2018/02/08(木) - 09:10
近頃日本での認知度を急上昇させているアメリカ生まれのサイクリングシューズ専業ブランド、LAKE(レイク)。およそ20年に渡ってデザイナーを務める主要人物、クリス・ハッチンス氏にインタビューし、その魅力やブランドの理念を掘り下げて聞いた。
株式会社キルシュベルクが2016年から取り扱いを開始して以来、積極的なプロモーションと、サイクリングシューズの本質を徹底的に追求したモノづくりで評判を高めているアメリカンブランド、LAKE(レイク)。1982年の創業以来、発泡ウレタンインソールやMTBシューズ、トライアスロンシューズ、カーボンソールなど、今では当たり前となった製品を次々と生み出してきたイノベーティブな企業だ。
今回は、20年間もの長きにわたってデザイナーを務めているクリス・ハッチンス氏へのインタビューを紹介する。その魅力やブランドの理念、そしてLAKEならではのアドバンテージとは?
「全てのLAKEシューズはフィッティングと快適性が第一」(LAKEデザイナー、クリス・ハッチンス氏)
ハッチンス氏: LAKEの創業者はものすごく面白い人物で、18歳の頃から自転車産業に関わり、友人たちとシカゴで自転車や、関連パーツなどのインポーターとしてビジネスをしていたんだ。そこで世界各国とのつながりを作り、まだインターネットも普及していない時代にヨーロッパの自転車文化をアメリカに伝えた。その頃のサイクリングシューズは革や木製のソールに代わってナイロンソールが出始めた頃で、SIDIはその走りだった。
けれどその頃のナイロンは革や木の様に形が変わらないから、快適性に問題があった。そこで彼は自らシューズブランドを立ち上げ、彼のシューズにはもれなく発泡ウレタンインソールを採用することにした。それが1982年、LAKEの創業年だ。今では全てのサイクリングシューズが採用しているほどに、彼のこのアイディアは画期的で、ブランドの礎となった。
そしてMTBシューズ、トライアスロンシューズ、ウインターシューズなどを世界で初めて開発。1988年には量産シューズとして初めてカーボンソールを投入し、LAKEシューズを使うアンディ・ハンプステンがジロ・デ・イタリアで総合優勝した。こうしてLAKEはシューズブランドとしての価値を高めていったんだ。
どの時代においてもイノベーティブなLAKEだけれど、最も重要視しているのは、新しい技術を投入することでも、マーケットを拡大することでもなく、フィッティングと快適性を第一に据えた製品作りをすること。
今ではたくさんのシューズブランドが林立していけれど、フィッティングに重きを置いているブランドは、実はごく僅か。軽さ、剛性、スタックハイト、カラー、マーケティングなど、様々なブランドがそれぞれの目標を据えているけれど、LAKEが生み出す全ての製品は、フィッティングと快適性を追求した先に生まれている。
それはなぜか。みんなあまり気づいていないけれど、サイクリングシューズはその機能自体がかなり特殊なんだ。他のどんなスポーツを見回しても、あんなに重たい物体(=バイク)と人間の足を繋げるシューズは存在しない。だから足には大きな負担がかかるし、疲労を溜めない、故障をしないためにフィッティングは大切なんだ。
ここ最近のハイエンドレーサーシューズといえば、とにかくタイトで、足をガチガチにホールドすることに主眼が置かれている。でもそれは、そのシューズのフィッティングが良くないから。良いサイクリングシューズの第一条件は、適切な形状のラストによるホールド性の高いヒール部分であって、そこさえ押さえていれば、アッパーを過度に締め上げなくても、力を逃がさないペダリングができると考えている。
また、クロージャーを締めた時に甲全面に均等にプレッシャーが分散され、血流が妨げられないことも同様に重要なんだ。LAKEが今の時代に本革にこだわり続けている理由もここにある。革は本来非常に柔軟性に富む素材で、履きこむほどに足の凹凸に順応し、不自然に足を圧迫する箇所が解消されてゆく。クロージャーを締め込むとアッパー全体が均一に足を包み込むため、血流は確保され、結果長時間走行でも足がむくみにくく、1日を通しても快適なんだ。
人工素材も進化して見た目や肌触りも近くなってきたけれど、機能性としてはまだまだ本革には及ばない。マイクロファイバー製アッパーが自然に足の形状に変化してゆくことは期待できないし、クロージャー設置箇所とそれ以外のエリアでは締め付け具合にもムラが出るので、部分的に過剰圧迫が発生し、むくみや痺れの原因になっている。
マイクロファイバーに対する唯一の欠点は重量が嵩むことだけど、LAKEの快適性はそれを補って余りあるものだと自負している。LAKEではエントリーモデルにも本革率85%以上のアクションレザー(スプリットレザーにポリウレタン表面処理を施した素材)を採用しているので、誰でも革の特性を楽しんでもらえる。
そしてもちろん、ラスト(木型)も数え切れないくらいたくさんの種類を用意している。エントリーからハイエンドまでたった一つのラストでシューズを作るブランドも少なくないけれど、LAKEではモデルによって使用ラストが異なり、さらに同じサイズでも幅の異なる4種のラストがある。90年代初期にシマノがカーボンソールシューズを開発する際依頼を掛けたのも我々。だから扁平で甲高、そして幅広が多い日本人の足型に関しても多くのノウハウがあるんだ。
熱成形に関しても、先ほど話したヒールカウンターに対してのホールディングを重要視するという特徴があって、アッパーを足に合わせていく他社とは違う。カーボンソールの土踏まずからヒールカウンターにかけてを熱成形することでフィットさせ、アッパーは柔軟性の高い革素材にその役を任せている。
実際にLAKEのフィッティングを気に入って愛用してくれるプロ選手も数多い。オランダのプロコンチネンタルチーム、ルームポット・ネデランセロテリはチーム単位で採用しているし、チームスカイのクリスティアン・クネース(ドイツ)やヨナタン・カストロビエホ(スペイン)、ディメンションデータのジュリアン・ヴェルモート(ベルギー)、その他FDJやクイックステップの選手たちも気に入って使ってくれているね。
金を積んでビッグネームに履いてもらうことは、フィット第一のブランドの信条とは相容れないので、LAKEはやらないんだ。これまで履いてきたシューズが合わず、選手間の口コミなどでLAKEに辿り着くというケースが多く、グランツール級の選手であってもLAKEが金銭サポートを行っている例はゼロだ。
LAKEのプロモーション活動に関して言えば、アマチュアライダーをサポートしていることが特徴だと思う。LAKEユーザーの99%は一般ユーザーだし、純粋なフィードバックを得やすい。プロだけでもなく、一般ユーザーだけでもなく、幅広い目線から集める声は僕らにとって何よりも貴重な情報だ。
何度も言うけれど、フィッティングに優れていることがLAKEの最たる特徴で、アメリカのバイクフィッターがおすすめのシューズブランドを3つ挙げるとしたら、LAKEは常にその中に入っている。例えばCX402を購入するには、まずキルシュベルクからサンプルシューズとオーブンをレンタルして、実際に熱成形を試してから正式にシューズを注文するという流れになるけれど、ここは手間暇を惜しまずに最高のフィッティングを求めてほしい。従来のサイクリングシューズに少しでも痛みや辛さを感じているなら、一度LAKEを試してみてほしいね。
それに、ラインナップ中の4モデル(CX402、CX332、MX332、MX332 SuperCross)では2種類のカスタムカラープログラムを運用している。模様やロゴを自由にフルカスタムできるプログラムもあるから、思いきって自分だけ、もしくはチームオリジナルのシューズを作る楽しみも感じてもらえる。Instagramで「#lakecustom(https://www.instagram.com/explore/tags/lakecustom/)」のハッシュタグで検索すれば、過去に作られた様々なデザインのシューズの画像を見ることができるので、オーダーを考えている人はこれらのシューズで想像を膨らませてほしいね。
短期間のうちに国内知名度を高めているLAKEのサイクリングシューズ。試着や購入でそのフィット感を体験した一般ユーザーによるSNSなどでのクチコミ等も情報の拡散に大きな役目を果たしており、ブランドの広がり方としては理想的と言えるだろう。
プロショップやイベントなどで積極的にブース出展しているほか、ワイズロード上野ウェア館やチャンピオンシステムが東京都稲城市に据えるカフェ「CROSS COFFEE」もLAKEに力を入れ多くの在庫を用意しているため、実際に製品を手にする機会も少なくないはず。気になる方はキルシュベルクのホームページやSNSをチェックリストに入れておくべきだろう。
LAKE試着会スケジュール【2月】
2月10~11日 シクロクロス東京
2月12日 ワイズロード上野ウェア館
2月24~25日 名古屋サイクルトレンド
LAKE公式ページ
ウェブサイト:http://www.kirschberg.co.jp/lakecycling/
Instagram:https://www.instagram.com/kirschberg_inc/
Twitter:https://twitter.com/kirschberg_inc
Facebook:https://www.facebook.com/kirschberg.inc/
text:So.Isobe
株式会社キルシュベルクが2016年から取り扱いを開始して以来、積極的なプロモーションと、サイクリングシューズの本質を徹底的に追求したモノづくりで評判を高めているアメリカンブランド、LAKE(レイク)。1982年の創業以来、発泡ウレタンインソールやMTBシューズ、トライアスロンシューズ、カーボンソールなど、今では当たり前となった製品を次々と生み出してきたイノベーティブな企業だ。
今回は、20年間もの長きにわたってデザイナーを務めているクリス・ハッチンス氏へのインタビューを紹介する。その魅力やブランドの理念、そしてLAKEならではのアドバンテージとは?
「全てのLAKEシューズはフィッティングと快適性が第一」(LAKEデザイナー、クリス・ハッチンス氏)
ハッチンス氏: LAKEの創業者はものすごく面白い人物で、18歳の頃から自転車産業に関わり、友人たちとシカゴで自転車や、関連パーツなどのインポーターとしてビジネスをしていたんだ。そこで世界各国とのつながりを作り、まだインターネットも普及していない時代にヨーロッパの自転車文化をアメリカに伝えた。その頃のサイクリングシューズは革や木製のソールに代わってナイロンソールが出始めた頃で、SIDIはその走りだった。
けれどその頃のナイロンは革や木の様に形が変わらないから、快適性に問題があった。そこで彼は自らシューズブランドを立ち上げ、彼のシューズにはもれなく発泡ウレタンインソールを採用することにした。それが1982年、LAKEの創業年だ。今では全てのサイクリングシューズが採用しているほどに、彼のこのアイディアは画期的で、ブランドの礎となった。
そしてMTBシューズ、トライアスロンシューズ、ウインターシューズなどを世界で初めて開発。1988年には量産シューズとして初めてカーボンソールを投入し、LAKEシューズを使うアンディ・ハンプステンがジロ・デ・イタリアで総合優勝した。こうしてLAKEはシューズブランドとしての価値を高めていったんだ。
どの時代においてもイノベーティブなLAKEだけれど、最も重要視しているのは、新しい技術を投入することでも、マーケットを拡大することでもなく、フィッティングと快適性を第一に据えた製品作りをすること。
今ではたくさんのシューズブランドが林立していけれど、フィッティングに重きを置いているブランドは、実はごく僅か。軽さ、剛性、スタックハイト、カラー、マーケティングなど、様々なブランドがそれぞれの目標を据えているけれど、LAKEが生み出す全ての製品は、フィッティングと快適性を追求した先に生まれている。
それはなぜか。みんなあまり気づいていないけれど、サイクリングシューズはその機能自体がかなり特殊なんだ。他のどんなスポーツを見回しても、あんなに重たい物体(=バイク)と人間の足を繋げるシューズは存在しない。だから足には大きな負担がかかるし、疲労を溜めない、故障をしないためにフィッティングは大切なんだ。
ここ最近のハイエンドレーサーシューズといえば、とにかくタイトで、足をガチガチにホールドすることに主眼が置かれている。でもそれは、そのシューズのフィッティングが良くないから。良いサイクリングシューズの第一条件は、適切な形状のラストによるホールド性の高いヒール部分であって、そこさえ押さえていれば、アッパーを過度に締め上げなくても、力を逃がさないペダリングができると考えている。
また、クロージャーを締めた時に甲全面に均等にプレッシャーが分散され、血流が妨げられないことも同様に重要なんだ。LAKEが今の時代に本革にこだわり続けている理由もここにある。革は本来非常に柔軟性に富む素材で、履きこむほどに足の凹凸に順応し、不自然に足を圧迫する箇所が解消されてゆく。クロージャーを締め込むとアッパー全体が均一に足を包み込むため、血流は確保され、結果長時間走行でも足がむくみにくく、1日を通しても快適なんだ。
人工素材も進化して見た目や肌触りも近くなってきたけれど、機能性としてはまだまだ本革には及ばない。マイクロファイバー製アッパーが自然に足の形状に変化してゆくことは期待できないし、クロージャー設置箇所とそれ以外のエリアでは締め付け具合にもムラが出るので、部分的に過剰圧迫が発生し、むくみや痺れの原因になっている。
マイクロファイバーに対する唯一の欠点は重量が嵩むことだけど、LAKEの快適性はそれを補って余りあるものだと自負している。LAKEではエントリーモデルにも本革率85%以上のアクションレザー(スプリットレザーにポリウレタン表面処理を施した素材)を採用しているので、誰でも革の特性を楽しんでもらえる。
そしてもちろん、ラスト(木型)も数え切れないくらいたくさんの種類を用意している。エントリーからハイエンドまでたった一つのラストでシューズを作るブランドも少なくないけれど、LAKEではモデルによって使用ラストが異なり、さらに同じサイズでも幅の異なる4種のラストがある。90年代初期にシマノがカーボンソールシューズを開発する際依頼を掛けたのも我々。だから扁平で甲高、そして幅広が多い日本人の足型に関しても多くのノウハウがあるんだ。
熱成形に関しても、先ほど話したヒールカウンターに対してのホールディングを重要視するという特徴があって、アッパーを足に合わせていく他社とは違う。カーボンソールの土踏まずからヒールカウンターにかけてを熱成形することでフィットさせ、アッパーは柔軟性の高い革素材にその役を任せている。
実際にLAKEのフィッティングを気に入って愛用してくれるプロ選手も数多い。オランダのプロコンチネンタルチーム、ルームポット・ネデランセロテリはチーム単位で採用しているし、チームスカイのクリスティアン・クネース(ドイツ)やヨナタン・カストロビエホ(スペイン)、ディメンションデータのジュリアン・ヴェルモート(ベルギー)、その他FDJやクイックステップの選手たちも気に入って使ってくれているね。
金を積んでビッグネームに履いてもらうことは、フィット第一のブランドの信条とは相容れないので、LAKEはやらないんだ。これまで履いてきたシューズが合わず、選手間の口コミなどでLAKEに辿り着くというケースが多く、グランツール級の選手であってもLAKEが金銭サポートを行っている例はゼロだ。
LAKEのプロモーション活動に関して言えば、アマチュアライダーをサポートしていることが特徴だと思う。LAKEユーザーの99%は一般ユーザーだし、純粋なフィードバックを得やすい。プロだけでもなく、一般ユーザーだけでもなく、幅広い目線から集める声は僕らにとって何よりも貴重な情報だ。
何度も言うけれど、フィッティングに優れていることがLAKEの最たる特徴で、アメリカのバイクフィッターがおすすめのシューズブランドを3つ挙げるとしたら、LAKEは常にその中に入っている。例えばCX402を購入するには、まずキルシュベルクからサンプルシューズとオーブンをレンタルして、実際に熱成形を試してから正式にシューズを注文するという流れになるけれど、ここは手間暇を惜しまずに最高のフィッティングを求めてほしい。従来のサイクリングシューズに少しでも痛みや辛さを感じているなら、一度LAKEを試してみてほしいね。
それに、ラインナップ中の4モデル(CX402、CX332、MX332、MX332 SuperCross)では2種類のカスタムカラープログラムを運用している。模様やロゴを自由にフルカスタムできるプログラムもあるから、思いきって自分だけ、もしくはチームオリジナルのシューズを作る楽しみも感じてもらえる。Instagramで「#lakecustom(https://www.instagram.com/explore/tags/lakecustom/)」のハッシュタグで検索すれば、過去に作られた様々なデザインのシューズの画像を見ることができるので、オーダーを考えている人はこれらのシューズで想像を膨らませてほしいね。
短期間のうちに国内知名度を高めているLAKEのサイクリングシューズ。試着や購入でそのフィット感を体験した一般ユーザーによるSNSなどでのクチコミ等も情報の拡散に大きな役目を果たしており、ブランドの広がり方としては理想的と言えるだろう。
プロショップやイベントなどで積極的にブース出展しているほか、ワイズロード上野ウェア館やチャンピオンシステムが東京都稲城市に据えるカフェ「CROSS COFFEE」もLAKEに力を入れ多くの在庫を用意しているため、実際に製品を手にする機会も少なくないはず。気になる方はキルシュベルクのホームページやSNSをチェックリストに入れておくべきだろう。
LAKE試着会スケジュール【2月】
2月10~11日 シクロクロス東京
2月12日 ワイズロード上野ウェア館
2月24~25日 名古屋サイクルトレンド
LAKE公式ページ
ウェブサイト:http://www.kirschberg.co.jp/lakecycling/
Instagram:https://www.instagram.com/kirschberg_inc/
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text:So.Isobe
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