2018/08/15(水) - 15:16
7月末に開催されたウィリエールの2019モデル展示会をレポート。ツールに合わせて投入されたエアロロードCento10 PROや、新作のレーシングバイクCento1 NDR、TTバイクのTurbine、アドベンチャーロードのJENAなどがお披露目された。
イタリアの総合バイクブランド、ウィリエール・トリエスティーナ。今シーズンよりプロコンチネンタルチームのディレクトエネルジーに機材供給を行い、ツール・ド・フランスでもシルヴァン・シャヴァネル(フランス)を始めとする各選手らの積極的な走りをサポートした。合わせてフィリッポ・ポッツァート(イタリア)擁するウィリエール・トリエスティーナ・セッレイタリアもサポートチームであり、プロ選手とともにハイパフォーマンスなレースバイクの開発を長年続けてきた。
そんなウィリエールの2019モデル展示会が7月末、東京のイタリア文化会館にて開催された。今回はイタリア本国から市場調査も兼ねてCEOのアンドレア・ガスタルデッロ氏も来場し、メディアや販売店との交流を図った。
注目が集まったのはやはり、今年のツール・ド・フランスよりレース投入されたフラッグシップエアロロード「Cento10 PRO」だろう。従来のCento10 Airをベースにカーボンレイアップを変更し、重量はそのままにプロ選手の要求を反映した剛性アップを図ったプロスペックモデルに仕上がる。より反応性とパワー伝達性に優れた戦闘力の高いバイクとして、レースで活躍する走りを見せてくれること間違いなし。
ディレクトエネルジーがツールで駆ったイエローカラーは市販もされるため、プロレースファンは要チェックだ。今回は展示されなかったものの、ディスクブレーキモデルも販売される。付属する専用ハンドルとステムの「ステンマ+バッラ」を使用することでケーブルのフル内装を可能にし、よりスタイリッシュなルックスを実現してくれる。
トップモデルのCento10 PROが登場したことで、既存のCento10 Airは「Cento10 Elite」とモデル名を変更しセカンドグレードとして展開されることに。今回のツールでも硬すぎるフレーム剛性を必要としないステージではPROではなくEliteグレードのバイクを選択したライダーもいたようだ。また昨年モデルではカーボングレードに応じた2車種で展開されたレーシングモデル「Cento1 Air」は、60Tカーボンモデルに統一されより手に取りやすい価格にて販売される。
同じく今夏発表となったTTバイク「Turbine(ターバイン)」もお披露目。ディスクブレーキ専用に開発されたとあり、複雑なギミックになりがちなブレーキまわりの造形もシンプルに。ヒンジタイプのフォークや専用のコックピットパーツなどがいかにもエアロマシン感を醸し出しており、所有欲も大いに満たしてくれるだろう。各パーツポジションの細かな調整やエアロバーの分割機構、専用のハイドレーションシステムも備えトライアスロンバイクとしても使い勝手に優れたバイクとなっている。
”ニューデュアルレーシング”の頭文字を取って名付けられたNDRシリーズには、新作の「Cento1 NDR」が登場。2013~2017モデルでラインアップされていたCento1 SRの後継機とも言えるモデルで、プロ選手ではなく実際のユーザーの要望を形にし、レーシングな走りと使い勝手に優れたスペックを備え開発されたバイクになる。
リム/ディスクブレーキ両対応のフレーム設計が大きな特徴で、フレームエンドのパーツを交換するだけでスルーアクスル化可能など、好みのスタイルに変更してライドを楽しめる1台だ。エアロ効果の高いチューブ形状をフォークやダウンチューブに採用しつつ、弧を描くようにカーブさせた極細のシートステーが振動吸収性を強化し、長距離を速く走り切るための走行性能を獲得している。
軽量オールラウンドモデルのZeroシリーズは、フレーム重量600g台の超軽量プレミアムモデル「Zero.6」、剛性バランスを高めた700g台の「Zero.7」、パワーを受け止め高い反応性を発揮する900g台の「Zero.9」という3モデル展開に変更はない。シンプルなフレームワークの中にもウィリエールらしさを感じるデザインで、アップダウンの多いレースやロングライドで大いに活躍するバイクとなるだろう。
ウィリエールのベストセラーバイク「GranTurismo R Team(グランツーリズモRチーム)」にはディスクブレーキモデルが追加。カーボングレードを落としたスパルタン過ぎない性能で、幅広いレベルの人が楽しめる乗り味に仕上がるバイクだ。ディスクブレーキ化の流れは2019モデルでミドルグレードまで波及し、老舗ブランドもマーケットのトレンドを敏感に察知している様子が窺える。
ロードラインアップの幅を広げるクロモリバイクも新規登場予定だ。コロンバス製のオーバーサイズチューブにカーボンフォークを合わせたレーシングモデル「Gastaldello(ガスタルデッロ)」と、ラグドスチールフレームを採用しクラシカルな見た目に仕上がる「Zaffiro(ザフィーロ)」の2車種が揃う。
昨今の北米でのグラベルライド熱を受け、マルチユースのアドベンチャーロード「JENA(ジェナ)」も新登場。700Cホイールで最大42mm、650Bホイールで最大1.95インチ幅のタイヤクリアランスを備え、ワイドタイヤによる高い走破性を実現している。フルカーボンフレームによる軽く機敏な走行性能を楽しみつつ、ダボ穴を随所に設け拡張性にも優れた1台に仕上がる。
最後に、展示会に合わせ来日を果たしたアンドレア・ガスタルデッロCEOへのインタビューをお届けしよう。
ウィリエール・トリエスティーナCEO アンドレア・ガスタルデッロ氏インタビュー
― 今年のツール・ド・フランスはブランドとしていかがでしたか
ウィリエールバイクを使用したディレクトエネルジーはよく活躍してくれましたね。シルヴァン・シャヴァネルやリリアン・カルメジャーヌを始め、多くのステージで積極的にプロトン先頭でレースを展開する姿が見れたと思います。Cento10 PROやそのチームカラー、はたまたウィリエール・トリエスティーナに伝統的なラマートカラーなど、ウィリエールの新製品を世界中にアピールすることができました。ブランドとしても良いツールでしたね。
― ディレクトエネルジーの選手はバイクについてどんな印象でしたか
レースに投入したCento10 PROとTurbineは選手からも好評ですね。Turbineは3月のパリ~ニースからプロトタイプを使用してもらっていました。ウィリエールのカーボンバイクは軽く剛性も高く満足なパフォーマンスを発揮できると選手らも言っており、来季も同様にこの2台を中心に戦っていきます。またカルメジャーヌは山岳ステージでZero.6を選択。選手の好みに合わせてバイクを使い分けており、いずれのステージでも素晴らしい走りを見せてくれましたね。
― 昨今のディスクブレーキ化の流れをどう感じていますか
まず、今回のツールでも多くのステージでディスクブレーキ仕様のCento10 PROを選手が使用してくれました。将来的にはもっともっとディスクブレーキが広がっていくことと思います。現在すでにヨーロッパで売れているウィリエールバイクの60%がディスクブレーキモデル。今後はよりディスクブレーキバイクの開発に力を入れていかなければならないと考えています。
さらに我々はより軽量なディスクブレーキバイクも発売予定です。この新世代のブレーキシステムをより効果的にプロモーションしていきたいですね。雨天でもカーボンリムでも安全なこのブレーキは、マーケットにとってもライダーにとっても良い効果をもたらしてくれることでしょう。
― E-BIKE市場の広がりをどう見ますか
ここ5年でE-BIKEは爆発的な成長を遂げ、毎年2倍、2倍と市場規模は増え続けています。ヨーロッパ市場はとても大きく、ショップに行ってE-BIKEが並んでない店舗はほとんどなくなりました。もはや購入される自転車の40%はE-BIKEになったほどです。
今はE-コミューターバイクが主流で、E-ロードバイクはまだまだこれから伸びていくカテゴリーでしょう。ただすごい勢いで成長しており、より軽くハイパフォーマンスなE-BIKEも求められるようになりました。そんな中、ウィリエールの新作として発表したE-ロードバイク「Cento1 Hybrid」(国内展開未定)はすでにヨーロッパ各国から高い評価を受けており、ブランドとしても今後力を入れていきたい考えです。
text&photo:Yuto.Murata
イタリアの総合バイクブランド、ウィリエール・トリエスティーナ。今シーズンよりプロコンチネンタルチームのディレクトエネルジーに機材供給を行い、ツール・ド・フランスでもシルヴァン・シャヴァネル(フランス)を始めとする各選手らの積極的な走りをサポートした。合わせてフィリッポ・ポッツァート(イタリア)擁するウィリエール・トリエスティーナ・セッレイタリアもサポートチームであり、プロ選手とともにハイパフォーマンスなレースバイクの開発を長年続けてきた。
そんなウィリエールの2019モデル展示会が7月末、東京のイタリア文化会館にて開催された。今回はイタリア本国から市場調査も兼ねてCEOのアンドレア・ガスタルデッロ氏も来場し、メディアや販売店との交流を図った。
注目が集まったのはやはり、今年のツール・ド・フランスよりレース投入されたフラッグシップエアロロード「Cento10 PRO」だろう。従来のCento10 Airをベースにカーボンレイアップを変更し、重量はそのままにプロ選手の要求を反映した剛性アップを図ったプロスペックモデルに仕上がる。より反応性とパワー伝達性に優れた戦闘力の高いバイクとして、レースで活躍する走りを見せてくれること間違いなし。
ディレクトエネルジーがツールで駆ったイエローカラーは市販もされるため、プロレースファンは要チェックだ。今回は展示されなかったものの、ディスクブレーキモデルも販売される。付属する専用ハンドルとステムの「ステンマ+バッラ」を使用することでケーブルのフル内装を可能にし、よりスタイリッシュなルックスを実現してくれる。
トップモデルのCento10 PROが登場したことで、既存のCento10 Airは「Cento10 Elite」とモデル名を変更しセカンドグレードとして展開されることに。今回のツールでも硬すぎるフレーム剛性を必要としないステージではPROではなくEliteグレードのバイクを選択したライダーもいたようだ。また昨年モデルではカーボングレードに応じた2車種で展開されたレーシングモデル「Cento1 Air」は、60Tカーボンモデルに統一されより手に取りやすい価格にて販売される。
同じく今夏発表となったTTバイク「Turbine(ターバイン)」もお披露目。ディスクブレーキ専用に開発されたとあり、複雑なギミックになりがちなブレーキまわりの造形もシンプルに。ヒンジタイプのフォークや専用のコックピットパーツなどがいかにもエアロマシン感を醸し出しており、所有欲も大いに満たしてくれるだろう。各パーツポジションの細かな調整やエアロバーの分割機構、専用のハイドレーションシステムも備えトライアスロンバイクとしても使い勝手に優れたバイクとなっている。
”ニューデュアルレーシング”の頭文字を取って名付けられたNDRシリーズには、新作の「Cento1 NDR」が登場。2013~2017モデルでラインアップされていたCento1 SRの後継機とも言えるモデルで、プロ選手ではなく実際のユーザーの要望を形にし、レーシングな走りと使い勝手に優れたスペックを備え開発されたバイクになる。
リム/ディスクブレーキ両対応のフレーム設計が大きな特徴で、フレームエンドのパーツを交換するだけでスルーアクスル化可能など、好みのスタイルに変更してライドを楽しめる1台だ。エアロ効果の高いチューブ形状をフォークやダウンチューブに採用しつつ、弧を描くようにカーブさせた極細のシートステーが振動吸収性を強化し、長距離を速く走り切るための走行性能を獲得している。
軽量オールラウンドモデルのZeroシリーズは、フレーム重量600g台の超軽量プレミアムモデル「Zero.6」、剛性バランスを高めた700g台の「Zero.7」、パワーを受け止め高い反応性を発揮する900g台の「Zero.9」という3モデル展開に変更はない。シンプルなフレームワークの中にもウィリエールらしさを感じるデザインで、アップダウンの多いレースやロングライドで大いに活躍するバイクとなるだろう。
ウィリエールのベストセラーバイク「GranTurismo R Team(グランツーリズモRチーム)」にはディスクブレーキモデルが追加。カーボングレードを落としたスパルタン過ぎない性能で、幅広いレベルの人が楽しめる乗り味に仕上がるバイクだ。ディスクブレーキ化の流れは2019モデルでミドルグレードまで波及し、老舗ブランドもマーケットのトレンドを敏感に察知している様子が窺える。
ロードラインアップの幅を広げるクロモリバイクも新規登場予定だ。コロンバス製のオーバーサイズチューブにカーボンフォークを合わせたレーシングモデル「Gastaldello(ガスタルデッロ)」と、ラグドスチールフレームを採用しクラシカルな見た目に仕上がる「Zaffiro(ザフィーロ)」の2車種が揃う。
昨今の北米でのグラベルライド熱を受け、マルチユースのアドベンチャーロード「JENA(ジェナ)」も新登場。700Cホイールで最大42mm、650Bホイールで最大1.95インチ幅のタイヤクリアランスを備え、ワイドタイヤによる高い走破性を実現している。フルカーボンフレームによる軽く機敏な走行性能を楽しみつつ、ダボ穴を随所に設け拡張性にも優れた1台に仕上がる。
最後に、展示会に合わせ来日を果たしたアンドレア・ガスタルデッロCEOへのインタビューをお届けしよう。
ウィリエール・トリエスティーナCEO アンドレア・ガスタルデッロ氏インタビュー
― 今年のツール・ド・フランスはブランドとしていかがでしたか
ウィリエールバイクを使用したディレクトエネルジーはよく活躍してくれましたね。シルヴァン・シャヴァネルやリリアン・カルメジャーヌを始め、多くのステージで積極的にプロトン先頭でレースを展開する姿が見れたと思います。Cento10 PROやそのチームカラー、はたまたウィリエール・トリエスティーナに伝統的なラマートカラーなど、ウィリエールの新製品を世界中にアピールすることができました。ブランドとしても良いツールでしたね。
― ディレクトエネルジーの選手はバイクについてどんな印象でしたか
レースに投入したCento10 PROとTurbineは選手からも好評ですね。Turbineは3月のパリ~ニースからプロトタイプを使用してもらっていました。ウィリエールのカーボンバイクは軽く剛性も高く満足なパフォーマンスを発揮できると選手らも言っており、来季も同様にこの2台を中心に戦っていきます。またカルメジャーヌは山岳ステージでZero.6を選択。選手の好みに合わせてバイクを使い分けており、いずれのステージでも素晴らしい走りを見せてくれましたね。
― 昨今のディスクブレーキ化の流れをどう感じていますか
まず、今回のツールでも多くのステージでディスクブレーキ仕様のCento10 PROを選手が使用してくれました。将来的にはもっともっとディスクブレーキが広がっていくことと思います。現在すでにヨーロッパで売れているウィリエールバイクの60%がディスクブレーキモデル。今後はよりディスクブレーキバイクの開発に力を入れていかなければならないと考えています。
さらに我々はより軽量なディスクブレーキバイクも発売予定です。この新世代のブレーキシステムをより効果的にプロモーションしていきたいですね。雨天でもカーボンリムでも安全なこのブレーキは、マーケットにとってもライダーにとっても良い効果をもたらしてくれることでしょう。
― E-BIKE市場の広がりをどう見ますか
ここ5年でE-BIKEは爆発的な成長を遂げ、毎年2倍、2倍と市場規模は増え続けています。ヨーロッパ市場はとても大きく、ショップに行ってE-BIKEが並んでない店舗はほとんどなくなりました。もはや購入される自転車の40%はE-BIKEになったほどです。
今はE-コミューターバイクが主流で、E-ロードバイクはまだまだこれから伸びていくカテゴリーでしょう。ただすごい勢いで成長しており、より軽くハイパフォーマンスなE-BIKEも求められるようになりました。そんな中、ウィリエールの新作として発表したE-ロードバイク「Cento1 Hybrid」(国内展開未定)はすでにヨーロッパ各国から高い評価を受けており、ブランドとしても今後力を入れていきたい考えです。
text&photo:Yuto.Murata
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