2018/07/29(日) - 01:21
マイヨジョーヌ争いを締めくくる31km個人TTでクリストファー・フルームを1秒差で下した世界王者トム・デュムランがステージ優勝。ステージ3位のゲラント・トーマスが事実上の総合優勝を決めた。
最終日前日はスペイン国境に近いフレンチバスク地方を走る個人タイムトライアル。バスク地方がツールに登場するのは2006年第10ステージ以来12年ぶり。なお、今大会に登場する個人タイムトライアルはこの第20ステージだけ。個人タイムトライアルの合計が31kmという距離は異例の短さだ。
31kmのコースにはこの地域特有のアップダウンが詰め込まれており、2017年のマルセイユ個人タイムトライアルよりもずっとテクニカル。終盤には最大勾配が22%に達するピノディエタ峠(全長900m/平均10.2%)が設定されており、選手たちはTTバイクを操って勾配のある登りや下りをこなさなければならない。常に変わるリズムに対応する柔軟な走りが求められ、単純な独走力勝負にはならない。
朝から降った雨によりコースの大部分が濡れた状態でレースは始まる。コース沿道に集まったスペイン語/バスク語話者の声援を受けて、総合順位の下位から順に145名がスタートを切った。
夕方にかけて回復した天候が後半スタートの選手に味方した。乾き始めたテクニカルコースでマイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)やマルク・ソレル(スペイン、モビスター)、ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)らが好タイムをマーク。しかし総合上位陣がさらにその上をいった。
第1計測(13km地点)でトップタイムを叩き出し、続く第2計測(22km地点)でも暫定トップを維持したのは総合10位のイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)。終盤のピノディエタ峠でタイムを失ったザカリンはボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)のトップタイムに10秒届かなかったものの、タイムを伸ばせなかったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)から総合9位の座を奪うことに成功した。総合6位ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)もこの日はタイムを伸ばせず、総合7位ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)との順位が逆転している。
総合表彰台を争うトップ4の走りは別格だった。総合4位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が第1計測(13km地点)でマークした暫定トップタイムを唯一更新したのは最終走者のゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)。この時点で総合3位プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)はフルームから30秒遅れてしまい、早くも順位が逆転する。ログリッチェは後半にかけて盛り返したものの、トップから1分12秒遅れのステージ8位に終わっている。
第2計測(22km地点)でも状況は変わらず、マイヨジョーヌのトーマスがトップタイムで、フルームが13秒遅れ、デュムランが15秒遅れ、ログリッチェが1分02秒遅れで続く。そこからアルカンシェルを着る世界王者デュムランの挽回が始まる。ピノディエタ峠をハイペースで駆け上がったデュムランが、先に暫定トップタイムでフィニッシュしたフルームを1秒上回る40分52秒でフィニッシュした。
マイヨジョーヌのトーマスは後半にかけてスピードを失ったが、前半のハイペースを生かして総合リードを守り抜く。最終的にデュムランから14秒遅れのタイムにまとめたトーマスが、総合優勝を宣言するようにガッツポーズでフィニッシュした。
「中間計測のタイムは聞いていなかった」というデュムラン。「フィニッシュしてすぐ1秒差で負けたという情報が入ってきたけど、実際は反対で本当に良かった」と肩をなでおろした。
2016年のステージ2勝に続く自身ステージ通算3勝目を飾ったデュムランは「昨日とてもフラストレーションのたまる結果に終わったので、今日は何としても勝ちたかった。今日のタイムトライアルで勝てたことを今も信じられない。こうして勝利でツールを締めくくり、総合表彰台に登るのは悪くない」とコメント。デュムランはこれがグランツールにおけるステージ9勝目。そのうち6勝がタイムトライアルによるもの。最終的に総合1位トーマスとのタイム差は1分51秒だった。
そして実質的な第105回ツール総合優勝の栄誉はトーマスの手に。マイヨジョーヌを着てステージ3位に入ったトーマスは「今日はしっかり踏めていたし、とても調子が良いように感じていた。無線を通してコーナーを攻めすぎだとも言われた。総合優勝したいのなら、もっとリラックスして走るんだとニコ(ポルタル監督)に言われたよ。今日は3週間の中で最も重要な1日だった。とてもストレスが大きかったけど、無事に乗り越えることができて最高の気分だ」と語る。フィニッシュ後すぐ妻と抱き合ったトーマスは「ツールで総合優勝したいう事実を未だに受け入れられないし、なんて言ったらいいんだろう。最後にこうして泣いたのは結婚の時かな」と語っている。
デュムランの優勝タイムが40分52秒だったためタイムリミットは10分13秒(優勝タイム+25%)遅れまで。9分12秒遅れたステージ145位のニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)まで145名の選手全員が制限時間内にフィニッシュし、翌日のパリ・シャンゼリゼへの凱旋切符を手にしてる。
最終日前日はスペイン国境に近いフレンチバスク地方を走る個人タイムトライアル。バスク地方がツールに登場するのは2006年第10ステージ以来12年ぶり。なお、今大会に登場する個人タイムトライアルはこの第20ステージだけ。個人タイムトライアルの合計が31kmという距離は異例の短さだ。
31kmのコースにはこの地域特有のアップダウンが詰め込まれており、2017年のマルセイユ個人タイムトライアルよりもずっとテクニカル。終盤には最大勾配が22%に達するピノディエタ峠(全長900m/平均10.2%)が設定されており、選手たちはTTバイクを操って勾配のある登りや下りをこなさなければならない。常に変わるリズムに対応する柔軟な走りが求められ、単純な独走力勝負にはならない。
朝から降った雨によりコースの大部分が濡れた状態でレースは始まる。コース沿道に集まったスペイン語/バスク語話者の声援を受けて、総合順位の下位から順に145名がスタートを切った。
夕方にかけて回復した天候が後半スタートの選手に味方した。乾き始めたテクニカルコースでマイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)やマルク・ソレル(スペイン、モビスター)、ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)らが好タイムをマーク。しかし総合上位陣がさらにその上をいった。
第1計測(13km地点)でトップタイムを叩き出し、続く第2計測(22km地点)でも暫定トップを維持したのは総合10位のイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)。終盤のピノディエタ峠でタイムを失ったザカリンはボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)のトップタイムに10秒届かなかったものの、タイムを伸ばせなかったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)から総合9位の座を奪うことに成功した。総合6位ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)もこの日はタイムを伸ばせず、総合7位ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)との順位が逆転している。
総合表彰台を争うトップ4の走りは別格だった。総合4位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が第1計測(13km地点)でマークした暫定トップタイムを唯一更新したのは最終走者のゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)。この時点で総合3位プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)はフルームから30秒遅れてしまい、早くも順位が逆転する。ログリッチェは後半にかけて盛り返したものの、トップから1分12秒遅れのステージ8位に終わっている。
第2計測(22km地点)でも状況は変わらず、マイヨジョーヌのトーマスがトップタイムで、フルームが13秒遅れ、デュムランが15秒遅れ、ログリッチェが1分02秒遅れで続く。そこからアルカンシェルを着る世界王者デュムランの挽回が始まる。ピノディエタ峠をハイペースで駆け上がったデュムランが、先に暫定トップタイムでフィニッシュしたフルームを1秒上回る40分52秒でフィニッシュした。
マイヨジョーヌのトーマスは後半にかけてスピードを失ったが、前半のハイペースを生かして総合リードを守り抜く。最終的にデュムランから14秒遅れのタイムにまとめたトーマスが、総合優勝を宣言するようにガッツポーズでフィニッシュした。
「中間計測のタイムは聞いていなかった」というデュムラン。「フィニッシュしてすぐ1秒差で負けたという情報が入ってきたけど、実際は反対で本当に良かった」と肩をなでおろした。
2016年のステージ2勝に続く自身ステージ通算3勝目を飾ったデュムランは「昨日とてもフラストレーションのたまる結果に終わったので、今日は何としても勝ちたかった。今日のタイムトライアルで勝てたことを今も信じられない。こうして勝利でツールを締めくくり、総合表彰台に登るのは悪くない」とコメント。デュムランはこれがグランツールにおけるステージ9勝目。そのうち6勝がタイムトライアルによるもの。最終的に総合1位トーマスとのタイム差は1分51秒だった。
そして実質的な第105回ツール総合優勝の栄誉はトーマスの手に。マイヨジョーヌを着てステージ3位に入ったトーマスは「今日はしっかり踏めていたし、とても調子が良いように感じていた。無線を通してコーナーを攻めすぎだとも言われた。総合優勝したいのなら、もっとリラックスして走るんだとニコ(ポルタル監督)に言われたよ。今日は3週間の中で最も重要な1日だった。とてもストレスが大きかったけど、無事に乗り越えることができて最高の気分だ」と語る。フィニッシュ後すぐ妻と抱き合ったトーマスは「ツールで総合優勝したいう事実を未だに受け入れられないし、なんて言ったらいいんだろう。最後にこうして泣いたのは結婚の時かな」と語っている。
デュムランの優勝タイムが40分52秒だったためタイムリミットは10分13秒(優勝タイム+25%)遅れまで。9分12秒遅れたステージ145位のニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)まで145名の選手全員が制限時間内にフィニッシュし、翌日のパリ・シャンゼリゼへの凱旋切符を手にしてる。
ツール・ド・フランス2018第20ステージ結果
順位 | 名前 | タイム | 平均スピード |
---|---|---|---|
1位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:40:52 | 45.514 |
2位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:00:01 | 45.495 |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 0:00:14 | 45.255 |
4位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 0:00:50 | 44.604 |
5位 | ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) | 0:00:51 | 44.586 |
6位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) | 0:00:52 | 44.569 |
7位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:01:02 | 44.391 |
8位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) | 0:01:12 | 44.216 |
9位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | 0:01:22 | 44.041 |
10位 | マイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 0:01:23 | 44.024 |
16位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:01:45 | 43.645 |
22位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:01:56 | 43.458 |
25位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 0:01:58 | 43.424 |
27位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:02:06 | 43.289 |
34位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:02:40 | 42.726 |
45位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | 0:03:11 | 42.225 |
69位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:04:06 | 41.364 |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 80:30:37 |
2位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:51 |
3位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:02:24 |
4位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) | 0:03:22 |
5位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:06:08 |
6位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:06:57 |
7位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | 0:07:37 |
8位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:09:05 |
9位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:12:37 |
10位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:14:18 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 467pts |
2位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | 196pts |
3位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 183pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 170pts |
2位 | ワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック) | 91pts |
3位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 76pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 80:52:50 |
2位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 0:05:39 |
3位 | ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) | 0:22:05 |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 242:05:05 |
2位 | バーレーン・メリダ | 0:12:09 |
3位 | チームスカイ | 0:31:14 |
text&photo:Kei Tsuji in Espelette, France
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