2017/07/19(水) - 09:14
ジロのヘルメットラインアップに、17年モデルから追加された新規モデルの「CINDER MIPS」をインプレッション。同社ハイエンドモデルの「SYNTHE」をベースに開発されたシェル形状と、安全性を高めるMIPSを備えつつ価格を抑えたバリューモデルを紹介しよう。
ジロ CINDER MIPS (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
近年はシューズの開発にも力を入れつつ、ヘルメットの王道ブランドとしてプロトンには欠かせない存在のジロ。1985年にデザイナーである創業者ジム・ジェンテスによって発足し、30年以上の歴史を持つ。過去にはグレッグ・レモンやランス・アームストロングといった選手もジロのヘルメットを着用し、現在もBMCレーシングやカチューシャ・アルペシンを始めとするプロチームをサポートするブランドである。
今回インプレッションを行った「CINDER MIPS」は、高い空力性能と通気性、ハイセンスなデザインを兼ね備えた同社のハイエンドモデル「SYNTHE」をベースに開発されたミドルグレードヘルメット。丸みを帯びたセミエアロなシェル形状は受け継ぎつつ、サングラスホルダーを備えたメッシュパネル等は採用されずコストダウンが図られている。
丸みを帯びたセミエアロなフォルム
SYNTHE(右奥)と比較しても似通ったルックスを獲得している
上位モデルと同じく、丈夫なポリカーボネート製アウターシェルと、衝撃吸収を担うEPSフォーム製インナーシェルを融着した「In-Mold」構造を採用。EPSフォームの内部には、網状の補強ロールゲージを配置し、衝撃を受けた際のシェルの飛び散りを防止。各種の安全規格に適合する優れたプロテクション性能を実現している。
シェル形状はSYNTHEを踏襲しているとあって、風洞実験によって証明された高いエアロ性能はそのままに、加えて26個ものベンチレーションホールとシェル内部のチャネリングにより、効率的なクーリング性能も獲得している。見た目のデザインもSYNTHEと瓜二つで、ミドルグレードらしさを感じさせないルックスとなっているのも特長だ。
内側には安全性を高めるシート状のMIPSが配される
シェル横側にはMIPSのシールが貼られる
抗菌性も高いX-STATIC製のAir-FXパッドを採用
片手でダイヤルの締め付けや上下の高さを調節できるRoc Loc 5システム
製品名の通り、安全性を高めるテクノロジー「MIPS」も搭載されたCINDER。シェル内部のシートがフロートし衝撃をいなすことで、万が一の際に頭部が受けるダメージの低減を図っている。シートには穴あけ加工が施されており、通気性やエアロ性能への配慮も怠ってはいない。その上で、重量はSYNTHEからわずか20g増に抑えた270g(Mサイズ)をマークしている。
フィッティングシステムは同社軽量モデルのAEONと共通で、軽量性と片手で調整可能なダイヤルが特徴的な「Roc Loc 5」を採用。シェル後頭部とRoc Loc 5の間には束ねた髪を通すことができ、髪の長い女性ライダーでも快適に着用することができる。パッドは、銀の特性を利用した抗菌素材「X-STATIC」製だ。5種類のカラーで展開され、サイズはM(55~59cm)とL(59~63cm)が揃う。
ー インプレッション
「上位グレードに見劣りしないルックスや高い性能、MIPSも加わりスキがないバリューモデル」三宅尚徳(カミハギサイクル 緑店)
被った第一印象としては、全体的にフィットする感覚があり、どこか当たって痛いこともなかったので日本人の頭に合う形状だと感じましたね。ブランドによっては欧米人の頭の形に合わせて幅の狭い形状の製品もあり、こめかみが圧迫されるものもあるのですが、このCINDERはそういったことは全くありませんでした。アジアンフィットではない展開ですが、購入の際に気にする必要はないでしょう。
「上位グレードに見劣りしないルックスや高い性能、MIPSも加わりスキがないバリューモデル」三宅尚徳(カミハギサイクル 緑店)
上位モデルのSYNTHEをベースとしているだけあって、被り心地のフィーリングはよく似ていますし、シェル形状もエアロを感じさせるもので、一つ下のグレードと言えどルックスは見劣りしません。SYNTHEよりもシェルのベンチレーションホールは細かく空いており、走行時の風抜けは良かったですね。テスト時は気温も30度近くありましたが、頭に涼しさを感じる通気性を感じることができました。
レースシーンでシビアなエアロ性能を求めるのであれば、風洞実験で研究を重ねたSYNTHEの方が良いかもしれませんが、重量もそこまで差はありませんし一般的なライダーならCINDERで不満に思うことはないでしょう。元からSYNTHEを使っていた人でも、似たルックスと被り心地からCINDERをサブのヘルメットや買い替えで選択するのも十分ありだと思いますね。
あとは何よりこの価格でMIPSを装備しているのが大きな魅力です。MIPS部分を手で触ってみたときに、しっかりと動くことが確認できますし、衝撃をいなしてくれるのはまず間違いないでしょう。MIPSがあることで被ったときに不快感やズレるような感覚があるといったことはありません。ショップとしても安全性を高めるMIPSは強く推したいところですし、落車の危険性が高いクリテリウム等のレースではぜひMIPS付きのヘルメットを着用して欲しいですね。
ジロ CINDER MIPS (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
MIPSが内側に付いているせいなのか、個人的には若干被りが浅いと感じた部分ではありますが、気になるようなら試着してみると良いと思います。MIPSを装備したモデルはまだまだ各社ハイエンドが多い中、性能や見た目を考慮してもコストパフォーマンスは非常に高いですね。万人におすすめできるヘルメットです。
ジロ CINDER MIPS
シェル:In-Mold polycarbonate Shell with EPS liner/Thermoformed SL Roll Cage reinforcement
ベンチレーションホ-ル:26
フィッティングシステム:Roc Loc 5
サイズ:M(55~59cm)、L(59~63cm)
重 量:270g(Mサイズ)
カラー:Matte Black / Charcoal、Matte White / Silver、Matte Titanium、Matte Black / Bright Red、Highlight Yellow
価 格:22,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
三宅尚徳(カミハギサイクル 緑店) 三宅尚徳(カミハギサイクル 緑店)
名古屋市緑区にあるカミハギサイクル 緑店店長。お店はロードバイク始め、クロスバイクやトライアスロンバイクとオンロードに重きを置いて展開。ショップスタッフとして10年以上の経歴になり、長年フィッティングを担当していた経験を元に、お客さんにマッチしたバイク選びやセッティングのアドバイスを提供している。ポタリングやツーリングを好み、よりエントリー層に近い目線での接客を心がける。
CWレコメンドショップページ
ショップHP
アイウェア協力:ボレー
text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO
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近年はシューズの開発にも力を入れつつ、ヘルメットの王道ブランドとしてプロトンには欠かせない存在のジロ。1985年にデザイナーである創業者ジム・ジェンテスによって発足し、30年以上の歴史を持つ。過去にはグレッグ・レモンやランス・アームストロングといった選手もジロのヘルメットを着用し、現在もBMCレーシングやカチューシャ・アルペシンを始めとするプロチームをサポートするブランドである。
今回インプレッションを行った「CINDER MIPS」は、高い空力性能と通気性、ハイセンスなデザインを兼ね備えた同社のハイエンドモデル「SYNTHE」をベースに開発されたミドルグレードヘルメット。丸みを帯びたセミエアロなシェル形状は受け継ぎつつ、サングラスホルダーを備えたメッシュパネル等は採用されずコストダウンが図られている。
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上位モデルと同じく、丈夫なポリカーボネート製アウターシェルと、衝撃吸収を担うEPSフォーム製インナーシェルを融着した「In-Mold」構造を採用。EPSフォームの内部には、網状の補強ロールゲージを配置し、衝撃を受けた際のシェルの飛び散りを防止。各種の安全規格に適合する優れたプロテクション性能を実現している。
シェル形状はSYNTHEを踏襲しているとあって、風洞実験によって証明された高いエアロ性能はそのままに、加えて26個ものベンチレーションホールとシェル内部のチャネリングにより、効率的なクーリング性能も獲得している。見た目のデザインもSYNTHEと瓜二つで、ミドルグレードらしさを感じさせないルックスとなっているのも特長だ。
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フィッティングシステムは同社軽量モデルのAEONと共通で、軽量性と片手で調整可能なダイヤルが特徴的な「Roc Loc 5」を採用。シェル後頭部とRoc Loc 5の間には束ねた髪を通すことができ、髪の長い女性ライダーでも快適に着用することができる。パッドは、銀の特性を利用した抗菌素材「X-STATIC」製だ。5種類のカラーで展開され、サイズはM(55~59cm)とL(59~63cm)が揃う。
ー インプレッション
「上位グレードに見劣りしないルックスや高い性能、MIPSも加わりスキがないバリューモデル」三宅尚徳(カミハギサイクル 緑店)
被った第一印象としては、全体的にフィットする感覚があり、どこか当たって痛いこともなかったので日本人の頭に合う形状だと感じましたね。ブランドによっては欧米人の頭の形に合わせて幅の狭い形状の製品もあり、こめかみが圧迫されるものもあるのですが、このCINDERはそういったことは全くありませんでした。アジアンフィットではない展開ですが、購入の際に気にする必要はないでしょう。
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上位モデルのSYNTHEをベースとしているだけあって、被り心地のフィーリングはよく似ていますし、シェル形状もエアロを感じさせるもので、一つ下のグレードと言えどルックスは見劣りしません。SYNTHEよりもシェルのベンチレーションホールは細かく空いており、走行時の風抜けは良かったですね。テスト時は気温も30度近くありましたが、頭に涼しさを感じる通気性を感じることができました。
レースシーンでシビアなエアロ性能を求めるのであれば、風洞実験で研究を重ねたSYNTHEの方が良いかもしれませんが、重量もそこまで差はありませんし一般的なライダーならCINDERで不満に思うことはないでしょう。元からSYNTHEを使っていた人でも、似たルックスと被り心地からCINDERをサブのヘルメットや買い替えで選択するのも十分ありだと思いますね。
あとは何よりこの価格でMIPSを装備しているのが大きな魅力です。MIPS部分を手で触ってみたときに、しっかりと動くことが確認できますし、衝撃をいなしてくれるのはまず間違いないでしょう。MIPSがあることで被ったときに不快感やズレるような感覚があるといったことはありません。ショップとしても安全性を高めるMIPSは強く推したいところですし、落車の危険性が高いクリテリウム等のレースではぜひMIPS付きのヘルメットを着用して欲しいですね。
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MIPSが内側に付いているせいなのか、個人的には若干被りが浅いと感じた部分ではありますが、気になるようなら試着してみると良いと思います。MIPSを装備したモデルはまだまだ各社ハイエンドが多い中、性能や見た目を考慮してもコストパフォーマンスは非常に高いですね。万人におすすめできるヘルメットです。
ジロ CINDER MIPS
シェル:In-Mold polycarbonate Shell with EPS liner/Thermoformed SL Roll Cage reinforcement
ベンチレーションホ-ル:26
フィッティングシステム:Roc Loc 5
サイズ:M(55~59cm)、L(59~63cm)
重 量:270g(Mサイズ)
カラー:Matte Black / Charcoal、Matte White / Silver、Matte Titanium、Matte Black / Bright Red、Highlight Yellow
価 格:22,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
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名古屋市緑区にあるカミハギサイクル 緑店店長。お店はロードバイク始め、クロスバイクやトライアスロンバイクとオンロードに重きを置いて展開。ショップスタッフとして10年以上の経歴になり、長年フィッティングを担当していた経験を元に、お客さんにマッチしたバイク選びやセッティングのアドバイスを提供している。ポタリングやツーリングを好み、よりエントリー層に近い目線での接客を心がける。
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photo:Makoto.AYANO
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