2018/03/26(月) - 08:22
落車が頻発する危険なカタルーニャ最終ステージでサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が逃げ切り。攻めの走りでアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が総合優勝を掴み、互角に渡り合ったエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)は落車リタイアの憂き目に遭った。
1週間続いたボルタ・ア・カタルーニャも最終日。スペイン第2の都市バルセロナをスタートし、序盤に2級と3級山岳を一つずつ通過、中盤を過ぎてモンジュイックの丘(3級山岳、2km/平均5.7%/最大8%)を含む1周6.6kmを8周回してフィニッシュする154.8kmのコースが用意された。
昨年のこのステージでは、既に総合首位に立っていたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が逃げ切ってステージ優勝を挙げている。バルセロナの街を見下ろすモンジュイックの丘で毎年総合争いが動いており、今年もまた激動かつ波乱の展開が待ち受けていた。
この日は全く逃げが決まらず、アタック合戦がレース半分を過ぎてもなお続いた。88km地点の第2中間スプリントではボーナスタイム獲得のためにバルベルデが動き、総合2位エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)が反応してそれぞれ2位と3位通過を果たす。
後半のアップダウンコースに向けて総合争いのテンションが高まる中、ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、クイックステップフロアーズ)のアタックをきっかけにマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)、ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)ら8名が抜け出したことで一旦状況は沈静化する。8名は1分程度の差を携えて周回コースへと入った。
メイン集団ではミッチェルトン・スコットがコントロールを担い、逃げとのタイム差を詰めた状態からダリル・インピー(南アフリカ)が発進。マルク・ソレル(スペイン、モビスター)らも追従したことで更なるアタック合戦が幕開けた。
逃げメンバーは登りでシャッフルされ、元々逃げていたナルバエスとモホリッチ、ニック・シュルツ(オーストラリア、カハルーラル・セグロスRGA)に、合流してきたソレル、インピー、セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)、エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)という計7名が逃げ始める。更に集団から総合5位サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が抜け出し、インピーの手助けを得て合流に成功した。
ナショナルチャンピオン2名を含む強力な8名は、モビスターが牽引する集団とのタイム差を固定しながら逃げ続ける。すると残り25kmを切ったモンジュイックの丘で、突如メイン集団からバルベルデ自らアタック。ここにベルナルが続き、一気に先頭グループへとジャンプしてくる。
激しい動きの中でメイン集団も合流し、それを嫌うかのように再びモホリッチが攻撃に打って出た。ソレルが続き、クイックステップフロアーズはマスに代わってボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)を、ミッチェルトン・スコットはイェーツに代わってカルロス・べローナ(スペイン)を送り込む。
残り3回目のモンジュイックの丘で再びベルナルが動き、バルベルデが厳しくマークして先頭4名に合流。しかしメイン集団も総合トップ2を逃さず再びレースは振り出しに戻った。
そんな個々の力と力がぶつかり合う状況で優位に運んだのはミッチェルトン・スコットだった。ベローナの助けを借りてイェーツが再び逃げ、下りで圧倒的なスピードを披露するモホリッチ、そしてバルベルデを前待ちするソレルと共に逃げ、15秒差で終盤戦へと突入。しかしこのタイミングでメイン集団に激震が走った。
雨に濡れたモンジュイックの高速ダウンヒルで、タイヤを滑らせたホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)がスリップダウン。地面を滑るロハスに引っかかったベルナルが激しく前転し、ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)も煽りを受けて落車した。
肩と頭から路面に叩きつけられたベルナルは暫く動くことができず、そのまま病院に運ばれてリタイア。チームによればベルナルはこれから病院で精密検査を受ける予定だという。幸いロハスとマーティンは深刻なダメージを免れ、ロハスは自身のTwitterに「路面にオイルが流れていてバイクをコントロールしきれなかった。ベルナルに対して申し訳なく思っている」と思いを綴っている。
一方、最終周回の登りではベルナルのリタイアで総合表彰台が見えたイェーツがアタックし、メイン集団ではそれを拒む総合4位のピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)がタイム差を広げまいと追走に回る。そのままハイスピードを維持したイェーツがパリ〜ニース第7ステージに続く独走勝利を飾り、粘ったソレルが2着。メイン集団をまとめ、18秒差のステージ3位に入ったラトゥールが総合同タイムとなって表彰台を死守し、積極的に走ったバルベルデが総合優勝を達成した。
「序盤から非常に高速で、中盤を過ぎてから逃げが決まるとても難しい一日だった。スピードのある選手たちが相手だったのでロングスパートで勝負しようと思っていたんだ」とイェーツは最終日を振り返る。「表彰台への望みを繋いで攻めたけど届かずに残念だけど、僕らは毎日攻める走りをできたし、サポートしてくれたインピーを誇りに思うよ」と言うイェーツ。今後はイタリアのワンデーレースを経てジロ・デ・イタリアに出場する予定だ。
2009年、2017年に続く2年連続3度目の総合優勝を遂げたバルベルデは、ミゲール・インデュラインが持つ大会最多優勝記録へと肩を並べた。38歳目前にして今季8勝目(うち総合優勝2つ)と絶好調のバルベルデは勝利を喜びつつ、波乱含みの最終ステージを終えて以下のようにコメントしている。
「誰もが”最終日まで勝負は分からない”と言っていた通りのナーバスな展開。しかも路面が濡れて例年よりもずっと危険な状態だった。オートバイ2台がクラッシュしていたし、同じ場所でロハスとベルナルが落車してしまった。そのオートバイからオイルが流れていたんじゃないかと思う。エガンは本当に強かった分、彼に起こったアクシデントが残念でならないよ。輝かしい未来を約束されている彼と、ロハスの早い復帰を期待したい」。
1週間続いたボルタ・ア・カタルーニャも最終日。スペイン第2の都市バルセロナをスタートし、序盤に2級と3級山岳を一つずつ通過、中盤を過ぎてモンジュイックの丘(3級山岳、2km/平均5.7%/最大8%)を含む1周6.6kmを8周回してフィニッシュする154.8kmのコースが用意された。
昨年のこのステージでは、既に総合首位に立っていたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が逃げ切ってステージ優勝を挙げている。バルセロナの街を見下ろすモンジュイックの丘で毎年総合争いが動いており、今年もまた激動かつ波乱の展開が待ち受けていた。
この日は全く逃げが決まらず、アタック合戦がレース半分を過ぎてもなお続いた。88km地点の第2中間スプリントではボーナスタイム獲得のためにバルベルデが動き、総合2位エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)が反応してそれぞれ2位と3位通過を果たす。
後半のアップダウンコースに向けて総合争いのテンションが高まる中、ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、クイックステップフロアーズ)のアタックをきっかけにマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)、ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)ら8名が抜け出したことで一旦状況は沈静化する。8名は1分程度の差を携えて周回コースへと入った。
メイン集団ではミッチェルトン・スコットがコントロールを担い、逃げとのタイム差を詰めた状態からダリル・インピー(南アフリカ)が発進。マルク・ソレル(スペイン、モビスター)らも追従したことで更なるアタック合戦が幕開けた。
逃げメンバーは登りでシャッフルされ、元々逃げていたナルバエスとモホリッチ、ニック・シュルツ(オーストラリア、カハルーラル・セグロスRGA)に、合流してきたソレル、インピー、セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)、エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)という計7名が逃げ始める。更に集団から総合5位サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が抜け出し、インピーの手助けを得て合流に成功した。
ナショナルチャンピオン2名を含む強力な8名は、モビスターが牽引する集団とのタイム差を固定しながら逃げ続ける。すると残り25kmを切ったモンジュイックの丘で、突如メイン集団からバルベルデ自らアタック。ここにベルナルが続き、一気に先頭グループへとジャンプしてくる。
激しい動きの中でメイン集団も合流し、それを嫌うかのように再びモホリッチが攻撃に打って出た。ソレルが続き、クイックステップフロアーズはマスに代わってボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)を、ミッチェルトン・スコットはイェーツに代わってカルロス・べローナ(スペイン)を送り込む。
残り3回目のモンジュイックの丘で再びベルナルが動き、バルベルデが厳しくマークして先頭4名に合流。しかしメイン集団も総合トップ2を逃さず再びレースは振り出しに戻った。
そんな個々の力と力がぶつかり合う状況で優位に運んだのはミッチェルトン・スコットだった。ベローナの助けを借りてイェーツが再び逃げ、下りで圧倒的なスピードを披露するモホリッチ、そしてバルベルデを前待ちするソレルと共に逃げ、15秒差で終盤戦へと突入。しかしこのタイミングでメイン集団に激震が走った。
雨に濡れたモンジュイックの高速ダウンヒルで、タイヤを滑らせたホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)がスリップダウン。地面を滑るロハスに引っかかったベルナルが激しく前転し、ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)も煽りを受けて落車した。
肩と頭から路面に叩きつけられたベルナルは暫く動くことができず、そのまま病院に運ばれてリタイア。チームによればベルナルはこれから病院で精密検査を受ける予定だという。幸いロハスとマーティンは深刻なダメージを免れ、ロハスは自身のTwitterに「路面にオイルが流れていてバイクをコントロールしきれなかった。ベルナルに対して申し訳なく思っている」と思いを綴っている。
一方、最終周回の登りではベルナルのリタイアで総合表彰台が見えたイェーツがアタックし、メイン集団ではそれを拒む総合4位のピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)がタイム差を広げまいと追走に回る。そのままハイスピードを維持したイェーツがパリ〜ニース第7ステージに続く独走勝利を飾り、粘ったソレルが2着。メイン集団をまとめ、18秒差のステージ3位に入ったラトゥールが総合同タイムとなって表彰台を死守し、積極的に走ったバルベルデが総合優勝を達成した。
「序盤から非常に高速で、中盤を過ぎてから逃げが決まるとても難しい一日だった。スピードのある選手たちが相手だったのでロングスパートで勝負しようと思っていたんだ」とイェーツは最終日を振り返る。「表彰台への望みを繋いで攻めたけど届かずに残念だけど、僕らは毎日攻める走りをできたし、サポートしてくれたインピーを誇りに思うよ」と言うイェーツ。今後はイタリアのワンデーレースを経てジロ・デ・イタリアに出場する予定だ。
2009年、2017年に続く2年連続3度目の総合優勝を遂げたバルベルデは、ミゲール・インデュラインが持つ大会最多優勝記録へと肩を並べた。38歳目前にして今季8勝目(うち総合優勝2つ)と絶好調のバルベルデは勝利を喜びつつ、波乱含みの最終ステージを終えて以下のようにコメントしている。
「誰もが”最終日まで勝負は分からない”と言っていた通りのナーバスな展開。しかも路面が濡れて例年よりもずっと危険な状態だった。オートバイ2台がクラッシュしていたし、同じ場所でロハスとベルナルが落車してしまった。そのオートバイからオイルが流れていたんじゃないかと思う。エガンは本当に強かった分、彼に起こったアクシデントが残念でならないよ。輝かしい未来を約束されている彼と、ロハスの早い復帰を期待したい」。
ステージ結果
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 3h28’04” |
2位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | +13” |
3位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼル) | +18” |
4位 | ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード) | |
5位 | ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
6位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ) | |
7位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | |
8位 | ワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック) | |
9位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | |
10位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) |
個人総合成績
1位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 28h25’07” |
2位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | +29” |
3位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | +47” |
4位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | |
5位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | +1’10” |
6位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | +1’23” |
7位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | +1’29” |
8位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | +1’31” |
9位 | ジャスパー・ハンセン(デンマーク、アスタナ) | |
10位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | +1’34” |
山岳賞
1位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 46pts |
2位 | ヨルディ・シモン(スペイン、ブルゴス・BH) | 34pts |
3位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | 22pts |
スプリント賞
1位 | ルイス・マス(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA) | 13pts |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 8pts |
3位 | ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター) | 5pts |
ヤングライダー賞
1位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 28h25’54” |
2位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | +23” |
3位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | +42” |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 85h17’39” |
2位 | アージェードゥーゼル | +5’02” |
3位 | グルパマFDJ | +5’27” |
Text:So.Isobe
Photo:CorVos
Photo:CorVos
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