2017/07/09(日) - 02:24
ジュラ山脈を走るツール・ド・フランス第8ステージは前半からアタックの応酬に。逃げグループから抜け出した初出場の24歳リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)が独走勝利を飾った。
ドルの街をスタートし、ジュラ山脈に向かう photo:Tim de Waele / TDWsport
ツール・ド・フランス2017第8ステージ ©GEOATLAS
ツール・ド・フランス2017第8ステージ ©A.S.O.
スイス国境に近いジュラ山脈を走るツール第8ステージ。標高1,000mクラスの峠が断続的に登場し、レースが進むにつれてカテゴリー山岳の難易度は3級、2級、1級とレベルアップ。終盤の標高1,202mの1級山岳コンブ・ド・レジア=レ・モリュヌ(全長11.7km/平均6.4%)が最大の難所であり、その頂上から12km先に位置するレ・ルッス・スキー場にフィニッシュラインが引かれている。
逃げ切りが決まりやすいレイアウトだけにレース序盤のアタック合戦は熾烈を極めた。7年前にレ・ルッス・スキー場で逃げ切り勝利を飾ってマイヨジョーヌを手にしたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)やグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が果敢にアタックを仕掛けたが決まらない。
逃げが生まれないままスプリントポイント(45.5km地点)に到達したメイン集団では本格的なスプリントバトルが繰り広げられ、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)がマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)とマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)の前でアーチを通過している。
逃げグループを牽引するグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo:Tim de Waele / TDWsport
序盤から積極的に動いたトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:Tim de Waele / TDWsport
山岳ポイントを狙って動くワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) photo:Tim de Waele / TDWsport
メイン集団を徹底的にコントロールしたチームスカイ photo:Tim de Waele / TDWsport
その後もアタック合戦は続き、総合で危険な選手をチームスカイやBMCレーシングが吸収しながらメイン集団はハイスピードで進行。1時間半にわたってアタックと吸収を繰り返したメイン集団から75km地点で46名が抜け出し、そこからセレクションがかかって16名の先行が決まった。
ヤン・バークランツ(ベルギー、アージェードゥーゼール)やグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、ミカエル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)、セルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ)、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)、リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)を含む先頭グループが形成されたが、追走グループやメイン集団とのタイム差は広がらず。レース中盤の3級山岳コート・ド・ラジューでバルギルとパウェルスの2人が先行するも決まらない。
チームスカイがメイン集団を安定化させる中、先頭グループや追走グループ内では常にアタックと吸収が繰り返された。バルギル先頭で2級山岳コート・ド・ヴィリィを通過すると、やがてバークランツ、ヴァンアーヴェルマート、パウェルス、バルギル、カルメジャーヌ、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)、ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)、サイモン・クラーク(オーストラリア、キャノンデール・ドラパック)という8名がメイン集団から3分のリードで先行。ここにヴァルグレンが単独で追いつき、合計9名で最後の1級山岳コンブ・ド・レジア=レ・モリュヌに向かった。
フィニッシュまで45kmを残した下りコーナーでゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が落車し、マイヨジョーヌのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)がコースアウトしてあわや大怪我というシーンも。ライバルチームがペースダウンしたため両者は問題なくメイン集団に復帰している。
フィニッシュに向かって独走するリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー) photo:Tim de Waele / TDWsport
単独でカルメジャーヌを追走するロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
チームスカイを先頭にフィニッシュに向かうメイン集団 photo:Kei Tsuji / TDWsport
ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)の集団牽引によってタイム差が1分台に縮まる中、1級山岳コンブ・ド・レジア=レ・モリュヌの登りで先頭グループは人数を減らしていく。すると、頂上まで5kmを残してカルメジャーヌがアタック。ロッシュの追走も、続くヘーシンクの追走も15秒ほど届かず、カルメジャーヌが単独リードそ築いて最後の難所を越えた。
マイヨアポワ着用とステージ敢闘賞を決めるとともにステージ優勝に向かって独走を続けたカルメジャーヌだったが、脚の痙攣によって一気にペースを落としてしまう。止まってしまいそうなスピードでストレッチしながら残り5kmアーチを通過したカルメジャーヌ。単独2番手のヘーシンクとのタイム差は縮まったものの、その後ペースを取り戻したカルメジャーヌがリードをキープ。カルメジャーヌが先頭でレ・ルッス・スキー場に飛び込んだ。
「みんながショーを楽しんでくれたと願っている。チームとして総攻撃を仕掛ける作戦が実を結んだ。ヘーシンクが後ろに迫っているのが分かっていたので、残り4〜6kmで脚が攣ったときはどうなるかと思った。でも過去にも同じ経験があるのでどう対処すればいいかわかっていた。フィニッシュラインを切ったときは心底ホッとしたよ」。カルメジャーヌはフィニッシュ後に地面に倒れこんでストレッチした。
独走でフィニッシュに飛び込むリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー) photo:Tim de Waele / TDWsport
3位でフィニッシュするギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) photo:Tim de Waele / TDWsport
フィニッシュ後に地面に倒れこむリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー) photo:Tim de Waele / TDWsport
ステージ優勝を飾ったリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー) photo:Tim de Waele / TDWsport
マイヨジョーヌを守ったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele / TDWsport
2016年ブエルタ・ア・エスパーニャで同様に独走で山岳ステージを制した24歳が初出場のツールで独走勝利。1級山岳を先頭通過したことでマイヨアポワまで付いてきた。「UCIワールドツアーポイントや総合成績を狙うのではなく、自分はパナッシュな(観客を魅了する刺激的な)走りで攻めるタイプの選手。明日はマイヨアポワを手放すことになると思うけど、また取り返したいと思う」とカルメジャーヌは山岳賞を狙うことを宣言している。
マイヨジョーヌを含むメイン集団はチームスカイのコントロール下に置かれ、ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)らのアタックを封じ込めて50秒遅れでフィニッシュ。総合成績に変動は見られなかった。「今日はマイヨジョーヌを狙って多くの選手が攻めに出た。中でもピエール・ラトゥールやマティアス・フランクにマイヨジョーヌを着用させたいアージェードゥーゼールが積極的だった。マイヨジョーヌを手放すわけにはいかないのでチームスカイはペースを落とさずに追走した。今日のハードな展開は明日のレースに影響するはず。下りコーナーのオーバーランは一瞬で事態が急変するということを思い出させてくれたよ」と、マイヨジョーヌを守ったフルームは語っている。



スイス国境に近いジュラ山脈を走るツール第8ステージ。標高1,000mクラスの峠が断続的に登場し、レースが進むにつれてカテゴリー山岳の難易度は3級、2級、1級とレベルアップ。終盤の標高1,202mの1級山岳コンブ・ド・レジア=レ・モリュヌ(全長11.7km/平均6.4%)が最大の難所であり、その頂上から12km先に位置するレ・ルッス・スキー場にフィニッシュラインが引かれている。
逃げ切りが決まりやすいレイアウトだけにレース序盤のアタック合戦は熾烈を極めた。7年前にレ・ルッス・スキー場で逃げ切り勝利を飾ってマイヨジョーヌを手にしたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)やグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が果敢にアタックを仕掛けたが決まらない。
逃げが生まれないままスプリントポイント(45.5km地点)に到達したメイン集団では本格的なスプリントバトルが繰り広げられ、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)がマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)とマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)の前でアーチを通過している。




その後もアタック合戦は続き、総合で危険な選手をチームスカイやBMCレーシングが吸収しながらメイン集団はハイスピードで進行。1時間半にわたってアタックと吸収を繰り返したメイン集団から75km地点で46名が抜け出し、そこからセレクションがかかって16名の先行が決まった。
ヤン・バークランツ(ベルギー、アージェードゥーゼール)やグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、ミカエル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)、セルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ)、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)、リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)を含む先頭グループが形成されたが、追走グループやメイン集団とのタイム差は広がらず。レース中盤の3級山岳コート・ド・ラジューでバルギルとパウェルスの2人が先行するも決まらない。
チームスカイがメイン集団を安定化させる中、先頭グループや追走グループ内では常にアタックと吸収が繰り返された。バルギル先頭で2級山岳コート・ド・ヴィリィを通過すると、やがてバークランツ、ヴァンアーヴェルマート、パウェルス、バルギル、カルメジャーヌ、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)、ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)、サイモン・クラーク(オーストラリア、キャノンデール・ドラパック)という8名がメイン集団から3分のリードで先行。ここにヴァルグレンが単独で追いつき、合計9名で最後の1級山岳コンブ・ド・レジア=レ・モリュヌに向かった。
フィニッシュまで45kmを残した下りコーナーでゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が落車し、マイヨジョーヌのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)がコースアウトしてあわや大怪我というシーンも。ライバルチームがペースダウンしたため両者は問題なくメイン集団に復帰している。



ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)の集団牽引によってタイム差が1分台に縮まる中、1級山岳コンブ・ド・レジア=レ・モリュヌの登りで先頭グループは人数を減らしていく。すると、頂上まで5kmを残してカルメジャーヌがアタック。ロッシュの追走も、続くヘーシンクの追走も15秒ほど届かず、カルメジャーヌが単独リードそ築いて最後の難所を越えた。
マイヨアポワ着用とステージ敢闘賞を決めるとともにステージ優勝に向かって独走を続けたカルメジャーヌだったが、脚の痙攣によって一気にペースを落としてしまう。止まってしまいそうなスピードでストレッチしながら残り5kmアーチを通過したカルメジャーヌ。単独2番手のヘーシンクとのタイム差は縮まったものの、その後ペースを取り戻したカルメジャーヌがリードをキープ。カルメジャーヌが先頭でレ・ルッス・スキー場に飛び込んだ。
「みんながショーを楽しんでくれたと願っている。チームとして総攻撃を仕掛ける作戦が実を結んだ。ヘーシンクが後ろに迫っているのが分かっていたので、残り4〜6kmで脚が攣ったときはどうなるかと思った。でも過去にも同じ経験があるのでどう対処すればいいかわかっていた。フィニッシュラインを切ったときは心底ホッとしたよ」。カルメジャーヌはフィニッシュ後に地面に倒れこんでストレッチした。





2016年ブエルタ・ア・エスパーニャで同様に独走で山岳ステージを制した24歳が初出場のツールで独走勝利。1級山岳を先頭通過したことでマイヨアポワまで付いてきた。「UCIワールドツアーポイントや総合成績を狙うのではなく、自分はパナッシュな(観客を魅了する刺激的な)走りで攻めるタイプの選手。明日はマイヨアポワを手放すことになると思うけど、また取り返したいと思う」とカルメジャーヌは山岳賞を狙うことを宣言している。
マイヨジョーヌを含むメイン集団はチームスカイのコントロール下に置かれ、ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)らのアタックを封じ込めて50秒遅れでフィニッシュ。総合成績に変動は見られなかった。「今日はマイヨジョーヌを狙って多くの選手が攻めに出た。中でもピエール・ラトゥールやマティアス・フランクにマイヨジョーヌを着用させたいアージェードゥーゼールが積極的だった。マイヨジョーヌを手放すわけにはいかないのでチームスカイはペースを落とさずに追走した。今日のハードな展開は明日のレースに影響するはず。下りコーナーのオーバーランは一瞬で事態が急変するということを思い出させてくれたよ」と、マイヨジョーヌを守ったフルームは語っている。
H3
ツール・ド・フランス2017第8ステージ結果
ステージ成績
1位 | リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー) | 4:30:29 |
2位 | ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:37 |
3位 | ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) | 0:50 |
4位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) | |
5位 | ロマン・クロイツィゲル(チェコ、オリカ・スコット) | |
6位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | |
7位 | ミカエル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ) | |
8位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | ネイサン・ブラウン(アメリカ、キャノンデール・ドラパック) | |
10位 | ロメン・アルディ(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ) | |
143位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | 31:34 |
敢闘賞 | リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 28:47:51 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 0:12 |
3位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 0:14 |
4位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) | 0:25 |
5位 | リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) | 0:39 |
6位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 0:43 |
7位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:47 |
8位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | 0:52 |
9位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:54 |
10位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 1:01 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) | 212pts |
2位 | アルノー・デマール(フランス、エフデジ) | 182pts |
3位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 140pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー) | 11pts |
2位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 10pts |
3位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) | 8pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 33:19:53 |
2位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:24 |
3位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | 0:41 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 99:58:32 |
2位 | BMCレーシング | 1:59 |
3位 | アージェードゥーゼール | 3:21 |
フォトギャラリー
Amazon.co.jp