2018/02/09(金) - 15:31
オランダで開催されたシクロクロス世界選手権を走ったバイクたちを紹介。スペシャルペイントのフレーム、百花繚乱の特別製タイヤ、ライトウェイトのホイール、供給専用部品などなど、機材ギーク目線でレポート。
マテュー・ファンデルポール(オランダ):キャニオン INFLITE CF SLX
開催国オランダの期待を一身に背負いながらも、深い泥に沈んだマテュー・ファンデルポールのバイクを紹介。所属チームのコレンドン・サーカスはサプライヤーを2018年1月1日からキャニオンにスイッチしており、ファンデルポールを始めメンバー全員がシーズンイン前に華々しくデビューしたINFLITE CF SLXを駆る。
独創的なデザインのフレームは、すべてチームカラーのレッド×ブラック、もしくはファンデルポール専用のシルバー×ブラックにペイント済み。識別シールで判断する限りファンデルポール1人に対して5台が持ち込まれ、1〜4号機がレース用、ロード用ギアとSRM、ロードタイヤが取り付けられた5号機がウォーミングアップ用と分けられていた。
シマノヨーロッパのサポートを受けているため、コンポーネントはR9170系デュラエースDi2で統一されている。高速化するレースに合わせ、シマノサポート選手は46-39Tという歯数の大きな供給専用チェーンリングを使用中であり、ファンデルポールもこの例に漏れない。ただしディスクブレーキローターとペダルはXTR。
今季、ホイールはC60-TUを使っていたこともあったが、今回の世界選手権は全てC40-TUで統一されていた。コンディションを考慮してタイヤは全てマッド用で、ピットにあった3台はデュガスのRhino、そしてスタートバイクはデュガス表記のケーシングにチャレンジのLimusトレッドを組み合わせたと思われる、見慣れないタイヤを装備していた。タイヤには全て「M.Van der Poel」の文字が入る。
ワウト・ファンアールト(ベルギー):フェルト FRDx
男子エリートで3連覇を達成したワウト・ファンアールト(ベルギー)だが、人目から隠れるように選手村最奥部に陣取っていたため機材撮影は叶わず。バイクは2017年1月1日から使用しているフェルトのFRDxで、アルカンシェルがあしらわれた2種類のカラーパターンが存在する。
コンポーネントは少数派のスラム。無線変速・油圧ディスクブレーキを世界で初めて市販化したRed eTap HRDを愛用している。ホイールはスラムグループのジップで、常時202もしくは303Firecrestを選択し、今回の世界選手権では202を使用していた。
昨年大会にスペシャルタイヤを投入し、今シーズン中にもシュワルベパターンのトレッドを貼り付けた特別品を投入するなど、そのタイヤ選択に注目が集まったファンアールト。今回は深く掘れた轍の中でも自由度を得るために30mmという細身のデュガスRhinoを投入し周囲を驚かせた。ハンドル周りやシートポスト類もジップだ。
ラース・ファンデルハール(オランダ):トレック Boone Disc
自国オランダでの世界選手権で5位に入ったラース・ファンデルハールら、スヴェン・ネイス率いるテレネット・フィデア勢はトレックのBooneを駆る。同社のエンデュランスロードバイクDomaneと同じくIsoSpeedを前後に搭載したユニークなモデルだ。
コンポーネントはR9170系デュラエースDi2で統一されており、フロントの歯数は46-39T。ペダルとディスクブレーキローターはXTRだ。フィデア勢は全員ボントレガーのaeolus3ホイールで揃え、ファンデルハールのタイヤはデュガスのRhino(32c)。
また、ダーン・ソエテやクィンティン・ヘルマンス(共にベルギー)はデュガス、前ヨーロッパ王者で4位に入ったトーン・アールツ(ベルギー)やU23のタイス・アールツ(ベルギー)はチャレンジを使用しており、同チーム内でもタイヤ選択は選手の判断に委ねられているようだ。
ステムやハンドル、サドル、バーテープは全てボントレガーで、ほぼ全員がエントリーグレードのアルミステム、ハンドルは快適性を追い求めたPro IsoCoreという組み合わせ。Di2ケーブルとリアブレーキホースは熱収縮チューブでスマートに組まれていた。
エリ・イゼルビッド(ベルギー):リドレー X-Night SL Disc
男子U23レースで圧勝し、2枚目のアルカンシェルを手に入れたエリ・イゼルビッド(ベルギー)は、ホワイトに2色のブルーを差し色にしたヨーロッパチャンピオンカラーのX-Night SL Discに乗る。普段所属するマーラックス・ビンゴールは長年リドレーを愛用しており、スカイブルーのチームカラーに塗られたバイクも複数台が持ち込まれた。
特徴的な点が、R9170系デュラエースDi2をフロントシングルギアで運用していることだろう。イゼルビッドはスラム供給時代からフロントシングルを愛用しており、クランクセットのみローター。noQの42Tナローワイドチェーンリングを脱落防止ガイドと組み合わせて使用中だ。
ホイールはシーズン毎にフォルツァ、ファストフォワード、そしてDTスイスと変遷を経ており、SPLINE RC38T dbを使用する。タイヤはイニシャル入りのチャレンジLIMESで、ソフトケーシングエディションで揃えていた。またディスクブレーキローターはスイスストップのCATALYST(前後140mm)で、サブバイクにはスラムのローターがセットされていた。
その他ステムやハンドル、シートポストはフォルツァ製で、ステム下にフォーリアーズのマウントをセットしてDi2ジャンクションを固定。高さ合わせを容易にするべくシートポストにはクランプをセットしていた。
ティモ・キーリッヒ(ベルギー):スティーブンス SUPER PRESTIGE
ローレンス・スウィークらを擁するエラ・サーカスからは、男子U23レースで10位となったティモ・キーリッヒ(ベルギー)のマシンを紹介する。バイクはスティーブンスのSUPER PRESTIGEで、U23とあってかコンポーネントは旧世代のアルテグラDi2。
クランクセットは通常イーストンのEC90SLだが、低速レースとなることを踏まえてTA製と思われる小さめのチェーンリング(アウターは42T)に換装していた。ホイールはDTスイスのSPLINE RC38T dbで、タイヤは少数派のFMB。”ELITE PROTOTYPE”表記のSSC SUPER MUD(32c)をセットしていた。ハンドル周りやサドル、シートポストなどは全てフィジーク製だ。
また、スウィークは前週のワールドカップからスペシャルペイントのバイクを用意していたが、ファンアールトと同じく選手村でも最奥部に陣取っていたため撮影ならず。レース前に確認したところ、R9170系デュラエースDi2をメインにイーストンクランクとウィックワークスのチェーンリング、そして男子エリートのエース級選手にしか供給されていないDTスイスの新型ホイール「CRC 1100 Spline」を使用していた。
その他目立ったバイクたち
女子エリートで3位に入ったルシンダ・ブランド(オランダ)のリブ BRAVA。所属するサンウェブカラーに塗られたバイクは旧世代のデュラエースDi2で組み上げられていたが、ユニークなのは大小のインナーリングをダブルで使用していたこと。
写真から判断するに、歯数はアウター(に使っているインナーリング)が市販品としては存在しない44Tで、インナーは34T。メカニックが出払っていたため詳細や理由は不明のまま。
また、アメリカチームの男子エリート選手として参加したコーディ・カイザーのスペシャライズド S-Works CRUX(#crosscamocrux)は奇抜なスペシャルペイントで注目を集め、ムーツのチタンフレームにシンプソンズのバートを乗せたU23選手のバイクも。ほぼ最後尾から追い上げて女子エリートで5位となったエリザベス・ブランダウ(ドイツ)は、恐らく参加選手中唯一のライトウェイトホイールユーザーで、カンチブレーキ使用選手として最上位。男子エリートでのカンチブレーキ最上位は巧みなテクニックを披露したベテラン、フランシス・ムレー(フランス)の13位だった。
text&photo:So.Isobe
マテュー・ファンデルポール(オランダ):キャニオン INFLITE CF SLX
開催国オランダの期待を一身に背負いながらも、深い泥に沈んだマテュー・ファンデルポールのバイクを紹介。所属チームのコレンドン・サーカスはサプライヤーを2018年1月1日からキャニオンにスイッチしており、ファンデルポールを始めメンバー全員がシーズンイン前に華々しくデビューしたINFLITE CF SLXを駆る。
独創的なデザインのフレームは、すべてチームカラーのレッド×ブラック、もしくはファンデルポール専用のシルバー×ブラックにペイント済み。識別シールで判断する限りファンデルポール1人に対して5台が持ち込まれ、1〜4号機がレース用、ロード用ギアとSRM、ロードタイヤが取り付けられた5号機がウォーミングアップ用と分けられていた。
シマノヨーロッパのサポートを受けているため、コンポーネントはR9170系デュラエースDi2で統一されている。高速化するレースに合わせ、シマノサポート選手は46-39Tという歯数の大きな供給専用チェーンリングを使用中であり、ファンデルポールもこの例に漏れない。ただしディスクブレーキローターとペダルはXTR。
今季、ホイールはC60-TUを使っていたこともあったが、今回の世界選手権は全てC40-TUで統一されていた。コンディションを考慮してタイヤは全てマッド用で、ピットにあった3台はデュガスのRhino、そしてスタートバイクはデュガス表記のケーシングにチャレンジのLimusトレッドを組み合わせたと思われる、見慣れないタイヤを装備していた。タイヤには全て「M.Van der Poel」の文字が入る。
ワウト・ファンアールト(ベルギー):フェルト FRDx
男子エリートで3連覇を達成したワウト・ファンアールト(ベルギー)だが、人目から隠れるように選手村最奥部に陣取っていたため機材撮影は叶わず。バイクは2017年1月1日から使用しているフェルトのFRDxで、アルカンシェルがあしらわれた2種類のカラーパターンが存在する。
コンポーネントは少数派のスラム。無線変速・油圧ディスクブレーキを世界で初めて市販化したRed eTap HRDを愛用している。ホイールはスラムグループのジップで、常時202もしくは303Firecrestを選択し、今回の世界選手権では202を使用していた。
昨年大会にスペシャルタイヤを投入し、今シーズン中にもシュワルベパターンのトレッドを貼り付けた特別品を投入するなど、そのタイヤ選択に注目が集まったファンアールト。今回は深く掘れた轍の中でも自由度を得るために30mmという細身のデュガスRhinoを投入し周囲を驚かせた。ハンドル周りやシートポスト類もジップだ。
ラース・ファンデルハール(オランダ):トレック Boone Disc
自国オランダでの世界選手権で5位に入ったラース・ファンデルハールら、スヴェン・ネイス率いるテレネット・フィデア勢はトレックのBooneを駆る。同社のエンデュランスロードバイクDomaneと同じくIsoSpeedを前後に搭載したユニークなモデルだ。
コンポーネントはR9170系デュラエースDi2で統一されており、フロントの歯数は46-39T。ペダルとディスクブレーキローターはXTRだ。フィデア勢は全員ボントレガーのaeolus3ホイールで揃え、ファンデルハールのタイヤはデュガスのRhino(32c)。
また、ダーン・ソエテやクィンティン・ヘルマンス(共にベルギー)はデュガス、前ヨーロッパ王者で4位に入ったトーン・アールツ(ベルギー)やU23のタイス・アールツ(ベルギー)はチャレンジを使用しており、同チーム内でもタイヤ選択は選手の判断に委ねられているようだ。
ステムやハンドル、サドル、バーテープは全てボントレガーで、ほぼ全員がエントリーグレードのアルミステム、ハンドルは快適性を追い求めたPro IsoCoreという組み合わせ。Di2ケーブルとリアブレーキホースは熱収縮チューブでスマートに組まれていた。
エリ・イゼルビッド(ベルギー):リドレー X-Night SL Disc
男子U23レースで圧勝し、2枚目のアルカンシェルを手に入れたエリ・イゼルビッド(ベルギー)は、ホワイトに2色のブルーを差し色にしたヨーロッパチャンピオンカラーのX-Night SL Discに乗る。普段所属するマーラックス・ビンゴールは長年リドレーを愛用しており、スカイブルーのチームカラーに塗られたバイクも複数台が持ち込まれた。
特徴的な点が、R9170系デュラエースDi2をフロントシングルギアで運用していることだろう。イゼルビッドはスラム供給時代からフロントシングルを愛用しており、クランクセットのみローター。noQの42Tナローワイドチェーンリングを脱落防止ガイドと組み合わせて使用中だ。
ホイールはシーズン毎にフォルツァ、ファストフォワード、そしてDTスイスと変遷を経ており、SPLINE RC38T dbを使用する。タイヤはイニシャル入りのチャレンジLIMESで、ソフトケーシングエディションで揃えていた。またディスクブレーキローターはスイスストップのCATALYST(前後140mm)で、サブバイクにはスラムのローターがセットされていた。
その他ステムやハンドル、シートポストはフォルツァ製で、ステム下にフォーリアーズのマウントをセットしてDi2ジャンクションを固定。高さ合わせを容易にするべくシートポストにはクランプをセットしていた。
ティモ・キーリッヒ(ベルギー):スティーブンス SUPER PRESTIGE
ローレンス・スウィークらを擁するエラ・サーカスからは、男子U23レースで10位となったティモ・キーリッヒ(ベルギー)のマシンを紹介する。バイクはスティーブンスのSUPER PRESTIGEで、U23とあってかコンポーネントは旧世代のアルテグラDi2。
クランクセットは通常イーストンのEC90SLだが、低速レースとなることを踏まえてTA製と思われる小さめのチェーンリング(アウターは42T)に換装していた。ホイールはDTスイスのSPLINE RC38T dbで、タイヤは少数派のFMB。”ELITE PROTOTYPE”表記のSSC SUPER MUD(32c)をセットしていた。ハンドル周りやサドル、シートポストなどは全てフィジーク製だ。
また、スウィークは前週のワールドカップからスペシャルペイントのバイクを用意していたが、ファンアールトと同じく選手村でも最奥部に陣取っていたため撮影ならず。レース前に確認したところ、R9170系デュラエースDi2をメインにイーストンクランクとウィックワークスのチェーンリング、そして男子エリートのエース級選手にしか供給されていないDTスイスの新型ホイール「CRC 1100 Spline」を使用していた。
その他目立ったバイクたち
女子エリートで3位に入ったルシンダ・ブランド(オランダ)のリブ BRAVA。所属するサンウェブカラーに塗られたバイクは旧世代のデュラエースDi2で組み上げられていたが、ユニークなのは大小のインナーリングをダブルで使用していたこと。
写真から判断するに、歯数はアウター(に使っているインナーリング)が市販品としては存在しない44Tで、インナーは34T。メカニックが出払っていたため詳細や理由は不明のまま。
また、アメリカチームの男子エリート選手として参加したコーディ・カイザーのスペシャライズド S-Works CRUX(#crosscamocrux)は奇抜なスペシャルペイントで注目を集め、ムーツのチタンフレームにシンプソンズのバートを乗せたU23選手のバイクも。ほぼ最後尾から追い上げて女子エリートで5位となったエリザベス・ブランダウ(ドイツ)は、恐らく参加選手中唯一のライトウェイトホイールユーザーで、カンチブレーキ使用選手として最上位。男子エリートでのカンチブレーキ最上位は巧みなテクニックを披露したベテラン、フランシス・ムレー(フランス)の13位だった。
text&photo:So.Isobe
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