2017/07/09(日) - 10:50
「総攻撃を仕掛ける作戦が実を結んだ。自分は総合成績ではなく、パナッシュな走りで勝利を狙う選手」とは、初のツール出場でステージ優勝を挙げたリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)。その他逃げメンバーや明日を見据える総合勢、不調に苦しんだアルノー・デマール(フランス、エフデジ)らのコメントを紹介します。
リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)
みんながショーを楽しんでくれたと願っている。チームとして総攻撃を仕掛ける作戦が実を結んだ。ヘーシンクが後ろに迫っているのが分かっていたので、残り4〜6kmで脚が攣ったときはどうなるかと思った。でも過去のツール・ド・ランで同じ経験があるのでどう対処すればいいかわかっていた。フィニッシュラインを切ったときは心底ホッとしたよ
UCIワールドツアーポイントや総合成績を狙うのではなく、自分はパナッシュな(観客を魅了する刺激的な)走りで攻めるタイプの選手。ベルナール・イノーのような総合系選手じゃない。これがツール初勝利で、これからのどんな選手になっていくのかを話すにはまだ時期が早いと思う。明日は山岳ポイントを荒稼ぎできる1日なので、マイヨアポワを手放すことになると思うけど、また取り返したいと思う。
ステージ2位、ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
タフな1日だった。逃げが決まるまで時間がかかった。最後の登りでは差を縮めるべく仕掛けて、パウエルスとロッシュを追い抜くことはできたものの、カルメジャーヌには届かなかった。脚がいっぱいになってしまって、リカバリーを試みたけれど2位に終わってしまった。
コンディション自体は良くて、プランとしてはTTのように一定ペースで追い上げる作戦だったものの上手くいかなかった。けれど、これからステージ優勝のチャンスはたくさんあって、今日はその一つを取りこぼしたに過ぎない。ジュラ山脈は自分には厳しすぎるので明日は様子を見て、その次を狙っていく。
逃げに乗ったニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)
作戦としてはヴァンアーヴェルマートを、クライマーが少ない逃げ集団に乗せることが目標だった。上手く運べばそのまま逃げ切り勝利のチャンスにも繋がるだろうと考えた。けれど狂ったような展開になって、45名が逃げることに。
逃げ切りを逃したドーフィネの展開には持ち込みたくなかったので、BMCとして複数名を乗せ、そこからの展開に対応しようとしたんだ。一瞬遅れを取ってしまったので、ドーフィネの教訓からブリッジするのではなく、淡々とペースを上げて付いてくる選手を振り落としながら先を急いだ。持てる力の全てを尽くしてプッシュし続けたし、自分自身には「あと2週間も残ってるなんて考えるな。明日のことは明日か今日の夜に考えれば良いんだ」と言い聞かせ続けていたよ。
メイン集団の頭を獲ったギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)
強豪勢の守備的な走りをうまく利用できた。メイン集団に残りステージ3位という結果は、スカイやBMCと言ったトップチームよりも少ない予算でやりくりしているワンティ・グループゴベールにとって素晴らしいこと。チームは自分たちのやり方で確実に進歩しているし、スマートな走り方ができていると思う。チーム内の雰囲気も良いし、逃げにどんどんトライしようという意識になっているんだ。そこに良いパフォーマンスが付いてきている。
個人的に今日は大きなリードを稼いで総合順位を上げようと試みた。3位とはなったものの、結果には非常に満足しているよ。監督のヴァンデルシュエレンの指示はいつだって的確で、アタックのために守るべきところで守り、攻撃する時に攻撃するよう伝えてくれる。彼の豊かなグランツール経験はとても役に立ってくれるんだ。
グランデパールから全てのメンバーが自分たちの成績に満足している。チームとしての威信を逃げることで見せ続けているし、敢闘賞は2回、リエージュではチーム敢闘賞も取れた。僕にとっては初めてのツールだけど、この調子を維持していきたい。
マイヨジョーヌを守ったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)
とても厳しいステージだったけれど、大きくふるい分けが行われる明日のステージを考えながら走っていた。戦略的にも面白い1日で、チームスカイとしてはエナオとランダを逃げに送り込み、彼らの総合順位を上げることを考えていた。中でもピエール・ラトゥールやマティアス・フランクにマイヨジョーヌを着用させたいアージェードゥーゼールが積極的で、マイヨジョーヌを手放すわけにはいかないのでチームスカイはペースを落とさずに追走した。
下りコーナーのオーバーランは一瞬で事態が急変するということを思い出させてくれたよ。明日は今大会を決定しうる厳しいレースが繰り広げられることになるだろう。モン・デュ・シャを超えてからシャンベリーへと降りるダウンヒルはトリッキーだし、そこかしこでアタックが掛かり得るはず。チームスカイはアグレッシブなレースに準備万端だ。
メイン集団でフィニッシュしたアルベルト・コンタドール(スペイン、トレックセガフレード)
総合勢はフィニッシュラインが山頂から12kmも先にある明日のことを考えているため、今日は差をつけることは難しかった。自分の調子は悪くはなかったが、明日はどうなっているかわからない。明日はクイーンステージとなるだろう。今日はパンタノがサポートしてくれたため、無事に終えることができたが、明日のためにリカバリーをしっかりしなければならない。
翌日を見据えた走りのナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
これまでのところ全てがうまくいっている。ツールのレースペースにはステージごとに慣れてきたと感じているし、この脚が良い状態が続くことを願っているよ。特に明日のセレクションは厳しいものとなるはずだ。ライバルたちのやり方に応じたプランを練っており、戦略に重点を置いた戦い方をするつもりだ。
マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)
今日たった一つの目標が、中間スプリントを獲ること。序盤からものすごくペースが速く、なんとか食らいついていたんだ。そこからのスプリントは自分のキャリアの中でも最もキツいスプリントの一つ。身体中の痛みに耐えて2位に終わったけれど、できる限り加点できたのでマイヨヴェール争いを考えれば良い1日だった。
体調を崩し、37分遅れでフィニッシュしたアルノー・デマール(フランス、エフデジ)
二人の守護神、ミカエル・ドラージュとイグナタス・コノヴァロヴァスには感謝してもしきれない。数日前から回復できない症状に悩まされていて、グリコーゲンを貯めることができていないように思う。病気ではないけれど、恐ろしい状態だ。もう一度僕を守ってくれた二人に感謝を。今日彼らは責務ではなく、深い愛で僕を助けてくれた。明日は早い段階でグルペットが形成されるだろう。
序盤にエスケープを試みた新城幸也(バーレーン・メリダ)
チームから「逃げに乗っていい」と許可が出たので、狙って動き序盤に数人で抜け出したが、集団に引き戻された。そんな動きが長々と50kmくらい続き、スプリントポイント前の登りでコルブレッリの位置取りしていたけれど、ペースが速すぎ!気が付けば集団の最後尾になっていたので、今日は自分にチャンスがある日ではないと割り切って、ボトル運んだりして過ごした。
ツールでは時折こんな日がやってくる、なぜかペースが落ちない。逃げが決まらないから。100km地点で集団ができて、ゴールまでは長かったが人数が多かったのと、その時点で平均速度が43km/hだったので、 制限時間には余裕があった。 明日は1週目を締めくくるきついコース。 今日みたいな展開だと、大変な1日になると覚悟しておこう。(チームユキヤ通信より)
text:So.Isobe
リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)
みんながショーを楽しんでくれたと願っている。チームとして総攻撃を仕掛ける作戦が実を結んだ。ヘーシンクが後ろに迫っているのが分かっていたので、残り4〜6kmで脚が攣ったときはどうなるかと思った。でも過去のツール・ド・ランで同じ経験があるのでどう対処すればいいかわかっていた。フィニッシュラインを切ったときは心底ホッとしたよ
UCIワールドツアーポイントや総合成績を狙うのではなく、自分はパナッシュな(観客を魅了する刺激的な)走りで攻めるタイプの選手。ベルナール・イノーのような総合系選手じゃない。これがツール初勝利で、これからのどんな選手になっていくのかを話すにはまだ時期が早いと思う。明日は山岳ポイントを荒稼ぎできる1日なので、マイヨアポワを手放すことになると思うけど、また取り返したいと思う。
ステージ2位、ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
タフな1日だった。逃げが決まるまで時間がかかった。最後の登りでは差を縮めるべく仕掛けて、パウエルスとロッシュを追い抜くことはできたものの、カルメジャーヌには届かなかった。脚がいっぱいになってしまって、リカバリーを試みたけれど2位に終わってしまった。
コンディション自体は良くて、プランとしてはTTのように一定ペースで追い上げる作戦だったものの上手くいかなかった。けれど、これからステージ優勝のチャンスはたくさんあって、今日はその一つを取りこぼしたに過ぎない。ジュラ山脈は自分には厳しすぎるので明日は様子を見て、その次を狙っていく。
逃げに乗ったニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)
作戦としてはヴァンアーヴェルマートを、クライマーが少ない逃げ集団に乗せることが目標だった。上手く運べばそのまま逃げ切り勝利のチャンスにも繋がるだろうと考えた。けれど狂ったような展開になって、45名が逃げることに。
逃げ切りを逃したドーフィネの展開には持ち込みたくなかったので、BMCとして複数名を乗せ、そこからの展開に対応しようとしたんだ。一瞬遅れを取ってしまったので、ドーフィネの教訓からブリッジするのではなく、淡々とペースを上げて付いてくる選手を振り落としながら先を急いだ。持てる力の全てを尽くしてプッシュし続けたし、自分自身には「あと2週間も残ってるなんて考えるな。明日のことは明日か今日の夜に考えれば良いんだ」と言い聞かせ続けていたよ。
メイン集団の頭を獲ったギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)
強豪勢の守備的な走りをうまく利用できた。メイン集団に残りステージ3位という結果は、スカイやBMCと言ったトップチームよりも少ない予算でやりくりしているワンティ・グループゴベールにとって素晴らしいこと。チームは自分たちのやり方で確実に進歩しているし、スマートな走り方ができていると思う。チーム内の雰囲気も良いし、逃げにどんどんトライしようという意識になっているんだ。そこに良いパフォーマンスが付いてきている。
個人的に今日は大きなリードを稼いで総合順位を上げようと試みた。3位とはなったものの、結果には非常に満足しているよ。監督のヴァンデルシュエレンの指示はいつだって的確で、アタックのために守るべきところで守り、攻撃する時に攻撃するよう伝えてくれる。彼の豊かなグランツール経験はとても役に立ってくれるんだ。
グランデパールから全てのメンバーが自分たちの成績に満足している。チームとしての威信を逃げることで見せ続けているし、敢闘賞は2回、リエージュではチーム敢闘賞も取れた。僕にとっては初めてのツールだけど、この調子を維持していきたい。
マイヨジョーヌを守ったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)
とても厳しいステージだったけれど、大きくふるい分けが行われる明日のステージを考えながら走っていた。戦略的にも面白い1日で、チームスカイとしてはエナオとランダを逃げに送り込み、彼らの総合順位を上げることを考えていた。中でもピエール・ラトゥールやマティアス・フランクにマイヨジョーヌを着用させたいアージェードゥーゼールが積極的で、マイヨジョーヌを手放すわけにはいかないのでチームスカイはペースを落とさずに追走した。
下りコーナーのオーバーランは一瞬で事態が急変するということを思い出させてくれたよ。明日は今大会を決定しうる厳しいレースが繰り広げられることになるだろう。モン・デュ・シャを超えてからシャンベリーへと降りるダウンヒルはトリッキーだし、そこかしこでアタックが掛かり得るはず。チームスカイはアグレッシブなレースに準備万端だ。
メイン集団でフィニッシュしたアルベルト・コンタドール(スペイン、トレックセガフレード)
総合勢はフィニッシュラインが山頂から12kmも先にある明日のことを考えているため、今日は差をつけることは難しかった。自分の調子は悪くはなかったが、明日はどうなっているかわからない。明日はクイーンステージとなるだろう。今日はパンタノがサポートしてくれたため、無事に終えることができたが、明日のためにリカバリーをしっかりしなければならない。
翌日を見据えた走りのナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
これまでのところ全てがうまくいっている。ツールのレースペースにはステージごとに慣れてきたと感じているし、この脚が良い状態が続くことを願っているよ。特に明日のセレクションは厳しいものとなるはずだ。ライバルたちのやり方に応じたプランを練っており、戦略に重点を置いた戦い方をするつもりだ。
マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)
今日たった一つの目標が、中間スプリントを獲ること。序盤からものすごくペースが速く、なんとか食らいついていたんだ。そこからのスプリントは自分のキャリアの中でも最もキツいスプリントの一つ。身体中の痛みに耐えて2位に終わったけれど、できる限り加点できたのでマイヨヴェール争いを考えれば良い1日だった。
体調を崩し、37分遅れでフィニッシュしたアルノー・デマール(フランス、エフデジ)
二人の守護神、ミカエル・ドラージュとイグナタス・コノヴァロヴァスには感謝してもしきれない。数日前から回復できない症状に悩まされていて、グリコーゲンを貯めることができていないように思う。病気ではないけれど、恐ろしい状態だ。もう一度僕を守ってくれた二人に感謝を。今日彼らは責務ではなく、深い愛で僕を助けてくれた。明日は早い段階でグルペットが形成されるだろう。
序盤にエスケープを試みた新城幸也(バーレーン・メリダ)
チームから「逃げに乗っていい」と許可が出たので、狙って動き序盤に数人で抜け出したが、集団に引き戻された。そんな動きが長々と50kmくらい続き、スプリントポイント前の登りでコルブレッリの位置取りしていたけれど、ペースが速すぎ!気が付けば集団の最後尾になっていたので、今日は自分にチャンスがある日ではないと割り切って、ボトル運んだりして過ごした。
ツールでは時折こんな日がやってくる、なぜかペースが落ちない。逃げが決まらないから。100km地点で集団ができて、ゴールまでは長かったが人数が多かったのと、その時点で平均速度が43km/hだったので、 制限時間には余裕があった。 明日は1週目を締めくくるきついコース。 今日みたいな展開だと、大変な1日になると覚悟しておこう。(チームユキヤ通信より)
text:So.Isobe
Amazon.co.jp