ツアー・オブ・ジャパンの第5ステージとなる南信州ステージが行われ、トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)が優勝。個人総合首位に立った。山岳賞は小石祐馬(チーム右京)に再び移った。



快晴の下、JR飯田駅前をスタート快晴の下、JR飯田駅前をスタート photo:Satoru Kato
「ALLEZ」Tシャツを着て元気に応援する飯田の子供達「ALLEZ」Tシャツを着て元気に応援する飯田の子供達 photo:Satoru Katoコース沿いの焼肉パーティーに混じって新城幸也(バーレーン・メリダ)も観戦コース沿いの焼肉パーティーに混じって新城幸也(バーレーン・メリダ)も観戦 photo:Satoru Kato

ツアー・オブ・ジャパンは後半戦へ。5日目は長野県飯田市での南信州ステージだ。飯田駅前をスタートして市内をパレードしたのち、1周12.2kmの周回コースを10周。フィニッシュは周回コースを外れて1.6km先の松尾運動場前になる。

厳しいアップダウンのあるコースは、毎年総合優勝争いに向けての「ふるい」となるステージ。毎年ここで上位に残った者が個人総合優勝争いに残ることになる。

美濃ステージの寒い雨の1日がうそのように、長野県飯田市は朝から雲ひとつなく晴れ。気温は28℃まで上がる暑さとなった。

南信州ステージの定番「TOJコーナー」をクリアしていく集団南信州ステージの定番「TOJコーナー」をクリアしていく集団 photo:Satoru Kato
2周目に形成された9人の逃げ集団2周目に形成された9人の逃げ集団 photo:Satoru Kato9人の逃げ集団から先行した3人の逃げ9人の逃げ集団から先行した3人の逃げ

リアルスタート後始まったアタック合戦は2周目まで続き、鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)を含む9人の逃げが容認される。集団とのタイム差は3周目には2分まで広がるが、4周目には1分を切るところまで詰まり始める。追走する集団は、ペースアップとコースの厳しさが合間っていくつかに分裂。早くも30人ほどに絞られる。

5周目、タイム差が30秒ほどになると逃げる9人の足並みが乱れ、吸収を嫌った鈴木譲を含む3人が先行して6周目に入る。「登りの頂上までは粘ろうと意思統一が出来ていた」とレース後に鈴木が話す通り、2回目の山岳賞が懸かった頂上を鈴木が先頭で通過後、吸収される。

レース終盤を単独で逃げ続けるダミアン・モニエ(フランス、愛三工業レーシングチーム)レース終盤を単独で逃げ続けるダミアン・モニエ(フランス、愛三工業レーシングチーム) photo:Satoru Kato
バーレーン・メリダがメイン集団を終始コントロールバーレーン・メリダがメイン集団を終始コントロール photo:Satoru Kato
その直後、ダミアン・モニエ(フランス、愛三工業レーシングチーム)がアタックして独走。8周目に入るところで集団とのタイム差は3分まで広がる。集団からはトマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)と、カミロ・カスティブランコ(コロンビア、チームイルミネイト)の2人が飛び出してモニエを追走。集団もリーダージャージのグレガ・ボーレを擁するバーレーン・メリダがコントロールして追走する。

最終周回に入り、追走するルバとカスティブランコの2人が、ここまで逃げ続けたモニエと入れ替わって先頭。メイン集団との差は1分40秒から縮まらない。周回コースを外れ、フィニッシュのある松尾総合運動場までの残り1.6kmに入っても集団が追いつく気配はなく、最後は2人の勝負に。

トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)が飯田ステージ優勝トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)が飯田ステージ優勝 photo:Satoru Kato
グレガ・ボーレ(バーレーン・メリダ)を先頭にフィニッシュするメイン集団グレガ・ボーレ(バーレーン・メリダ)を先頭にフィニッシュするメイン集団 photo:Satoru Kato
残り500m、前を行くカスティブランコが左右に牽制し、残り300mからスプリントを始める。しかし背後についていたルバが残り150mをすぎたあたりから前に出る。カスティブランコが諦めたのを確認すると、両手を大きく広げてフィニッシュラインを越えた。

メイン集団はリーダージャージのボーレを先頭に1分遅れてフィニッシュ。この結果、ステージ優勝したルバが個人総合首位に立った。

南信州ステージを制したトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)が個人総合首位南信州ステージを制したトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)が個人総合首位 photo:Singo Fujimaki山岳賞は再び小石祐馬(チーム右京)山岳賞は再び小石祐馬(チーム右京) photo:Singo Fujimaki

ルバは、「コースはハードだけれど今日はレースもハードだった。チームは総合優勝を狙える私とマルコス・ガルシア、サルバドール・グアルディオラが交互に逃げに乗ってステージ優勝を狙って行く作戦だったが、それがうまく機能した。明日の富士山ステージでジャージを守れるかは正直わからないけれど、ベストは尽くすつもりだ」と、コメントした。

一方、日本人同士の山岳賞争いは、2回設定された山岳賞のうち2回目を小石祐馬(チーム右京)が3位通過。序盤に遅れた草場啓吾(日本ナショナルチーム)はポイントを加算できず、山岳賞ジャージは再び小石のものとなった。

残り3日、ジャージを守れるかとの問いに小石は、「明日の富士山ステージは総合争いのステージなので山岳ポイントを持っていない選手が上位を占めることになるだろうから、勝負は伊豆ステージになると思います。でもまず明日が終わらないと戦略を立てられないなというのが正直なところです」と語った。

明日はツアー・オブ・ジャパンのクイーンステージとなる富士山ステージ。新設定のコースで個人総合首位争いがどう動くのか?

南信州ステージ恒例のシャンパンファイト南信州ステージ恒例のシャンパンファイト photo:Satoru Kato
ツアー・オブ・ジャパン2018 南信州ステージ(123.6km) 結果
個人総合時間順位(南信州ステージ終了時)
1位 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) 12時間42分16秒
2位 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) +1分1秒
3位 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) +1分4秒
4位 カミロ・カスティブランコ(コロンビア、チームイルミネイト) +1分6秒
5位 イアン・ビビー(イギリス、JLTコンドール) +1分9秒
6位 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス) +1分18秒
ポイント賞(南信州ステージ終了時)
1位 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 72p
2位 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) 70p
3位 ミッヘル・ライム(エストニア、 50p
山岳賞(南信州ステージ終了時)
1位 小石祐馬(チーム右京) 16p
2位 草場啓吾(日本ナショナルチーム) 15p
3位 鈴木 譲(宇都宮ブリッツェン) 14p
チーム総合時間賞(南信州ステージ終了時)
1位 キナンサイクリングチーム 38時間9分50秒
2位 チーム右京 +1分14秒
3位 ベネロング・スイスウェルネス +1分15秒
text&photo:Satoru Kato

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