2018/03/12(月) - 09:07
2018年もパリ〜ニースは最終局面まで総合優勝者が読めない接戦。強い雨に見舞われた山岳コースでダビ・デラクルス(チームスカイ)が勝利し、マルク・ソレル(モビスター)が4秒差で逆転総合優勝に輝いた。
パリ〜ニース最終日は例年通りニースを発着する短め(110km)の山岳ステージ。地中海を見下ろすカテゴリー1〜2級の山岳が立て続けに6つ登場する。後半にかけて1級山岳ペイユ峠(全長6.6km/平均6.8%)と1級山岳エズ峠(全長1.6km/平均8.1%)をクリアし、新たに追加された2級山岳キャトル・シュマン峠(全長5.5km/平均5.5%)を越えてニースの海岸通りプロムナード・デ・ザングレ(イギリス人の遊歩道)でフィニッシュを迎える。
8日間かけて1,000km近くを走るパリ〜ニースは、最終的に数秒差で総合争いが決するのが通例だ。2017年はアルベルト・コンタドール(スペイン)が最終日に逆転を狙ったものの2秒届かずセルジオルイス・エナオ(コロンビア)が総合優勝。2016年も同じくコンタドールが果敢に動いたがゲラント・トーマス(イギリス)には4秒届かず。2015年はリッチー・ポート(オーストラリア)が最終個人TTで優勝してトニー・ガロパン(フランス)から首位を奪っている。
「太陽に向かうレース」という通称に反して、コートダジュールは朝から強い雨と強い風に見舞われた。レース時間が3時間に満たない短時間決戦は序盤からアタックの応酬となる。最初の2級山岳ルヴァン峠(全長6.2km/平均5.6%)でヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)やオマール・フライレ(スペイン、アスタナ)、ダビ・デラクルス(スペイン、チームスカイ)がアタックを仕掛けて先行。これを追ってゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)といった総合上位勢も動いたため、総合首位サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)も反応。やがて先頭では24名の精鋭集団が形成された。
24km地点の第1スプリントでは総合3位イサギレが3秒、総合4位ウェレンスが2秒、総合首位イェーツが1秒のボーナスタイムを獲得。その後、アラフィリップとフライレ、フルサングという3名が先行を開始してメイン集団から1分のリードを奪った。メイン集団の中で山岳ポイントを量産したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)は山岳賞トップの座を固めている。
雨に濡れたコースで落車したフルサングが先頭から脱落。アラフィリップとフライレの2人が先行する展開が続いたが、やがてアラフィリップが脱落して先頭ではフライレの独走状態になる。フィニッシュまで45kmを切ると、メイン集団の中からデラクルスと総合6位/37秒遅れのマルク・ソレル(スペイン、モビスター)が抜け出して先頭フライレにジョイン。こうして先頭ではスペイン人選手3名による逃げグループが形成された。
78.5km地点の第2スプリントを先頭通過したソレルは、ボーナスタイム3秒追加でイェーツとの総合タイム差を35秒に縮めた。ミッチェルトン・スコットとバーレーン・メリダが率いるメイン集団は、先頭スパニッシュトリオから1分遅れで1級山岳エズ峠をクリア。すると最後の2級山岳キャトル・シュマン峠で総合2位ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)が総合3位ゴルカ・イサギレや総合4位ウェレンスとともにカウンターアタック。総合2〜4位が総合1位を引き離し始める。
2級山岳キャトル・シュマン峠を越えた時点で、総合優勝の行方は先頭グループ内のソレル(35秒差)、追走グループ内のイサギレ兄弟(9秒差と11秒差)とウェレンス(13秒差)、そしてメイン集団内のイェーツの5名が暫定的に数秒差にひしめく状態。下りコーナーでゴルカ・イサギレが落車した影響で追走グループはメイン集団に引き戻され、先頭3名(ソレル、デラクルス、フライレ)が1分差をつけたままニースのフィニッシュラインへと向かった。
ステージ3位(ボーナスタイム4秒)に入ると仮定すると、ソレルがイェーツを31秒以上引き離してフィニッシュすれば逆転総合優勝が決まる。ステージ優勝を捨てて懸命に先頭を引くソレルと、タイム差を詰めながらスリッピーな下りを終えたメイン集団。タイム差40秒で残り1kmサインを通過した。
最後はソレルの後ろで力を貯めたデラクルスとフライレのスプリント争いになり、先着したデラクルスがステージ優勝。ソレルは3秒遅れながらもステージ3位に入ってボーナスタイム4秒獲得。イェーツを含むメイン集団は38秒遅れでフィニッシュし、結果、4秒差でソレルの総合優勝が決まった。
クイックステップフロアーズからチームスカイに移籍し、ブエルタ・ア・アンダルシアの個人タイムトライアルで勝利しているデラクルスが2年連続でパリ〜ニースの最終ステージで優勝。「とてもハードで混沌とした1日だった。序盤からハイテンポで、集中力を絶やさずに戦い続ける必要があったんだ。2年連続ステージ優勝はとにかく嬉しい」とデラクルス。チームスカイはパリ〜ニース4連覇を逃したものの(最高位はデラクルスの総合9位)、ステージ優勝で1週間を締めくくることに成功した。
逆転で総合優勝をつかんだソレルは「前半からスプリントポイントに向けてレースは高速で進み、できるだけ力を温存しながら仕掛けるポイントを待った。パリ〜ニースの総合優勝は夢のよう。偉大なチャンピオンの名前が並ぶ優勝者リストに自分の名前が加わるなんて。毎年成長していることを感じるし、トップレベルで戦うことにも慣れてきた。これからも成長を続けたい」とコメント。現在24歳のソレルはブエルタ・ア・アンダルシアを総合3位で終え、パリ〜ニースの個人タイムトライアルで2位。ヤングライダー賞対象の若手でありながら、安定した走りでキャリア最大のタイトルを手にした。先輩アレハンドロ・バルベルデとミケル・ランダに続くモビスターのオールラウンダーとして今後の活躍に注目だ。
4秒差で総合優勝を逃したイェーツは「チームとして全力を尽くした結果。予想通りアグレッシブな展開だった。マルク・ソレルの走りは素晴らしかったし、彼を心から祝福したい。昨年ツール・ド・ロマンディの最終日で20秒差を逆転され、今回4秒差でパリ〜ニースを逃した。ビッグレースの勝利に近づいているので、これからも進化していきたい」と語る。
ソレルとイェーツに続いて14秒差でゴルカ・イサギレが総合3位に。総合5位ウェレンスがポイント賞を、デヘントが山岳賞を獲得している。悪天候により完走者は第1ステージ出走者の約半分にあたる78名にとどまった。
パリ〜ニース最終日は例年通りニースを発着する短め(110km)の山岳ステージ。地中海を見下ろすカテゴリー1〜2級の山岳が立て続けに6つ登場する。後半にかけて1級山岳ペイユ峠(全長6.6km/平均6.8%)と1級山岳エズ峠(全長1.6km/平均8.1%)をクリアし、新たに追加された2級山岳キャトル・シュマン峠(全長5.5km/平均5.5%)を越えてニースの海岸通りプロムナード・デ・ザングレ(イギリス人の遊歩道)でフィニッシュを迎える。
8日間かけて1,000km近くを走るパリ〜ニースは、最終的に数秒差で総合争いが決するのが通例だ。2017年はアルベルト・コンタドール(スペイン)が最終日に逆転を狙ったものの2秒届かずセルジオルイス・エナオ(コロンビア)が総合優勝。2016年も同じくコンタドールが果敢に動いたがゲラント・トーマス(イギリス)には4秒届かず。2015年はリッチー・ポート(オーストラリア)が最終個人TTで優勝してトニー・ガロパン(フランス)から首位を奪っている。
「太陽に向かうレース」という通称に反して、コートダジュールは朝から強い雨と強い風に見舞われた。レース時間が3時間に満たない短時間決戦は序盤からアタックの応酬となる。最初の2級山岳ルヴァン峠(全長6.2km/平均5.6%)でヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)やオマール・フライレ(スペイン、アスタナ)、ダビ・デラクルス(スペイン、チームスカイ)がアタックを仕掛けて先行。これを追ってゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)といった総合上位勢も動いたため、総合首位サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)も反応。やがて先頭では24名の精鋭集団が形成された。
24km地点の第1スプリントでは総合3位イサギレが3秒、総合4位ウェレンスが2秒、総合首位イェーツが1秒のボーナスタイムを獲得。その後、アラフィリップとフライレ、フルサングという3名が先行を開始してメイン集団から1分のリードを奪った。メイン集団の中で山岳ポイントを量産したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)は山岳賞トップの座を固めている。
雨に濡れたコースで落車したフルサングが先頭から脱落。アラフィリップとフライレの2人が先行する展開が続いたが、やがてアラフィリップが脱落して先頭ではフライレの独走状態になる。フィニッシュまで45kmを切ると、メイン集団の中からデラクルスと総合6位/37秒遅れのマルク・ソレル(スペイン、モビスター)が抜け出して先頭フライレにジョイン。こうして先頭ではスペイン人選手3名による逃げグループが形成された。
78.5km地点の第2スプリントを先頭通過したソレルは、ボーナスタイム3秒追加でイェーツとの総合タイム差を35秒に縮めた。ミッチェルトン・スコットとバーレーン・メリダが率いるメイン集団は、先頭スパニッシュトリオから1分遅れで1級山岳エズ峠をクリア。すると最後の2級山岳キャトル・シュマン峠で総合2位ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)が総合3位ゴルカ・イサギレや総合4位ウェレンスとともにカウンターアタック。総合2〜4位が総合1位を引き離し始める。
2級山岳キャトル・シュマン峠を越えた時点で、総合優勝の行方は先頭グループ内のソレル(35秒差)、追走グループ内のイサギレ兄弟(9秒差と11秒差)とウェレンス(13秒差)、そしてメイン集団内のイェーツの5名が暫定的に数秒差にひしめく状態。下りコーナーでゴルカ・イサギレが落車した影響で追走グループはメイン集団に引き戻され、先頭3名(ソレル、デラクルス、フライレ)が1分差をつけたままニースのフィニッシュラインへと向かった。
ステージ3位(ボーナスタイム4秒)に入ると仮定すると、ソレルがイェーツを31秒以上引き離してフィニッシュすれば逆転総合優勝が決まる。ステージ優勝を捨てて懸命に先頭を引くソレルと、タイム差を詰めながらスリッピーな下りを終えたメイン集団。タイム差40秒で残り1kmサインを通過した。
最後はソレルの後ろで力を貯めたデラクルスとフライレのスプリント争いになり、先着したデラクルスがステージ優勝。ソレルは3秒遅れながらもステージ3位に入ってボーナスタイム4秒獲得。イェーツを含むメイン集団は38秒遅れでフィニッシュし、結果、4秒差でソレルの総合優勝が決まった。
クイックステップフロアーズからチームスカイに移籍し、ブエルタ・ア・アンダルシアの個人タイムトライアルで勝利しているデラクルスが2年連続でパリ〜ニースの最終ステージで優勝。「とてもハードで混沌とした1日だった。序盤からハイテンポで、集中力を絶やさずに戦い続ける必要があったんだ。2年連続ステージ優勝はとにかく嬉しい」とデラクルス。チームスカイはパリ〜ニース4連覇を逃したものの(最高位はデラクルスの総合9位)、ステージ優勝で1週間を締めくくることに成功した。
逆転で総合優勝をつかんだソレルは「前半からスプリントポイントに向けてレースは高速で進み、できるだけ力を温存しながら仕掛けるポイントを待った。パリ〜ニースの総合優勝は夢のよう。偉大なチャンピオンの名前が並ぶ優勝者リストに自分の名前が加わるなんて。毎年成長していることを感じるし、トップレベルで戦うことにも慣れてきた。これからも成長を続けたい」とコメント。現在24歳のソレルはブエルタ・ア・アンダルシアを総合3位で終え、パリ〜ニースの個人タイムトライアルで2位。ヤングライダー賞対象の若手でありながら、安定した走りでキャリア最大のタイトルを手にした。先輩アレハンドロ・バルベルデとミケル・ランダに続くモビスターのオールラウンダーとして今後の活躍に注目だ。
4秒差で総合優勝を逃したイェーツは「チームとして全力を尽くした結果。予想通りアグレッシブな展開だった。マルク・ソレルの走りは素晴らしかったし、彼を心から祝福したい。昨年ツール・ド・ロマンディの最終日で20秒差を逆転され、今回4秒差でパリ〜ニースを逃した。ビッグレースの勝利に近づいているので、これからも進化していきたい」と語る。
ソレルとイェーツに続いて14秒差でゴルカ・イサギレが総合3位に。総合5位ウェレンスがポイント賞を、デヘントが山岳賞を獲得している。悪天候により完走者は第1ステージ出走者の約半分にあたる78名にとどまった。
パリ〜ニース2018第8ステージ結果
1位 | ダビ・デラクルス(スペイン、チームスカイ) | 2:53:06 |
2位 | オマール・フライレ(スペイン、アスタナ) | |
3位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | 0:00:03 |
4位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:38 |
5位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | |
6位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | |
7位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング) | |
8位 | リカルド・カラパス(エクアドル、モビスター) | |
9位 | ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | |
10位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) |
個人総合成績
1位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | 30:22:41 |
2位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:04 |
3位 | ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:00:14 |
4位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:00:16 |
5位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | |
6位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング) | 0:00:32 |
7位 | パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:44 |
8位 | アレクシ・ヴィエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:01:54 |
9位 | ダビ・デラクルス(スペイン、チームスカイ) | 0:02:15 |
10位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:02:35 |
ポイント賞
1位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | 37pts |
2位 | ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 31pts |
3位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 28pts |
山岳賞
1位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 69pts |
2位 | オマール・フライレ(スペイン、アスタナ) | 37pts |
3位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 21pts |
ヤングライダー賞
1位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | 30:22:41 |
2位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:02:35 |
3位 | リカルド・カラパス(エクアドル、モビスター) | 0:03:47 |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・メリダ | 91:31:07 |
2位 | アスタナ | 0:04:23 |
3位 | ミッチェルトン・スコット | 0:06:14 |
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.
photo:A.S.O.