2010/02/27(土) - 21:50
週末に開催されるスイスのGPインスブリアとGPルガーノで、イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)がシーズンデビューを飾る。バッソの目標、それは2度目のジロ・デ・イタリア制覇だ。
「まだシーズンデビュー前だけど、すでに調子の良さを感じているんだ。それに2レース(GPインスブリアとGPルガーノ)の開催場所は、自宅から20kmほどしか離れていない。レースに出場せずに一人でトレーニングするのは馬鹿げていると思って」。
「正直言うと、その2レースで結果を残すのは難しい。でも家から近いから出場することにした。その2連戦は、ハードなトレーニングとして位置づけている」。
バッソはスペイン・テネリフェ島(大西洋にあるスペイン領カナリア諸島最大の島)で2週間に渡って開催されたチームトレーニングキャンプに参加。そこでヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)、ロマン・クロイツィゲル(チェコ)、シルヴェスタ・シュミット(ポーランド)らと顔を合わせた。
「有益なトレーニングをこなせたと思う。すでに調子の良さを感じていて、シーズンデビューの2レース出場後はまたトレーニング期間に入る。シーズン序盤の最大の目標は、スペインのボルタ・ア・カタルーニャだ」。
「今シーズンはストレッチに重点を置いていて、それが結果に繋がると信じている。今週末の結果は期待出来ないけど、カタルーニャでは結果を出せると思う。そしてジロ・デ・イタリアに向けて更に絞って行く」。
バッソがオフシーズンに徹底的に取り組んだのは、全盛期と同じTTポジションを取り戻すこと。2006年、バッソはジロ・デ・イタリアで総合優勝。しかしバッソはドーピング捜査オペラシオン・プエルトへの関与が疑われ、ツール・ド・フランス欠場を決めるとともに、2年間の出場停止処分を受けた。
昨年、出場停止処分から復帰したバッソは、ジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャで総合トップ5フィニッシュ。TT能力を2006年レベルまで改善することが出来れば、ジロかツール、もしくはその両方で総合優勝出来ると信じている。
オフシーズンにかけて、バッソは1週間に2回、TTバイクでトレーニングをこなした。バッソは「昨年との最大の違いは、TTでのパフォーマンスを向上させたことだ」と自信を見せる。
今年、ジロ・デ・イタリアには3つの個人タイムトライアルとチームタイムトライアルが1つ設定されている。注目すべきはモンテ・ゾンコラン、モルティローロ、ガヴィアと言った厳しい山岳ステージがいくつも設定されていること。
バッソは「21ステージ中、10〜12ステージが決定的なステージになり得る。それらのステージでは常に集団前方で走らなければならない」と予想する。
ジロ閉幕の34日後に開幕するツール・ド・フランスも、アルプスやピレネーの厳しい山岳ステージが用意されている。最終週に登場するピレネー山岳ステージは4つ。注目のトゥールマレー峠のステージは最終日の僅か4日前だ。
まだシーズンデビューしていないバッソに対し、ジロやツールにおけるライバルたちはすでにレースに出場している。世界チャンピオンのカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)はツアー・ダウンアンダーに出場し、2ステージで勝負に絡む走りを見せた。
「エヴァンスは偉大なチャンピオンだと思う。シーズン早々から彼が存在感を見せても不思議なことじゃないよ。すでに結果を残しているライダーだけど、今シーズンはもっと活躍する。アルカンシェルが彼にいい流れをもたらすと思う。これまでの“2位”を“優勝”にスイッチする能力を秘めている」。
2度のツール・ド・フランス覇者アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)は、先週ポルトガルで開催されたヴォルタ・アン・アルガルヴェで総合優勝。しかも頂上ゴールを制しての圧勝だった。もう一人のライバル、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)はツール・メディテラネアンで総合優勝を飾っている。ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)やブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)もすでにシーズンデビュー済みだ。
しかしバッソは何も心配していない。
「コンディション調整において彼らが先行しているとは思えない。チャンピオンとしては通常のコンディションだと思う。グランツールで総合を狙う選手は普通の選手とは違うんだ。確かにコンタドールは調子がいいように見えるけど、まだまだトップコンディションでは無い」。
いよいよバッソの復帰2シーズン目が始まる。
text:Gregor Brown
photo:Gregor Brown, Cor Vos
translation:Kei Tsuji
Gregor.Brown (グレゴー・ブラウン)
イタリア・レッコ在住のアメリカ人プロサイクリング・ジャーナリスト。2005、2006年ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランス、春のクラシック等で綾野 真(シクロワイアード編集長/フォトジャーナリスト)に帯同し、取材活動を行う。2007年よりサイクリングニュース(イギリス)の主筆ジャーナリストとして活躍後、フリーランスに。2009年12月よりシクロワイアード契約ジャーナリストとなる。今後、主にイタリア・英語圏プロサイクリングメディアに活動の舞台を移す。
「まだシーズンデビュー前だけど、すでに調子の良さを感じているんだ。それに2レース(GPインスブリアとGPルガーノ)の開催場所は、自宅から20kmほどしか離れていない。レースに出場せずに一人でトレーニングするのは馬鹿げていると思って」。
「正直言うと、その2レースで結果を残すのは難しい。でも家から近いから出場することにした。その2連戦は、ハードなトレーニングとして位置づけている」。
バッソはスペイン・テネリフェ島(大西洋にあるスペイン領カナリア諸島最大の島)で2週間に渡って開催されたチームトレーニングキャンプに参加。そこでヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)、ロマン・クロイツィゲル(チェコ)、シルヴェスタ・シュミット(ポーランド)らと顔を合わせた。
「有益なトレーニングをこなせたと思う。すでに調子の良さを感じていて、シーズンデビューの2レース出場後はまたトレーニング期間に入る。シーズン序盤の最大の目標は、スペインのボルタ・ア・カタルーニャだ」。
「今シーズンはストレッチに重点を置いていて、それが結果に繋がると信じている。今週末の結果は期待出来ないけど、カタルーニャでは結果を出せると思う。そしてジロ・デ・イタリアに向けて更に絞って行く」。
バッソがオフシーズンに徹底的に取り組んだのは、全盛期と同じTTポジションを取り戻すこと。2006年、バッソはジロ・デ・イタリアで総合優勝。しかしバッソはドーピング捜査オペラシオン・プエルトへの関与が疑われ、ツール・ド・フランス欠場を決めるとともに、2年間の出場停止処分を受けた。
昨年、出場停止処分から復帰したバッソは、ジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャで総合トップ5フィニッシュ。TT能力を2006年レベルまで改善することが出来れば、ジロかツール、もしくはその両方で総合優勝出来ると信じている。
オフシーズンにかけて、バッソは1週間に2回、TTバイクでトレーニングをこなした。バッソは「昨年との最大の違いは、TTでのパフォーマンスを向上させたことだ」と自信を見せる。
今年、ジロ・デ・イタリアには3つの個人タイムトライアルとチームタイムトライアルが1つ設定されている。注目すべきはモンテ・ゾンコラン、モルティローロ、ガヴィアと言った厳しい山岳ステージがいくつも設定されていること。
バッソは「21ステージ中、10〜12ステージが決定的なステージになり得る。それらのステージでは常に集団前方で走らなければならない」と予想する。
ジロ閉幕の34日後に開幕するツール・ド・フランスも、アルプスやピレネーの厳しい山岳ステージが用意されている。最終週に登場するピレネー山岳ステージは4つ。注目のトゥールマレー峠のステージは最終日の僅か4日前だ。
まだシーズンデビューしていないバッソに対し、ジロやツールにおけるライバルたちはすでにレースに出場している。世界チャンピオンのカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)はツアー・ダウンアンダーに出場し、2ステージで勝負に絡む走りを見せた。
「エヴァンスは偉大なチャンピオンだと思う。シーズン早々から彼が存在感を見せても不思議なことじゃないよ。すでに結果を残しているライダーだけど、今シーズンはもっと活躍する。アルカンシェルが彼にいい流れをもたらすと思う。これまでの“2位”を“優勝”にスイッチする能力を秘めている」。
2度のツール・ド・フランス覇者アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)は、先週ポルトガルで開催されたヴォルタ・アン・アルガルヴェで総合優勝。しかも頂上ゴールを制しての圧勝だった。もう一人のライバル、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)はツール・メディテラネアンで総合優勝を飾っている。ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)やブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)もすでにシーズンデビュー済みだ。
しかしバッソは何も心配していない。
「コンディション調整において彼らが先行しているとは思えない。チャンピオンとしては通常のコンディションだと思う。グランツールで総合を狙う選手は普通の選手とは違うんだ。確かにコンタドールは調子がいいように見えるけど、まだまだトップコンディションでは無い」。
いよいよバッソの復帰2シーズン目が始まる。
text:Gregor Brown
photo:Gregor Brown, Cor Vos
translation:Kei Tsuji
Gregor.Brown (グレゴー・ブラウン)
イタリア・レッコ在住のアメリカ人プロサイクリング・ジャーナリスト。2005、2006年ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランス、春のクラシック等で綾野 真(シクロワイアード編集長/フォトジャーナリスト)に帯同し、取材活動を行う。2007年よりサイクリングニュース(イギリス)の主筆ジャーナリストとして活躍後、フリーランスに。2009年12月よりシクロワイアード契約ジャーナリストとなる。今後、主にイタリア・英語圏プロサイクリングメディアに活動の舞台を移す。