2018/06/16(土) - 06:00
ツール・ド・スイス最後の山岳ステージで27kmにおよぶロングアタックを成功させたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が独走勝利。リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)がタイム差を失いながらもイエロージャージを守った。
ツール・ド・スイスの山岳3連戦最後を飾るのは超級山岳アローザ(全長27km/平均4.2%)の山頂フィニッシュ。残り30kmを切ったところから延々と登りが続き、平坦路に近い緩斜面もこなしながら標高を上げていく。残り4kmそこからフィニッシュまでの平均勾配は8.3%。獲得標高差2,800mの山岳ステージは、27名もの大きな逃げ集団が先行する展開で始まった。
ポートから総合で1分59秒差のタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)やグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)、イゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)といったトップ選手を含む逃げ集団。山岳賞ジャージを着るマーク・クリスティアン(イギリス、アクアブルースポート)は前半の3級山岳でポイントを重ねることに成功している。
逃げ集団はBMCレーシングが率いるメイン集団から3分30秒程度のリードで平坦区間を駆け抜けた。逃げに乗ったセバスティアン・エナオ(コロンビア)のためにイアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)が力強い引きを見せたが、ステージ後半にモビスターが集団牽引に合流するとタイム差は縮小していく。2つのスプリントポイントを先頭で通過したマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)は合計12ポイントを獲得し、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)からポイント賞ジャージを奪うことに成功している。
フィニッシュまで残り30kmを切り、逃げ集団は2分のリードで超級山岳アローザの登坂を開始する。今大会最後の難所が始まるとすぐ逃げ集団は崩壊し、先頭はグレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)やジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)らが積極的な走りを見せる。
2分後方のメイン集団から最初に動いたのは総合6位/45秒差のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)だった。超級山岳アローザの登りが始まってすぐ腰を上げて加速し、ダンシングを多用しながら2分41秒間にわたって460Wを出力したキンタナがライバルたちを引き離す。追いすがるポートやヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)との距離が広がっていった。
逃げていたチームメイトのビクトル・デラパルテ(スペイン、モビスター)に追いついたキンタナは、残り16km地点でそれまで逃げていたドンブロウスキーらを抜いて先頭に立つ。一時的にキンタナに40秒差をつけられたポートは、それまで逃げていたヴァンアーヴェルマートの力を借りて追走。登り中盤の緩斜面でヴァンアーヴェルマートの強力な牽引を得たポートはタイム差を25秒程度まで戻すことに成功する。
残り5kmを切って勾配が増したところでキンタナは独走に持ち込み、ポートも自らペースを上げて追走する。先頭キンタナと追走ポートのタイム差は残り3km地点で15秒程度。着実にタイム差を詰めたポートだったが、徐々にタイム差の縮小は鈍り、後方から追いついたフルサングと協力して前を追う形となる。
急勾配区間も難なくこなしたキンタナは、追いすがるフルサングとポートに22秒差をつけたまま独走でフィニッシュ。キンタナはラスト3km(平均9.8%)を所要時間9分32秒、平均18.6km/h、平均360Wで走行。対してポートのラスト3kmは所要時間9分30秒、平均18.7km/h、平均380Wだった。
今シーズン初勝利を飾るとともに、ボーナスタイムを加算して総合首位ポートと17秒差の総合2位までジャンプアップしたキンタナ。「自分の本当の状態を確かめたくてアタックした。幸いとても状態が良く、チームメイトたちの献身のおかげで素晴らしい結果を残すことができた。ツール・ド・フランス前に好調ぶりを見せ付けることができて良かったし、チームカーに乗るホセルイス・アリエッタ監督への良い誕生日プレゼントになったよ」と、"エル・コンドル"の異名をもつキンタナは語る。
「日曜日は大きな試練になる」とキンタナが語る通り、総合争いの行方は最終日の34.1km個人タイムトライアルに委ねられた。17秒差で総合首位を守ったポートは「今日のナイロ(キンタナ)の早いタイミングでのアタックは予想外だったけど、ティージェイ(ヴァンガーデレン)の力を借りて追走して、そこからグレッグ・ヴァンアーヴェルマートのスーパーアシストが始まった。長い距離を逃げ切ったナイロには脱帽。総合リードを失ったものの、脚の状態は良く、自分は決して悪いタイムトライアリストではないので、総合優勝に向けた準備はできている。日曜日のタイムトライアルが楽しみだ」と語る。
ステージ5位でフィニッシュしたウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)が52秒差の総合3位。ステージ6位のエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)は総合4位に浮上するとともにヤングライダー賞ジャージを手にしている。
ツール・ド・スイスの山岳3連戦最後を飾るのは超級山岳アローザ(全長27km/平均4.2%)の山頂フィニッシュ。残り30kmを切ったところから延々と登りが続き、平坦路に近い緩斜面もこなしながら標高を上げていく。残り4kmそこからフィニッシュまでの平均勾配は8.3%。獲得標高差2,800mの山岳ステージは、27名もの大きな逃げ集団が先行する展開で始まった。
ポートから総合で1分59秒差のタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)やグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)、イゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)といったトップ選手を含む逃げ集団。山岳賞ジャージを着るマーク・クリスティアン(イギリス、アクアブルースポート)は前半の3級山岳でポイントを重ねることに成功している。
逃げ集団はBMCレーシングが率いるメイン集団から3分30秒程度のリードで平坦区間を駆け抜けた。逃げに乗ったセバスティアン・エナオ(コロンビア)のためにイアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)が力強い引きを見せたが、ステージ後半にモビスターが集団牽引に合流するとタイム差は縮小していく。2つのスプリントポイントを先頭で通過したマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)は合計12ポイントを獲得し、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)からポイント賞ジャージを奪うことに成功している。
フィニッシュまで残り30kmを切り、逃げ集団は2分のリードで超級山岳アローザの登坂を開始する。今大会最後の難所が始まるとすぐ逃げ集団は崩壊し、先頭はグレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)やジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)らが積極的な走りを見せる。
2分後方のメイン集団から最初に動いたのは総合6位/45秒差のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)だった。超級山岳アローザの登りが始まってすぐ腰を上げて加速し、ダンシングを多用しながら2分41秒間にわたって460Wを出力したキンタナがライバルたちを引き離す。追いすがるポートやヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)との距離が広がっていった。
逃げていたチームメイトのビクトル・デラパルテ(スペイン、モビスター)に追いついたキンタナは、残り16km地点でそれまで逃げていたドンブロウスキーらを抜いて先頭に立つ。一時的にキンタナに40秒差をつけられたポートは、それまで逃げていたヴァンアーヴェルマートの力を借りて追走。登り中盤の緩斜面でヴァンアーヴェルマートの強力な牽引を得たポートはタイム差を25秒程度まで戻すことに成功する。
残り5kmを切って勾配が増したところでキンタナは独走に持ち込み、ポートも自らペースを上げて追走する。先頭キンタナと追走ポートのタイム差は残り3km地点で15秒程度。着実にタイム差を詰めたポートだったが、徐々にタイム差の縮小は鈍り、後方から追いついたフルサングと協力して前を追う形となる。
急勾配区間も難なくこなしたキンタナは、追いすがるフルサングとポートに22秒差をつけたまま独走でフィニッシュ。キンタナはラスト3km(平均9.8%)を所要時間9分32秒、平均18.6km/h、平均360Wで走行。対してポートのラスト3kmは所要時間9分30秒、平均18.7km/h、平均380Wだった。
今シーズン初勝利を飾るとともに、ボーナスタイムを加算して総合首位ポートと17秒差の総合2位までジャンプアップしたキンタナ。「自分の本当の状態を確かめたくてアタックした。幸いとても状態が良く、チームメイトたちの献身のおかげで素晴らしい結果を残すことができた。ツール・ド・フランス前に好調ぶりを見せ付けることができて良かったし、チームカーに乗るホセルイス・アリエッタ監督への良い誕生日プレゼントになったよ」と、"エル・コンドル"の異名をもつキンタナは語る。
「日曜日は大きな試練になる」とキンタナが語る通り、総合争いの行方は最終日の34.1km個人タイムトライアルに委ねられた。17秒差で総合首位を守ったポートは「今日のナイロ(キンタナ)の早いタイミングでのアタックは予想外だったけど、ティージェイ(ヴァンガーデレン)の力を借りて追走して、そこからグレッグ・ヴァンアーヴェルマートのスーパーアシストが始まった。長い距離を逃げ切ったナイロには脱帽。総合リードを失ったものの、脚の状態は良く、自分は決して悪いタイムトライアリストではないので、総合優勝に向けた準備はできている。日曜日のタイムトライアルが楽しみだ」と語る。
ステージ5位でフィニッシュしたウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)が52秒差の総合3位。ステージ6位のエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)は総合4位に浮上するとともにヤングライダー賞ジャージを手にしている。
ツール・ド・スイス2018第7ステージ結果
1位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 4:01:39 |
2位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 0:00:22 |
3位 | リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) | |
4位 | グレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:38 |
5位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | |
6位 | エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | |
7位 | イゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ) | |
8位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:00:50 |
9位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | |
10位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:59 |
個人総合成績
1位 | リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) | 26:06:10 |
2位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:00:17 |
3位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:52 |
4位 | エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | 0:00:53 |
5位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:13 |
6位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 0:01:28 |
7位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | 0:01:31 |
8位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:01:37 |
9位 | シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン) | 0:01:48 |
10位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 0:02:26 |
ポイント賞
1位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 24pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 22pts |
3位 | カルヴィン・ワトソン(オーストラリア、アクアブルースポート) | 19pts |
山岳賞
1位 | マーク・クリスティアン(イギリス、アクアブルースポート) | 36pts |
2位 | ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン) | 32pts |
3位 | ロメン・シカール(フランス、ディレクトエネルジー) | 24pts |
ヤングライダー賞
1位 | エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | 26:07:03 |
2位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:20 |
3位 | ビョルグ・ランブレヒト(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:02:22 |
チーム総合成績
1位 | アスタナ | 77:45:41 |
2位 | アージェードゥーゼール | 0:01:42 |
3位 | モビスター | 0:03:50 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos