リエージュに続いてトロワでもマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)が最速だった。最高気温36度の暑さに見舞われたツール・ド・フランス第6ステージでジャーマンスプリンターが2勝目をマークしている。



スタートラインに並んだ4賞ジャージスタートラインに並んだ4賞ジャージ photo:Tim de Waele / TDWsport
ツール・ド・フランス2017第6ステージツール・ド・フランス2017第6ステージ ©GEOATLASツール・ド・フランス2017第6ステージツール・ド・フランス2017第6ステージ ©A.S.O.

今大会最初の山岳を終え、ツールは早々にヴォージュ山脈を後にする。次なるジュラ山脈まで移動する2日間は平坦で、第6ステージに設定された4級山岳は2つ。オーブ県のトロワに至る平坦な216kmコースはスプリンターのためのものだ。

ヴズールの街をスタートしてすぐ、メイン集団はヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)、ペリグ・ケムヌール(フランス、ディレクトエネルジー)、フレデリック・バカールト(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)の3名を見送った。難易度が低く、幹線道路を走るコースでメイン集団は逃げに最大4分の先行を許す。

集団コントロールの役目をシェアしたのはエフデジとクイックステップフロアーズ、カチューシャ・アルペシン、ロット・ソウダル、コフィディスで、ステージ前半はラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ソウダル)とジュリアン・ヴェルモート(ベルギー、クイックステップフロアーズ)が長時間牽引。最高気温36度という暑さの中、レースは想定よりも遅い40km/h前後で進行し続ける。

逃げグループから1分遅れでスプリントポイント(135km地点)にやってきたメイン集団ではこの日1回目のスプリントが繰り広げられ、マイヨヴェールを着るアルノー・デマール(フランス、エフデジ)がマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)を下して先頭通過(4番手通過)。ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が去ったマイヨヴェール争いにおいてデマールがリードを広げた。

逃げるペリグ・ケムヌール(フランス、ディレクトエネルジー)ら3名逃げるペリグ・ケムヌール(フランス、ディレクトエネルジー)ら3名 photo:Tim de Waele / TDWsport
麦畑の広がる暑い平野を走る麦畑の広がる暑い平野を走る photo:Tim de Waele / TDWsport
ジュリアン・ヴェルモート(ベルギー、クイックステップフロアーズ)やラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ソウダル)がメイン集団を長時間牽引ジュリアン・ヴェルモート(ベルギー、クイックステップフロアーズ)やラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ソウダル)がメイン集団を長時間牽引 photo:Tim de Waele / TDWsport幹線道路で縦に長く伸びるメイン集団幹線道路で縦に長く伸びるメイン集団 photo:Tim de Waele / TDWsport
ソーヌ川に浮かぶ船に乗って観戦ソーヌ川に浮かぶ船に乗って観戦 photo:Kei Tsuji / TDWsport
概ね2分前後の追走が続く展開はステージ後半に入っても大きく変わらず、集団のペースアップによってタイム差は残り20km地点で1分に。スピードを上げる先頭3名は26秒リードで残り10km地点アーチを通過。最終的に、クイックステップフロアーズやカチューシャ・アルペシン、ロット・ソウダルがトレインを形成してリードするメイン集団によって、残り3kmアーチ通過と同時に逃げは吸収された。ステージ敢闘賞は身長195cmのラエンゲンの手に渡っている。

トロワ中心部のフィニッシュラインに向けてディメンションデータが先頭でトレインを走らせたが完全には主導権を奪えない。フラムルージュ(残り1kmアーチ)通過後の複合コーナーを抜けると、先頭ファビオ・サバティーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)の番手につけていたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)が600mのロングスプリントを開始した。

振り返ることなく先頭で60km/h強のトップスピードを維持し続けたボアッソンハーゲンだったが、後続は離れることなくそのままスプリントになだれ込む。ボアッソンハーゲンの番手を取ったデマールやアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)、ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)が残り200mのほぼ同じタイミングで腰を上げて加速していく。

ボアッソンハーゲンのスリップストリームから飛び出したグライペルとデマールを追って、およそ9〜10番手につけていたキッテルが別ラインからスプリント。後方から大きく捲る走りを見せたキッテルが、スピード差をつけてグライペルとデマールを抜き去った。

横風を警戒してチームスカイも集団先頭に上がる横風を警戒してチームスカイも集団先頭に上がる photo:Tim de Waele / TDWsport
先行したアルノー・デマール(フランス、エフデジ)とアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)を抜くマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)先行したアルノー・デマール(フランス、エフデジ)とアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)を抜くマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) photo:Tim de Waele / TDWsport
ステージ2勝目を飾ったマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)ステージ2勝目を飾ったマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) photo:Tim de Waele / TDWsport
片手を突き上げるマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)片手を突き上げるマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) photo:Tim de Waele / TDWsport
今大会スプリント2勝目をマークしたキッテルは、混沌とするフィニッシュ地点の中でもチームメイトをひとりひとり探し出し、きつく抱き寄せては感謝の言葉を伝えた。表彰台裏でのインタビューでキッテルは「まず最初に、チームを誇りに思っていると言いたい。リエージュでの勝利とはまた違う展開で、素晴らしい働きぶりだった。デマールが最初にスプリントしたのを見て残り150mでスプリント開始。完璧だった。確かにライバルたちよりも後ろよりだったけど、負ける気がしなかった」と、自信に溢れるコメントを残す。

キッテルはこの日ステージ2位に入ったデマールと27ポイント差のポイント賞2位。キッテルは「マイヨヴェールが手の届くところにあるけど、最も重要なのはステージ優勝に専念すること。そうすればマイヨヴェールもついてくると思う」と、スプリンター向きの平坦コースが設定された翌日の第7ステージに向けて意気込んだ。

総合上位陣はいずれもタイムを失うことなくフィニッシュ。「ステージを1つ1つ問題なくクリアしていくことがマイヨジョーヌ狙いの選手たちにとっては極めて重要。チームメイトに風除けになってもらって可能な限りエネルギーを温存すること。パリに近づけば近づくほどリラックスできる」と、マイヨジョーヌを守ったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)は語っている。

ステージ2勝目を飾ったマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)ステージ2勝目を飾ったマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) photo:Tim de Waele / TDWsport
ステージ2勝目を飾ったマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)ステージ2勝目を飾ったマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
マイヨジョーヌに袖を通すクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌに袖を通すクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsportマイヨヴェールをキープしたアルノー・デマール(フランス、エフデジ)マイヨヴェールをキープしたアルノー・デマール(フランス、エフデジ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
H3
ツール・ド・フランス2017第6ステージ結果
ステージ成績
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) 5:05:34
2位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ)
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
4位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)
5位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
6位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)
7位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)
8位 ダニエル・マクレー(イギリス、フォルトゥネオ・オスカロ)
9位 リュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
10位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)
131位 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) 0:52
敢闘賞 ヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) 23:44:33
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 0:12
3位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) 0:14
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) 0:25
5位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) 0:39
6位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) 0:43
7位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) 0:47
8位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) 0:52
9位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 0:54
10位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 1:01
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) 170pts
2位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) 143pts
3位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) 96pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) 10pts
2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) 8pts
3位  クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) 6pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) 23:45:16
2位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) 0:24
3位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) 0:41
チーム総合成績
1位 チームスカイ 71:14:41
2位 BMCレーシング 1:59
3位 アージェードゥーゼール 3:21
text&photo:Kei Tsuji

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