2017/08/20(日) - 09:00
イタリアの老舗タイヤメーカー、ピレリ。モータースポーツの世界ではその名を轟かす同社が満を持して自転車界に参入、ロードバイク用タイヤをリリースする。3種類のモデルを揃えるクリンチャータイヤ「P ZERO VELO」シリーズをインプレッションとともに紹介しよう。
イタリアはミラノに本社を置くピレリは、140年以上もの歴史を持つ老舗タイヤブランド。タイヤ市場においては世界シェア第5位にもつけ、モータースポーツファンでなくてもその名を一度は耳にしたことがあるはず。ランボルギーニやフェラーリといった高級車に採用されたり、F1やラリーカー、スーパーバイク、モトクロスといったモータースポーツのタイヤをサポートしたりと、より走行性能が求められるタイヤへの開発に一日の長があるメーカーだ。
設立当初は通信用のケーブル等も生産していた同社だが、自動車用タイヤがメインの製品となる以前には、実は自転車用タイヤの生産も行っていたピレリ。1909年に開催されたジロ・デ・イタリアの第1回大会においては、49人の完走者の内30人もの選手がピレリのロードタイヤを使っていたのだという。自転車用タイヤは1950年代まで生産を続け、その使用者の中にはかの有名なファウスト・コッピもいたのだとか。
そのため、今回の発売はブランド初ではなく約60年ぶりの復活となる訳だ。車好き、ひいてはモータースポーツ好きには馴染みのあるであろう、同社のフラッグシップを表す”P ZERO”の名を冠し、フランス語で自転車を意味する”VELO”を添えた「P ZERO VELO」こそが、スポーツタイヤ市場を牽引してきたピレリが新たに放つロード用クリンチャータイヤである。
モータースポーツタイヤで培った技術やノウハウを投入し、2年以上の開発期間を費やしたというこの製品。様々な使用環境を想定した実地テストでの走行距離は合計10万km以上にも及んだという。低い転がり抵抗、高いグリップとハンドリング、耐パンク等タイヤに必要とされる全ての要素をバランスさせるために、ピレリはコンパウンド、トレッドパターン、タイヤ形状の3つのファクターから研究を進めた。
タイヤの性能を左右するコアとも言える表面のゴム部分、コンパウンドには同社が特許を持つ最先端のテクノロジーである「SmartNET Silica」を使用。シリカを配合することでコンパウンドの性能を調整することは珍しくないが、ピレリでは一般的な球型ではなく細長い棒状のシリカ粒子を採用しており、その粒子配列をナノレベルでコントロールする事により高い性能を安定して発揮するのだという。転がり抵抗を削減しつつもグリップ力を確保するという相反する性能をこのテクノロジーにより実現している。
より高いグリップを獲得するため配される稲妻状のトレッドパターンは、同社のモーターバイク用タイヤから受け継いだテクノロジーを応用したもの。「Functional Groove Design」と名付けられるこの技術は、コーナリング時に各パートのグルーブ(溝)がそれぞれ機能し最適なグリップを発揮するよう設計されている。
直進時の転がりを考慮しトレッド中央はスリックになっている一方で、コーナリング時には角度の異なる溝がそれぞれタイヤの進入角に合わせてグリップを生み出すという仕組みである。角度が大きく取られたショルダー部の溝はタイトなコーナーで威力を発揮し、直進時と比較して接地面積を20%も増加させる働きをするのだという。また、タイヤのショルダーにかけて配される溝は効率的に水分を排出しウェット時のグリップにも一役買っている。
モーターサイクルレースにおいて、路面とタイヤとの接地面積はマシンのパワーを最大限発揮する上で欠かせない要素の1つ。そのフィードバックをロードタイヤにも反映させたものが「Ideal Contour Shaping」と呼ばれるテクノロジーである。真円に近い断面形状を実現することで、バイクのリーン角に合わせたタイヤの変形量を一定に保ち路面との接地面積を最適化するというものだ。これによりあらゆるシーンにおいて高いグリップとトラクションを実現している。
ラインアップは全部で3種類。ノーマルモデルに加え、トレッドパターンを増やしウェットグリップを高め、トレッド内側にアラミドブレーカーを配置することで耐パンク性能を向上させた「4S」モデル、スリックタイヤとし耐パンク層を除くことで軽量化とスピードを追求した「TT」モデルも揃う。それぞれ性能別にF1のP ZEROタイヤと対応させたシルバー、ブルー、レッドのラインがサイドに入る心憎い仕様となっており、モータースポーツファンにはたまらないルックスではないだろうか。
TTモデルのみ23cの1サイズでの展開で、他の2つは23、25、28cの3サイズで販売される。クリンチャータイヤとなるためチューブドにて使用してほしい。今回はフルクラムのレーシングゼロホイールにて、ノーマルモデルと4Sモデルの2つをテストした。早速、インプレッションへ移ろう。
― インプレッション
御園井:今回ノーマルモデルと4Sモデルをテストしましたが、流石はピレリのタイヤといったところでしょうか、完成度は非常に高いと感じます。新たにロードタイヤの市場に参入する新製品ではありますが、不安感は全くありませんね。2つのモデルを乗り比べても、しっかりと性格の違いが出ていて意図する性能を感じ取ることができました。
個人的には4Sのグリップ力の高さは大いに評価できる点ですね。トラクションが掛けやすいため、林道やあぜ道といった荒れた道でもタイヤが路面を掴んで進んでくれます。坂道でコケが生えているようなところでもスリップする感覚はありませんね。また振動吸収性が高く、突き上げ感が来ないのも特徴的です。最初に高めの空気圧で走った時点で普通のタイヤより快適性が高いと感じましたが、その空気圧を更に下げることによって、より振動の少ないマイルドな乗り心地を感じることができました。
村山:同じく僕も4Sのグリップの高さは印象的でした。ノーマルモデルと比べて4Sは重量が約10g重いようですが、下りを攻めるときの安定感は4Sの方が良いですね。路面の段差や、連続するコーナーでの切り返しでしっかりトラクションがかかるので安心感が違います。それでいてハイグリップタイヤにありがちな転がりの重さは感じないので、コンパウンドの良さが活きているのではないかと思います。
御園井:反対にノーマルモデルはグリップ力ではやや劣りますが、路面が綺麗なところでは走行音が非常に静かで、転がり抵抗の少なさを感じます。F1のようにサーキットの滑らかな舗装で走る場合は、こちらのほうがよりスピードに乗っていける、そんな車のピレリタイヤを思わせる乗り味ですね。
村山:ノーマルモデルはコーナ―を曲がるときに少しリアタイヤを流すような感覚で曲がっていくと、しっかりと狙ったラインをトレースしていけます。空気圧は最初6気圧で乗っていたのですが、それだと少し突き上げ感が来るので、5.6気圧にすると快適に乗ることが出来ました。規定空気圧の上限と下限が狭いのですが、そこはベストポジションへ探りを入れる必要がありますね。他のタイヤと同じように、7気圧ほど入れてしまうとバイクが跳ねてしまう感覚がありました。
御園井:空気圧による乗り心地の差は感じましたね。規定空気圧の幅が狭いわけだけども、それに従うことでメーカーが狙った乗り心地を実現できるように思います。その中でも下限値(6気圧)付近がグリップ力と転がり抵抗、快適性が両立できていいと思います。ロードタイヤの空気って目一杯入れたくなってしまいがちですが、そこは抑えてみると心地よい乗り心地になりますね。
また、このP ZERO VELOはバイクや車のタイヤと同じく、コーナリング時の接地面積にも着目して作られていますね。今までの自転車タイヤにはあまりない発想で、そこはモータースポーツで活躍するピレリの経験とテクノロジーが投入されたこの製品の大きな特徴ではないでしょうか。
村山:新しいテクノロジーというのは、我々自転車乗りにとっては使い慣れないものになりますので、どこまで攻めた使い方ができる等は今後多くのライダーが乗り込んで分かっていくことでしょう。4Sの方はトレッドに粘り気があったので、ノーマルモデルよりはコーナーも切り込んでいけると思います。全体的な乗り味は、グリップのさせ方といい、空気圧を落とした時の転がり方といいチューブレスタイヤに近い感覚の製品だと感じました。
御園井:今回は途中から雨が降ってきたので、ウェットコンディションでも試すことができましたが、スリップしやすいなどもなく怖さを感じることはありませんでした。初回品としてはよく出来ていると思います。
村山:個人的に非常に気に入った4Sモデルは、自分の中のタイヤランキングトップ3に入る出来栄えですね。ただ、さらに良し悪しを決めるとしたらタイヤの寿命ですかね。どのくらい性能が維持できるのかは実際に何千kmと乗り込んでみないと分からなく、気になるところですね。
御園井:ピレリのタイヤというと車のイメージから言えば、表面がつるつるになってもまだ性能を発揮するくらいの印象がありますね。そういった部分からも、コンパウンドの持ちは期待はできるのではないでしょうか。トレーニングからレース出場までこのタイヤ1本で幅広くカバーしてくれる、そんな製品になると思います。今までのタイヤメーカーとは違う特色もあり、気になる方は使用してみる価値は十分にあるでしょう。
村山:ピレリというとザ・ヨーロッパタイヤというブランドイメージもありますし、特にイタリアンバイクとはルックスでもマッチすることと思います。バイク全体のプレミア感や高級感も増すような役割も果たしてくれるのではないでしょうか。その上で走行性能も申し分ないハイレベルなものなので、ぜひ一度使ってみて欲しいですね。
ピレリ P ZERO VELO
タイヤタイプ:クリンチャー
サイズ:700×23c、25c、28c
重 量:195g/23c、210g/25c、230g/28c
価 格:6,900円(税抜、23c&25c)
7,300円(税抜、28c)
ピレリ P ZERO VELO 4S
タイヤタイプ:クリンチャー
サイズ:700×23c、25c、28c
重 量:205g/23c、220g/25c、250g/28c
価 格:7,700円(税抜、23c&25c)
8,000円(税抜、28c)
ピレリ P ZERO VELO TT
タイヤタイプ:クリンチャー
サイズ:700×23c
重 量:165g/23c
価 格:6,900円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
御園井智三郎(ミソノイサイクル)
今年で創業120周年を迎えた、国内はもとより世界的にも最古参クラスの歴史を誇り、静岡県浜松市内に3店舗を構えるミソノイサイクルの5代目代表を務める。海外メーカー及び国内代理店と強い繋がりを持ち、ロードレーサーから実用車まで、あらゆるジャンルの機材で、新旧を問わない豊富な知識を持つ。また、かつてはトップアマとして国内レースで活躍した経験も。現在は地元浜松市と共に、走行環境の整備やイベントの企画・運営を行い、スポーツサイクルの更なる普及に注力している。
CWレコメンドショップページ
ミソノイサイクル HP
村山智樹(ZING² FUKUOKA-IWAI)
福岡市は天神地区に店舗を構えるZING² FUKUOKA-IWAIにて、セールス&メカニックやトライアスロンアドバイザーを担当する。モータースポーツを趣味にするほどの機械いじり好きが高じて自転車業界へ。自身は各地で行われるトライアスロンのレース会場へも、メカニックとして出向くほどTTバイクの扱いを得意とする。お客さんに向けたトライアスロン教室も行い、普段からトライアスロンのレース参加に向けたトレーニングとして自転車を嗜む。トライアスリートらしく愛車はサーヴェロのP3。
CWレコメンドショップページ
ZING² FUKUOKA-IWAI HP
ウェア協力:カステリ
ヘルメット協力:カブト
text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO
イタリアはミラノに本社を置くピレリは、140年以上もの歴史を持つ老舗タイヤブランド。タイヤ市場においては世界シェア第5位にもつけ、モータースポーツファンでなくてもその名を一度は耳にしたことがあるはず。ランボルギーニやフェラーリといった高級車に採用されたり、F1やラリーカー、スーパーバイク、モトクロスといったモータースポーツのタイヤをサポートしたりと、より走行性能が求められるタイヤへの開発に一日の長があるメーカーだ。
設立当初は通信用のケーブル等も生産していた同社だが、自動車用タイヤがメインの製品となる以前には、実は自転車用タイヤの生産も行っていたピレリ。1909年に開催されたジロ・デ・イタリアの第1回大会においては、49人の完走者の内30人もの選手がピレリのロードタイヤを使っていたのだという。自転車用タイヤは1950年代まで生産を続け、その使用者の中にはかの有名なファウスト・コッピもいたのだとか。
そのため、今回の発売はブランド初ではなく約60年ぶりの復活となる訳だ。車好き、ひいてはモータースポーツ好きには馴染みのあるであろう、同社のフラッグシップを表す”P ZERO”の名を冠し、フランス語で自転車を意味する”VELO”を添えた「P ZERO VELO」こそが、スポーツタイヤ市場を牽引してきたピレリが新たに放つロード用クリンチャータイヤである。
モータースポーツタイヤで培った技術やノウハウを投入し、2年以上の開発期間を費やしたというこの製品。様々な使用環境を想定した実地テストでの走行距離は合計10万km以上にも及んだという。低い転がり抵抗、高いグリップとハンドリング、耐パンク等タイヤに必要とされる全ての要素をバランスさせるために、ピレリはコンパウンド、トレッドパターン、タイヤ形状の3つのファクターから研究を進めた。
タイヤの性能を左右するコアとも言える表面のゴム部分、コンパウンドには同社が特許を持つ最先端のテクノロジーである「SmartNET Silica」を使用。シリカを配合することでコンパウンドの性能を調整することは珍しくないが、ピレリでは一般的な球型ではなく細長い棒状のシリカ粒子を採用しており、その粒子配列をナノレベルでコントロールする事により高い性能を安定して発揮するのだという。転がり抵抗を削減しつつもグリップ力を確保するという相反する性能をこのテクノロジーにより実現している。
より高いグリップを獲得するため配される稲妻状のトレッドパターンは、同社のモーターバイク用タイヤから受け継いだテクノロジーを応用したもの。「Functional Groove Design」と名付けられるこの技術は、コーナリング時に各パートのグルーブ(溝)がそれぞれ機能し最適なグリップを発揮するよう設計されている。
直進時の転がりを考慮しトレッド中央はスリックになっている一方で、コーナリング時には角度の異なる溝がそれぞれタイヤの進入角に合わせてグリップを生み出すという仕組みである。角度が大きく取られたショルダー部の溝はタイトなコーナーで威力を発揮し、直進時と比較して接地面積を20%も増加させる働きをするのだという。また、タイヤのショルダーにかけて配される溝は効率的に水分を排出しウェット時のグリップにも一役買っている。
モーターサイクルレースにおいて、路面とタイヤとの接地面積はマシンのパワーを最大限発揮する上で欠かせない要素の1つ。そのフィードバックをロードタイヤにも反映させたものが「Ideal Contour Shaping」と呼ばれるテクノロジーである。真円に近い断面形状を実現することで、バイクのリーン角に合わせたタイヤの変形量を一定に保ち路面との接地面積を最適化するというものだ。これによりあらゆるシーンにおいて高いグリップとトラクションを実現している。
ラインアップは全部で3種類。ノーマルモデルに加え、トレッドパターンを増やしウェットグリップを高め、トレッド内側にアラミドブレーカーを配置することで耐パンク性能を向上させた「4S」モデル、スリックタイヤとし耐パンク層を除くことで軽量化とスピードを追求した「TT」モデルも揃う。それぞれ性能別にF1のP ZEROタイヤと対応させたシルバー、ブルー、レッドのラインがサイドに入る心憎い仕様となっており、モータースポーツファンにはたまらないルックスではないだろうか。
TTモデルのみ23cの1サイズでの展開で、他の2つは23、25、28cの3サイズで販売される。クリンチャータイヤとなるためチューブドにて使用してほしい。今回はフルクラムのレーシングゼロホイールにて、ノーマルモデルと4Sモデルの2つをテストした。早速、インプレッションへ移ろう。
― インプレッション
御園井:今回ノーマルモデルと4Sモデルをテストしましたが、流石はピレリのタイヤといったところでしょうか、完成度は非常に高いと感じます。新たにロードタイヤの市場に参入する新製品ではありますが、不安感は全くありませんね。2つのモデルを乗り比べても、しっかりと性格の違いが出ていて意図する性能を感じ取ることができました。
個人的には4Sのグリップ力の高さは大いに評価できる点ですね。トラクションが掛けやすいため、林道やあぜ道といった荒れた道でもタイヤが路面を掴んで進んでくれます。坂道でコケが生えているようなところでもスリップする感覚はありませんね。また振動吸収性が高く、突き上げ感が来ないのも特徴的です。最初に高めの空気圧で走った時点で普通のタイヤより快適性が高いと感じましたが、その空気圧を更に下げることによって、より振動の少ないマイルドな乗り心地を感じることができました。
村山:同じく僕も4Sのグリップの高さは印象的でした。ノーマルモデルと比べて4Sは重量が約10g重いようですが、下りを攻めるときの安定感は4Sの方が良いですね。路面の段差や、連続するコーナーでの切り返しでしっかりトラクションがかかるので安心感が違います。それでいてハイグリップタイヤにありがちな転がりの重さは感じないので、コンパウンドの良さが活きているのではないかと思います。
御園井:反対にノーマルモデルはグリップ力ではやや劣りますが、路面が綺麗なところでは走行音が非常に静かで、転がり抵抗の少なさを感じます。F1のようにサーキットの滑らかな舗装で走る場合は、こちらのほうがよりスピードに乗っていける、そんな車のピレリタイヤを思わせる乗り味ですね。
村山:ノーマルモデルはコーナ―を曲がるときに少しリアタイヤを流すような感覚で曲がっていくと、しっかりと狙ったラインをトレースしていけます。空気圧は最初6気圧で乗っていたのですが、それだと少し突き上げ感が来るので、5.6気圧にすると快適に乗ることが出来ました。規定空気圧の上限と下限が狭いのですが、そこはベストポジションへ探りを入れる必要がありますね。他のタイヤと同じように、7気圧ほど入れてしまうとバイクが跳ねてしまう感覚がありました。
御園井:空気圧による乗り心地の差は感じましたね。規定空気圧の幅が狭いわけだけども、それに従うことでメーカーが狙った乗り心地を実現できるように思います。その中でも下限値(6気圧)付近がグリップ力と転がり抵抗、快適性が両立できていいと思います。ロードタイヤの空気って目一杯入れたくなってしまいがちですが、そこは抑えてみると心地よい乗り心地になりますね。
また、このP ZERO VELOはバイクや車のタイヤと同じく、コーナリング時の接地面積にも着目して作られていますね。今までの自転車タイヤにはあまりない発想で、そこはモータースポーツで活躍するピレリの経験とテクノロジーが投入されたこの製品の大きな特徴ではないでしょうか。
村山:新しいテクノロジーというのは、我々自転車乗りにとっては使い慣れないものになりますので、どこまで攻めた使い方ができる等は今後多くのライダーが乗り込んで分かっていくことでしょう。4Sの方はトレッドに粘り気があったので、ノーマルモデルよりはコーナーも切り込んでいけると思います。全体的な乗り味は、グリップのさせ方といい、空気圧を落とした時の転がり方といいチューブレスタイヤに近い感覚の製品だと感じました。
御園井:今回は途中から雨が降ってきたので、ウェットコンディションでも試すことができましたが、スリップしやすいなどもなく怖さを感じることはありませんでした。初回品としてはよく出来ていると思います。
村山:個人的に非常に気に入った4Sモデルは、自分の中のタイヤランキングトップ3に入る出来栄えですね。ただ、さらに良し悪しを決めるとしたらタイヤの寿命ですかね。どのくらい性能が維持できるのかは実際に何千kmと乗り込んでみないと分からなく、気になるところですね。
御園井:ピレリのタイヤというと車のイメージから言えば、表面がつるつるになってもまだ性能を発揮するくらいの印象がありますね。そういった部分からも、コンパウンドの持ちは期待はできるのではないでしょうか。トレーニングからレース出場までこのタイヤ1本で幅広くカバーしてくれる、そんな製品になると思います。今までのタイヤメーカーとは違う特色もあり、気になる方は使用してみる価値は十分にあるでしょう。
村山:ピレリというとザ・ヨーロッパタイヤというブランドイメージもありますし、特にイタリアンバイクとはルックスでもマッチすることと思います。バイク全体のプレミア感や高級感も増すような役割も果たしてくれるのではないでしょうか。その上で走行性能も申し分ないハイレベルなものなので、ぜひ一度使ってみて欲しいですね。
ピレリ P ZERO VELO
タイヤタイプ:クリンチャー
サイズ:700×23c、25c、28c
重 量:195g/23c、210g/25c、230g/28c
価 格:6,900円(税抜、23c&25c)
7,300円(税抜、28c)
ピレリ P ZERO VELO 4S
タイヤタイプ:クリンチャー
サイズ:700×23c、25c、28c
重 量:205g/23c、220g/25c、250g/28c
価 格:7,700円(税抜、23c&25c)
8,000円(税抜、28c)
ピレリ P ZERO VELO TT
タイヤタイプ:クリンチャー
サイズ:700×23c
重 量:165g/23c
価 格:6,900円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
御園井智三郎(ミソノイサイクル)
今年で創業120周年を迎えた、国内はもとより世界的にも最古参クラスの歴史を誇り、静岡県浜松市内に3店舗を構えるミソノイサイクルの5代目代表を務める。海外メーカー及び国内代理店と強い繋がりを持ち、ロードレーサーから実用車まで、あらゆるジャンルの機材で、新旧を問わない豊富な知識を持つ。また、かつてはトップアマとして国内レースで活躍した経験も。現在は地元浜松市と共に、走行環境の整備やイベントの企画・運営を行い、スポーツサイクルの更なる普及に注力している。
CWレコメンドショップページ
ミソノイサイクル HP
村山智樹(ZING² FUKUOKA-IWAI)
福岡市は天神地区に店舗を構えるZING² FUKUOKA-IWAIにて、セールス&メカニックやトライアスロンアドバイザーを担当する。モータースポーツを趣味にするほどの機械いじり好きが高じて自転車業界へ。自身は各地で行われるトライアスロンのレース会場へも、メカニックとして出向くほどTTバイクの扱いを得意とする。お客さんに向けたトライアスロン教室も行い、普段からトライアスロンのレース参加に向けたトレーニングとして自転車を嗜む。トライアスリートらしく愛車はサーヴェロのP3。
CWレコメンドショップページ
ZING² FUKUOKA-IWAI HP
ウェア協力:カステリ
ヘルメット協力:カブト
text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO
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