パリで披露された第106回ツール・ド・フランスのコース全貌。「最後の最後まで色んなことが起こり得る」と語るゲラント・トーマスや「高地出身のキンタナ向き」と語るクリストファー・フルームら、プレゼンテーションに出席した選手たちのコメントを紹介します。


プレゼンテーションに出席したクリストファー・フルームやゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)プレゼンテーションに出席したクリストファー・フルームやゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:CorVos
ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)

一見するだけで判断するのは難しいけど、とてもタフで、とてもエキサイティングなツールになると思う。難易度の高いステージが多く、標高2,000mオーバーの峠も連続して登場。ハードな中級山岳ステージも多くて、タフなレースになるのは間違いない。強いチーム力に守られたグランツールのスペシャリスト向き。ポーの個人タイムトライアルも重要で、とにかくオールラウンドなアシストを揃えたチームだけが勝つことができる。

どの山頂フィニッシュを恐れているかなんてここでは言わないけど、トゥールマレーとヴァル・トランスはエキサイティングな戦いになる。特に後者は厳しいステージの最後に33kmもの登坂が待っている。難易度が高いステージが続くので、最後の最後まで色んなことが起こり得る。

チームとして戦わなければならない点では今年となんら変わらない。(フルームと)互いに正直に物を言える関係であり、来年も同じように走らない理由がない。でも自分がどのグランツールに出場するかは年末のチームミーティングで決まるんだ。まずはバイクの乗り方を思い出して、トレーニングを再開しないといけない。今年はいつもと違うクレイジーなオフシーズンだったので、次の目標に向かってトレーニングを再開するのが楽しみだ。移動や夜の飲み会で疲れるんじゃなくて、トレーニングで疲れる日が来るのが待ち遠しい。

トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)

とてもタフなコースだという印象。もちろん自分にとってはもっと長い個人タイムトライアルがあればいいし、理想的なコースとは言えないけど、それは今年も同じだった。とても標高のある山頂フィニッシュが多く設定されていて、特にピレネーとアルプスの山岳が連続する後半戦が勝敗を分けるポイントになる。

クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)

標高の高さが勝負に大きく影響する。例えばナイロ・キンタナのように高地で生まれ育った選手は他の選手たちよりもうまく標高に順応できるはず。2019年に登場する標高のある峠は本当に彼向きだと思う。ツールの準備において長い時間を高地トレーニングに費やす必要があると思った。ツールのコースに合わせて身体を作っていくことは例年と変わらない。順応するために最大限努力するし、山岳で最高の走りをしたい。

5回目のツール制覇を達成できたらどれだけ素晴らしいかと思う。でも2019年はいつもとコースの趣が違う。過去数年間と比べるとタイムトライアルの距離は短いので、レースとして大きく性質が変わってくる。(最初の山頂フィニッシュである)ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユは良い思い出がある場所。20%超えの未舗装路が加わったことで興味深い戦いになるし、そこでマイヨジョーヌ候補も絞られるはず。

ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)

コースマップを見る限り、タイムトライアルが短くて中級山岳ステージが多め。自分向きのコースだと思う。中級山岳ステージはトリッキーな道が多くて、予測不能な要素を含んでいる。そして標高のある神話に出てくるような峠で大きなタイム差がつくはず。タイムトライアルが前半に設定されているのは朗報。2018年はタイムトライアルが後半に設定されていたので消極的な総合争いになった。

ステージに登場したジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)ステージに登場したジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) photo:CorVos
ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)

一見するととても山がちなコース。多くのタフな山岳が組み込まれていて、特に標高2,000mオーバーの峠が連続する最終週に総合争いは決まる。チームの拠点であるベルギーで開幕するのは喜ばしいことで、そこでチームのために良い走りを見せたい。そしてもちろん愛するフランスに入ってからも全力で戦う。

しっかりと目標を立ててレースに挑むことになるけど、具体的な目標について語るのは時期尚早。トレーナーとチームと一緒にコースを細部までしっかりと見ないといけない。それから目標を据えて、それに向かって準備を進めていきたい。

ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)

良い意味で驚いている。大会4日目に早速山岳ステージが登場するし、とにかく難易度の高い山岳が多く設定されている。特に前半のアルザス地方の峠は毎週走っているものばかりで、今すぐ走りたいほど楽しみ。そしてラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユがまた登場することに驚いている。距離は短いけど勾配があり、しかも20%オーバーの急勾配区間が追加されたのでますます自分向きになった。2019年はツールが大きな目標になる。

ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)

200km超えのステージも多く、山頂フィニッシュも多い。とにかく山岳が3週間の大会全体に散りばめられている。いわゆるトランジションステージ(移動ステージ)も距離が長く、山岳が組み込まれているので気が抜けない。最後まで順位が何度も入れ替わるような総合争いになると思う。シャンゼリゼ前日のヴァル・トランスで最後の最後の逆転が起こることだってあり得るんだ。

ステージに上がるグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)ステージに上がるグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo:CorVos
グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)

これまで何度かツールでベルギー国内を走ったことがあるけど、ベルギーでのグランデパールは初めて。特別な開幕になると思う。中級山岳ステージが多く設定されていて、好調であれば問題なくステージ優勝争いに絡むことができるはず。(BMCからCCCに)生まれ変わるチームでマイヨジョーヌを狙うのは難しい。チームタイムトライアルで上位を狙うことはできると思うけど、現実的にステージ優勝は難しいと思う。リッチー・ポートをリーダーに据えたここ数年間と違って、CCCチームはもっとアタックでレースを動かす役目を担う。例えばパウェルスやデマルキらがアタックを仕掛けて逃げ切りを狙うことになる。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)

(ウィルス性の感染から)ようやく復帰して今は健康状態をチェックしながら走っている。この16ヶ月間、診断ミスによって持病を抱えながらレースを走り、いくつかのレースで勝つことができた。だから回復した今、来シーズンがとても楽しみな自分がいる。ツールは自分の全て。ロードレースの選手に限らず、例えばトラックレーサーにとってもツールは一度は走ってみたい夢の舞台。自分にとってはツールがキャリアの全てであり、自転車に乗り続ける理由もそこにある。

2019年のツールはおよそ6〜7ステージがスプリンター向き。確かに標高のある峠がいくつも設定されているけど、ほとんどのスプリンターがパリにたどり着けなかった2018年よりはチャンスが多い。2018年はスプリンターの身体的な限界を超えていた。

エディ・メルクス(ベルギー)

クライマーのためのツールだ。総合優勝候補の筆頭はフルームで、バルデも候補に名前が挙がる。タイムトライアルが短いので、今秋の調子を発揮することができればピノにもチャンスだ。偉大な才能であるベルナルの存在も忘れてはいけない。

プレゼンテーションに出席したエディ・メルクス、ベルナール・イノー、ミゲル・インデュラインプレゼンテーションに出席したエディ・メルクス、ベルナール・イノー、ミゲル・インデュライン photo:CorVos

text:Kei Tsuji

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