2018/07/30(月) - 05:26
パリのシャンゼリゼ通りで繰り広げられた最終スプリントでアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)が勝利。安全に完走を果たしたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が第105代ツール・ド・フランス総合優勝者に輝いた。
フレンチバスク地方での最終個人タイムトライアルを走った選手たちが、最終日当日の朝、チャーター機でパリに到着。800kmの陸路移動を終えたばかりのチームバスやチームカーとともに、145名の選手たちがパリ郊外のウイユを16時20分にスタートした。
グランツール最終日のロードステージはマイヨジョーヌの凱旋レースという意味合いが強く、前日に総合優勝の栄冠を実質的に手にしたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)を先頭にパレード走行が始まる。真っ黄色のピナレロドグマF10に乗って、特製のチームジャージに身を包んだチームメイトたちを従えて、第105代ツール覇者のトーマスが花の都パリに向けて走り出した。
パリ郊外をぐるっとスローペースで走った選手たちが、チームスカイを先頭にして、午後6時すぎにシャンゼリゼ周回コースにやってきた。今シーズン限りでの引退を表明しているシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)が単独で飛び出し、史上最多18回目の出場となるツールを祝福するようにしばらく独走。そこから選手たちは凱旋門の周回道路を含む6.8km周回コースを8周する。
チームスカイによるパレード走行が終わると、いよいよ栄誉あるシャンゼリゼ優勝をかけた争いが始まる。石畳が敷かれたシャンゼリゼ通りで飛び出したのはシルヴァン・ディリエ(スイス、アージェードゥーゼール)、テイラー・フィニー(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ミヒャエル・シェアー(スイス、BMCレーシング)、ダミアン・ゴダン(フランス、ディレクトエネルジー)、ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)、ギヨーム・ヴァンケイルスブルク(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)という大柄なルーラーたち。石畳クラシックで成績を残している6名がフィニッシュまで52kmを残してメイン集団を引き離し始めた。
集団スプリントが通例となっているが、稀に逃げ切りが決まることもあるシャンゼリゼ周回コース。特に2018年は多くのピュアスプリンターがすでにリタイアし、スプリンターチームの力も弱まっている状態。逃げ切りに向けて40秒のリードを稼ぎ出した先頭6名を、グルパマFDJとボーラ・ハンスグローエの2チームが追いかける。
一時的にフィニーがメカトラで脱落するも、ローテーションを回して逃げ続けた6名。しかしスプリンターチームの追撃を振り切ることができず、最後まで粘ったポリッツも最終周回突入後すぐに吸収。多くのチームが重なり合うようにポジション争いを繰り広げながら凱旋門をぐるっと回った。
残り2.5km地点で飛び出したマルコ・マルカート(イタリア、UAEチームエミレーツ)が吸収されると、続いてダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)とイヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップフロアーズ)がカウンターアタック。ベルギーチャンピオンのランパールトが単独で抜け出した状態でフラムルージュ(残り1kmアーチ)を駆け抜ける。
残り350mの最終コーナーを曲がり、トレック・セガフレードのリードアウトトレインが先頭ランパールトを視界に捉えたところでスプリントがスタート。ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)のリードアウトを受けたジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)が残り250mから加速を開始した。
向かい風の中を突き進んだデゲンコルプだったが、そのスリップストリームからクリストフとアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)が抜け出し、別ラインでクリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)とエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)がスプリント。最も伸びやかなスプリントを見せたクリストフが先頭に立ち、デマールとデゲンコルプとともにハンドルを投げ込んでフィニッシュした。
3名横並びの接戦スプリントは、ヨーロッパチャンピオンに軍配が上がった。2014年にステージ2勝を飾っている31歳のノルウェージャンスプリンターが初めてシャンゼリゼを制した。
45km/h前後で周回をこなしていたメイン集団は、最終周回に平均スピード52.7km/hをマークしている。スプリント中の最高スピードは63.6km/hだった。
シャンゼリゼでの勝利を「過去最高のステージ優勝」と表現したクリストフ。「ロベルト・フェラーリのサポートを得てデゲンコルプの番手につけ、ちょうど良いタイミングでスプリントに持ち込めた。残り20mの時点で今日は勝ったと思ったよ。次なる目標であるヨーロッパ選手権のタイトル防衛に向けて勢いづく勝利。このヨーロッパチャンピオンジャージでシャンゼリゼを制することができて本当によかった。最後にツールでステージ優勝してから4年が経ったけど、また勝てるとずっと信じていた」と今シーズン5勝目を喜ぶ。
安全にシャンゼリゼ周回コースを走り、最後はクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)と肩を組んでフィニッシュしたトーマスが総合優勝。第105代ツール総合優勝者に輝いたトーマスは表彰台でマイクを握り、チームメイトたちと家族に感謝するスピーチを英語で行った。
スピーチを「Vive Le Tour(ツール万歳)」で締めくくったトーマス。記者会見でマイヨジョーヌは「今まで経験したことがないほど厳しい3週間が終わった。ここ数年ずっとグランツールで総合争いに加われるようトレーニングを積んで、ずっとタイミングを待っていた。長年の献身が報われたよ」と語っている。各選手のコメントは後ほど別記事でお伝えします。
最終日パリのフィニッシュにたどり着いたのは145名の選手たち。各選手、145通りのドラマを胸に、夕日を浴びるシャンゼリゼ通りをあとにした。
フレンチバスク地方での最終個人タイムトライアルを走った選手たちが、最終日当日の朝、チャーター機でパリに到着。800kmの陸路移動を終えたばかりのチームバスやチームカーとともに、145名の選手たちがパリ郊外のウイユを16時20分にスタートした。
グランツール最終日のロードステージはマイヨジョーヌの凱旋レースという意味合いが強く、前日に総合優勝の栄冠を実質的に手にしたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)を先頭にパレード走行が始まる。真っ黄色のピナレロドグマF10に乗って、特製のチームジャージに身を包んだチームメイトたちを従えて、第105代ツール覇者のトーマスが花の都パリに向けて走り出した。
パリ郊外をぐるっとスローペースで走った選手たちが、チームスカイを先頭にして、午後6時すぎにシャンゼリゼ周回コースにやってきた。今シーズン限りでの引退を表明しているシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)が単独で飛び出し、史上最多18回目の出場となるツールを祝福するようにしばらく独走。そこから選手たちは凱旋門の周回道路を含む6.8km周回コースを8周する。
チームスカイによるパレード走行が終わると、いよいよ栄誉あるシャンゼリゼ優勝をかけた争いが始まる。石畳が敷かれたシャンゼリゼ通りで飛び出したのはシルヴァン・ディリエ(スイス、アージェードゥーゼール)、テイラー・フィニー(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ミヒャエル・シェアー(スイス、BMCレーシング)、ダミアン・ゴダン(フランス、ディレクトエネルジー)、ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)、ギヨーム・ヴァンケイルスブルク(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)という大柄なルーラーたち。石畳クラシックで成績を残している6名がフィニッシュまで52kmを残してメイン集団を引き離し始めた。
集団スプリントが通例となっているが、稀に逃げ切りが決まることもあるシャンゼリゼ周回コース。特に2018年は多くのピュアスプリンターがすでにリタイアし、スプリンターチームの力も弱まっている状態。逃げ切りに向けて40秒のリードを稼ぎ出した先頭6名を、グルパマFDJとボーラ・ハンスグローエの2チームが追いかける。
一時的にフィニーがメカトラで脱落するも、ローテーションを回して逃げ続けた6名。しかしスプリンターチームの追撃を振り切ることができず、最後まで粘ったポリッツも最終周回突入後すぐに吸収。多くのチームが重なり合うようにポジション争いを繰り広げながら凱旋門をぐるっと回った。
残り2.5km地点で飛び出したマルコ・マルカート(イタリア、UAEチームエミレーツ)が吸収されると、続いてダニエル・オス(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)とイヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップフロアーズ)がカウンターアタック。ベルギーチャンピオンのランパールトが単独で抜け出した状態でフラムルージュ(残り1kmアーチ)を駆け抜ける。
残り350mの最終コーナーを曲がり、トレック・セガフレードのリードアウトトレインが先頭ランパールトを視界に捉えたところでスプリントがスタート。ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)のリードアウトを受けたジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)が残り250mから加速を開始した。
向かい風の中を突き進んだデゲンコルプだったが、そのスリップストリームからクリストフとアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)が抜け出し、別ラインでクリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)とエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)がスプリント。最も伸びやかなスプリントを見せたクリストフが先頭に立ち、デマールとデゲンコルプとともにハンドルを投げ込んでフィニッシュした。
3名横並びの接戦スプリントは、ヨーロッパチャンピオンに軍配が上がった。2014年にステージ2勝を飾っている31歳のノルウェージャンスプリンターが初めてシャンゼリゼを制した。
45km/h前後で周回をこなしていたメイン集団は、最終周回に平均スピード52.7km/hをマークしている。スプリント中の最高スピードは63.6km/hだった。
シャンゼリゼでの勝利を「過去最高のステージ優勝」と表現したクリストフ。「ロベルト・フェラーリのサポートを得てデゲンコルプの番手につけ、ちょうど良いタイミングでスプリントに持ち込めた。残り20mの時点で今日は勝ったと思ったよ。次なる目標であるヨーロッパ選手権のタイトル防衛に向けて勢いづく勝利。このヨーロッパチャンピオンジャージでシャンゼリゼを制することができて本当によかった。最後にツールでステージ優勝してから4年が経ったけど、また勝てるとずっと信じていた」と今シーズン5勝目を喜ぶ。
安全にシャンゼリゼ周回コースを走り、最後はクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)と肩を組んでフィニッシュしたトーマスが総合優勝。第105代ツール総合優勝者に輝いたトーマスは表彰台でマイクを握り、チームメイトたちと家族に感謝するスピーチを英語で行った。
スピーチを「Vive Le Tour(ツール万歳)」で締めくくったトーマス。記者会見でマイヨジョーヌは「今まで経験したことがないほど厳しい3週間が終わった。ここ数年ずっとグランツールで総合争いに加われるようトレーニングを積んで、ずっとタイミングを待っていた。長年の献身が報われたよ」と語っている。各選手のコメントは後ほど別記事でお伝えします。
最終日パリのフィニッシュにたどり着いたのは145名の選手たち。各選手、145通りのドラマを胸に、夕日を浴びるシャンゼリゼ通りをあとにした。
ツール・ド・フランス2018第21ステージ結果
1位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | 2:46:36 |
2位 | ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード) | |
3位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | |
4位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) | |
5位 | クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス) | |
6位 | マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ) | |
7位 | ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
8位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | アンドレア・パスクアロン(イタリア、ワンティ・グループゴベール) | |
10位 | ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・スーダル) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 83:17:13 |
2位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:51 |
3位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:02:24 |
4位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) | 0:03:22 |
5位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:06:08 |
6位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:06:57 |
7位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | 0:07:37 |
8位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:09:05 |
9位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:12:37 |
10位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:14:18 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 477pts |
2位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | 246pts |
3位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 203pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 170pts |
2位 | ワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック) | 91pts |
3位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 76pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 83:39:26 |
2位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 0:05:39 |
3位 | ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) | 0:22:05 |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 250:24:53 |
2位 | バーレーン・メリダ | 0:12:33 |
3位 | チームスカイ | 0:31:14 |
text&photo:Kei Tsuji in Paris, France
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