2018/03/09(金) - 08:44
中級山岳コースで行われたパリ〜ニース第5ステージで2人の逃げ切り決まる。迫り来る大集団を振り切ったジェローム・クザン(ディレクトエネルジー)とニルス・ポリッツ(カチューシャ・アルペシン)が4秒差の逃げ切りを果たした。
プロヴァンスの山岳地帯を進む photo:A.S.O.
パリ〜ニース2018第5ステージ photo:A.S.O.プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏を走るパリ〜ニース第5ステージ。サロン・ド・プロヴァンスからシストロンまでの165kmコースには4つのカテゴリー山岳が設定されており、中盤にかけて1級山岳ラガルド=ダプト峠(全長11km/平均7%)を含む標高1,000m級の山岳地帯をクリアする。さらに残り13km地点に3級山岳ラ・マルキーズ峠(全長1.3km/平均6.4%)が組み込まれた、ピュアスプリンターにはやや厳しいコースレイアウト。
この日は第2ステージの優勝者ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)やラルス・ボーム(オランダ、ロットNLユンボ)がスタートせず。さらにエドワード・トゥーンス(ベルギー、サンウェブ)やダニエル・マクレー(イギリス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)も体調不良によりステージ途中でレースを降りている。
ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)、ジュリアン・エルファレス(フランス、デルコ・マルセイユプロヴァンス)、ジェローム・クザン(フランス、ディレクトエネルジー)、ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)がこの日の逃げメンバー。順調に5分50秒までリードを広げながら、雪に覆われた山岳地帯を駆け抜ける。1級山岳ラガルド=ダプト峠を含めて山岳ポイントを量産したクザンは山岳賞トップに立っている。
中盤の連続山岳でナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)とジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)が脱落する中、クイックステップフロアーズとロット・スーダルの2チームがメイン集団を牽引した。とはいえ、実質的にティム・デクレルク(ベルギー、クイックステップフロアーズ)とラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・スーダル)の2人ローテーションが続いたため、4人でローテーションを回す逃げグループとのタイム差が縮まらない。残り50km地点で4分あったタイム差は、残り30km地点で3分半。ダブルベルギーチームがローテーションに複数名の選手を送り込むと、タイム差の縮小が早まった。
雪の残る山岳地帯を走るマイヨジョーヌのルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)ら photo:A.S.O.
プロヴァンスの山岳地帯を進む photo:A.S.O.
逃げるニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)ら4名 photo:A.S.O.
メイン集団をコントロールするアスタナ photo:A.S.O.
残り25km地点でようやくタイム差は3分を割り込んだが、一般的に知られる「10km=1分ペース」のタイム差の縮小を当てはめると、まだ逃げグループに分がある状態。残り19km地点で一旦シストロンのフィニッシュラインを通過した時点でタイム差は2分。やがて最後の3級山岳ラ・マルキーズ峠(全長1.3km/平均6.4%)が近づくと総合系チームが集団前方に上がってペースアップを開始した。
3級山岳ラ・マルキーズ峠の登りが始まるとすぐ、U23時代に2度ドイツのTTチャンピオンに輝いている24歳のポリッツが独走を開始する。逃げ続ける若いTTスペシャリストには、頂上手前でクザンが追いついて先頭は2名に。ポリッツとクザンは、チームスカイやアージェードゥーゼールがペースを上げるメイン集団から1分差でこの日最後の難所をクリアする。
牽制することなく協力して逃げ続けたポリッツとクザンは、45秒リードで残り5km地点を通過。クイックステップフロアーズやUAEチームエミレーツ、ミッチェルトン・スコット、トレック・セガフレードによる集団牽引も届かず、14秒差でフラムルージュ(残り1kmアーチ)を通過した。
ポリッツのロングスパートは決まらず、落ち着いてスプリント開始のタイミングを見極めたクザンが先着。アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)やマグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ)、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)が先頭で競り合うメイン集団を4秒差で振り切り、クザンが逃げ切り勝利を達成した。
ロット・スーダルとクイックステップフロアーズがメイン集団を牽引する photo:A.S.O.
残り2kmを切ってからアタックするニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) photo:A.S.O.
集団を振り切って勝利したジェローム・クザン(フランス、ディレクトエネルジー) photo:A.S.O.
「最後は脚が攣っていた」と、キャリア最大の勝利を飾ったクザンは語る。2010年のプロ入りから6年間ユーロップカーに所属し、2016年から2年間コフィディス、そして2018年に古巣ディレクトエネルジーに戻ったクザン。トラックレースの経験もある28歳は2013年ツール・ド・フランスで2度ステージ敢闘賞を獲得している。
「今日の目標は逃げに乗って山岳賞ジャージを獲得することだった。逃げグループの中にはクライマーを平地で置いていかないという暗黙の了解があったけど、終盤に逃げ切りの可能性が浮上してからは自分も積極的にローテーション。最終的にカチューシャの選手(ポリッツ)を手玉にとってステージ優勝した。これまで同じような状況で何度も勝利を逃していたので、今日は落ち着いて状況を見て勝負した。ディレクトエネルジーにとってこれがステージ2勝目。総合トップ10フィニッシュを目指すリリアン・カルメジャーヌのために早くリカバリーしたい」と、山岳賞ジャージとステージ優勝を手にしたクザンは語る。
「追いついてきたディレクトエネルジーの選手(クザン)は協力せずにずっと付き位置だった」と語るのは、長時間先頭を引き続けて2位に入ったポリッツ。「集団に追いつかれてすべてを失うより、2位でもいいから逃げ切るほうがマシだと思って構わず先頭で走行。スピードのある彼とのスプリントを避けるために一か八かアタックしたけど決まらず。2位という結果には満足しているよ」。
総合成績に動きはなく、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)がマイヨジョーヌを守ったままパリ〜ニースは残り3ステージ。残り10kmを切ってから1級山岳コル=シュル=ルー(全長1.8km/平均10%)を越える第6ステージでマイヨジョーヌを懸けたバトルが繰り広げられるだろう。
ステージ優勝を果たしたジェローム・クザン(フランス、ディレクトエネルジー) photo:A.S.O.
山岳賞ジャージを手にしたジェローム・クザン(フランス、ディレクトエネルジー) photo:A.S.O.
マイヨジョーヌを守ったルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) photo:A.S.O.
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この日は第2ステージの優勝者ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)やラルス・ボーム(オランダ、ロットNLユンボ)がスタートせず。さらにエドワード・トゥーンス(ベルギー、サンウェブ)やダニエル・マクレー(イギリス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)も体調不良によりステージ途中でレースを降りている。
ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)、ジュリアン・エルファレス(フランス、デルコ・マルセイユプロヴァンス)、ジェローム・クザン(フランス、ディレクトエネルジー)、ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)がこの日の逃げメンバー。順調に5分50秒までリードを広げながら、雪に覆われた山岳地帯を駆け抜ける。1級山岳ラガルド=ダプト峠を含めて山岳ポイントを量産したクザンは山岳賞トップに立っている。
中盤の連続山岳でナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)とジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)が脱落する中、クイックステップフロアーズとロット・スーダルの2チームがメイン集団を牽引した。とはいえ、実質的にティム・デクレルク(ベルギー、クイックステップフロアーズ)とラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・スーダル)の2人ローテーションが続いたため、4人でローテーションを回す逃げグループとのタイム差が縮まらない。残り50km地点で4分あったタイム差は、残り30km地点で3分半。ダブルベルギーチームがローテーションに複数名の選手を送り込むと、タイム差の縮小が早まった。
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残り25km地点でようやくタイム差は3分を割り込んだが、一般的に知られる「10km=1分ペース」のタイム差の縮小を当てはめると、まだ逃げグループに分がある状態。残り19km地点で一旦シストロンのフィニッシュラインを通過した時点でタイム差は2分。やがて最後の3級山岳ラ・マルキーズ峠(全長1.3km/平均6.4%)が近づくと総合系チームが集団前方に上がってペースアップを開始した。
3級山岳ラ・マルキーズ峠の登りが始まるとすぐ、U23時代に2度ドイツのTTチャンピオンに輝いている24歳のポリッツが独走を開始する。逃げ続ける若いTTスペシャリストには、頂上手前でクザンが追いついて先頭は2名に。ポリッツとクザンは、チームスカイやアージェードゥーゼールがペースを上げるメイン集団から1分差でこの日最後の難所をクリアする。
牽制することなく協力して逃げ続けたポリッツとクザンは、45秒リードで残り5km地点を通過。クイックステップフロアーズやUAEチームエミレーツ、ミッチェルトン・スコット、トレック・セガフレードによる集団牽引も届かず、14秒差でフラムルージュ(残り1kmアーチ)を通過した。
ポリッツのロングスパートは決まらず、落ち着いてスプリント開始のタイミングを見極めたクザンが先着。アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)やマグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ)、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)が先頭で競り合うメイン集団を4秒差で振り切り、クザンが逃げ切り勝利を達成した。
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「最後は脚が攣っていた」と、キャリア最大の勝利を飾ったクザンは語る。2010年のプロ入りから6年間ユーロップカーに所属し、2016年から2年間コフィディス、そして2018年に古巣ディレクトエネルジーに戻ったクザン。トラックレースの経験もある28歳は2013年ツール・ド・フランスで2度ステージ敢闘賞を獲得している。
「今日の目標は逃げに乗って山岳賞ジャージを獲得することだった。逃げグループの中にはクライマーを平地で置いていかないという暗黙の了解があったけど、終盤に逃げ切りの可能性が浮上してからは自分も積極的にローテーション。最終的にカチューシャの選手(ポリッツ)を手玉にとってステージ優勝した。これまで同じような状況で何度も勝利を逃していたので、今日は落ち着いて状況を見て勝負した。ディレクトエネルジーにとってこれがステージ2勝目。総合トップ10フィニッシュを目指すリリアン・カルメジャーヌのために早くリカバリーしたい」と、山岳賞ジャージとステージ優勝を手にしたクザンは語る。
「追いついてきたディレクトエネルジーの選手(クザン)は協力せずにずっと付き位置だった」と語るのは、長時間先頭を引き続けて2位に入ったポリッツ。「集団に追いつかれてすべてを失うより、2位でもいいから逃げ切るほうがマシだと思って構わず先頭で走行。スピードのある彼とのスプリントを避けるために一か八かアタックしたけど決まらず。2位という結果には満足しているよ」。
総合成績に動きはなく、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)がマイヨジョーヌを守ったままパリ〜ニースは残り3ステージ。残り10kmを切ってから1級山岳コル=シュル=ルー(全長1.8km/平均10%)を越える第6ステージでマイヨジョーヌを懸けたバトルが繰り広げられるだろう。
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パリ〜ニース2018第5ステージ結果
1位 | ジェローム・クザン(フランス、ディレクトエネルジー) | 3:57:25 |
2位 | ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) | 0:00:02 |
3位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル) | 0:00:04 |
4位 | マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) | |
5位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス) | |
7位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット) | |
8位 | マイク・テウニッセン(オランダ、サンウェブ) | |
9位 | マッティ・ブレシェル(デンマーク、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | |
10位 | クーン・デコルト(オランダ、トレック・セガフレード) |
個人総合成績
1位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | 17:45:26 |
2位 | ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) | 0:00:15 |
3位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 0:00:26 |
4位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | |
5位 | ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:00:34 |
6位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:35 |
7位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:00:42 |
8位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | |
9位 | セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ) | 0:00:48 |
10位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) |
ポイント賞
1位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 31pts |
2位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル) | 23pts |
3位 | マイク・テウニッセン(オランダ、サンウェブ) | 20pts |
山岳賞
1位 | ジェローム・クザン(フランス、ディレクトエネルジー) | 25pts |
2位 | ニコラ・エデ(フランス、コフィディス) | 14pts |
3位 | ジュリアン・エルファレス(フランス、デルコ・マルセイユプロヴァンス) | 12pts |
ヤングライダー賞
1位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | 17:45:52 |
2位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:09 |
3位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:07 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 53:18:36 |
2位 | ミッチェルトン・スコット | 0:00:42 |
3位 | バーレーン・メリダ | 0:01:13 |
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.
photo:A.S.O.