2017/07/16(日) - 15:45
2年前にヴァンアーヴェルマートがサガンを下したロデーズの登りで、マシューズがヴァンアーヴェルマートを下した。刺激的なフィナーレを経てマイヨジョーヌも交代。新城幸也にも大きな声援が飛んだ。ツール・ド・フランス第14ステージを振り返ります。
遠くにピレネー山脈を眺めるオクシタニー地域圏(かつてのミディ=ピレネー地域圏)のトゥールーズ郊外にあるブラニャックが第14ステージのスタート地点。フランス第4の都市であるトゥールーズの空港が置かれており、エアバス社の本拠地として世界的に知られている。この日はニュートラル区間でエアバス社の倉庫&工場前を通過。並べられたA350やA330、A320を横目にしばらく進んだところで、赤いディレクターカーに乗るクリスティアン・プリュドム氏がスタートを告げるフラッグを振った。
これまでブラニャック近郊を走ったことのある日本人選手は多いはず。浅田顕氏が近くに合宿所を構えているためで、新城幸也がフランスに渡った際に所属したのもブラニャックのクラブチームだった。この日は、ブラニャックから40kmほど南に住み、現在フランスに拠点を置いて活動している渡邊歩も会場に駆けつけている。
新城は地元クラブチームからトップチームに上り詰めたスター選手の一人であり、出走サイン台では地元出身選手として紹介されて声援を受けた。かつて所属していたチームのジャージを着る子供たちが羨望の眼差しで新城を見つめ、緊張しながらセルフィーやサインをお願いしているのが印象的だった。
2年前にヴァンアーヴェルマートがサガンとの接戦スプリントで勝利しているロデーズの登り。中央山塊(マシフサントラル)のうねるように続く丘の上に位置するロデーズの街中に向かって、10%弱の勾配が600m弱にわたって続く。先に仕掛けたベルギートリオに落ち着いて反応し、勾配が緩みつつある残り150mで加速したマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)が最速だった。
下ハンドルを握ってスプリントしたのはステージ1位マシューズと2位ヴァンアーヴェルマートだけ。マシューズ平均勾配9.6%の登りを平均27.3km/hで駆け上がっている。参考にならないかもしれないがVAM(平均登坂速度)は約2,700m。
サンウェブがステージ2連勝。マシューズはマイヨヴェールを諦めていないが、マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)との差はまだ99ポイントある。平坦ステージでは1位に50ポイントが与えられるのに対し、マシューズが勝利を狙える丘陵ステージは1位に30ポイントしか与えられない。マシューズは引き続きスプリントポイントでポイント獲得を狙うことを宣言しているが、仮にキッテルがあとステージ1勝することがあればマイヨヴェールは実質的に手が届かなくなる。
ロデーズの登りスプリントに向けてポジション争いが激しさを増した残り7kmから残り1kmにかけて、各選手のSTRAVAデータを総合すると、メイン集団は平均スピード62km/h・最高スピード88km/hという猛烈なスピードで走っている。人数を揃えたチームスカイが集団前方をキープしたのに対し、マイヨジョーヌを守る立場のアスタナはポジションを失ってしまった。ミカエル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)がマイヨジョーヌをアシストしていたものの、気づけばファビオ・アル(イタリア、アスタナ)が千切れていたという。
アルは登坂力がモノを言う山岳ステージではライバルに対抗できたが、スプリンターも絡む下り基調のハイスピードな集団内では話が別だった。集団牽引を終えて後ろに下がったヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)がアルが集団後方にいること確認してチームメイトにそのことを無線で伝え、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がフルームを集団先頭へエスコート。おそらく600mの登坂タイムだけを比較するとフルームとアルの間に大きな差はないが、位置取りの差がマイヨジョーヌ交代につながったと言える。登りだけではなくスピード勝負でもリードを奪える万能チームであることをチームスカイは改めて知らしめた。
1992年以来初となるフランスの5つの山脈or山塊が組み込まれた今年のツール。ヴォージュ山脈、ジュラ山脈、ピレネー山脈を経て現在選手たちが走っているのが中央山塊。第15ステージはそれほど難易度が高くないように見えるが、注目度の高い日曜日にわざわざ単調なステージを持ってこない。序盤の1級山岳ラ・モンテー・ナーヴ・ドブラック(全長8.9km/平均6.4%)では総合も絡むアタックがかかるだろうし、残り31.5km地点の1級山岳ペイラタイヤード峠(全長8.3km/平均7.4%)やその後の4級山岳を含むアップダウンもアタックの場となる。フルームが「1秒も無駄にできない」とコメントするほど僅差のマイヨジョーヌが再び動くはずだ。
遠くにピレネー山脈を眺めるオクシタニー地域圏(かつてのミディ=ピレネー地域圏)のトゥールーズ郊外にあるブラニャックが第14ステージのスタート地点。フランス第4の都市であるトゥールーズの空港が置かれており、エアバス社の本拠地として世界的に知られている。この日はニュートラル区間でエアバス社の倉庫&工場前を通過。並べられたA350やA330、A320を横目にしばらく進んだところで、赤いディレクターカーに乗るクリスティアン・プリュドム氏がスタートを告げるフラッグを振った。
これまでブラニャック近郊を走ったことのある日本人選手は多いはず。浅田顕氏が近くに合宿所を構えているためで、新城幸也がフランスに渡った際に所属したのもブラニャックのクラブチームだった。この日は、ブラニャックから40kmほど南に住み、現在フランスに拠点を置いて活動している渡邊歩も会場に駆けつけている。
新城は地元クラブチームからトップチームに上り詰めたスター選手の一人であり、出走サイン台では地元出身選手として紹介されて声援を受けた。かつて所属していたチームのジャージを着る子供たちが羨望の眼差しで新城を見つめ、緊張しながらセルフィーやサインをお願いしているのが印象的だった。
2年前にヴァンアーヴェルマートがサガンとの接戦スプリントで勝利しているロデーズの登り。中央山塊(マシフサントラル)のうねるように続く丘の上に位置するロデーズの街中に向かって、10%弱の勾配が600m弱にわたって続く。先に仕掛けたベルギートリオに落ち着いて反応し、勾配が緩みつつある残り150mで加速したマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)が最速だった。
下ハンドルを握ってスプリントしたのはステージ1位マシューズと2位ヴァンアーヴェルマートだけ。マシューズ平均勾配9.6%の登りを平均27.3km/hで駆け上がっている。参考にならないかもしれないがVAM(平均登坂速度)は約2,700m。
サンウェブがステージ2連勝。マシューズはマイヨヴェールを諦めていないが、マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)との差はまだ99ポイントある。平坦ステージでは1位に50ポイントが与えられるのに対し、マシューズが勝利を狙える丘陵ステージは1位に30ポイントしか与えられない。マシューズは引き続きスプリントポイントでポイント獲得を狙うことを宣言しているが、仮にキッテルがあとステージ1勝することがあればマイヨヴェールは実質的に手が届かなくなる。
ロデーズの登りスプリントに向けてポジション争いが激しさを増した残り7kmから残り1kmにかけて、各選手のSTRAVAデータを総合すると、メイン集団は平均スピード62km/h・最高スピード88km/hという猛烈なスピードで走っている。人数を揃えたチームスカイが集団前方をキープしたのに対し、マイヨジョーヌを守る立場のアスタナはポジションを失ってしまった。ミカエル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)がマイヨジョーヌをアシストしていたものの、気づけばファビオ・アル(イタリア、アスタナ)が千切れていたという。
アルは登坂力がモノを言う山岳ステージではライバルに対抗できたが、スプリンターも絡む下り基調のハイスピードな集団内では話が別だった。集団牽引を終えて後ろに下がったヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)がアルが集団後方にいること確認してチームメイトにそのことを無線で伝え、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がフルームを集団先頭へエスコート。おそらく600mの登坂タイムだけを比較するとフルームとアルの間に大きな差はないが、位置取りの差がマイヨジョーヌ交代につながったと言える。登りだけではなくスピード勝負でもリードを奪える万能チームであることをチームスカイは改めて知らしめた。
1992年以来初となるフランスの5つの山脈or山塊が組み込まれた今年のツール。ヴォージュ山脈、ジュラ山脈、ピレネー山脈を経て現在選手たちが走っているのが中央山塊。第15ステージはそれほど難易度が高くないように見えるが、注目度の高い日曜日にわざわざ単調なステージを持ってこない。序盤の1級山岳ラ・モンテー・ナーヴ・ドブラック(全長8.9km/平均6.4%)では総合も絡むアタックがかかるだろうし、残り31.5km地点の1級山岳ペイラタイヤード峠(全長8.3km/平均7.4%)やその後の4級山岳を含むアップダウンもアタックの場となる。フルームが「1秒も無駄にできない」とコメントするほど僅差のマイヨジョーヌが再び動くはずだ。
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