2010/03/15(月) - 16:00
3月14日に行なわれたティレーノ〜アドリアティコ第5ステージは、ゴール前の激坂を制したエンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)が優勝。ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)は下りで落車するトラブルに見舞われながらも、リーダージャージをキープした。
第5ステージは234kmで行なわれる予定だったが、積雪の影響でコース全長は216kmに短縮。しかし今大会の中では有数の山岳コースであることに変わりはなく、大会を通じて最も標高のあるサット・テット(標高1455m)がゴールの55km手前で登場する。
ゴールの2km手前からは平均勾配15%の激坂区間が登場し、その最大勾配は何と20%。この激坂通過後、1kmの平坦路を経てコルムラーノ市街地のゴールに辿り着く。勝負はこのコルムラーノの激坂で決まった。
レース序盤から逃げたのはマルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア)やロジャー・ハモンド(イギリス、サーヴェロ・テストチーム)を含む11名。積極的に山岳ポイントを稼いだドミトロ・グラボフスキー(ウクライナ、ISD・ネーリ)は、チームメイトのディエゴ・カッチャ(イタリア)から山岳賞ジャージを引き継ぐことに成功した。
リーダージャージ擁するアンドローニ・ジョカトーリの周到なコントロールによってタイム差は広がらず、雪に覆われたサット・テットの上りで逃げグループは吸収されてしまう。
しかしこの下り区間でリーダージャージのミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)は、チームメイトのベルタニョッリとセルパとともに落車。スカルポーニは問題なく再スタートを切り、ライバルたちから大きく遅れることなくゴールまで走り切った。
ゴールが近づき、メイン集団から真っ先に仕掛けたのは、フアンホセ・オロス(スペイン、エウスカルテル)。まだプロレースでの勝利数はゼロだが、2007年から2008年にかけてモニュメント全戦(ロンバルディア、サンレモ、フランドル、ルーベ、リエージュ)を完走した唯一のプロ選手だ。
オロスにはエンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)が追いつき、2人でメイン集団を30秒引き離して最後の上りに突入。メイン集団はアックア・エ・サポーネが猛烈な勢いで牽いた。
やがて最大勾配20%の激坂区間で先頭からオロスが脱落し、メイン集団から飛び出したステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)がガスパロットに合流。後方ではカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)とマキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)が飛び出し、上り頂上通過後に先頭2名に追いついた。
ラスト1kmを先頭で通過したのはガスパロット、イグリンスキー、エヴァンス、ガルゼッリ。ここからエヴァンスがロングスパートを図ったが失敗。最後まで後方で待ち続けたガスパロットがスプリントで3名を下し、余裕の両手ガッツポーズでゴールを駆け抜けた。
「激坂を見た時はもうチャンスは無くなったと思った。でも何とか上りを乗り切ると、後方からガルゼッリらが合流。そこから呼吸を整えて最後のスプリントに全てをぶつけたんだ」。スプリント力に定評のあるガスパロットが、山岳コースで勝利した。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュなどのアルデンヌ・クラシックで、ガスパロットはアスタナのエースを担うことになるだろう。
落車による大怪我を免れたスカルポーニは5秒遅れの集団でゴールし、リーダージャージをキープ。総合争いはガルゼッリが10秒遅れ、イグリンスキーが15秒遅れ、エヴァンスが18秒遅れで追う展開だ。残る山岳ステージで、これらのライバルたちはスカルポーニに更なる攻勢を仕掛けてくるだろう。
レース展開と選手コメントはレース公式サイトより。
ティレーノ〜アドリアティコ2010第5ステージ結果
1位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ) 5h32'22"
2位 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
3位 マキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) +05"
6位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
7位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ)
8位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)
9位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
個人総合成績
1位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ) 23h40'44"
2位 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ) +10"
3位 マキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) +15"
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +18"
5位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +27"
6位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア) +29"
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) +31"
9位 レオナルド・ベルタニョッリ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ) +48"
10位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ) +53"
ポイント賞
ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)
山岳賞
ドミトロ・グラボフスキー(ウクライナ、ISD・ネーリ)
新人賞
ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
チーム総合成績
アスタナ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
第5ステージは234kmで行なわれる予定だったが、積雪の影響でコース全長は216kmに短縮。しかし今大会の中では有数の山岳コースであることに変わりはなく、大会を通じて最も標高のあるサット・テット(標高1455m)がゴールの55km手前で登場する。
ゴールの2km手前からは平均勾配15%の激坂区間が登場し、その最大勾配は何と20%。この激坂通過後、1kmの平坦路を経てコルムラーノ市街地のゴールに辿り着く。勝負はこのコルムラーノの激坂で決まった。
レース序盤から逃げたのはマルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア)やロジャー・ハモンド(イギリス、サーヴェロ・テストチーム)を含む11名。積極的に山岳ポイントを稼いだドミトロ・グラボフスキー(ウクライナ、ISD・ネーリ)は、チームメイトのディエゴ・カッチャ(イタリア)から山岳賞ジャージを引き継ぐことに成功した。
リーダージャージ擁するアンドローニ・ジョカトーリの周到なコントロールによってタイム差は広がらず、雪に覆われたサット・テットの上りで逃げグループは吸収されてしまう。
しかしこの下り区間でリーダージャージのミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)は、チームメイトのベルタニョッリとセルパとともに落車。スカルポーニは問題なく再スタートを切り、ライバルたちから大きく遅れることなくゴールまで走り切った。
ゴールが近づき、メイン集団から真っ先に仕掛けたのは、フアンホセ・オロス(スペイン、エウスカルテル)。まだプロレースでの勝利数はゼロだが、2007年から2008年にかけてモニュメント全戦(ロンバルディア、サンレモ、フランドル、ルーベ、リエージュ)を完走した唯一のプロ選手だ。
オロスにはエンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)が追いつき、2人でメイン集団を30秒引き離して最後の上りに突入。メイン集団はアックア・エ・サポーネが猛烈な勢いで牽いた。
やがて最大勾配20%の激坂区間で先頭からオロスが脱落し、メイン集団から飛び出したステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)がガスパロットに合流。後方ではカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)とマキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)が飛び出し、上り頂上通過後に先頭2名に追いついた。
ラスト1kmを先頭で通過したのはガスパロット、イグリンスキー、エヴァンス、ガルゼッリ。ここからエヴァンスがロングスパートを図ったが失敗。最後まで後方で待ち続けたガスパロットがスプリントで3名を下し、余裕の両手ガッツポーズでゴールを駆け抜けた。
「激坂を見た時はもうチャンスは無くなったと思った。でも何とか上りを乗り切ると、後方からガルゼッリらが合流。そこから呼吸を整えて最後のスプリントに全てをぶつけたんだ」。スプリント力に定評のあるガスパロットが、山岳コースで勝利した。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュなどのアルデンヌ・クラシックで、ガスパロットはアスタナのエースを担うことになるだろう。
落車による大怪我を免れたスカルポーニは5秒遅れの集団でゴールし、リーダージャージをキープ。総合争いはガルゼッリが10秒遅れ、イグリンスキーが15秒遅れ、エヴァンスが18秒遅れで追う展開だ。残る山岳ステージで、これらのライバルたちはスカルポーニに更なる攻勢を仕掛けてくるだろう。
レース展開と選手コメントはレース公式サイトより。
ティレーノ〜アドリアティコ2010第5ステージ結果
1位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ) 5h32'22"
2位 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
3位 マキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) +05"
6位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
7位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ)
8位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)
9位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
個人総合成績
1位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ) 23h40'44"
2位 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ) +10"
3位 マキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) +15"
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +18"
5位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +27"
6位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア) +29"
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス) +31"
9位 レオナルド・ベルタニョッリ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ) +48"
10位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ) +53"
ポイント賞
ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)
山岳賞
ドミトロ・グラボフスキー(ウクライナ、ISD・ネーリ)
新人賞
ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
チーム総合成績
アスタナ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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