2018/03/24(土) - 08:38
ピレネー山脈の山岳地帯を越えるボルタ・ア・カタルーニャ第5ステージで、序盤アタックしたヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)とヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)が逃げ切り。パンタノが一騎打ちを制し、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)は総合首位を堅守した。
カタルーニャ州北部のフランス国境に近いピレネー山脈を駆け抜ける (c)Volta Ciclista a Catalunya
ボルタ・ア・カタルーニャ2018第5ステージ (c)Volta Ciclista a Catalunyaカタルーニャ州で開催されているボルタ・ア・カタルーニャ(UCIワールドツアー)はクイーンステージを終えてなお、州北部のフランス国境に近いピレネー山脈を走り続ける。フランスに取り囲まれて位置するスペインの飛地リビアをスタートし、国境沿いに西進してビエーリャ・エ・ミジャーランを目指す212.9kmコースには3つの大きな峠が組み込まれている。
スタートして暫くは下り基調だが、60km地点を境に登りに転じ、2016年のツール・ド・フランスにも登場した超級山岳カント峠(全長24.8km/平均勾配4.3% ※ツール登場時は1級山岳)と1級山岳ペルヴェス峠(22.9km/平均勾配3.5%)をクリア。標高800m地点から山岳カテゴライズされていないビエーリャトンネル(標高1555m)まで駆け上がり、ラスト13kmからフィニッシュまではハイスピードダウンヒルが続く。逃げ切り、または総合争いも起こり得る今大会最長ステージに向けて157名がスタートを切った。
スタート直後のスプリントポイントを目掛けて動いたのは、総合2位のエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)だった。前日のお返しと言わんばかりに1位通過し、総合首位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)に対してボーナスタイム3秒を獲得。タイム差を19秒から16秒へと縮めプレッシャーを掛けていく。
最後の登坂でヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)がアタック (c)CorVos
その後すぐに12名が先行し、状況を落ち着かせたいメイン集団は静観を選ぶ。ローレン・ディディエ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)やジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ダニーロ・ヴィス(スイス、BMCレーシング)、ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)、ヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)、セルゲイ・チェルネトスキー(ロシア、アスタナ)ら、逃げ屋揃いのエスケープグループは下りを利用して3分のリードを生み出した。
ヨルディ・シモン(スペイン、ブルゴス・BH)がカント峠を先頭通過し、山岳賞ランキング3位浮上に成功。次いだペルヴェス峠ではパンタノが先頭通過してレースは後半戦へと入っていった。
ビエーリャトンネルまで駆け上がるこの日最後の登りに差し掛かると、逃げグループ、メイン集団共に動きが生まれる。先頭ではパンタノがペースアップを行い、続いてラエンゲンもアタック。元IAMサイクリング時代のチームメイト二人が抜け出した状態で、かつて世界最長のトンネルであったビエーリャトンネルを潜り抜けた。
メイン集団からアタックしたステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)、ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)、セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマFDJ) (c)CorVos
ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)とヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)が逃げる (c)CorVos
メイン集団からはボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)とワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)がアタックしたものの、すぐにバルギルは後退。セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマFDJ)とステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)がユンゲルスに追いつき、3名が溪谷沿いの緩斜面を飛ばしていく。
しかしトンネルが近づくとモビスターやチームスカイが封じ込めに動き出し、一気に3名を飲み込んだことでアタックが活発化。総合4位ピエール・ラトゥール(フランス、AG2R)も動いたが、結局集団を突き放すには至らない。モビスター主導で先頭2名との距離を縮めながらハイスピードダウンヒルへと入っていった。
90km/hに達する下りで先頭2名とメイン集団の差は15秒ほど。コーナーを攻めたパンタノが付ききれないラエンゲンを引き離しつつ、僅かなタイム差を維持したままビエーリャ市街地に到達し、前に2人が逃げていることを知らずに集団からアタックしたマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)の10秒前方でステージ優勝。序盤から逃げ、2名に置き去りにされたヴィスコンティとヴィス、チェルネトスキーが続き、その2秒後にホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)とバルベルデを先頭にしたメイン集団がなだれ込んだ。
コーナーで先行し、そのままフィニッシュラインに飛び込んだヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード) (c)CorVos
メイン集団の先頭付近でフィニッシュしたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) (c)CorVos
およそ1年ぶりに自身の表彰台に立ったヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード) (c)CorVos
「今日は逃げにチャンスがあると分かっていたから、最後まで逃げグループ内で協力しあっていたよ。僕を信頼してくれるチームのために結果を出すことができて本当に良かった。」と語るパンタノにとっては、1年前のコロンビアナショナルTT選手権に続く勝利。ロードレースで見れば2016年ツール・ド・フランス第15ステージでの逃げ切り以来久々の勝利となった。
総合首位を守ったバルベルデは「今日も中間スプリントを狙っていたけれど、その前のランドアバウトで僕の前にいた誰かが劇的に遅かったのでベルナルに追いつけなかった。ただし今回失った3秒が決定的なものになるとは思わない。過酷な山岳ステージは終わったものの、残る2日間は雨でトリッキーになるだろうから注意していきたい。更にアタックするつもりだし、普通にいけばこのポジションを守りきれると思う」と総合優勝に向けて自信を語っている。
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スタートして暫くは下り基調だが、60km地点を境に登りに転じ、2016年のツール・ド・フランスにも登場した超級山岳カント峠(全長24.8km/平均勾配4.3% ※ツール登場時は1級山岳)と1級山岳ペルヴェス峠(22.9km/平均勾配3.5%)をクリア。標高800m地点から山岳カテゴライズされていないビエーリャトンネル(標高1555m)まで駆け上がり、ラスト13kmからフィニッシュまではハイスピードダウンヒルが続く。逃げ切り、または総合争いも起こり得る今大会最長ステージに向けて157名がスタートを切った。
スタート直後のスプリントポイントを目掛けて動いたのは、総合2位のエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)だった。前日のお返しと言わんばかりに1位通過し、総合首位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)に対してボーナスタイム3秒を獲得。タイム差を19秒から16秒へと縮めプレッシャーを掛けていく。
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その後すぐに12名が先行し、状況を落ち着かせたいメイン集団は静観を選ぶ。ローレン・ディディエ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)やジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ダニーロ・ヴィス(スイス、BMCレーシング)、ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)、ヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)、セルゲイ・チェルネトスキー(ロシア、アスタナ)ら、逃げ屋揃いのエスケープグループは下りを利用して3分のリードを生み出した。
ヨルディ・シモン(スペイン、ブルゴス・BH)がカント峠を先頭通過し、山岳賞ランキング3位浮上に成功。次いだペルヴェス峠ではパンタノが先頭通過してレースは後半戦へと入っていった。
ビエーリャトンネルまで駆け上がるこの日最後の登りに差し掛かると、逃げグループ、メイン集団共に動きが生まれる。先頭ではパンタノがペースアップを行い、続いてラエンゲンもアタック。元IAMサイクリング時代のチームメイト二人が抜け出した状態で、かつて世界最長のトンネルであったビエーリャトンネルを潜り抜けた。
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メイン集団からはボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)とワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)がアタックしたものの、すぐにバルギルは後退。セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマFDJ)とステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)がユンゲルスに追いつき、3名が溪谷沿いの緩斜面を飛ばしていく。
しかしトンネルが近づくとモビスターやチームスカイが封じ込めに動き出し、一気に3名を飲み込んだことでアタックが活発化。総合4位ピエール・ラトゥール(フランス、AG2R)も動いたが、結局集団を突き放すには至らない。モビスター主導で先頭2名との距離を縮めながらハイスピードダウンヒルへと入っていった。
90km/hに達する下りで先頭2名とメイン集団の差は15秒ほど。コーナーを攻めたパンタノが付ききれないラエンゲンを引き離しつつ、僅かなタイム差を維持したままビエーリャ市街地に到達し、前に2人が逃げていることを知らずに集団からアタックしたマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)の10秒前方でステージ優勝。序盤から逃げ、2名に置き去りにされたヴィスコンティとヴィス、チェルネトスキーが続き、その2秒後にホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)とバルベルデを先頭にしたメイン集団がなだれ込んだ。
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「今日は逃げにチャンスがあると分かっていたから、最後まで逃げグループ内で協力しあっていたよ。僕を信頼してくれるチームのために結果を出すことができて本当に良かった。」と語るパンタノにとっては、1年前のコロンビアナショナルTT選手権に続く勝利。ロードレースで見れば2016年ツール・ド・フランス第15ステージでの逃げ切り以来久々の勝利となった。
総合首位を守ったバルベルデは「今日も中間スプリントを狙っていたけれど、その前のランドアバウトで僕の前にいた誰かが劇的に遅かったのでベルナルに追いつけなかった。ただし今回失った3秒が決定的なものになるとは思わない。過酷な山岳ステージは終わったものの、残る2日間は雨でトリッキーになるだろうから注意していきたい。更にアタックするつもりだし、普通にいけばこのポジションを守りきれると思う」と総合優勝に向けて自信を語っている。
ステージ結果
1位 | ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード) | 5h20’53” |
2位 | ヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | |
3位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ) | +10” |
4位 | ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
5位 | ダニーロ・ヴィス(スイス、BMCレーシング) | |
6位 | セルゲイ・チェルネトスキー(ロシア、アスタナ) | +12” |
7位 | ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター) | +14” |
8位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | |
9位 | ドリアン・ゴドン(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ) | |
10位 | ビョルグ・ランブレヒト(ベルギー、ロット・スーダル) |
個人総合成績
1位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 22h22’05” |
2位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | +16” |
3位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | +26” |
4位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | +48” |
5位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | +1’12” |
6位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | +1’18” |
7位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | +1’20” |
8位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | +1’24” |
9位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | +1’26” |
10位 | ジャスパー・ハンセン(デンマーク、アスタナ) | +1’28” |
山岳賞
1位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 41pts |
2位 | エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) | 36pts |
3位 | ヨルディ・シモン(スペイン、ブルゴス・BH) | 34pts |
スプリント賞
1位 | ルイス・マス(スペイン、カハルーラルRGA) | 10pts |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 5pts |
3位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 5pts |
ヤングライダー賞
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 22h22’21” |
2位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | +32” |
3位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | +1’02” |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 67h08’29” |
2位 | EFエデュケーションファースト・ドラパック | 3’16” |
3位 | アージェードゥーゼール | +3’18” |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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