2018/06/08(金) - 10:45
クリテリウム・デュ・ドーフィネ後半戦のアルプス山岳4連戦がスタート。逃げを残り300mで捕まえた精鋭グループ内の登りスプリントで、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)がマーティンやバルデ、トーマスを下した。
シャゼ=シュル=アンからラン=アン=ヴェルコールまでの181kmで行われたドーフィネ第4ステージ。後半4ステージの中で最も難易度が低いとはいえ、後半にかけて超級山岳モンノワール峠(全長17.5km/平均6.9%)と2級山岳ラン=アン=ヴェルコール(全長4.8km/平均7.5%)が登場し、獲得標高差は3,000mに達する。
スタート直後から始まった逃げグループ形成のためのアタック合戦は熾烈を極めた。山岳地帯に入るまでの平坦区間を猛烈なスピードで駆け抜けた選手たち。最初の1時間を平均スピード52km/hオーバーでこなすうちに、集団が割れてロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)らが後方に取り残されるシーンも見られた。
集団が一つにもどった後、80km地点でようやく8名の逃げがスタート。エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)やブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)、イェンス・クークレール(ベルギー、ロット・スーダル)といったスプリンターを含む逃げグループがタイム差を広げながら後半の山岳地帯に入っていく。
最大の難所である超級山岳モンノワール峠(全長17.5km/平均6.9%)が始まると、逃げグループの中からまずオドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、ワンティ・グループゴベール)がアタック。この動きに反応したダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)が逆にエイキングをふるい落とす。総合で2分15秒遅れのカタルドがフィニッシュまで44kmを残して独走に持ち込み、メイン集団から2分45秒のリードでモンノワール峠を越えた。メイン集団はこのモンノワール峠を51分10秒かけて登坂。平均スピードは20.4km/hで、VAMは1,395だった。
チームスカイとアージェードゥーゼールがコントロールしたメイン集団からはイアン・ボズウェル(アメリカ、カチューシャ・アルペシン)らがカウンターアタック。ボズウェルらは前から落ちてきた逃げメンバーを吸収しながら先を急いだものの、先頭カタルドに追いつくことなくメイン集団に引き戻されている。
モンノワール峠の下り区間で3分までリードを広げ、降りしきる雨の中を独走したカタルド。チームスカイ率いるメイン集団からは淡々とペースを刻んで追走し、最後の2級山岳ラン=アン=ヴェルコール(全長4.8km/平均7.5%)に向けてタイム差を詰めていく。カウンターアタックで飛び出した総合76位のニコラ・エデ(フランス、コフィディス)も吸収され、先頭カタルドは1分45秒のリードを持った状態でラン=アン=ヴェルコールの登りを開始した。
タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)による高速牽引が、先頭カタルドのリードとメイン集団の人数を削り取った。登りを進むにつれてカタルドのリードは減少。残り2kmでタイム差が1分を切ると、メイン集団から総合59位ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)がカウンターアタック。ここで集団牽引役はチームスカイからアージェードゥーゼールに切り替わり、ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)が集団を率いてマルタンを吸収する。マイヨジョーヌを着るミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)は徐々に遅れ始めた。
残り1kmアーチを通過後、ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)のアタックでさらに集団内にセレクションがかかる。マーティンの加速に対応できたのはゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)のみ。この精鋭4名は、それまで100kmにわたって逃げ続けていたカタルドを残り300mでパスするとともに、ステージ優勝に向けてスプリントを開始した。
パンチ力のある加速で先頭に立ったのは4番手につけていたアラフィリップ。アルデンヌクラシックにおけるライバルであるマーティンが反応したものの、ラ・フレーシュ・ワロンヌを初制覇した25歳の加速はフィニッシュラインまで伸びていった。先頭グループのラン=アン=ヴェルコール登坂タイムは11分48秒。平均スピードは23.7km/hで、VAMは1,723に達している。
「ツールを数週間後に控えたタイミングで結果を残すのは難しい。誰もがトップコンディションで、とてもハイレベルなドーフィネで勝つことができて嬉しい。明日以降はもっと厳しい山岳ステージが続くので、クライマーではなくパンチャーの自分にとって、今日が実質的にステージ優勝の最後のチャンスだった。残り5kmは全開だったよ。3週間の高地トレーニングを経てとても調子が良いので、日曜日までしっかりボブ(ユンゲルス)をサポートしたい」と、今シーズン5勝目を飾ったアラフィリップ。クイックステップフロアーズはシーズン勝利数を38勝まで伸ばしている。
クウィアトコウスキーが17秒遅れたため、マイヨジョーヌは8秒遅れでフィニッシュしたチームメイトのジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)の手に。モスコンは「リーダージャージ獲得は大きなサプライズ。チームはここまで完璧な走りを見せている。ツールに向けた暫定メンバーに入っており、このドーフィネが終わると再び高地トレーニングを実施予定」とコメント。依然としてチームスカイが総合トップ3を独占している。
新城幸也(バーレーン・メリダ)は超級山岳モンノワール峠の登りで位置取りの仕事をこなし、そこで集団から遅れてグルペット内でフィニッシュ。「(モンノワール峠の)3〜4km登ったところで集団から遅れだし、集団でフィニッシュを目指した。途中でゲリラ雷雨にあって、寒い思いもしたが無事にフィニッシュ出来た。明日はスタートしてすぐに2級山岳。スタートから全開です(TEAMユキヤ通信より)」と新城は語る。エースのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)はこの日32秒遅れのステージ26位でフィニッシュしている。
シャゼ=シュル=アンからラン=アン=ヴェルコールまでの181kmで行われたドーフィネ第4ステージ。後半4ステージの中で最も難易度が低いとはいえ、後半にかけて超級山岳モンノワール峠(全長17.5km/平均6.9%)と2級山岳ラン=アン=ヴェルコール(全長4.8km/平均7.5%)が登場し、獲得標高差は3,000mに達する。
スタート直後から始まった逃げグループ形成のためのアタック合戦は熾烈を極めた。山岳地帯に入るまでの平坦区間を猛烈なスピードで駆け抜けた選手たち。最初の1時間を平均スピード52km/hオーバーでこなすうちに、集団が割れてロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)らが後方に取り残されるシーンも見られた。
集団が一つにもどった後、80km地点でようやく8名の逃げがスタート。エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)やブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)、イェンス・クークレール(ベルギー、ロット・スーダル)といったスプリンターを含む逃げグループがタイム差を広げながら後半の山岳地帯に入っていく。
最大の難所である超級山岳モンノワール峠(全長17.5km/平均6.9%)が始まると、逃げグループの中からまずオドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、ワンティ・グループゴベール)がアタック。この動きに反応したダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)が逆にエイキングをふるい落とす。総合で2分15秒遅れのカタルドがフィニッシュまで44kmを残して独走に持ち込み、メイン集団から2分45秒のリードでモンノワール峠を越えた。メイン集団はこのモンノワール峠を51分10秒かけて登坂。平均スピードは20.4km/hで、VAMは1,395だった。
チームスカイとアージェードゥーゼールがコントロールしたメイン集団からはイアン・ボズウェル(アメリカ、カチューシャ・アルペシン)らがカウンターアタック。ボズウェルらは前から落ちてきた逃げメンバーを吸収しながら先を急いだものの、先頭カタルドに追いつくことなくメイン集団に引き戻されている。
モンノワール峠の下り区間で3分までリードを広げ、降りしきる雨の中を独走したカタルド。チームスカイ率いるメイン集団からは淡々とペースを刻んで追走し、最後の2級山岳ラン=アン=ヴェルコール(全長4.8km/平均7.5%)に向けてタイム差を詰めていく。カウンターアタックで飛び出した総合76位のニコラ・エデ(フランス、コフィディス)も吸収され、先頭カタルドは1分45秒のリードを持った状態でラン=アン=ヴェルコールの登りを開始した。
タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)による高速牽引が、先頭カタルドのリードとメイン集団の人数を削り取った。登りを進むにつれてカタルドのリードは減少。残り2kmでタイム差が1分を切ると、メイン集団から総合59位ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)がカウンターアタック。ここで集団牽引役はチームスカイからアージェードゥーゼールに切り替わり、ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)が集団を率いてマルタンを吸収する。マイヨジョーヌを着るミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)は徐々に遅れ始めた。
残り1kmアーチを通過後、ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)のアタックでさらに集団内にセレクションがかかる。マーティンの加速に対応できたのはゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)のみ。この精鋭4名は、それまで100kmにわたって逃げ続けていたカタルドを残り300mでパスするとともに、ステージ優勝に向けてスプリントを開始した。
パンチ力のある加速で先頭に立ったのは4番手につけていたアラフィリップ。アルデンヌクラシックにおけるライバルであるマーティンが反応したものの、ラ・フレーシュ・ワロンヌを初制覇した25歳の加速はフィニッシュラインまで伸びていった。先頭グループのラン=アン=ヴェルコール登坂タイムは11分48秒。平均スピードは23.7km/hで、VAMは1,723に達している。
「ツールを数週間後に控えたタイミングで結果を残すのは難しい。誰もがトップコンディションで、とてもハイレベルなドーフィネで勝つことができて嬉しい。明日以降はもっと厳しい山岳ステージが続くので、クライマーではなくパンチャーの自分にとって、今日が実質的にステージ優勝の最後のチャンスだった。残り5kmは全開だったよ。3週間の高地トレーニングを経てとても調子が良いので、日曜日までしっかりボブ(ユンゲルス)をサポートしたい」と、今シーズン5勝目を飾ったアラフィリップ。クイックステップフロアーズはシーズン勝利数を38勝まで伸ばしている。
クウィアトコウスキーが17秒遅れたため、マイヨジョーヌは8秒遅れでフィニッシュしたチームメイトのジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)の手に。モスコンは「リーダージャージ獲得は大きなサプライズ。チームはここまで完璧な走りを見せている。ツールに向けた暫定メンバーに入っており、このドーフィネが終わると再び高地トレーニングを実施予定」とコメント。依然としてチームスカイが総合トップ3を独占している。
新城幸也(バーレーン・メリダ)は超級山岳モンノワール峠の登りで位置取りの仕事をこなし、そこで集団から遅れてグルペット内でフィニッシュ。「(モンノワール峠の)3〜4km登ったところで集団から遅れだし、集団でフィニッシュを目指した。途中でゲリラ雷雨にあって、寒い思いもしたが無事にフィニッシュ出来た。明日はスタートしてすぐに2級山岳。スタートから全開です(TEAMユキヤ通信より)」と新城は語る。エースのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)はこの日32秒遅れのステージ26位でフィニッシュしている。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2018第4ステージ結果
1位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 4:26:58 |
2位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | |
4位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
5位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:05 |
6位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | |
7位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) | 0:00:08 |
9位 | ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ) | |
10位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル) | |
19位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 0:00:17 |
131位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | 0:20:56 |
個人総合成績
1位 | ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ) | 13:55:30 |
2位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 0:00:06 |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | |
4位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 0:00:48 |
5位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) | 0:00:49 |
6位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) | 0:01:05 |
7位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:01:11 |
8位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:01:13 |
9位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:01:41 |
10位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | 0:01:48 |
ポイント賞
1位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | 45pts |
2位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 45pts |
3位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 37pts |
山岳賞
1位 | ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ) | 15pts |
2位 | サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 12pts |
3位 | オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、ワンティ・グループゴベール) | 10pts |
ヤングライダー賞
1位 | ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ) | 13:55:30 |
2位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:01:13 |
3位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | 0:01:48 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 40:33:28 |
2位 | アスタナ | 0:03:55 |
3位 | クイックステップフロアーズ | 0:06:33 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos
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