2017/07/06(木) - 03:07
最大20%の激坂区間を含む1級山岳ラ・プロンシュ・デ・ベルフィーユの頂上まで3kmを残してアタックしたファビオ・アル(イタリア、アスタナ)が独走勝利。ツール・ド・フランス第5ステージでクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が早くもマイヨジョーヌを手にした。
ツール第5ステージのフィニッシュ地点はヴォージュ山脈にある標高1,035mの1級山岳ラ・プロンシュ・デ・ベルフィーユ(全長5.9km/平均8.5%)。冬場はスキー場として人気の山に向かう急勾配の登りで、今大会最初のマイヨジョーヌ候補による山岳バトルが繰り広げられた。残り6kmを切ってからコンスタントに勾配10%オーバーの急斜面が続き、残り1kmを切ると最大勾配20%の激坂区間も現れる。
トマ・ヴォクレール(フランス、ディレクトエネルジー)、ヤン・バークランツ(ベルギー、アージェードゥーゼール)、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、ミカエル・ドゥラージュ(フランス、エフデジ)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)、フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)、ディラン・ファンバーレ(オランダ、キャノンデール・ドラパック)、ピエールリュック・ペリション(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)というビッグネームを含む8名の逃げがスタート後しばらくのアタック合戦の末に形成される。逃げグループの中で総合最高位は16秒差・総合4位のボアッソンハーゲン。
タイム差を広げるためにハイスピード巡行した逃げグループは最初の1時間で47.8kmを消化。メイン集団の先頭に立ってコントロールを担ったのは、マイヨジョーヌ擁するチームスカイではなく、リッチー・ポート(オーストラリア)で勝利を狙うBMCレーシングだった。タイム差は3分30秒まで広がったところで拡大は止まり、2〜3分を維持したままゆるやかな起伏のある平野を駆ける。このBMCレーシングの集団牽引によってレースは予定を上回るペースで進行し続けた。
スプリントポイント(102.5km地点)ではボアッソンハーゲンが先頭通過して20ポイント獲得し、後方ではマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)の前でスプリントポイントを通過している。
3級山岳エスモレール峠で独走に持ち込んだバークランツは山頂で2ポイントを獲得後、後続を待って先頭は6名に(デヘントとドゥラージュ脱落)。依然としてBMCレーシングが率いるメイン集団から2分のリードで残り20kmを切った。
1級山岳ラ・プロンシュ・デ・ベルフィーユに向けてBMCレーシングとともにメイン集団の先頭に立ったのはアスタナとアージェードゥーゼール、オリカ・スコット。その一方で、先頭ではこの日が誕生日のジルベールがバークランツとコンビを組んで他の4名を引き離す。しかし、逃げ切りバースデーウィンを果たすにはリードが少なすぎた。ジルベールとバークランツは残り4km地点で吸収。ジルベールはステージ敢闘賞を獲得している。
本格的な1級山岳ラ・プロンシュ・デ・ベルフィーユの登坂開始を前に、白いチームスカイが集団先頭に上がってアクセルを吹かせ始める。セルジオルイス・エナオ(コロンビア)とミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)、ミケル・ニエベ(スペイン)、ミケル・ランダ(スペイン)がトーマスとフルームのために隊列を組んでペースアップ。
長く牽引したクウィアトコウスキーからニエベに切り替わってしばらくすると、頂上まで2.3kmを残したところでアルがアタックした。イタリアチャンピオンジャージを着るアルがチームスカイが支配するメイン集団から猛烈なダンシングで加速して抜け出し、単独で20秒弱のリードを築くことに成功する。
続くサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)のアタックは決まらず、マイヨジョーヌのゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)のアシストを受けたフルームが残り1.6kmでアタックすると集団は崩壊。ディフェンディングチャンピオンに食らいつくことができたのはポートとロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)、ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)だけで、マイヨジョーヌのトーマスやナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)はポジションを失った。
先頭で残り1kmを切り、最大勾配20%の激坂区間を乗り切ったアルが後続に16秒差をつけてラ・プロンシュ・デ・ベルフィーユを単独登頂した。「このラ・プロンシュ・デ・ベルフィーユを登るのは初めてだったけど、2012年のフルームと2014年のヴィンチェンツォの映像を何度も見て研究。残り3kmを切ってからのアタックが最善だと判断して、実行したんだ。観客を沸かせるパフォーマンスを見せることができてとても満足している」と、今大会最初の山頂フィニッシュを制したイタリアチャンピオンは喜ぶ。
「ジロ欠場が決まった瞬間からこのツールに照準を合わすことでモチベーションを保った。不運の数ヶ月(膝の故障やスカルポーニの死、ジロ欠場)を乗り切って手にしたステージ優勝はファンタスティック。ジロとブエルタでステージ優勝を経験済みで、ツールのステージ優勝だけが欠けていたんだ」。この日の勝利でアルは総合25位から総合3位まで一気にジャンプアップするとともに、マイヨアポワも手にしている。
激坂区間で加速したマーティンが16秒遅れのステージ2位に入り、フルームとポートが20秒遅れでフィニッシュ。マイヨジョーヌの持ち主はこの日40秒遅れたトーマスからフルームの手に渡ったが、チームスカイは総合ワンツーを維持したままだ。
「今日最も大事なのはライバルからタイムを失わないこと。総合順位が入れ替わったものの、1位と2位を維持していることはこの先のステージの自信につながる。でも、コース的にもライバルのコンディション的にも、これまでのツールの中で最も厳しい総合争いになるんじゃないかと予想している。これからの目標はパリまでこのマイヨジョーヌを着続けることだ」と1年ぶりにマイヨジョーヌに袖を通したフルームは語っている。
フルームと同等の登坂力を見せたポートは「アルが危険な存在であることはわかった。今日はステージ優勝を目指していたけどアルが強すぎたんだ。フルームもここまでのレースよりもずっとコンディションを上げている。でもチームスカイの強さは昨年ほどではないと思う」とコメント。大会最初の山頂フィニッシュを終えて、総合タイム差1分以内に9名がひしめく状態が続いている。
ツール第5ステージのフィニッシュ地点はヴォージュ山脈にある標高1,035mの1級山岳ラ・プロンシュ・デ・ベルフィーユ(全長5.9km/平均8.5%)。冬場はスキー場として人気の山に向かう急勾配の登りで、今大会最初のマイヨジョーヌ候補による山岳バトルが繰り広げられた。残り6kmを切ってからコンスタントに勾配10%オーバーの急斜面が続き、残り1kmを切ると最大勾配20%の激坂区間も現れる。
トマ・ヴォクレール(フランス、ディレクトエネルジー)、ヤン・バークランツ(ベルギー、アージェードゥーゼール)、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、ミカエル・ドゥラージュ(フランス、エフデジ)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)、フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)、ディラン・ファンバーレ(オランダ、キャノンデール・ドラパック)、ピエールリュック・ペリション(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)というビッグネームを含む8名の逃げがスタート後しばらくのアタック合戦の末に形成される。逃げグループの中で総合最高位は16秒差・総合4位のボアッソンハーゲン。
タイム差を広げるためにハイスピード巡行した逃げグループは最初の1時間で47.8kmを消化。メイン集団の先頭に立ってコントロールを担ったのは、マイヨジョーヌ擁するチームスカイではなく、リッチー・ポート(オーストラリア)で勝利を狙うBMCレーシングだった。タイム差は3分30秒まで広がったところで拡大は止まり、2〜3分を維持したままゆるやかな起伏のある平野を駆ける。このBMCレーシングの集団牽引によってレースは予定を上回るペースで進行し続けた。
スプリントポイント(102.5km地点)ではボアッソンハーゲンが先頭通過して20ポイント獲得し、後方ではマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)の前でスプリントポイントを通過している。
3級山岳エスモレール峠で独走に持ち込んだバークランツは山頂で2ポイントを獲得後、後続を待って先頭は6名に(デヘントとドゥラージュ脱落)。依然としてBMCレーシングが率いるメイン集団から2分のリードで残り20kmを切った。
1級山岳ラ・プロンシュ・デ・ベルフィーユに向けてBMCレーシングとともにメイン集団の先頭に立ったのはアスタナとアージェードゥーゼール、オリカ・スコット。その一方で、先頭ではこの日が誕生日のジルベールがバークランツとコンビを組んで他の4名を引き離す。しかし、逃げ切りバースデーウィンを果たすにはリードが少なすぎた。ジルベールとバークランツは残り4km地点で吸収。ジルベールはステージ敢闘賞を獲得している。
本格的な1級山岳ラ・プロンシュ・デ・ベルフィーユの登坂開始を前に、白いチームスカイが集団先頭に上がってアクセルを吹かせ始める。セルジオルイス・エナオ(コロンビア)とミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)、ミケル・ニエベ(スペイン)、ミケル・ランダ(スペイン)がトーマスとフルームのために隊列を組んでペースアップ。
長く牽引したクウィアトコウスキーからニエベに切り替わってしばらくすると、頂上まで2.3kmを残したところでアルがアタックした。イタリアチャンピオンジャージを着るアルがチームスカイが支配するメイン集団から猛烈なダンシングで加速して抜け出し、単独で20秒弱のリードを築くことに成功する。
続くサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)のアタックは決まらず、マイヨジョーヌのゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)のアシストを受けたフルームが残り1.6kmでアタックすると集団は崩壊。ディフェンディングチャンピオンに食らいつくことができたのはポートとロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)、ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)だけで、マイヨジョーヌのトーマスやナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)はポジションを失った。
先頭で残り1kmを切り、最大勾配20%の激坂区間を乗り切ったアルが後続に16秒差をつけてラ・プロンシュ・デ・ベルフィーユを単独登頂した。「このラ・プロンシュ・デ・ベルフィーユを登るのは初めてだったけど、2012年のフルームと2014年のヴィンチェンツォの映像を何度も見て研究。残り3kmを切ってからのアタックが最善だと判断して、実行したんだ。観客を沸かせるパフォーマンスを見せることができてとても満足している」と、今大会最初の山頂フィニッシュを制したイタリアチャンピオンは喜ぶ。
「ジロ欠場が決まった瞬間からこのツールに照準を合わすことでモチベーションを保った。不運の数ヶ月(膝の故障やスカルポーニの死、ジロ欠場)を乗り切って手にしたステージ優勝はファンタスティック。ジロとブエルタでステージ優勝を経験済みで、ツールのステージ優勝だけが欠けていたんだ」。この日の勝利でアルは総合25位から総合3位まで一気にジャンプアップするとともに、マイヨアポワも手にしている。
激坂区間で加速したマーティンが16秒遅れのステージ2位に入り、フルームとポートが20秒遅れでフィニッシュ。マイヨジョーヌの持ち主はこの日40秒遅れたトーマスからフルームの手に渡ったが、チームスカイは総合ワンツーを維持したままだ。
「今日最も大事なのはライバルからタイムを失わないこと。総合順位が入れ替わったものの、1位と2位を維持していることはこの先のステージの自信につながる。でも、コース的にもライバルのコンディション的にも、これまでのツールの中で最も厳しい総合争いになるんじゃないかと予想している。これからの目標はパリまでこのマイヨジョーヌを着続けることだ」と1年ぶりにマイヨジョーヌに袖を通したフルームは語っている。
フルームと同等の登坂力を見せたポートは「アルが危険な存在であることはわかった。今日はステージ優勝を目指していたけどアルが強すぎたんだ。フルームもここまでのレースよりもずっとコンディションを上げている。でもチームスカイの強さは昨年ほどではないと思う」とコメント。大会最初の山頂フィニッシュを終えて、総合タイム差1分以内に9名がひしめく状態が続いている。
H3
ツール・ド・フランス2017第5ステージ結果
ステージ成績
1位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 3:44:06 |
2位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) | 0:16 |
3位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:20 |
4位 | リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) | |
5位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:24 |
6位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 0:26 |
7位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) | |
8位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | |
9位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:34 |
10位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 0:40 |
111位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | 11:11 |
DNS | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) | |
敢闘賞 | フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 18:38:59 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 0:12 |
3位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 0:14 |
4位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) | 0:25 |
5位 | リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) | 0:39 |
6位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 0:43 |
7位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:47 |
8位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | 0:52 |
9位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 0:54 |
10位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 1:01 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | アルノー・デマール(フランス、エフデジ) | 127pts |
2位 | マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) | 87pts |
3位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 73pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 10pts |
2位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) | 8pts |
3位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 6pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 18:39:42 |
2位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:24 |
3位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | 0:41 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 55:57:59 |
2位 | BMCレーシング | 1:59 |
3位 | アージェードゥーゼール | 3:21 |
text&photo:Kei Tsuji in La Planche des belles filles, France
フォトギャラリー
Amazon.co.jp