2017/11/10(金) - 17:45
市民から国際レーサーまでが集う国内最大規模のワンデイロードレース「ツール・ド・おきなわ」。国内最長距離を誇り、市民レースは「ホビーレーサーの甲子園」と形容される高いステイタスをもつレースを制するのは果たして誰だ?
ホビーレース甲子園 最高峰の市民210kmで高岡亮寛が5勝目を目指す
ヤンバルの森を抜けていくメイン集団 photo:Makoto.AYANO
「ホビーレーサーの甲子園」の異名通り、市民レース最高のステイタスをもつツール・ド・おきなわ。とくに210、140、100kmの長距離ロードレースカテゴリーはレベルも高く、日々の鍛錬を積んできた猛者たちによる激戦区だ。
なかでもホビーレース最高峰の市民210kmは昨年の優勝者・高岡亮寛(Roppongi Express)に注目だ。サラリーマンレーサーの趣味として仕事と自転車、そして家庭を両立させ、競技を楽しむことをモットーとしている高岡は12年連続の出場であり、過去大会の市民200/210kmクラスで2007、2011年に優勝。2015、2016年と連覇し、初の4勝を挙げた選手となった。もし今年優勝することができれば3連覇にして通算5勝目の記録となる。
40歳となった高岡は、今年フランスはアルビで開催されたUCIグランフォンド世界選手権でも2位となるなど絶好調。昨年の優勝時に「おきなわは最高のレースですから出場する限り優勝を狙い続けたいですね」と語ったとおり、もちろん今年も優勝を狙って臨む。
昨年の市民210km表彰。高岡亮寛(Roppongi Express)の5勝目はなるか? photo:Makoto.AYANO
圧倒的な独走力を持ち、ひとりレベルが違うように感じる高岡だが、もちろん昨年上位の猛者たちも黙っていないだろう。昨年トップ10入りした10人は、7位だった原純一(KMCycle)を除き9人が揃う。
昨年はレース中盤で落車しながらも2位となった井上亮(Magellan Systems Japan) は、高岡がレース中にもっとも調子がよく見えたという要注意人物だ。落車してから70kmに渡り独走での追走を強いられたが、高岡以外のすべての選手をパスし、ゴール前数百メートルでは2位集団を出し抜いて2位を獲得するという驚異的なレースをやってのけた。
打倒高岡を狙う井上。3位の河合宏樹(オッティモ)、4位の青木峻二(ウォークライド)、5位の松木健治(VC VELOCE) らと協働することができれば、勝利パターンである独走に持ち込みたい高岡にとっては大きな脅威となるだろう。
昨年2位の井上亮(Magellan Systems Japan) photo:Makoto.AYANO
昨年3位の河合宏樹(オッティモ) photo:Makoto.AYANO
2位、4位と上位に食い込んでいる青木峻二(ウォークライド) photo:Makoto.AYANO
昨年5位の松木健治(VC VELOCE) photo:Makoto.AYANO
ツール・ド・おきなわをきっかけに沖縄に移住し、古宇利島にサイクルショップ「bicicletta SHIDO」をオープンさせた昨年6位の中尾峻(Team SHIDO)は今年、すでに地元での走り込みもバッチリでコースも熟知。まさに人生すべてをこの市民210kmに賭ける。
過去上位にきた強豪レーサーは誰もが要マークだが、今年、そのベテランたちを震撼させているのがエントリーリストにあるジョン・エブセン(V.M Cycling Team)の名前だ。昨年UCIプロコンチネンタルチームのワンプロサイクリングに所属したこのデンマーク人は今年プロレーサーの一線からは身を引いたものの、ツール・ド・ランカウィでは山岳賞に輝き、10月20日開催の台湾の3千m超の武嶺を登るヒルクライム、KOMチャレンジにおいて3位(優勝はヴィンチェンツォ・ニーバリ)になっている実力者。
今年のツール・ド・ランカウイで総合山岳賞に輝いたジョン・エブセン(左から2番目) photo:SonokoTANAKA
サイクルモードでファクターバイクのPRを行ったジョン・エブセン 現在はアージェードゥーゼルが駆るバイク、FACTOR(ファクター)の輸出会社の代表を務めるビジネスマンとして活躍するエブセン。サイクルモードのFACTORブースで彼の姿を見かけた人もいることだろう。現在ホビーレーサーに転じた彼だが、スリムなままのピュアクライマー体型を保っていた。果たしてアップダウンの激しいヤンバル路で、おきなわのコースを知り尽くした高岡に対抗することができるのか、それとも5勝を阻むのかは見ものだ。エブセンの存在こそが高岡にとってもっとも不確定要素だと言えるだろう。なお、前回大会の上位入賞者へのインタビュー記事はこちらを確認してほしい。
市民140、100kmクラスも、その長距離とともにやんばるのアップダウンの厳しさにより上位争いは熾烈を極める。かつてエンデュランス系のレースだったおきなわも、近年各クラスの出場選手たちの実力が上がり、拮抗していることからロードレースらしい駆け引きと展開が繰り広げられるようになってきた。各市民クラスで栄冠を掴むのは果たして誰だろうか?
本部半島を一周する50kmの各クラスは平坦基調のため例年激しいゴールスプリント争いで決着することが多いが、稀に逃げ切りも決まっている。勇気を持って仕掛ければ小グループの勝負に持ち込むことは可能だ。いずれのクラスも年間を通して鍛錬を積み、入念に準備してこなければ勝利に絡むことはできない。どのクラスにもそれぞれのドラマがある。
市民140kmや100kmもその激しさは熾烈を極める photo:Makoto.AYANO
毎年激しいスプリントが繰り広げられる市民50km photo:Hideaki TAKAGI
今年もシクロワイアードはモト随行撮影でフルカバーレポート
シクロワイアードでは今年も、チャンピオンレース、そして市民レース各クラスを2台のオートバイによる随行撮影を行います。撮影&レポートを担当するのはツール・ド・フランスのレポートなどでもお馴染みのフォトグラファー&シクロワイアード編集長・綾野 真、そして国内レースを精力的に撮影・レポートする加藤智。熱戦の模様を万全の取材体制によりフルカバーしてお届けします。
なお、昨年まで取材と撮影にあたったフォトジャーナリストの高木秀彰さんが10月に急逝されました。ご健在であれば、もちろん今大会も担当する予定でした。誰よりも愛したツール・ド・おきなわに対する氏の思いを胸に、ここにご冥福を祈ります。
参加選手の皆さんのご健闘をお祈りします。熱きレースを期待しています。「チバリヨー!」
ホビーレース甲子園 最高峰の市民210kmで高岡亮寛が5勝目を目指す

「ホビーレーサーの甲子園」の異名通り、市民レース最高のステイタスをもつツール・ド・おきなわ。とくに210、140、100kmの長距離ロードレースカテゴリーはレベルも高く、日々の鍛錬を積んできた猛者たちによる激戦区だ。
なかでもホビーレース最高峰の市民210kmは昨年の優勝者・高岡亮寛(Roppongi Express)に注目だ。サラリーマンレーサーの趣味として仕事と自転車、そして家庭を両立させ、競技を楽しむことをモットーとしている高岡は12年連続の出場であり、過去大会の市民200/210kmクラスで2007、2011年に優勝。2015、2016年と連覇し、初の4勝を挙げた選手となった。もし今年優勝することができれば3連覇にして通算5勝目の記録となる。
40歳となった高岡は、今年フランスはアルビで開催されたUCIグランフォンド世界選手権でも2位となるなど絶好調。昨年の優勝時に「おきなわは最高のレースですから出場する限り優勝を狙い続けたいですね」と語ったとおり、もちろん今年も優勝を狙って臨む。

圧倒的な独走力を持ち、ひとりレベルが違うように感じる高岡だが、もちろん昨年上位の猛者たちも黙っていないだろう。昨年トップ10入りした10人は、7位だった原純一(KMCycle)を除き9人が揃う。
昨年はレース中盤で落車しながらも2位となった井上亮(Magellan Systems Japan) は、高岡がレース中にもっとも調子がよく見えたという要注意人物だ。落車してから70kmに渡り独走での追走を強いられたが、高岡以外のすべての選手をパスし、ゴール前数百メートルでは2位集団を出し抜いて2位を獲得するという驚異的なレースをやってのけた。
打倒高岡を狙う井上。3位の河合宏樹(オッティモ)、4位の青木峻二(ウォークライド)、5位の松木健治(VC VELOCE) らと協働することができれば、勝利パターンである独走に持ち込みたい高岡にとっては大きな脅威となるだろう。




ツール・ド・おきなわをきっかけに沖縄に移住し、古宇利島にサイクルショップ「bicicletta SHIDO」をオープンさせた昨年6位の中尾峻(Team SHIDO)は今年、すでに地元での走り込みもバッチリでコースも熟知。まさに人生すべてをこの市民210kmに賭ける。
過去上位にきた強豪レーサーは誰もが要マークだが、今年、そのベテランたちを震撼させているのがエントリーリストにあるジョン・エブセン(V.M Cycling Team)の名前だ。昨年UCIプロコンチネンタルチームのワンプロサイクリングに所属したこのデンマーク人は今年プロレーサーの一線からは身を引いたものの、ツール・ド・ランカウィでは山岳賞に輝き、10月20日開催の台湾の3千m超の武嶺を登るヒルクライム、KOMチャレンジにおいて3位(優勝はヴィンチェンツォ・ニーバリ)になっている実力者。


市民140、100kmクラスも、その長距離とともにやんばるのアップダウンの厳しさにより上位争いは熾烈を極める。かつてエンデュランス系のレースだったおきなわも、近年各クラスの出場選手たちの実力が上がり、拮抗していることからロードレースらしい駆け引きと展開が繰り広げられるようになってきた。各市民クラスで栄冠を掴むのは果たして誰だろうか?
本部半島を一周する50kmの各クラスは平坦基調のため例年激しいゴールスプリント争いで決着することが多いが、稀に逃げ切りも決まっている。勇気を持って仕掛ければ小グループの勝負に持ち込むことは可能だ。いずれのクラスも年間を通して鍛錬を積み、入念に準備してこなければ勝利に絡むことはできない。どのクラスにもそれぞれのドラマがある。


今年もシクロワイアードはモト随行撮影でフルカバーレポート
シクロワイアードでは今年も、チャンピオンレース、そして市民レース各クラスを2台のオートバイによる随行撮影を行います。撮影&レポートを担当するのはツール・ド・フランスのレポートなどでもお馴染みのフォトグラファー&シクロワイアード編集長・綾野 真、そして国内レースを精力的に撮影・レポートする加藤智。熱戦の模様を万全の取材体制によりフルカバーしてお届けします。
なお、昨年まで取材と撮影にあたったフォトジャーナリストの高木秀彰さんが10月に急逝されました。ご健在であれば、もちろん今大会も担当する予定でした。誰よりも愛したツール・ド・おきなわに対する氏の思いを胸に、ここにご冥福を祈ります。
参加選手の皆さんのご健闘をお祈りします。熱きレースを期待しています。「チバリヨー!」
H3
2016年大会の市民レースの上位リザルト
市民210km
1位 | 高岡亮寛(イナーメ信濃山形) | 5:20:20.546 |
2位 | 井上亮(Magellan Systems Japan) | +5:40.578 |
3位 | 河合宏樹(オッティモ) | +5:41.933 |
4位 | 青木峻二(ウォークライド) | +5:42.499 |
5位 | 松木健治(有限会社村上建具工房ハイランダー) | +5:43.537 |
6位 | 中尾峻(Team SHIDO) | +6:15.326 |
7位 | 原純一(KMCycle) | +6:19.042 |
8位 | 清宮洋幸(竹芝レーシング) | +6:32.051 |
9位 | 雑賀大輔(湾岸ユナイテッド) | +7:04.524 |
10位 | 奈良浩(ウォークライド) | +7:04.716 |
市民140km
1位 | 中村駿佑(チームヤーボー) | 4:01:41.370 |
2位 | 小村太朗(Virgin Active Swift Carbon) | +1:41.172 |
3位 | 城所祐太(竹芝サイクルレーシング) | +1:42.151 |
4位 | 安永亮(竹芝サイクルレーシング) | +1:42.335 |
5位 | 永瀬勝彬(イナーメ信濃山形) | +1:42.390 |
6位 | 石村公仁彦(BIKE TOWN CYCLING) | +1:43.288 |
市民レース100km アンダー39
1位 | 半澤雄高(Link TOHOKU) | 2:53:34.145 |
2位 | 松島拓人(PROJECT-Y) | +0:52.054 |
3位 | 秋田智和(VC Fukuoka) | +1:38.676 |
4位 | 江田圭一郎 | +1:49.086 |
5位 | 藤田涼平(男塾福山二輪倶楽部) | +1:49.226 |
6位 | 高杉知彰(Project-Y/DESTRA/VERRAZANO Racing) | +1:49.356 |
市民レース100km オーバー40
1位 | 塚本茂浩(parabola) | 3:05:23.047 |
2位 | 柳橋孝志(Bermuda) | +0:05.463 |
3位 | 木村寛(VC fukuoka) | +0:05.525 |
4位 | 尾崎一平(バルバワークス) | +0:05.662 |
5位 | 斉藤敦(TEAM GIRO) | +0:05.998 |
6位 | 戸田慎吾(VIVACEかけがわ) | +0:06.174 |
中学生レース50km
1位 | 天野壮悠(クラブシルベスト)1:18:41.103 | |
2位 | 古林一夢 | +0:00.569 |
3位 | 北宅柊麻 | +0:01.715 |
4位 | 玉城翔太 | +0:01.948 |
5位 | 白川隆太 | +0:02.154 |
6位 | 佐藤光 | +0:02.490 |
市民レース50km アンダー29
1位 | 田崎竜成(エイル宮崎) | 1:13:43.482 |
2位 | 新城直明 | +0:00.432 |
3位 | 田中宏樹 | +0:00.520 |
4位 | 森田裕紀 | +0:00.584 |
5位 | 銘苅公之介 | +0:00.942 |
6位 | 四家弘貴 | +0:00.990 |
市民レース50km サーティー
1位 | 西真也(BICI AMORE) | 1:15:06.137 |
2位 | 高見澤篤史 | +0:00.044 |
3位 | 宇野祐造 | +0:00.238 |
4位 | 大橋寿安 | +0:00.408 |
5位 | 花田俊太 | +0:00.867 |
6位 | 上野拓也 | +0:00.939 |
市民レース50km フォーティー
1位 | 白鳥興寛(ARCC) | 1:15:39.499 |
2位 | CHEN CHIH HA | |
3位 | 谷口敦史 | +0:00.234 |
4位 | 堀浩之 | +0:00.345 |
5位 | 岡野哲也 | +0:00.434 |
6位 | 井藤正人 | +0:00.537 |
市民レース50km オーバー50
1位 | 福島雄二(ベステックス) | 1:19:40.612 |
2位 | 久保紳一郎 | +0:00.280 |
3位 | 坂本祥一 | +0:00.322 |
4位 | 菊池仁志 | +0:00.499 |
5位 | 内山尚之 | +0:00.531 |
6位 | 寺崎嘉彦 | +0:00.679 |
市民レディースレース50km
1位 | 渡部春雅(GIANT Liv港北) | 1:23:43.649 |
2位 | 高嶺直美 | +0:00.208 |
3位 | 伊藤優以 | +0:00.361 |
4位 | 島橋由美子 | +0:00.505 |
5位 | 儀間光希 | +0:00.549 |
6位 | 雑賀敬子 | +0:01.579 |
text:Makoto.AYANO
photo:Hideaki.TAKAGI,Makoto.AYANO
photo:Hideaki.TAKAGI,Makoto.AYANO
Amazon.co.jp