2018/11/09(金) - 14:43
国内最大規模のワンデイロードレース ツール・ド・おきなわ。国内最長距離を誇る市民210kmレースは「ホビーレーサーの甲子園」と形容される高いステイタスをもち、140kmやエイジクラスも激戦が繰り広げられる。市民レースの栄光を手に入れるのは果たして誰だ?
ホビーレース甲子園 最高峰の市民210kmで高岡亮寛が4連覇&6勝目を目指す
「ホビーレーサーの甲子園」の異名通り、市民レース最高のステイタスをもつツール・ド・おきなわ。とくに210、140、100kmの長距離ロードレースカテゴリーはレベルも高く、日々の鍛錬を積んできた猛者たちによる激戦区だ。
なかでもホビーレース最高峰の市民210kmは昨年の優勝者・高岡亮寛(Roppongi Express)に注目だ。サラリーマンレーサーの趣味として仕事と両立させ、競技を楽しむことをモットーとしている高岡は13年連続の出場であり、過去大会の市民200/210kmクラスで2007、2011年に優勝。2015、2016、2017年と連覇し、初の5勝を挙げた選手となった。もし今年優勝することができれば4連覇にして通算6勝目の記録となる。
「おきなわは最高のレース。出場するからには、それが連覇や何回目だろうと関係なく毎年勝ちを狙って走りたい」と語る41歳の高岡。もちろん今年も優勝を狙って臨む。
昨年は6人のゴールスプリントで勝負は決した。得意の逃げに持ち込むのが高岡の優勝パターンだったが、スプリントでも強さを発揮し、突出したレベルを証明した。しかし、今年は10月に交通事故に遭い、負傷。現在は回復しており、体調もベストな状態に戻しているというが、難のあるシーズンだったようだ。高岡の強みとなるのは昨年立ち上げたチーム「Roppongi Express」のメンバーが充実していること。走れる選手たちがアシストするのはレース運びにおいて大きいだろう。
昨年のレースで6人の先頭集団に残ったのは、2位以降:松木健治(VC VELOCE)、佐藤信哉(VC Fukuoka)、森本誠 (GOKISO)、松島拓人(なるしまフレンド)、井上亮(Magellan Systems Japan)。もちろんこの5人が高岡のマークすべきライバル筆頭となるだろう。トップ10では7位以降:清宮洋幸(竹芝サイクルレーシング)、青木峻二(ウォークライド)、中村龍太郎(イナーメ信濃山形)、河合宏樹(オッティモ)ら。
今季、とくに調子の良さが伺えるのが昨年6位、2016年2位の井上亮(Magellan Systems Japan)だ。全日本選手権ロード男子エリートでは8位に食い込み、11位だった高岡、そしてプロロードマンたちを驚かせた。井上は先のAACAカップでも、トレーニングレースという位置づけながらキナンサイクリングチームなどプロ勢を相手に逃げ切り優勝を果たし、その好調な仕上がりぶりを披露している。井上の弱点は(2017年に失敗したとおり)ゴールスプリントの無さと思われてきたが、弱点を克服する方法を身に着けたようにさえ思える。昨年4位だった「山の神」こと森本誠 (GOKISO)も、昨年のレース後には高岡と井上のふたりがずば抜けて強かったと話している。
他にもジャパンカップにセブンイレブン・フィリピンチームのメンバーとして出場した岡泰誠(イナーメ信濃山形)、欠場が続いたが、今年カムバックする白石真悟(シマノドリンキング)、ヒルクライムに強い兼松大和(Team Green Road)、元愛三工業レーシングの選手で、UTBではマスターズクラスの優勝を飾った品川真寛(チームYOU CAN)、元NIPPOの藤岡徹也(シルベスト)など、過去の実績から判断する強豪たちを挙げればキリがない。他にも市民レース組として出場する鹿屋体育大学の若手選手たちも要チェックだ。なお台湾のステージレース「デフ・ツール・ド・フォルモサ」で現在総合首位につける優勝経験者の岩島啓太(MIVRO)は出場しない。
かつてプロとして走った選手も多くスタートリスト入りしており、市民レーサーとしての挑戦に再び名を連ねているが、ホビーレースだからといって「昔取った杵柄」というだけでは通用しない。厳しいトレーニングを重ね、ベストな体調にもっていかなくては勝負に絡めないのがツール・ド・おきなわの難しさだ。
昨年の市民210kmの高岡のフィニッシュタイム5時間25分05秒は、チャンピオンレースの5時間28分48秒よりも3分43秒速かった。もちろんレース展開により単純比較はできないが、近年の市民210kmのレベルは毎年のように上がっていることは確かだ。
市民140、100kmクラスも、その長距離とともにやんばるのアップダウンの厳しさにより上位争いは熾烈を極める。かつてエンデュランス系のレースだったおきなわも、近年各クラスの出場選手たちの実力が上がり、拮抗していることから下位クラスでもロードレースらしい駆け引きと展開が繰り広げられるようになってきた。
本部半島を一周する50kmの各クラスは平坦基調のため例年激しいゴールスプリント争いで決着することが多いが、稀に逃げ切りも決まっている。勇気を持って仕掛ければ小グループの勝負に持ち込むことは可能だ。いずれのクラスも年間を通して鍛錬を積み、入念に準備してこなければ勝利に絡むことはできない。どのクラスにもそれぞれのドラマがある。
各市民クラスで栄冠を掴むのは果たして誰だろうか? 前回大会の上位入賞者へのインタビュー記事はこちらを確認してほしい。
今年もシクロワイアードはモト随行撮影でフルカバーレポート
シクロワイアードでは今年も、チャンピオンレース、そして市民レース各クラスを2台のオートバイによる随行撮影を行います。撮影&レポートを担当するのはツール・ド・フランスのレポートなどでもお馴染みのフォトグラファー&シクロワイアード編集長・綾野 真、そして国内レースを精力的に撮影・レポートする加藤智。熱戦の模様を万全の取材体制によりフルカバーしてお届けします。
また、今年は映像配信ポータルサイト FRESH LIVE サイクリングチャンネルにおいて各レースのライブ配信が行われる。同チャンネルでは大会実行委員長の森兵次氏とツアー・オブ・ジャパン大会ディレクターの栗村修氏による30周年記念対談も配信されている。
参加選手の皆さんのご健闘をお祈りします。熱きレースを期待しています。「チバリヨー!」
photo&text:Makoto.AYANO,
photo:Satoru.KATO
ホビーレース甲子園 最高峰の市民210kmで高岡亮寛が4連覇&6勝目を目指す
「ホビーレーサーの甲子園」の異名通り、市民レース最高のステイタスをもつツール・ド・おきなわ。とくに210、140、100kmの長距離ロードレースカテゴリーはレベルも高く、日々の鍛錬を積んできた猛者たちによる激戦区だ。
なかでもホビーレース最高峰の市民210kmは昨年の優勝者・高岡亮寛(Roppongi Express)に注目だ。サラリーマンレーサーの趣味として仕事と両立させ、競技を楽しむことをモットーとしている高岡は13年連続の出場であり、過去大会の市民200/210kmクラスで2007、2011年に優勝。2015、2016、2017年と連覇し、初の5勝を挙げた選手となった。もし今年優勝することができれば4連覇にして通算6勝目の記録となる。
「おきなわは最高のレース。出場するからには、それが連覇や何回目だろうと関係なく毎年勝ちを狙って走りたい」と語る41歳の高岡。もちろん今年も優勝を狙って臨む。
昨年は6人のゴールスプリントで勝負は決した。得意の逃げに持ち込むのが高岡の優勝パターンだったが、スプリントでも強さを発揮し、突出したレベルを証明した。しかし、今年は10月に交通事故に遭い、負傷。現在は回復しており、体調もベストな状態に戻しているというが、難のあるシーズンだったようだ。高岡の強みとなるのは昨年立ち上げたチーム「Roppongi Express」のメンバーが充実していること。走れる選手たちがアシストするのはレース運びにおいて大きいだろう。
昨年のレースで6人の先頭集団に残ったのは、2位以降:松木健治(VC VELOCE)、佐藤信哉(VC Fukuoka)、森本誠 (GOKISO)、松島拓人(なるしまフレンド)、井上亮(Magellan Systems Japan)。もちろんこの5人が高岡のマークすべきライバル筆頭となるだろう。トップ10では7位以降:清宮洋幸(竹芝サイクルレーシング)、青木峻二(ウォークライド)、中村龍太郎(イナーメ信濃山形)、河合宏樹(オッティモ)ら。
今季、とくに調子の良さが伺えるのが昨年6位、2016年2位の井上亮(Magellan Systems Japan)だ。全日本選手権ロード男子エリートでは8位に食い込み、11位だった高岡、そしてプロロードマンたちを驚かせた。井上は先のAACAカップでも、トレーニングレースという位置づけながらキナンサイクリングチームなどプロ勢を相手に逃げ切り優勝を果たし、その好調な仕上がりぶりを披露している。井上の弱点は(2017年に失敗したとおり)ゴールスプリントの無さと思われてきたが、弱点を克服する方法を身に着けたようにさえ思える。昨年4位だった「山の神」こと森本誠 (GOKISO)も、昨年のレース後には高岡と井上のふたりがずば抜けて強かったと話している。
他にもジャパンカップにセブンイレブン・フィリピンチームのメンバーとして出場した岡泰誠(イナーメ信濃山形)、欠場が続いたが、今年カムバックする白石真悟(シマノドリンキング)、ヒルクライムに強い兼松大和(Team Green Road)、元愛三工業レーシングの選手で、UTBではマスターズクラスの優勝を飾った品川真寛(チームYOU CAN)、元NIPPOの藤岡徹也(シルベスト)など、過去の実績から判断する強豪たちを挙げればキリがない。他にも市民レース組として出場する鹿屋体育大学の若手選手たちも要チェックだ。なお台湾のステージレース「デフ・ツール・ド・フォルモサ」で現在総合首位につける優勝経験者の岩島啓太(MIVRO)は出場しない。
かつてプロとして走った選手も多くスタートリスト入りしており、市民レーサーとしての挑戦に再び名を連ねているが、ホビーレースだからといって「昔取った杵柄」というだけでは通用しない。厳しいトレーニングを重ね、ベストな体調にもっていかなくては勝負に絡めないのがツール・ド・おきなわの難しさだ。
昨年の市民210kmの高岡のフィニッシュタイム5時間25分05秒は、チャンピオンレースの5時間28分48秒よりも3分43秒速かった。もちろんレース展開により単純比較はできないが、近年の市民210kmのレベルは毎年のように上がっていることは確かだ。
市民140、100kmクラスも、その長距離とともにやんばるのアップダウンの厳しさにより上位争いは熾烈を極める。かつてエンデュランス系のレースだったおきなわも、近年各クラスの出場選手たちの実力が上がり、拮抗していることから下位クラスでもロードレースらしい駆け引きと展開が繰り広げられるようになってきた。
本部半島を一周する50kmの各クラスは平坦基調のため例年激しいゴールスプリント争いで決着することが多いが、稀に逃げ切りも決まっている。勇気を持って仕掛ければ小グループの勝負に持ち込むことは可能だ。いずれのクラスも年間を通して鍛錬を積み、入念に準備してこなければ勝利に絡むことはできない。どのクラスにもそれぞれのドラマがある。
各市民クラスで栄冠を掴むのは果たして誰だろうか? 前回大会の上位入賞者へのインタビュー記事はこちらを確認してほしい。
今年もシクロワイアードはモト随行撮影でフルカバーレポート
シクロワイアードでは今年も、チャンピオンレース、そして市民レース各クラスを2台のオートバイによる随行撮影を行います。撮影&レポートを担当するのはツール・ド・フランスのレポートなどでもお馴染みのフォトグラファー&シクロワイアード編集長・綾野 真、そして国内レースを精力的に撮影・レポートする加藤智。熱戦の模様を万全の取材体制によりフルカバーしてお届けします。
また、今年は映像配信ポータルサイト FRESH LIVE サイクリングチャンネルにおいて各レースのライブ配信が行われる。同チャンネルでは大会実行委員長の森兵次氏とツアー・オブ・ジャパン大会ディレクターの栗村修氏による30周年記念対談も配信されている。
参加選手の皆さんのご健闘をお祈りします。熱きレースを期待しています。「チバリヨー!」
photo&text:Makoto.AYANO,
photo:Satoru.KATO
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