2018/05/18(金) - 01:30
終盤にかけて強い雨が降ったジロ・デ・イタリア第12ステージ。エリア・ヴィヴィアーニのいない集団スプリントで、圧巻のロングスプリントを仕掛けたサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)がステージ2勝目を掴んだ。
今大会有数のフラットコースで行われたジロ・デ・イタリア第12ステージ。214kmコースの前半はアドリア海に沿った国道16号線をひた走り、後半はエミリア街道と呼ばれる国道9号線を西へ。200km近くにわたってほぼ真っ平らなコースを走った後、1968年のロード世界選手権で使用された全長15.3kmの周回コースに突入する。1981年から2006年までF1サンマリノGPの舞台になったイモラサーキットのフィニッシュラインを一旦通過してから4級山岳トレモンティ(登坂距離4.3km/平均勾配4.2%)を駆け上がり、イモラサーキットに戻ってフィニッシュ。第7ステージ以降、連日山登りで辛抱を強いられたスプリンターたちにチャンスが回ってきた。
丘の上のオージモを駆け下りてすぐ、正式なスタートが切られるとともに5名が飛び出した。長い長い平坦コースで逃げに選手を送り込む作戦を選択したのは、イスラエルサイクリングアカデミーを除く3つのイタリアンUCIプロコンチネンタルチーム。
第12ステージ逃げメンバー
マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF)
マヌエル・センニ(イタリア、バルディアーニCSF)
ジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)
エルゲルト・ズパ(アルバニア、ウィリエール・トリエスティーナ)
すぐさま4分を超えたタイム差は、今大会ここまでのスプリントバトルを主導しているクイックステップフロアーズ(ヴィヴィアーニ)、ボーラ・ハンスグローエ(ベネット)、EFエデュケーションファースト・ドラパック(モードロ)の3チームのコントロール下に置かれた。ステージ前半は好天に恵まれたため、マリアローザ候補たちは束の間のリカバリーライドを楽しむことに。
ステージ後半に入ると天候は悪化し、分厚い雨雲に覆われた完全ウェットな薄暗い道を選手たちはイモラに向かって突き進んだ。土砂降りの雨にもめげず、直線的で起伏がほとんどないエミリア街道を逃げ続けた5名。しかしスプリンターチームが束になってかかるとタイム差は3分、2分と縮まっていく。やがて残り35kmを切ると、ロット・フィックスオールのペースアップによって集団中切れが発生した。
一列棒状に伸びた集団がいくつかに分断され、リカルド・カラパス(エクアドル、モビスター)やドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)、そしてこの日の優勝候補エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が後方に取り残されてしまう。カラパスとポッツォヴィーヴォは集団に復帰してことなきを得たものの、ヴィヴィアーニのステージ優勝のチャンスはここで潰えた。
ペースアップしたメイン集団は残り21km地点で逃げグループを吸収。降りしきる雨の中、カウンターアタックを仕掛けたティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・フィックスオール)が独走でイモラサーキットのフィニッシュラインを通過していく。メイン集団から15秒ほどのリードを得たウェレンスだったが、4級山岳トレモンティの登りでペースが上がったメイン集団に残り10km地点で吸収。その後も集団先頭ではアタックが繰り返された。
4級山岳トレモンティでのセルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)らのアタックは決まらず、頂上が近づいたところでディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)とカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、モビスター)が抜け出すことに成功。10秒弱のリードで危険なダウンヒルに入ったウリッシとベタンクールに、下りのスペシャリストであるマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)が単独で追いついた。
こうして10秒リードで下りをこなしたモホリッチ、ウリッシ、ベタンクールの3名。ウリッシが脱落し、モホリッチにベタンクールが食らいついてイモラサーキットに入る。わずか4秒のリードで残り1kmアーチを通過したモホリッチにベタンクールの後ろに、50名まで人数を減らしたメイン集団が迫った。
逃げ続けるモホリッチとベタンクールを追って、残り400mでメイン集団からサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が飛び出した。ライバルたちの不意をつき、ロングスプリントというよりもアタックに近い勢いで加速したベネットがモホリッチにベタンクールを抜き去り、そのまま最終ストレートに現れる。ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ)らの追い込みは届かず、一時的に10メートル以上の差をつけたベネットが悠々とフィニッシュした。
「集団スプリント向きとは言えないようなタフなフィナーレだった。サーキットに入った段階でまだ2人が逃げたまま。逃げる彼らがどれだけ力を残しているのかわからなかったので、早めにスプリントを仕掛ける必要があった。目の前のチャンスをやすやすと譲るわけにはいかなかったんだ。でも結果的にそれが自分のアドバンテージになり、リードを守りきることにつながった。ステージ1勝目よりもこの2勝目のほうがエモーショナルだ」。荒れた平坦ステージを制したベネットはフィニッシュ地点に駆けつけた婚約者と勝利を喜んだ。
集団から脱落したヴィヴィアーニの獲得ポイントが2つのスプリントポイントでの合計6ポイントに留まったため、フィニッシュで50ポイントを獲得したベネットが22ポイント差のポイント賞2位に浮上。ここまでスプリントポイントに興味を示してこなかったベネットがポイント獲得に走れば、マリアチクラミーノ争いは混戦になると予想される。
マリアローザのサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)は4級山岳トレモンティでライバルたちをチェックする安定した走りで首位をキープ。平坦区間で遅れたカラパスとポッツォヴィーヴォも集団内でフィニッシュしたため、総合トップ10の成績に変動は起こっていない。
今大会有数のフラットコースで行われたジロ・デ・イタリア第12ステージ。214kmコースの前半はアドリア海に沿った国道16号線をひた走り、後半はエミリア街道と呼ばれる国道9号線を西へ。200km近くにわたってほぼ真っ平らなコースを走った後、1968年のロード世界選手権で使用された全長15.3kmの周回コースに突入する。1981年から2006年までF1サンマリノGPの舞台になったイモラサーキットのフィニッシュラインを一旦通過してから4級山岳トレモンティ(登坂距離4.3km/平均勾配4.2%)を駆け上がり、イモラサーキットに戻ってフィニッシュ。第7ステージ以降、連日山登りで辛抱を強いられたスプリンターたちにチャンスが回ってきた。
丘の上のオージモを駆け下りてすぐ、正式なスタートが切られるとともに5名が飛び出した。長い長い平坦コースで逃げに選手を送り込む作戦を選択したのは、イスラエルサイクリングアカデミーを除く3つのイタリアンUCIプロコンチネンタルチーム。
第12ステージ逃げメンバー
マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF)
マヌエル・センニ(イタリア、バルディアーニCSF)
ジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)
エルゲルト・ズパ(アルバニア、ウィリエール・トリエスティーナ)
すぐさま4分を超えたタイム差は、今大会ここまでのスプリントバトルを主導しているクイックステップフロアーズ(ヴィヴィアーニ)、ボーラ・ハンスグローエ(ベネット)、EFエデュケーションファースト・ドラパック(モードロ)の3チームのコントロール下に置かれた。ステージ前半は好天に恵まれたため、マリアローザ候補たちは束の間のリカバリーライドを楽しむことに。
ステージ後半に入ると天候は悪化し、分厚い雨雲に覆われた完全ウェットな薄暗い道を選手たちはイモラに向かって突き進んだ。土砂降りの雨にもめげず、直線的で起伏がほとんどないエミリア街道を逃げ続けた5名。しかしスプリンターチームが束になってかかるとタイム差は3分、2分と縮まっていく。やがて残り35kmを切ると、ロット・フィックスオールのペースアップによって集団中切れが発生した。
一列棒状に伸びた集団がいくつかに分断され、リカルド・カラパス(エクアドル、モビスター)やドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)、そしてこの日の優勝候補エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が後方に取り残されてしまう。カラパスとポッツォヴィーヴォは集団に復帰してことなきを得たものの、ヴィヴィアーニのステージ優勝のチャンスはここで潰えた。
ペースアップしたメイン集団は残り21km地点で逃げグループを吸収。降りしきる雨の中、カウンターアタックを仕掛けたティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・フィックスオール)が独走でイモラサーキットのフィニッシュラインを通過していく。メイン集団から15秒ほどのリードを得たウェレンスだったが、4級山岳トレモンティの登りでペースが上がったメイン集団に残り10km地点で吸収。その後も集団先頭ではアタックが繰り返された。
4級山岳トレモンティでのセルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)らのアタックは決まらず、頂上が近づいたところでディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)とカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、モビスター)が抜け出すことに成功。10秒弱のリードで危険なダウンヒルに入ったウリッシとベタンクールに、下りのスペシャリストであるマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)が単独で追いついた。
こうして10秒リードで下りをこなしたモホリッチ、ウリッシ、ベタンクールの3名。ウリッシが脱落し、モホリッチにベタンクールが食らいついてイモラサーキットに入る。わずか4秒のリードで残り1kmアーチを通過したモホリッチにベタンクールの後ろに、50名まで人数を減らしたメイン集団が迫った。
逃げ続けるモホリッチとベタンクールを追って、残り400mでメイン集団からサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が飛び出した。ライバルたちの不意をつき、ロングスプリントというよりもアタックに近い勢いで加速したベネットがモホリッチにベタンクールを抜き去り、そのまま最終ストレートに現れる。ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ)らの追い込みは届かず、一時的に10メートル以上の差をつけたベネットが悠々とフィニッシュした。
「集団スプリント向きとは言えないようなタフなフィナーレだった。サーキットに入った段階でまだ2人が逃げたまま。逃げる彼らがどれだけ力を残しているのかわからなかったので、早めにスプリントを仕掛ける必要があった。目の前のチャンスをやすやすと譲るわけにはいかなかったんだ。でも結果的にそれが自分のアドバンテージになり、リードを守りきることにつながった。ステージ1勝目よりもこの2勝目のほうがエモーショナルだ」。荒れた平坦ステージを制したベネットはフィニッシュ地点に駆けつけた婚約者と勝利を喜んだ。
集団から脱落したヴィヴィアーニの獲得ポイントが2つのスプリントポイントでの合計6ポイントに留まったため、フィニッシュで50ポイントを獲得したベネットが22ポイント差のポイント賞2位に浮上。ここまでスプリントポイントに興味を示してこなかったベネットがポイント獲得に走れば、マリアチクラミーノ争いは混戦になると予想される。
マリアローザのサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)は4級山岳トレモンティでライバルたちをチェックする安定した走りで首位をキープ。平坦区間で遅れたカラパスとポッツォヴィーヴォも集団内でフィニッシュしたため、総合トップ10の成績に変動は起こっていない。
ジロ・デ・イタリア2018第12ステージ結果
1位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 4:49:34 |
2位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ) | |
3位 | ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
4位 | バティスト・プランカールト(ベルギー、カチューシャ・アルペシン) | |
5位 | ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、BMCレーシング) | |
6位 | ミケル・モルコフ(デンマーク、クイックステップフロアーズ) | |
7位 | マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | |
8位 | クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
9位 | フロリアン・セネシャル(フランス、クイックステップフロアーズ) | |
10位 | エンリコ・バッタリーン(イタリア、ロットNLユンボ) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 51:57:55 |
2位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:47 |
3位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 0:01:04 |
4位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:01:18 |
5位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 0:01:56 |
6位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | 0:02:09 |
7位 | ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) | 0:02:36 |
8位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 0:02:54 |
9位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:02:55 |
10位 | ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:03:10 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 184pts |
2位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 162pts |
3位 | マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 89pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 58pts |
2位 | エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) | 47pts |
3位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 36pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 51:59:51 |
2位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:01:21 |
3位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) | 0:01:29 |
チーム総合成績
1位 | ミッチェルトン・スコット | 156:01:08 |
2位 | アスタナ | 0:03:11 |
3位 | チームスカイ | 0:04:07 |
text&photo:Kei Tsuji in Imola, Italy
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