて、来年もまたこの場所に戻って来たいと思えるようになっていた。そのためにはまた来年、ライバルたちと戦える体に仕上げてくるのが絶対条件だと思うので、また一年頑張っていこうと思う。
最後に、応援してくれた家族、一緒に頑張ったARCCチームメンバー、練習に参加させて頂いているカラーズの皆さん、自転車整備をお願いしているローロバイシクルズの今野さん、etc。名前をあげたらキリがないほど多くの方々に支えられて趣味の自転車活動を楽しめています。これからも応援よろしくお願いいたします。
ツールドおきなわ 今までの戦績
2010年 市民210k 90位
2011年 市民210k 65位
2012年 市民210k 落車DNF
2013年 市民 50kフォーティー8位
2014年、15、16、17、18 市民50キロフォーティー優勝
【レース装備】
フレーム:TREK MADONE6
ホイール:CAMPAGNOLO BORA ONE CULT仕様
タイヤ:F/R:CONTINETAL FORCE24C COMP TU F8/R9bar
ハンドル:SHIMANO PRO VIBE7S アナトミック 400mm
ステム:SHIMANO PRO VIBE SPRINT 105mm
サドル:SPECIALIZED ROMIN EVO PRO 143mm
シフト:DURA-ACE 9070
ブレーキ:DURA-ACE 9000
シュー:SWISSTOP FLASH EVO BLACK PRINCE
クランク:OUARQ SRAM RED 172.5mm
チェーンリング:53T-39T
カセット:DURA-ACE 9070 11-28
チェーン:DURA-ACE 9070
ペダル/シューズ:SPEEDPLAY/BONT VAYPORS
text:白鳥興寛(ARCC)
5連覇がかかった沖縄に戻ってきた。今年もチャンピンゼッケン3001番を付けて市民レース50kmフォーティーを走る。
今シーズンの冬場はクリテリウムレース中心に心肺機能が落ちないように走り込み、またタイムトライアルのシーズン戦にもエントリーし、例年以上にTTバイクで走り込み、高いアベレージで走れるように身体の使い方もトレーニングした。また、今年はツール・ド・宮古島にも参戦。6月ながらパフォーマンスをピークを近づけるため、例年の沖縄向け対策メニューをこの時期に行い調整。その甲斐あって無事チームARCCでワン・ツーフィニッシュという最高の結果で宮古島を終えた。
その反動があったのか、今夏の酷暑の影響もあり、7、8月は最低のコンディション。チーム練でも完走がやっとの状態で、初めてチームの練習会で千切れるなど最悪の経験をする。ヘルメットを変えたり、シューズ、ドリンク、サプリメントなども色々試して、トレーニングメニューも初心に戻り、イチからインターバルメニューに取り組んで、8月後半には何とかピークの80%くらいまでは戻ってきた。
その後は順調に調子が上がり、秋のレースでは秩父宮杯に勝ち、日産フェス3位、ジャパンカップチャレンジで2位と安定したレース結果が残せたので、自信を持ってツール・ド・おきなわまでの残り1ヶ月を十分な調整に充てられた。そして迎えたツール・ド・おきなわ。例年通り土曜日に沖縄入りし、受付を済ませてからホテル近くの試走コースへ移動。
今回、チームメンバーの多くが近くのホテルに滞在しているため、今年から50kmフィフティーを走る重田兄さん始めARCCのメンバーたちと軽めに1時間ほど試走。恒例のゲン担ぎスポットで記念写真を撮る。
市民レース50キロは2年前からチャレンジレースが新設され、エントリー人数こそ絞られたが、全国からスプリント自慢が集まってくるのは変わらない。年々レースレベルが上がっているのはもちろん、ゴールラインまでの残り5キロは過密な大集団がカオス状態のなかペースが上がり、毎年いくつかの落車が発生するため、残り200mのスプリントポイントまでどう立ち回り、生き残るかが重要になってくる。
昨年はうまく立ち回り、完璧な位置取りでスプリント発射出来て何とか勝ち切ったが、やはり昨年2位のチェン・チー・ハオ選手(台湾)のスプリントパワーは圧倒的で、トップスピードは彼の方が明らかに速い。それでもパワー値だけで順位は決まらないのがロードレース。ツール・ド・おきなわに向けて自分の強みを活かせる様に、今年も肉体改造を実施。一昨年オフシーズンに筋トレで増やした体重を3キロほど絞り、スプリントに、また走りにもキレを出せるように沖縄に向けて仕上げてきた。
毎年毎年、沖縄用調整メニューを少しずつ微調整して、今年の目標・課題に合わせてやっているから、それがどう結果につながるか? やはり不安ではあるが、毎年それなりに結果が付いてきているので、自分の勘所は間違ってはいないのだろう。2018年ツール・ド・おきなわの目標は前年チャンピオンらしい走りをし、どんな展開、どんなスプリントになっても確実に1番でゴールラインに戻って来る事を目標に、沖縄へ戻ってきた。今年はどんな展開になるだろう?
レース当日。前日の早朝便で沖縄入りしたので寝不足気味。レース前夜も23時くらいまで中々寝付けなかったが、レース当日は4時の起床時間までは少し深い眠りが出来たので安心する。
普段通りの軽食を食べ、ホテルを5時頃に出発し5:20には会場着。同じ50キロ組みの重田兄さん、山本くんと待ち合わせして名護漁港内で軽くアップ。お互いに健闘を祈りつつ、気合いを注入して6:30に集合場所へ行く。
今年も1番危険な人、昨年2位のチェン・チー・ハオ選手。元オリンピックロードレースの台湾代表だ。つまりガチスプリントで勝負しちゃダメな選手だ。上位常連の鷹組・安藤選手の姿も確認。あとライバル達を挙げていけばキリがないが、オリンピアンに引けを取らないデカさの谷口選手、宇野選手、あと確実に最後のスプリント勝負に絡んでくる元チャンピオンのSPADE ACEの岡野選手。
まだ知らない選手も多く、彼らだけを意識していたら足元をすくわれるので、毎年起こる逃げ展開に注意し、それを潰しながら国道58号線に戻ってくるまでは落車なく、安全に展開したい。特に旧ジャスコ坂を越えた残り5キロからは過去2年連続で落車に巻き込まれて足止めを食らっているので、足を削ってでも前方をキープしなきゃならない。そして最後のスプリント勝負は.....今年は昨年以上に負けない秘策あり‼。ガチンコ勝負を望むところの心持ちで行く。とりあえず気持ちを強く持って勝負に臨む。
7:06、定刻通りレーススタート。今日の気温は26度くらいまで上がるらしい。念のため2ボトルを準備してレースに挑む。例年通り、落ちついた立ち上がり。さっそくチェン選手を含む数名ほどが逃げているが、これは彼らのアップだろうと容認する。適度な距離を保ちながらローテーションに入り、数キロ程度で吸収。その後、前方キープで走っていたが集団はローテーションが回らなく、ペースは上がらないまま。今年のペースは遅く、なぜかいつもと違う違和感を感じる。自然と先頭に位置取ることが多く、ローテーションが回らない。そんな牽制状態が続いていたので有り難く前方キープで走らせていただく。
そんな中、エイル宮崎の泊選手を中心に散発的に逃げが発生するので、その対応で集団コントロールしなくちゃならないのでそこそこ忙しい時間が多い。そんなタイミングでQUAKE NETWORKの熊谷選手が本部大橋付近までほぼ1本引きして集団を引っ張って頂いたので、本当に助かった。前半戦はそんな展開で、特に集団のペースも上がらず、ここまでは大きな落車音も聞かず。中盤、本部大橋を下って美ら海水族館へ。
登り区間、本部のスプリント前では当然ペースが上がる。今年はジャパンカップに向けて体重を絞っていたからどんなにペースが上がっても3分くらいまでの登りならまず遅れる事はない。マイペースで登って前方付近でクリアしたところでteam fun cycle本田選手のSP賞を確認。とりあえず「おめでとう」と言っておく。
今帰仁村に入ってからも泊選手が積極的にアタックを仕掛る。たまに数名がブリッジし、それを集団が追いかける展開が繰り返し行われるが、ここも落ち着いて対応する。ここまで比較的スムーズに距離を消化していったが、ほぼ先頭付近で走り、例年以上に足を使っていた。
落車の危険性は少ないので有難いが、ここまでの出力をサイコンで確認すると例年より明らかに高いアベレージ。それでも6月のツール・ド・宮古島では序盤からチームの山本くんが逃げて、そのため終盤まで集団をコントロールした経験値があったので、それなりの走り方でダメージを最小限に抑えて走る。
今帰仁の登り。ここでも集団ペースが上がるが、スプリントポイントも先頭付近で登り切って残り10km、海岸線を走り国道58号へ入る。
後半戦、ここからはカオスな危険地帯の始まり。例年集団がペースアップする場面だが、今年は35km/h程度しか速度が上がらない。この場面で1名、キレの良い逃げが発生し、どんどん差が広がり始めすぐ10秒以上に広がる。
序盤から積極的に逃げていた選手で足がありそうな走り。さらに先にスタートした年代組の集団も交わり逃げを見失う恐れが出てきた。この展開はマズいので自分で動き、単走でも追う意思を見せるがごとく追走。ペースを上げて集団も引っ張り上げる。その動きでやっと集団も活性化し、旧ジャスコ坂で逃げを吸収、それをキッカケに45km/hまで集団のペースが一気に上がる。これでやっとひと安心だ。このスピード域なら少々の逃げは発生する事もなく、後はスプリント勝負に持ち込むだけの展開になった。想定通り。
ここからは先頭付近を絶対にキープしないといけない展開。ここからも先頭固定で位置取りをし、意地でも先頭を譲らない走りをする。もちろん足を削りながら走ることになるし、ライバル選手に1番いい番手を渡す事になるが、それも想定内で勝てる練習をしてきたからと自分に言い聞かせる。途中、なるしまフレンドの永井選手と先頭並走し、目が合って、なぜか苦しいはずが楽しくなっていた。
最終局面、宮里交差点のカーブを先頭で通過。横から谷口選手が上がってきたので先頭交代。アーリースプリントでもしてくれないか?と持ちかけてみたが、もちろんダメだった。残念(笑)。交差点のカーブを曲がり終わって残り500mの直線を残すのみ。再び先頭に位置取りし、周りの展開に合わせるべく感覚を研ぎ澄ます。
今年はどんな展開、どんなパターンになっても勝ちきれる練習をしてきたから、この位置取りで全く問題なし。周りの状況に注意しつつ、スプリントタイミングをうかがう。残り300m、嘉手川選手がアーリースプリント。すぐさま反応して番手について引き上げてもらう。残り200m、周囲の気配を確認しつつスプリント開始。残り100m、後ろを確認、左後方にチェン選手がいるが捲られる距離ではない。この時点でほぼ優勝を確信し4年間出来なかったガッツポーズでゴールラインを切った。
ついに5連覇達成。今年も最後は大集団のスプリント勝負。やはり今年もチェン選手との一騎打ちになったが、ベストなタイミングで発射出来て競り勝てた。今回はレース序盤からの走り、展開の作り方含めて少しはチャンピオンらしい走りが出来たんじゃないかなと思う。
今年はARCCチームメンバー7名で各年代、カテゴリーのレースに参加。みんな大きな怪我なくレースを終えてまずは一安心。ひとまず今年もツール・ド・おきなわでシーズン終了。
毎年沖縄が終わる度に「来年はどうしようかな?」と考えていたが、今年もレース会場で年に1回しか会わない自転車好きな人たちに会い、また知り合いもどんどん増えて、来年もまたこの場所に戻って来たいと思えるようになっていた。そのためにはまた来年、ライバルたちと戦える体に仕上げてくるのが絶対条件だと思うので、また一年頑張っていこうと思う。
最後に、応援してくれた家族、一緒に頑張ったARCCチームメンバー、練習に参加させて頂いているカラーズの皆さん、自転車整備をお願いしているローロバイシクルズの今野さん、etc。名前をあげたらキリがないほど多くの方々に支えられて趣味の自転車活動を楽しめています。これからも応援よろしくお願いいたします。
ツールドおきなわ 今までの戦績
2010年 市民210k 90位
2011年 市民210k 65位
2012年 市民210k 落車DNF
2013年 市民 50kフォーティー8位
2014年、15、16、17、18 市民50キロフォーティー優勝
【レース装備】
フレーム:TREK MADONE6
ホイール:CAMPAGNOLO BORA ONE CULT仕様
タイヤ:F/R:CONTINETAL FORCE24C COMP TU F8/R9bar
ハンドル:SHIMANO PRO VIBE7S アナトミック 400mm
ステム:SHIMANO PRO VIBE SPRINT 105mm
サドル:SPECIALIZED ROMIN EVO PRO 143mm
シフト:DURA-ACE 9070
ブレーキ:DURA-ACE 9000
シュー:SWISSTOP FLASH EVO BLACK PRINCE
クランク:OUARQ SRAM RED 172.5mm
チェーンリング:53T-39T
カセット:DURA-ACE 9070 11-28
チェーン:DURA-ACE 9070
ペダル/シューズ:SPEEDPLAY/BONT VAYPORS
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