ティレーノ~アドリアティコ第5ステージで逃げ切り決まる。2022年に大怪我を負ったミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)が、4年半ぶりとなる復活勝利を挙げた。



総合3位につけるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:RCS Sports

アドリア海にたどり着いたティレーノ~アドリアティコは、第5ステージに沿岸の街マロッタ・モンドルフォを発着地とする184kmで行われた。平坦区間は序盤で終わり、以降はアップダウンがフィニッシュまで続く丘陵ステージ。今大会で最も逃げ切りに適したレイアウトだけに、実力確かな選手たちが飛び出した。

この日形成されたのは、元世界王者ジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダープロサイクリング)を含む8名の逃げグループ。一方、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエが中心に先導するメイン集団は、逃げに対し最大5分のリードを許す。しかし残り60km地点から、イサーク・デルトロ(メキシコ)の総合逆転を目論むUAEチームエミレーツXRGがペースアップを開始した。

ジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダープロサイクリング)を含む8名の逃げグループ photo:RCS Sports

残り30km地点で逃げは6名に絞られ、登り区間でのアタック合戦が始まる。先頭からミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)が飛び出すと、アラフィリップしかついていけない。一方、さらにスピードを増したプロトンからは総合10位のアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が遅れ、総合から脱落。そしてこの日最後の山岳、サントゥアリオ・デル・ベアート・サンテに入り、ヴァルグレンがアタックした。

レース後に「1ヶ月前に子どもが生まれたばかりなんだ」と明かしたヴァルグレンの加速は強烈で、ハイケイデンスのダンシングはアラフィリップを引き離す。一方、その背後ではUAEによる激しいリードアウトのあとをバーレーン・ヴィクトリアスが引き継ぎ、デルトロが満を持してアタック。アラフィリップも捉えた集団を9名まで絞り込む。

最終山岳で仕掛け、単独先頭に立ったミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

デルトロは頂上手前で再び加速すると、そこにはマッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)しかついていけず、総合首位ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)はチームメイトのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)と共に引き離される。その後、デルトロとジョーゲンソンはローテーションを回しながらペースを上げたものの、ヴァルグレンに届くことはなかった。

そしてテクニカルな下りを経て、フィニッシュに単独でたどり着いたヴァルグレンが4年半ぶりの勝利を手に入れた。

復活勝利を飾ったミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

「信じられないよ。この勝利のために努力を重ねてきた。この勝利は家族のため、そしてチームのために挙げたもの。今日はずっと脚の調子がよく、ジュリアンと良い協力体制が築けた。そして運も味方してくれた」と語った34歳のヴァルグレン。

アスタナ時代の2018年にオムロープ・ニュースブラットとアムステルゴールドレースで優勝。しかしそれ以降はビッグレースでの結果に恵まれず、EF移籍2年目の2022年に骨盤骨折や股関節脱臼という、キャリアを脅かす大怪我を負う。さらに2023年は育成チームで1年を過ごし、2024年にトップチームへ復帰。そして今大会で、ようやく復活勝利を飾った。

共に逃げたアラフィリップから祝福を受けるミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:RCS Sports

ベテランの復活に、EFのジョナサン・ヴォーターズGMは「ヴァルグレンの負った怪我は、選手生命を終わらせかねないものだった。いや、場合によっては命に関わる可能性さえあった。それでもこの勇敢な男は決して諦めなかった。ゼロから、いやゼロ以下の状態から這い上がってきた。そこには何年もの時間と、数えきれない涙があった。これほど誇らしいことはない」と祝福するコメントを残している。

11秒遅れフィニッシュしたデルトロが、ジョーゲンソンを退けて2位。ペリツァーリは30秒遅れの6位だったため、デルトロが総合で逆転し、リーダージャージを取り戻した。

4年半ぶりの勝利となったミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos
ティレーノ〜アドリアティコ2026第5ステージ結果
1位 ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) 4:43:33
2位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) +0:11
3位 マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)
4位 トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) +0:24
5位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) +0:28
6位 ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:30
7位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
8位 アレッサンドロ・ピナレロ(イタリア、NSNサイクリングチーム) +0:40
9位 マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダープロサイクリング) +0:41
10位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)
個人総合成績
1位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) 20:10:40
2位 ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:23
3位 マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) +0:34
4位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:44
5位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) +1:05
6位 トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) +1:08
7位 アレッサンドロ・ピナレロ(イタリア、NSNサイクリングチーム) +1:24
8位 ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)
9位 マグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ) +1:27
10位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) +1:28
その他の特別賞
ポイント賞 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)
山岳賞 ディエゴ・セビーリャ(スペイン、ポルティ・ヴィジットマルタ)
ヤングライダー賞 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG)
チーム総合成績 EFエデュケーション・イージーポスト
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sports