2018/09/27(木) - 01:52
新チャンピオン誕生。前年度覇者トム・デュムラン(オランダ)に1分21秒差をつける圧倒的な走りを見せたローハン・デニス(オーストラリア)がロード世界選手権男子エリートタイムトライアルで初の栄冠に輝いた。
ロード世界選手権の前半戦を締めくくる男子エリートタイムトライアル。世界最速の称号を得るための戦いは、インスブルックの東に位置するラッテンベルクをスタートした。緩やかに流れるイン川に沿って遡る形となる52.1kmコースの前半30kmはほぼフルフラットだが、後半に入るとロードレースでも使用されるグナーデンヴァルトの登りが登場する。
距離4.9km/平均勾配7.1%/最大勾配14%/高低差350mの本格的な登りをこなし、そこからハイスピードダウンヒルとゆるいアップダウンをこなしてインスブルックに至る。レース時間は1時間オーバー。メリハリの効いた獲得標高差654mのコースに56名のエリートライダーが挑んだ。
ほぼ真っ平らな幹線道路をこなし、第1計測(16.6km)通過時点でトップに立ったのは最後から2番目にスタートしたローハン・デニス(オーストラリア)。平均スピード55.387km/hで平坦区間を駆け抜けたデニスは、第1計測で最終走者トム・デュムラン(オランダ)に8秒84の差をつける。14秒差でトニー・マルティン(ドイツ)、15秒差でヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)が続き、いよいよグナーデンヴァルトの登りに突入した。
TTポジションを維持したまま平均勾配7.1%の登りをこなしたデニスは、1分30秒先にスタートしたヨナタン・カストロビエホ(スペイン)にスピード差をつけてパスしていく。登りの頂上にある第2計測(35.2km)でデニスとデュムランの差は1分01秒まで拡大。デュムランはその後の下りコーナーを目一杯攻める走りで挽回を図ったが、逆にデニスとのタイム差は広がった。
デニスは3分先にスタートした2015年の優勝者ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ)までも追い抜き、すべての計測区間を最速ラップタイムで走ってフィニッシュ。1時間03分02秒、平均スピード49.6km/h。デュムランとカンペナールツに1分21秒差をつける圧勝だった。
「世界チャンピオンになるという夢を叶えることができた。ジュニア時代からずっとこのアルカンシェルを追い求めてきたけど、どのカテゴリーでも獲得できていなかった。初のアルカンシェルがエリートカテゴリーだなんて特別であり、素晴らしい気持ちに包まれている」。デニスは2014年と2015年にチームタイムトライアルで世界チャンピオンに輝いているものの、個人タイムトライアルでは2014年の5位が最高位。初のタイトル獲得に向けて順調に調整を続け、直前のブエルタ・ア・エスパーニャではタイムトライアルで2勝を飾っていた。
「今日はチームカーに乗るブラッド・マクギー監督から指示を受けながら走った。登りを終えた時点でデュムランと1分差がついていると聞いて、とにかく落ち着くように言われた。フィニッシュラインで手を挙げることも考えたけど、トムがフィニッシュするまで確実なものは何もないと思って最後まで追い込んだよ」と語るデニス。2015年に52.491kmのアワーレコードを樹立した際と同程度の出力を発揮したというデニスは、記者会見で数年後に再びアワーレコードに挑戦することを匂わせた。
「妻をはじめ、多くの人々に感謝している。アルカンシェルを着て来シーズンのTTを走るのが今から楽しみだ」。デニスのアルカンシェルデビュー戦は未定。来シーズン、デニスは5年間所属したBMCレーシングを離れてバーレーン・メリダに移籍することを決めている。
苦痛が混じる呆然とした表情で表彰台までゆっくりと向かったのはデュムラン。「今日は上手く走ることができなかった。完璧な状態ではなかったと言うしかない。前半からスムーズな走りができず、しまいにはあちこち攣ってしまった。なんとしてもタイトルを守りたいという気持ちだったけど、今日は自分の日ではなかった」とタイトル防衛を逃したデュムランは落胆の表情を浮かべる。
2年連続でヨーロッパTTチャンピオンに輝いているカンペナールツがデュムランと0秒53差という僅差の3位。初のメダル獲得を果たしたカンペナールツは「トムとローハンを除けば、自分が一番速いと思っていた。完璧に作戦通り走って、最後はデュムランに肉薄するタイムを出すことができたので満足している。世界選手権でのメダル獲得は信じられない気持ち」とコメント。これまでの男子エリートTTにおけるベルギー人選手の歴代最高位は、1994年のエモンズ、2001年のホステ、2008年のデヴォルデルの6位だった。
ロード世界選手権の前半戦を締めくくる男子エリートタイムトライアル。世界最速の称号を得るための戦いは、インスブルックの東に位置するラッテンベルクをスタートした。緩やかに流れるイン川に沿って遡る形となる52.1kmコースの前半30kmはほぼフルフラットだが、後半に入るとロードレースでも使用されるグナーデンヴァルトの登りが登場する。
距離4.9km/平均勾配7.1%/最大勾配14%/高低差350mの本格的な登りをこなし、そこからハイスピードダウンヒルとゆるいアップダウンをこなしてインスブルックに至る。レース時間は1時間オーバー。メリハリの効いた獲得標高差654mのコースに56名のエリートライダーが挑んだ。
ほぼ真っ平らな幹線道路をこなし、第1計測(16.6km)通過時点でトップに立ったのは最後から2番目にスタートしたローハン・デニス(オーストラリア)。平均スピード55.387km/hで平坦区間を駆け抜けたデニスは、第1計測で最終走者トム・デュムラン(オランダ)に8秒84の差をつける。14秒差でトニー・マルティン(ドイツ)、15秒差でヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)が続き、いよいよグナーデンヴァルトの登りに突入した。
TTポジションを維持したまま平均勾配7.1%の登りをこなしたデニスは、1分30秒先にスタートしたヨナタン・カストロビエホ(スペイン)にスピード差をつけてパスしていく。登りの頂上にある第2計測(35.2km)でデニスとデュムランの差は1分01秒まで拡大。デュムランはその後の下りコーナーを目一杯攻める走りで挽回を図ったが、逆にデニスとのタイム差は広がった。
デニスは3分先にスタートした2015年の優勝者ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ)までも追い抜き、すべての計測区間を最速ラップタイムで走ってフィニッシュ。1時間03分02秒、平均スピード49.6km/h。デュムランとカンペナールツに1分21秒差をつける圧勝だった。
「世界チャンピオンになるという夢を叶えることができた。ジュニア時代からずっとこのアルカンシェルを追い求めてきたけど、どのカテゴリーでも獲得できていなかった。初のアルカンシェルがエリートカテゴリーだなんて特別であり、素晴らしい気持ちに包まれている」。デニスは2014年と2015年にチームタイムトライアルで世界チャンピオンに輝いているものの、個人タイムトライアルでは2014年の5位が最高位。初のタイトル獲得に向けて順調に調整を続け、直前のブエルタ・ア・エスパーニャではタイムトライアルで2勝を飾っていた。
「今日はチームカーに乗るブラッド・マクギー監督から指示を受けながら走った。登りを終えた時点でデュムランと1分差がついていると聞いて、とにかく落ち着くように言われた。フィニッシュラインで手を挙げることも考えたけど、トムがフィニッシュするまで確実なものは何もないと思って最後まで追い込んだよ」と語るデニス。2015年に52.491kmのアワーレコードを樹立した際と同程度の出力を発揮したというデニスは、記者会見で数年後に再びアワーレコードに挑戦することを匂わせた。
「妻をはじめ、多くの人々に感謝している。アルカンシェルを着て来シーズンのTTを走るのが今から楽しみだ」。デニスのアルカンシェルデビュー戦は未定。来シーズン、デニスは5年間所属したBMCレーシングを離れてバーレーン・メリダに移籍することを決めている。
苦痛が混じる呆然とした表情で表彰台までゆっくりと向かったのはデュムラン。「今日は上手く走ることができなかった。完璧な状態ではなかったと言うしかない。前半からスムーズな走りができず、しまいにはあちこち攣ってしまった。なんとしてもタイトルを守りたいという気持ちだったけど、今日は自分の日ではなかった」とタイトル防衛を逃したデュムランは落胆の表情を浮かべる。
2年連続でヨーロッパTTチャンピオンに輝いているカンペナールツがデュムランと0秒53差という僅差の3位。初のメダル獲得を果たしたカンペナールツは「トムとローハンを除けば、自分が一番速いと思っていた。完璧に作戦通り走って、最後はデュムランに肉薄するタイムを出すことができたので満足している。世界選手権でのメダル獲得は信じられない気持ち」とコメント。これまでの男子エリートTTにおけるベルギー人選手の歴代最高位は、1994年のエモンズ、2001年のホステ、2008年のデヴォルデルの6位だった。
ロード世界選手権2018男子エリートタイムトライアル結果
順位 | 選手名 | タイム |
---|---|---|
1位 | ローハン・デニス(オーストラリア) | 1:03:02.57 |
2位 | トム・デュムラン(オランダ) | +1:21.09 |
3位 | ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー) | +1:21.62 |
4位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド) | +2:04.58 |
5位 | ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル) | +2:14.34 |
6位 | ヨナタン・カストロビエホ(スペイン) | +2:17.53 |
7位 | トニー・マルティン(ドイツ) | +2:25.23 |
8位 | パトリック・ベヴィン(ニュージーランド) | +2:34.78 |
9位 | ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ) | +3:07.54 |
10位 | マルティントフト・マドセン(デンマーク) | +3:23.39 |
11位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ) | +3:39.95 |
12位 | シュテファン・キュング(スイス) | +3:44.23 |
13位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン) | +4:07.98 |
14位 | ヤン・バルタ(チェコ) | +4:08.15 |
15位 | ジョセフ・ロスコフ(アメリカ) | +4:20.09 |
16位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ) | +4:21.09 |
17位 | マチェイ・ボドナル(ポーランド) | +4:22.47 |
18位 | ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク) | +4:28.86 |
19位 | ヨス・ファンエムデン(オランダ) | +4:33.61 |
20位 | バンジャマン・トマ(フランス) | +4:44.96 |
text&photo:Kei Tsuji in Innsbruck, Austria