2010/02/03(水) - 11:25
2日間にわたって開催された世界選手権のクライマックスを飾るのはエリート男子。31日(日曜日)の14時にスタートする。日本からは全日本選手権を8連覇中の辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)が出場した。
午前中の女子のレースを終え、会場の熱気は上々。ビールやワイン、フリットの匂いとともに、地元チェコ出身のゼネク・スティバルを応援する声援があちこちから聞こえてくる。午前中にときおり降っていた雪は止んで日差しが差し込んできた。そして正午をまわるとコース上の雪は溶け始めて、日向では泥もみられる。
コースを試走した辻浦は、チームボックスのなかでカラダを温めながらアップを入念に行なった。その外では、メカニックスタッフが最後のバイク調整に追われている。いよいよ始まるんだという緊張感が日本チームに漂っていた。
レースは14時に64名の選手がスタートした。6列目からスタートとなった辻浦だが、レース前の表情はいつもどおり。スタート後の大きな混乱に巻き込まれずに順調に走り始めた。
序盤の大きな集団がしだいにバラけ、辻浦は中程よりも後ろの位置で周回を重ねていく。最初は泥で、中盤にかけて気温が下がり、路面が凍っていくという走りにくいコンディションだったが、辻浦は最後まで集中力をキープし、自分の走りを守り抜き、トップから7分27秒遅れの49位でゴールした。
「今日のレースはスタッフとよく連携できていたし、ミスがあっても最小限に抑えることができていました。レース中の路面コンディションは周回ごとに変わっていて、難しかったけど、うまく対応することができたと思っています。ただこの結果はあまり良くない。課題のほうが多く残る結果だと思います」。
「欧州での経験を重ねて、自分も成長しているけど、それ以上に世界との差は広がっていることを痛感したレースでした。レース活動をするための自分を取り巻く環境は年々よくなっているのに、成績が伴わないのは実力がないのだと思います」。
「今年はオランダからベルギーに活動の拠点を変えました。ベルギー在住の橋川健さんにもサポートしていただき、レースの結果以上に人や環境とのつながりができたシーズンでした」。
「今までもより多くの人に応援してもらえたことは大きな収穫です。だから、来年、再来年と結果で恩返しをしていきたいと思っています」。
「世界選手権に出場するからには、世界チャンピオンを狙っていきたいという姿勢には変わりないです。ただ今年の状況では、それは難しい。もっと多くのことを肌で感じていきたいし、今年で30才になったという年齢を考えると、そんなには時間がないから、今できることを柔軟にやって吸収していきたいですね」。
「春からはマウンテンバイクシーズンが始まります。そもそもシクロクロスとは、オフトレーニングとして始まった競技。最近の強い選手たちはシクロクロスのみに特化しているけど、その競技の生い立ちを考えれば、両立は不可能ではないと思っています。だから、来季はマウンテンバイクとシクロクロス、2つの競技でチャンピオンジャージを獲得することが目標です」。
9年目の世界選手権となった辻浦は、日本チームを引っ張る存在になっている。所属チームの理解やサポートもあるが、欧州での遠征はほとんど個人で調整して行ってきている。日本人選手がシーズン中だけ欧州を拠点に活動するというのは、そう簡単なことではない。
今季、ベルギーを拠点としてワールドカップなどを転戦してきたが、ここまでの体制を整えてきた背景には多くの努力がある。「結果がすべてです」と言うが、結果を出すために、彼が一生懸命動いている水面下の見えない部分にも注目していきたい。
text&photo:Sonoko Tanaka
午前中の女子のレースを終え、会場の熱気は上々。ビールやワイン、フリットの匂いとともに、地元チェコ出身のゼネク・スティバルを応援する声援があちこちから聞こえてくる。午前中にときおり降っていた雪は止んで日差しが差し込んできた。そして正午をまわるとコース上の雪は溶け始めて、日向では泥もみられる。
コースを試走した辻浦は、チームボックスのなかでカラダを温めながらアップを入念に行なった。その外では、メカニックスタッフが最後のバイク調整に追われている。いよいよ始まるんだという緊張感が日本チームに漂っていた。
レースは14時に64名の選手がスタートした。6列目からスタートとなった辻浦だが、レース前の表情はいつもどおり。スタート後の大きな混乱に巻き込まれずに順調に走り始めた。
序盤の大きな集団がしだいにバラけ、辻浦は中程よりも後ろの位置で周回を重ねていく。最初は泥で、中盤にかけて気温が下がり、路面が凍っていくという走りにくいコンディションだったが、辻浦は最後まで集中力をキープし、自分の走りを守り抜き、トップから7分27秒遅れの49位でゴールした。
「今日のレースはスタッフとよく連携できていたし、ミスがあっても最小限に抑えることができていました。レース中の路面コンディションは周回ごとに変わっていて、難しかったけど、うまく対応することができたと思っています。ただこの結果はあまり良くない。課題のほうが多く残る結果だと思います」。
「欧州での経験を重ねて、自分も成長しているけど、それ以上に世界との差は広がっていることを痛感したレースでした。レース活動をするための自分を取り巻く環境は年々よくなっているのに、成績が伴わないのは実力がないのだと思います」。
「今年はオランダからベルギーに活動の拠点を変えました。ベルギー在住の橋川健さんにもサポートしていただき、レースの結果以上に人や環境とのつながりができたシーズンでした」。
「今までもより多くの人に応援してもらえたことは大きな収穫です。だから、来年、再来年と結果で恩返しをしていきたいと思っています」。
「世界選手権に出場するからには、世界チャンピオンを狙っていきたいという姿勢には変わりないです。ただ今年の状況では、それは難しい。もっと多くのことを肌で感じていきたいし、今年で30才になったという年齢を考えると、そんなには時間がないから、今できることを柔軟にやって吸収していきたいですね」。
「春からはマウンテンバイクシーズンが始まります。そもそもシクロクロスとは、オフトレーニングとして始まった競技。最近の強い選手たちはシクロクロスのみに特化しているけど、その競技の生い立ちを考えれば、両立は不可能ではないと思っています。だから、来季はマウンテンバイクとシクロクロス、2つの競技でチャンピオンジャージを獲得することが目標です」。
9年目の世界選手権となった辻浦は、日本チームを引っ張る存在になっている。所属チームの理解やサポートもあるが、欧州での遠征はほとんど個人で調整して行ってきている。日本人選手がシーズン中だけ欧州を拠点に活動するというのは、そう簡単なことではない。
今季、ベルギーを拠点としてワールドカップなどを転戦してきたが、ここまでの体制を整えてきた背景には多くの努力がある。「結果がすべてです」と言うが、結果を出すために、彼が一生懸命動いている水面下の見えない部分にも注目していきたい。
text&photo:Sonoko Tanaka
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