2018/06/10(日) - 08:55
ドーフィネ第6ステージ、アルプスの4つの峠をギュッと濃縮した110kmコースでペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ)が逃げ切り勝利。アタックを封じ込め、最後はライバルたちをふるい落としたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が総合優勝に王手をかけた。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ第6ステージは文字通り登りと下りしかない。序盤から超級山岳モンテー・ド・ビザンヌ(全長12.4km/平均8.1%)、超級山岳プレ峠(全長12.6km/平均7.6%)、2級山岳コルメ・ド・ロズラン峠(全長5.7km/平均6.4%)を休む間もなく立て続けにクリアし、最後は1級山岳ラ・ロジエール(全長17.6km/平均5.8%)を駆け上がる。
距離110kmという今大会最短ステージながら、獲得標高差が今大会最大の4,000mに達するクイーンステージは、27名の大きな逃げ集団が先行する展開で幕開ける。すでに総合成績を下げているワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)やブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)、ヘスス・エラーダ(スペイン、コフィディス)、セルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ)といった実力者揃いの逃げが先行する展開。山岳賞ジャージを着るダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)を先頭に超級山岳モンテー・ド・ビザンヌを越えた。
3分後方のメイン集団はチームスカイがコントロール。続く超級山岳プレ峠の登りが始まると先頭逃げグループは10名に絞られ、カタルドが再び先頭通過を果たしている。第4ステージのモンノワールと合わせて3つの超級山岳を先頭通過したカタルドがさらに山岳賞のリードを広げた。
まだステージ中盤にも関わらず、超級山岳プレ峠でメイン集団からヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)、ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)が脱落してしまう。守備体制が弱まったチームスカイに対し、続く2級山岳コルメ・ド・ロズラン峠でアージェードゥーゼールがペースアップ。そこからピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)がアタックを仕掛けて揺さぶりをかけた。
コルメ・ド・ロズラン峠通過時点で先頭はイアン・ボズウェル(アメリカ、カチューシャ・アルペシン)、ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ)、スガブ・グルマイ(エチオピア、トレック・セガフレード)、バルギルの4名に絞られ、下り区間でラトゥールらがここに追いつく。下り区間でメイン集団から飛び出したロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)は、最後の1級山岳ラ・ロジエールを前に集団に引き戻されている。
逃げグループはメイン集団から30秒程度のリードを保った状態でこの日最後の1級山岳ラ・ロジエール登坂を開始した。全長17.6kmの登りのうち、頂上まで10kmを切ったところでラトゥールやボズウェルがアタックとカウンターアタックを仕掛けたが飛び出せず、残り7km地点でビルバオが独走に持ち込むことに成功する。
この日もアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)のアタックをきっかけにメイン集団内で本格的なセクションが始まった。カウンターアタックを仕掛けた前日のステージ優勝者ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)にはバルデとゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が追いつき、遅れてイェーツもこの精鋭グループに合流する。今大会最も登れているトーマス、マーティン、バルデ、イェーツの4名が先頭ビルバオとのタイム差を詰めていった。
残り1kmでアタックを仕掛けてライバルたちを振り切ったトーマスの追走も届かず、ビルバオが21秒差で逃げ切り勝利。トーマスは結局マーティンとバルデに2秒差、イェーツに5秒差しかつけることができなかったが、ボーナスタイムによって確実に総合リードを広げることともに、ステージ6位以下の選手たちに40秒以上のタイム差をつけることに成功している。トーマスの1級山岳ラ・ロジエール(全長17.6km/平均5.8%)登坂タイムは42分10秒。平均スピードは25.2km/hだった。
ドーフィネ前半から総合争いに絡みながら、前日の第5ステージで4分近く遅れていたビルバオ。「厳しい戦いが続いたジロの疲労が影響して、昨日は完全にバッドデーだった。もう何も力が残っていない状態だったけど、今日は良く脚が回ったんだ。信頼してくれているチームに何とか恩返ししたいと思っていた」と語る。
ツアー・オブ・アルプスのステージ優勝やジロ総合6位に続く好成績を残したビルバオは「最後までタイム差は小さかったけど、残り5kmまで堪えることができれば、そこから勾配が緩むことを知っていた。僅差(21秒差)で逃げ切ることができて本当に信じられない気持ち」とコメント。バスク出身の28歳ビルバオはエウスカルテル・エウスカディでプロ入りし、カハルーラルを経て2017年からアスタナに所属している。
総合リード拡大に成功したトーマスは「アージェードゥーゼールがプレッシャーをかけてきたけど、強いチームのおかげで乗り切ることができた。今日はタオ(ゲオゲガンハート)とカストロ(カストロビエホ)の調子が良く、すべての動きをコントロールできていたし、パニックにならなかった。ボーナスタイムも獲得できたし、明日は大きな1日になると思う」と語っている。トーマスはイェーツから1分29秒、バルデから2分01秒のリードをもって、マイヨジョーヌを着て、最終山岳ステージに挑む。
31分40秒遅れでフィニッシュした新城幸也(バーレーン・メリダ)は「スタートから20kmぐらいは昨年のドーフィネでも走った道だった。大人数の逃げが行ってしまったことで、集団もゆっくりすることなく、集団タイムトラアルの状態。最初の超級山岳は集団でクリア出来たのだが、2つ目の超級山岳でメイン集団から遅れ、そこから50kmほど集団内でフィニッシュを目指した。調子が良くなっているとは言え、まだまだ超級山岳の連続はきつい。明日のコースは今日の下りを登ったり、と今日と同じようなコースレイアウト。メイン集団にいるだけではすぐに千切れてしまうだけなら、最初の登り口までに逃げに乗りたい(TEAMユキヤ通信より)」と語る。エースのニバリがこの日11分58秒遅れており、バーレーン・メリダは逃げによるステージ優勝に目標をスイッチすると見られる。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ第6ステージは文字通り登りと下りしかない。序盤から超級山岳モンテー・ド・ビザンヌ(全長12.4km/平均8.1%)、超級山岳プレ峠(全長12.6km/平均7.6%)、2級山岳コルメ・ド・ロズラン峠(全長5.7km/平均6.4%)を休む間もなく立て続けにクリアし、最後は1級山岳ラ・ロジエール(全長17.6km/平均5.8%)を駆け上がる。
距離110kmという今大会最短ステージながら、獲得標高差が今大会最大の4,000mに達するクイーンステージは、27名の大きな逃げ集団が先行する展開で幕開ける。すでに総合成績を下げているワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)やブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)、ヘスス・エラーダ(スペイン、コフィディス)、セルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ)といった実力者揃いの逃げが先行する展開。山岳賞ジャージを着るダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)を先頭に超級山岳モンテー・ド・ビザンヌを越えた。
3分後方のメイン集団はチームスカイがコントロール。続く超級山岳プレ峠の登りが始まると先頭逃げグループは10名に絞られ、カタルドが再び先頭通過を果たしている。第4ステージのモンノワールと合わせて3つの超級山岳を先頭通過したカタルドがさらに山岳賞のリードを広げた。
まだステージ中盤にも関わらず、超級山岳プレ峠でメイン集団からヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)、ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)が脱落してしまう。守備体制が弱まったチームスカイに対し、続く2級山岳コルメ・ド・ロズラン峠でアージェードゥーゼールがペースアップ。そこからピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)がアタックを仕掛けて揺さぶりをかけた。
コルメ・ド・ロズラン峠通過時点で先頭はイアン・ボズウェル(アメリカ、カチューシャ・アルペシン)、ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ)、スガブ・グルマイ(エチオピア、トレック・セガフレード)、バルギルの4名に絞られ、下り区間でラトゥールらがここに追いつく。下り区間でメイン集団から飛び出したロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)は、最後の1級山岳ラ・ロジエールを前に集団に引き戻されている。
逃げグループはメイン集団から30秒程度のリードを保った状態でこの日最後の1級山岳ラ・ロジエール登坂を開始した。全長17.6kmの登りのうち、頂上まで10kmを切ったところでラトゥールやボズウェルがアタックとカウンターアタックを仕掛けたが飛び出せず、残り7km地点でビルバオが独走に持ち込むことに成功する。
この日もアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)のアタックをきっかけにメイン集団内で本格的なセクションが始まった。カウンターアタックを仕掛けた前日のステージ優勝者ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)にはバルデとゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が追いつき、遅れてイェーツもこの精鋭グループに合流する。今大会最も登れているトーマス、マーティン、バルデ、イェーツの4名が先頭ビルバオとのタイム差を詰めていった。
残り1kmでアタックを仕掛けてライバルたちを振り切ったトーマスの追走も届かず、ビルバオが21秒差で逃げ切り勝利。トーマスは結局マーティンとバルデに2秒差、イェーツに5秒差しかつけることができなかったが、ボーナスタイムによって確実に総合リードを広げることともに、ステージ6位以下の選手たちに40秒以上のタイム差をつけることに成功している。トーマスの1級山岳ラ・ロジエール(全長17.6km/平均5.8%)登坂タイムは42分10秒。平均スピードは25.2km/hだった。
ドーフィネ前半から総合争いに絡みながら、前日の第5ステージで4分近く遅れていたビルバオ。「厳しい戦いが続いたジロの疲労が影響して、昨日は完全にバッドデーだった。もう何も力が残っていない状態だったけど、今日は良く脚が回ったんだ。信頼してくれているチームに何とか恩返ししたいと思っていた」と語る。
ツアー・オブ・アルプスのステージ優勝やジロ総合6位に続く好成績を残したビルバオは「最後までタイム差は小さかったけど、残り5kmまで堪えることができれば、そこから勾配が緩むことを知っていた。僅差(21秒差)で逃げ切ることができて本当に信じられない気持ち」とコメント。バスク出身の28歳ビルバオはエウスカルテル・エウスカディでプロ入りし、カハルーラルを経て2017年からアスタナに所属している。
総合リード拡大に成功したトーマスは「アージェードゥーゼールがプレッシャーをかけてきたけど、強いチームのおかげで乗り切ることができた。今日はタオ(ゲオゲガンハート)とカストロ(カストロビエホ)の調子が良く、すべての動きをコントロールできていたし、パニックにならなかった。ボーナスタイムも獲得できたし、明日は大きな1日になると思う」と語っている。トーマスはイェーツから1分29秒、バルデから2分01秒のリードをもって、マイヨジョーヌを着て、最終山岳ステージに挑む。
31分40秒遅れでフィニッシュした新城幸也(バーレーン・メリダ)は「スタートから20kmぐらいは昨年のドーフィネでも走った道だった。大人数の逃げが行ってしまったことで、集団もゆっくりすることなく、集団タイムトラアルの状態。最初の超級山岳は集団でクリア出来たのだが、2つ目の超級山岳でメイン集団から遅れ、そこから50kmほど集団内でフィニッシュを目指した。調子が良くなっているとは言え、まだまだ超級山岳の連続はきつい。明日のコースは今日の下りを登ったり、と今日と同じようなコースレイアウト。メイン集団にいるだけではすぐに千切れてしまうだけなら、最初の登り口までに逃げに乗りたい(TEAMユキヤ通信より)」と語る。エースのニバリがこの日11分58秒遅れており、バーレーン・メリダは逃げによるステージ優勝に目標をスイッチすると見られる。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2018第6ステージ結果
1位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 3:34:11 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 0:00:21 |
3位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:00:23 |
4位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
5位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:26 |
6位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:02 |
7位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:01:20 |
8位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:01:40 |
9位 | タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ) | 0:01:45 |
10位 | ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
127位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | 0:31:40 |
個人総合成績
1位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 20:51:19 |
2位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:01:29 |
3位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:02:01 |
4位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:02:30 |
5位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) | 0:02:39 |
6位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:03:10 |
7位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:03:29 |
8位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | 0:03:40 |
9位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:03:49 |
10位 | ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:04:00 |
ポイント賞
1位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | 45pts |
2位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 45pts |
3位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 37pts |
山岳賞
1位 | ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ) | 53pts |
2位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 37pts |
3位 | ワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック) | 25pts |
ヤングライダー賞
1位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | 20:54:59 |
2位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:09 |
3位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:01:07 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 61:35:39 |
2位 | UAEチームエミレーツ | 0:07:42 |
3位 | アージェードゥーゼール | 0:08:53 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos
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