2018/07/30(月) - 10:25
ツール・ド・フランスが閉幕。シャンゼリゼで夢のステージ優勝を飾ったクリストフをはじめ、敗れたデゲンコルプやデマール、そして総合表彰台に登ったトーマス、デュムラン、フルームら、第105回大会を戦い抜いた勇者たちのコメントを紹介します。
ステージ1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
ロベルト・フェラーリのサポートを受けてデゲンコルプの番手につけ、ちょうど良いタイミングでスプリントに持ち込めた。残り20mの時点で今日は勝ったと思ったよ。散々だった春のクラシックキャンペーンの埋め合わせとなる素晴らしい勝利になった。次なる目標であるヨーロッパ選手権のタイトル防衛に向けて勢いづく勝利。このヨーロッパチャンピオンジャージでシャンゼリゼを制することができて本当によかった。
前半ステージではグライペルやキッテル、カヴェンディッシュ、ガビリア、フルーネウェーヘンに勝てない日々が続いたものの、彼らはもうリタイアしてしまっている。近年の傾向として、ピュアスプリンターたちはクリテリウム・デュ・ドーフィネやツール・ド・スイスのような山岳の厳しいステージレースではなくもっとイージーなステージレースでツールに向けて最終調整しているような印象を受ける。もちろん自分も獲得標高差が5,000mを超えるような厳しいステージで史上最高に苦しんだけど、登りの力を落とさないよう調整していたおかげで乗り切ることができた。
山岳を乗り越えたおかげで、昔からずっと夢だったシャンゼリゼで勝利。このシャンゼリゼはまるでスプリンターにとっての世界選手権のようなもの。ミラノ〜サンレモとロンド・ファン・フラーンデレンを除くと、これは間違いなくキャリア最高の勝利だ。最後にツールでステージ優勝してから4年が経ったけど、また勝てるとずっと信じていた。
ステージ2位 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)
チームは自分のために全力を出してくれた。最終コーナーを完璧なポジションで曲がり、ジャスパー・ストゥイヴェンの後ろからスプリントを開始。ジャスパーのリードアウトはまさに完璧だった。自分も勝利を狙うことのできる彼が自分のために100%働いてくれたことをとても感謝している。
今日はアレックス(クリストフ)のほうが速かった。それは受け入れないといけない事実。アレックスは素晴らしいチャンピオンであり、自分は何もミスを犯していないので悔やんでいない。
ステージ3位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
絶好のチャンスを逃してしまった。残り250mの時点では勝てると思っていただけにとても残念だ。勝利を逃したものの、チームの働きは申し分なかったよ。山岳ステージを苦しみながらも乗り越えて、ステージ1勝を飾って、無事にツールを完走したことを嬉しく思う。でも今日は本当に惜しかった。
マイヨヴェール ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
チームを誇りに思う。辛い時も嬉しい時も、いつでもチームは力強くサポートしてくれた。ステージ優勝の裏には常にチームメイトたちの存在があった。そして彼らの働きのおかげで、こうしてマイヨヴェールを着てパリの表彰台に上っている。
(第17ステージで)落車した時、どこも骨折せずに済んで本当に良かったと思う。落車が起こったのが後半のステージだったことも幸いした。もし前半のステージで落車していたら、もっと長い間ずっと苦しまなければならなかったから。どんな時でもポジティブに(前向きに)物事を捉えるようにしていて、そのおかげでパリにたどり着くことができた。
マイヨヴェールを守るために全力を尽くしたよ。自分のような(ピュアスプリンターではない)選手にとって、パリの表彰台に立てる唯一のチャンスがマイヨヴェールだから。
総合優勝 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
今まで経験したことがないほど厳しい3週間が終わった。石畳を含む前半ステージを終えた時点で手応えをつかんでいて、それから毎日コツコツと、パニックにならないようリラックスして走り続けた。これは結婚と並ぶ人生のハイライトだ。ここ数年ずっとグランツールで総合争いに加われるようトレーニングを積んで、ずっとタイミングを待っていた。長年の献身が報われたよ。
集中力が削がれないように数日前に停止していたツイッターを昨日久しぶりに開いた。この数日間連日送られてくる激励のメッセージの数は信じられないほど多かった。今夜は過酷なレースをともに戦い抜いたチームメイトたちと勝利を祝いたい。総合優勝の実感が湧いてくるのは明日以降になると思う。
総合2位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)
開幕前からもちろん総合表彰台を視野に入れていたけど、その一方で、ジロとツールの連戦が予期せぬ不調を招くのではないかという不安もあった。精神的にナーバスになった時もあったけど、結果は総合2位とステージ1勝という悪くないものだった。自分の走りにはとても満足している。
総合3位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)
ゲラント・トーマスと一緒に総合表彰台に登るのは素晴らしい気持ちだった。彼とはかれこれ10年以上チームメイトであり、深い友人関係を築いている。一緒にこんな高みにまで来ることができた。今回のツールは今まで経験したことがない感情の連続だった。この表彰台に登るための戦いも熾烈だった。
過去7年間のツールで6勝目という素晴らしい結果を残したチームスカイを誇りに思う。これからしばらく休養期間に入るよ。第二子の出産が控えている妻の元に今すぐ駆けつけて、新しい命が誕生する奇跡を分かち合いたい。
マイヨアポワ ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)
言葉が出てこないし、誇り高い気持ちに包まれている。開幕の時点からマイヨアポワを狙っていたわけじゃない。山岳ステージで優勝を飾って気持ちが楽になり、それから毎日リラックスして山岳賞のために動いたんだ。このツール・ド・フランスは間違いなく自分のキャリアのターニングポイントになる。
マイヨブラン ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)
シャンゼリゼの表彰台でマイヨブランを受け取るのは素晴らしい気持ちだった。昨年は骨盤を骨折しながらの完走だったので、今日は最終日を楽しむことができたよ。アージェードゥーゼールはメンバー3名を失いながらも集中力を絶やさず諦めずに戦い続けた。最初からマイヨブランを狙っていたわけじゃないよ。出来る限り長くロマン・バルデと一緒に走ってアシストするという役割をこなしているうちに手元にやってきたんだ。
チームスカイのニコラ・ポルタル監督
チームスカイにとってスーパーハードなツールが終わった。メンバーは賞賛に値する走りをしたと思う。彼らを限界を押し上げるような走りを見せてくれた。ピレネーでクリス(フルーム)が遅れたものの、それから彼はアシストとしてゲラント(トーマス)を支え、そして総合表彰台に舞い戻るというチャンピオンの走りを見せた。ゲラントは常に安定していて、ツールのボスに相応しい走りだった。
総合敢闘賞 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)
凱旋門を背にしたシャンゼリゼの表彰台に登るなんて、魔法にかかったみたいだった。ツールを完走するだけでスペシャルなのに、今日はより一層特別なものになった。閉幕してしまうのが寂しい。来年のツールが今から楽しみだ。
不運な落車やトラブルの影響で総合順位を落としてしまったものの、運を味方につけて完璧なパフォーマンスを発揮すれば総合表彰台は可能だと実感した。集団の位置取りやタイミングから学ぶことがまだまだある。いつの日か総合表彰台に登るための戦いはこれからも続く。
text:Kei Tsuji in Paris, France
ステージ1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
ロベルト・フェラーリのサポートを受けてデゲンコルプの番手につけ、ちょうど良いタイミングでスプリントに持ち込めた。残り20mの時点で今日は勝ったと思ったよ。散々だった春のクラシックキャンペーンの埋め合わせとなる素晴らしい勝利になった。次なる目標であるヨーロッパ選手権のタイトル防衛に向けて勢いづく勝利。このヨーロッパチャンピオンジャージでシャンゼリゼを制することができて本当によかった。
前半ステージではグライペルやキッテル、カヴェンディッシュ、ガビリア、フルーネウェーヘンに勝てない日々が続いたものの、彼らはもうリタイアしてしまっている。近年の傾向として、ピュアスプリンターたちはクリテリウム・デュ・ドーフィネやツール・ド・スイスのような山岳の厳しいステージレースではなくもっとイージーなステージレースでツールに向けて最終調整しているような印象を受ける。もちろん自分も獲得標高差が5,000mを超えるような厳しいステージで史上最高に苦しんだけど、登りの力を落とさないよう調整していたおかげで乗り切ることができた。
山岳を乗り越えたおかげで、昔からずっと夢だったシャンゼリゼで勝利。このシャンゼリゼはまるでスプリンターにとっての世界選手権のようなもの。ミラノ〜サンレモとロンド・ファン・フラーンデレンを除くと、これは間違いなくキャリア最高の勝利だ。最後にツールでステージ優勝してから4年が経ったけど、また勝てるとずっと信じていた。
ステージ2位 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)
チームは自分のために全力を出してくれた。最終コーナーを完璧なポジションで曲がり、ジャスパー・ストゥイヴェンの後ろからスプリントを開始。ジャスパーのリードアウトはまさに完璧だった。自分も勝利を狙うことのできる彼が自分のために100%働いてくれたことをとても感謝している。
今日はアレックス(クリストフ)のほうが速かった。それは受け入れないといけない事実。アレックスは素晴らしいチャンピオンであり、自分は何もミスを犯していないので悔やんでいない。
ステージ3位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
絶好のチャンスを逃してしまった。残り250mの時点では勝てると思っていただけにとても残念だ。勝利を逃したものの、チームの働きは申し分なかったよ。山岳ステージを苦しみながらも乗り越えて、ステージ1勝を飾って、無事にツールを完走したことを嬉しく思う。でも今日は本当に惜しかった。
マイヨヴェール ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
チームを誇りに思う。辛い時も嬉しい時も、いつでもチームは力強くサポートしてくれた。ステージ優勝の裏には常にチームメイトたちの存在があった。そして彼らの働きのおかげで、こうしてマイヨヴェールを着てパリの表彰台に上っている。
(第17ステージで)落車した時、どこも骨折せずに済んで本当に良かったと思う。落車が起こったのが後半のステージだったことも幸いした。もし前半のステージで落車していたら、もっと長い間ずっと苦しまなければならなかったから。どんな時でもポジティブに(前向きに)物事を捉えるようにしていて、そのおかげでパリにたどり着くことができた。
マイヨヴェールを守るために全力を尽くしたよ。自分のような(ピュアスプリンターではない)選手にとって、パリの表彰台に立てる唯一のチャンスがマイヨヴェールだから。
総合優勝 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
今まで経験したことがないほど厳しい3週間が終わった。石畳を含む前半ステージを終えた時点で手応えをつかんでいて、それから毎日コツコツと、パニックにならないようリラックスして走り続けた。これは結婚と並ぶ人生のハイライトだ。ここ数年ずっとグランツールで総合争いに加われるようトレーニングを積んで、ずっとタイミングを待っていた。長年の献身が報われたよ。
集中力が削がれないように数日前に停止していたツイッターを昨日久しぶりに開いた。この数日間連日送られてくる激励のメッセージの数は信じられないほど多かった。今夜は過酷なレースをともに戦い抜いたチームメイトたちと勝利を祝いたい。総合優勝の実感が湧いてくるのは明日以降になると思う。
総合2位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)
開幕前からもちろん総合表彰台を視野に入れていたけど、その一方で、ジロとツールの連戦が予期せぬ不調を招くのではないかという不安もあった。精神的にナーバスになった時もあったけど、結果は総合2位とステージ1勝という悪くないものだった。自分の走りにはとても満足している。
総合3位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)
ゲラント・トーマスと一緒に総合表彰台に登るのは素晴らしい気持ちだった。彼とはかれこれ10年以上チームメイトであり、深い友人関係を築いている。一緒にこんな高みにまで来ることができた。今回のツールは今まで経験したことがない感情の連続だった。この表彰台に登るための戦いも熾烈だった。
過去7年間のツールで6勝目という素晴らしい結果を残したチームスカイを誇りに思う。これからしばらく休養期間に入るよ。第二子の出産が控えている妻の元に今すぐ駆けつけて、新しい命が誕生する奇跡を分かち合いたい。
マイヨアポワ ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)
言葉が出てこないし、誇り高い気持ちに包まれている。開幕の時点からマイヨアポワを狙っていたわけじゃない。山岳ステージで優勝を飾って気持ちが楽になり、それから毎日リラックスして山岳賞のために動いたんだ。このツール・ド・フランスは間違いなく自分のキャリアのターニングポイントになる。
マイヨブラン ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)
シャンゼリゼの表彰台でマイヨブランを受け取るのは素晴らしい気持ちだった。昨年は骨盤を骨折しながらの完走だったので、今日は最終日を楽しむことができたよ。アージェードゥーゼールはメンバー3名を失いながらも集中力を絶やさず諦めずに戦い続けた。最初からマイヨブランを狙っていたわけじゃないよ。出来る限り長くロマン・バルデと一緒に走ってアシストするという役割をこなしているうちに手元にやってきたんだ。
チームスカイのニコラ・ポルタル監督
チームスカイにとってスーパーハードなツールが終わった。メンバーは賞賛に値する走りをしたと思う。彼らを限界を押し上げるような走りを見せてくれた。ピレネーでクリス(フルーム)が遅れたものの、それから彼はアシストとしてゲラント(トーマス)を支え、そして総合表彰台に舞い戻るというチャンピオンの走りを見せた。ゲラントは常に安定していて、ツールのボスに相応しい走りだった。
総合敢闘賞 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)
凱旋門を背にしたシャンゼリゼの表彰台に登るなんて、魔法にかかったみたいだった。ツールを完走するだけでスペシャルなのに、今日はより一層特別なものになった。閉幕してしまうのが寂しい。来年のツールが今から楽しみだ。
不運な落車やトラブルの影響で総合順位を落としてしまったものの、運を味方につけて完璧なパフォーマンスを発揮すれば総合表彰台は可能だと実感した。集団の位置取りやタイミングから学ぶことがまだまだある。いつの日か総合表彰台に登るための戦いはこれからも続く。
text:Kei Tsuji in Paris, France
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