2017/09/04(月) - 05:27
イギリス最大のステージレースであるツアー・オブ・ブリテンが9月3日に開幕。ロード世界選手権を見据える強豪が揃った8日間の戦い初日は集団スプリントに持ち込まれ、カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)が写真判定の末に勝利をつかんだ。
ツアー・オブ・ブリテンは1945年に第1回大会が開催されたイギリス最古ならびに最大のステージレース。1999年を最後に一旦休止したものの2004年に復活し、2008年から8ステージに拡大して現在に至る。UCIのレースカテゴリーはHC(超級)だが、毎年トップチームが集結。2017年の第14回大会にはUCIワールドチームが10チーム揃った。
選手の顔ぶれも豪華で、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)やエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)、カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)、ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)というブエルタを凌ぐトップスプリンターたちが参加。本格的な山岳ステージが登場せず、第5ステージの個人タイムトライアルで総合成績の大勢が決まることから、トニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)やアレックス・ドーセット(イギリス、モビスター)、シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)、ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)といったTTスペシャリストたちも集まった。
開幕地はイギリス北部、スコットランドの首都エディンバラ。8日間かけてグレートブリテン島を南下し、イングランドを経てウェールズの首都カーディフでブエルタと同じ9月10日に閉幕を迎える。閉幕から世界選手権エリートロードまで2週間というタイミングだけに、アルカンシェル狙いのアタッカーたちも顔を揃えた。
気温18度という、スコットランドの標準的な夏の日に120名がスタートすると、地元イギリスのUCIコンチネンタルチームが活発にアタックを開始。ゴルカ・イサギレ(スペイン、モビスター)を含む8名が先頭グループを形成し、丘を直線的に貫く急勾配のアップダウンや、沿道から羊や牛が眺める細い農道を逃げる。UCIワールドチームが支配するメイン集団とのタイム差は3分まで広がった。
逃げに乗ったカロル・ドマガルスキー(ポーランド、ワンプロサイクリング)はレース前半にマディソンジェネシスのチームカーに衝突されて落車するハプニングに見舞われながらも、スプリントポイントで積極的にボーナスタイムを獲得する。レース後半に入るとドマガルスキーは同じポーランド出身のルーカス・オウシアン(CCCスプランディ・ポルコウィチェ)ととともに逃げグループから抜け出すことに成功。しかしポーランド出身者2人はメイン集団を振り切ることができずに残り25kmで吸収されている。
最後の2級山岳でベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)がアタックを仕掛けたが決まらない。メイン集団はおよそ70名に人数を減らしながらローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)を先頭に頂上をクリアする。ツール・ド・フランス第5ステージで右肩甲骨を骨折し、このブリテンが復帰戦となったカヴェンディッシュの姿は集団内になかった。
この日の登りを全て終えた集団は、チームスカイやカチューシャ・アルペシン、オリカ・スコット、ディメンションデータがトレインを組んでハイスピード巡行。上半身が微動だにしないポジションでヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)が残り2kmまで長時間にわたって集団を牽引する。トーマスとクウィアトコウスキー、オウェイン・ドゥール(イギリス)の3名がヴィヴィアーニのためにトレインを組んだチームスカイに対し、残り1kmを切るとオリカ・スコットが主導権を奪った。
オリカ・スコットのロジャー・クルーゲ(ドイツ)とルカ・メズゲッツ(スロベニア)がユアンを連れ、その後ろにエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)、クリストフ、ヴィヴィアーニ、ガビリアの並びで残り400mのコーナーを抜ける。フィニッシュラインまではイギリス特有の石畳。残り200mでボアッソンハーゲンが仕掛けると、ユアンとクリストフ、ヴィヴィアーニが一斉に腰を上げた。
石畳で上下左右に暴れるバイクを押さえ込んでのスプリント。最大パワーを100%路面に伝えることができず、ぎこちないスプリントで加速を試みる選手たち。最初に加速したボアッソンハーゲンにユアンが並び、ヴィヴィアーニとクリストフも追い込みを見せて横に並ぶ。写真判定に持ち込まれる接戦で、ハンドルを投げ込んだユアンが先着した。
「フィニッシュラインを切った時に勝ったという自信があったけど、フィニッシュ後にエディ(ボアッソンハーゲン)にカメラが集まったのでだんだん不安になってきた。僅差のスプリントでは確信的なことなんて何もないから」とユアンはレース後の記者会見で笑った。
「事前にフィニッシュラインを一度通過したので、とてもバンピーな(跳ねやすい)スプリントになると予想していた。いつもの低いスプリントポジションではなく、少し上体が立ったポジションでスプリントすることにした。リードアウトも申し分なく、ただルカ(メズゲッツ)の後ろに付いれていればよかったんだ」。今シーズン8勝目を飾ったユアンは同時に緑色のリーダージャージを手にした。
僅差で敗れたボアッソンハーゲンは「また写真判定で敗れてしまった。ステージ優勝を逃したことは残念だけど、ボーナスタイム7秒(フィニッシュ6秒&スプリントポイント1秒)を獲得したことは最終的な総合争いにおいて有利な展開だ」とコメント。2009年と2015年に続く3度目の総合優勝に向けて好スタートを切ったボアッソンハーゲン。地元ノルウェーで開催される世界選手権に向けて順調な仕上がりを見せている。
ツアー・オブ・ブリテンは1945年に第1回大会が開催されたイギリス最古ならびに最大のステージレース。1999年を最後に一旦休止したものの2004年に復活し、2008年から8ステージに拡大して現在に至る。UCIのレースカテゴリーはHC(超級)だが、毎年トップチームが集結。2017年の第14回大会にはUCIワールドチームが10チーム揃った。
選手の顔ぶれも豪華で、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)やエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)、カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)、ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)というブエルタを凌ぐトップスプリンターたちが参加。本格的な山岳ステージが登場せず、第5ステージの個人タイムトライアルで総合成績の大勢が決まることから、トニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)やアレックス・ドーセット(イギリス、モビスター)、シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)、ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)といったTTスペシャリストたちも集まった。
開幕地はイギリス北部、スコットランドの首都エディンバラ。8日間かけてグレートブリテン島を南下し、イングランドを経てウェールズの首都カーディフでブエルタと同じ9月10日に閉幕を迎える。閉幕から世界選手権エリートロードまで2週間というタイミングだけに、アルカンシェル狙いのアタッカーたちも顔を揃えた。
気温18度という、スコットランドの標準的な夏の日に120名がスタートすると、地元イギリスのUCIコンチネンタルチームが活発にアタックを開始。ゴルカ・イサギレ(スペイン、モビスター)を含む8名が先頭グループを形成し、丘を直線的に貫く急勾配のアップダウンや、沿道から羊や牛が眺める細い農道を逃げる。UCIワールドチームが支配するメイン集団とのタイム差は3分まで広がった。
逃げに乗ったカロル・ドマガルスキー(ポーランド、ワンプロサイクリング)はレース前半にマディソンジェネシスのチームカーに衝突されて落車するハプニングに見舞われながらも、スプリントポイントで積極的にボーナスタイムを獲得する。レース後半に入るとドマガルスキーは同じポーランド出身のルーカス・オウシアン(CCCスプランディ・ポルコウィチェ)ととともに逃げグループから抜け出すことに成功。しかしポーランド出身者2人はメイン集団を振り切ることができずに残り25kmで吸収されている。
最後の2級山岳でベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)がアタックを仕掛けたが決まらない。メイン集団はおよそ70名に人数を減らしながらローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)を先頭に頂上をクリアする。ツール・ド・フランス第5ステージで右肩甲骨を骨折し、このブリテンが復帰戦となったカヴェンディッシュの姿は集団内になかった。
この日の登りを全て終えた集団は、チームスカイやカチューシャ・アルペシン、オリカ・スコット、ディメンションデータがトレインを組んでハイスピード巡行。上半身が微動だにしないポジションでヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)が残り2kmまで長時間にわたって集団を牽引する。トーマスとクウィアトコウスキー、オウェイン・ドゥール(イギリス)の3名がヴィヴィアーニのためにトレインを組んだチームスカイに対し、残り1kmを切るとオリカ・スコットが主導権を奪った。
オリカ・スコットのロジャー・クルーゲ(ドイツ)とルカ・メズゲッツ(スロベニア)がユアンを連れ、その後ろにエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)、クリストフ、ヴィヴィアーニ、ガビリアの並びで残り400mのコーナーを抜ける。フィニッシュラインまではイギリス特有の石畳。残り200mでボアッソンハーゲンが仕掛けると、ユアンとクリストフ、ヴィヴィアーニが一斉に腰を上げた。
石畳で上下左右に暴れるバイクを押さえ込んでのスプリント。最大パワーを100%路面に伝えることができず、ぎこちないスプリントで加速を試みる選手たち。最初に加速したボアッソンハーゲンにユアンが並び、ヴィヴィアーニとクリストフも追い込みを見せて横に並ぶ。写真判定に持ち込まれる接戦で、ハンドルを投げ込んだユアンが先着した。
「フィニッシュラインを切った時に勝ったという自信があったけど、フィニッシュ後にエディ(ボアッソンハーゲン)にカメラが集まったのでだんだん不安になってきた。僅差のスプリントでは確信的なことなんて何もないから」とユアンはレース後の記者会見で笑った。
「事前にフィニッシュラインを一度通過したので、とてもバンピーな(跳ねやすい)スプリントになると予想していた。いつもの低いスプリントポジションではなく、少し上体が立ったポジションでスプリントすることにした。リードアウトも申し分なく、ただルカ(メズゲッツ)の後ろに付いれていればよかったんだ」。今シーズン8勝目を飾ったユアンは同時に緑色のリーダージャージを手にした。
僅差で敗れたボアッソンハーゲンは「また写真判定で敗れてしまった。ステージ優勝を逃したことは残念だけど、ボーナスタイム7秒(フィニッシュ6秒&スプリントポイント1秒)を獲得したことは最終的な総合争いにおいて有利な展開だ」とコメント。2009年と2015年に続く3度目の総合優勝に向けて好スタートを切ったボアッソンハーゲン。地元ノルウェーで開催される世界選手権に向けて順調な仕上がりを見せている。
ステージ成績
1位 | カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) | 4:34:17 |
2位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) | |
3位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) | |
4位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) | |
5位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) | |
6位 | クリストファー・ローレス(イギリス、イギリスナショナルチーム) | |
7位 | ブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、JLTコンドル) | |
8位 | ニコラス・マース(ベルギー、ロット・ソウダル) | |
9位 | ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ) | |
10位 | フローリス・ヘルツ(オランダ、BMCレーシング |
個人総合成績
1位 | カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) | 4:34:07 |
2位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) | 0:00:03 |
3位 | カロル・ドマガルスキー(ポーランド、ワンプロサイクリング) | 0:00:04 |
4位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) | 0:00:06 |
5位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) | 0:00:10 |
6位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) | |
7位 | クリストファー・ローレス(イギリス、イギリスナショナルチーム) | |
8位 | ブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、JLTコンドル) | |
9位 | ニコラス・マース(ベルギー、ロット・ソウダル) | |
10位 | ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ) |
ポイント賞
1位 | カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) | 15pts |
2位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) | 14pts |
3位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) | 13pts |
山岳賞
1位 | ルーカス・オウシアン(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ) | 9pts |
2位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | 8pts |
3位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) | 7pts |
チーム総合成績
1位 | カチューシャ・アルペシン | 13:42:51 |
2位 | ロット・ソウダル | |
3位 | クイックステップフロアーズ |
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