2017/06/30(金) - 09:34
奇抜な赤い水玉ジャージは山岳王の証。山岳ステージを舞台に争われるマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ(通称マイヨアポワ)のポイントシステムと有力選手を紹介します。
赤い水玉模様のマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ
ツール・ド・フランス山岳最強の証、それがマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ(略してマイヨアポワ)。他の3賞ジャージが単色であるのに対して、マイヨアポワはホワイトジャージに赤い水玉を配した奇抜なデザインであり、プロトンの中でも判別は容易だ。ジャージスポンサーを務めるのはフランスの大手スーパーチェーンのカルフール。
近年のツールの傾向として、カテゴリーの低い山岳での獲得ポイントが引き下げられている。例えば4級山岳25回先頭通過と、超級山岳1回先頭通過が同じポイント。つまり、マイヨアポワを狙うためには、こつこつと4級山岳をポイントを重ねるのではなく、難易度の高いカテゴリー山岳でポイントを稼がなければならない。
中級山岳ステージで逃げてポイントを加算するのではなく、アルプスやピレネーの難関山岳でポイントを量産する真のクライマーがマイヨアポワの候補に挙がる。なお、山頂フィニッシュのポイントは通常の2倍。そのため総合上位の選手たちも必然的に山岳賞ランキングの上位に絡んでくる。
カテゴリー山岳のポイント配分
・超級山岳 25pts, 20pts, 16pts, 14pts, 12pts, 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts
・1級山岳 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
・2級山岳 5pts, 3pts, 2pts, 1pt
・3級山岳 2pts, 1pt
・4級山岳 1pt
総合上位陣が山岳賞も独占する?ピュアクライマーの活躍に期待
ジロ・デ・イタリアで総合4位に入ったティボー・ピノ(フランス、エフデジ)は山岳ステージでの勝利を狙うことを宣言。つまりターゲットはマイヨジョーヌではなくマイヨアポワだ。総合争いの束縛から解き放たれたピノが最初から山岳賞にフォーカスすれば敵無しの強さを見せる可能性も。開幕前の記者会見でピノは「プレッシャーが少ない状態で開幕を迎えることが良い結果をもたらすと期待している。総合順位を一つでも上げるようなことはせずに、大きな山岳ステージでの勝利を狙いたい」とコメントしている。
2016年ツールでアルベルト・コンタドール(スペイン)のリタイアに伴って急遽ティンコフの総合エースを託されたラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)は、4つの山岳ステージでトップ3に入るとともに逃げに乗って2度目の山岳賞獲得。2015年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合3位、2016年ジロ・デ・イタリア総合5位という成績を残していることからもマイカの第一目標は総合成績だが、総合順位を下げた場合は目標を赤玉ジャージにスイッチする可能性も。マイカは今季ツアー・オブ・カリフォルニア総合2位&ツアー・オブ・スロベニア総合優勝という成績を残している。
逃げのスペシャリストであるトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)はマイヨアポワが似合う選手の一人。デヘントは2016年にモンヴァントゥー山頂フィニッシュを制して山岳賞2位に入っている。その他にも2013年ブエルタの山岳ステージで2勝を飾ったワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)やツール・ド・ヨークシャーを制したセルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ)、ツアー・オブ・カリフォルニアを制したジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)といった比較的自由が許されるオールラウンダーたちは山岳賞を狙ってくるかもしれない。
ツール・ド・フランス2016山岳賞
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) 209pts
2位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 130pts
3位 ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、IAMサイクリング) 121pts
4位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ) 84pts
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) 76pts
6位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ) 62pts
7位 スタフ・クレメント(オランダ、IAMサイクリング) 53pts
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) 36pts
9位 クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ) 36pts
10位 トマ・ヴォクレール(フランス、ディレクトエネルジー) 33pts
歴代のマイヨアポワ受賞者
2016年 ラファル・マイカ(ポーランド)
2015年 クリス・フルーム(イギリス)
2014年 ラファル・マイカ(ポーランド)
2013年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2012年 トマ・ヴォクレール(フランス)
2011年 サムエル・サンチェス(スペイン)
2010年 アントニー・シャルトー(フランス)
2009年 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア)※ドーピング違反により失格
2008年 ベルンハート・コール(オーストリア)※ドーピング違反により失格
2007年 マウリシオ・ソレール(コロンビア)
2006年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2005年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2004年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2003年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2002年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2001年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2000年 サンティアゴ・ボテーロ(コロンビア)
1999年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1998年 クリストフ・リネロ(フランス)
1997年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1996年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1995年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1994年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1993年 トニー・ロミンガー(スイス)
1992年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1991年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1990年 ティエリー・クラヴェロラ(フランス)
text:Kei Tsuji in Dusseldorf, Germany
赤い水玉模様のマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ
ツール・ド・フランス山岳最強の証、それがマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ(略してマイヨアポワ)。他の3賞ジャージが単色であるのに対して、マイヨアポワはホワイトジャージに赤い水玉を配した奇抜なデザインであり、プロトンの中でも判別は容易だ。ジャージスポンサーを務めるのはフランスの大手スーパーチェーンのカルフール。
近年のツールの傾向として、カテゴリーの低い山岳での獲得ポイントが引き下げられている。例えば4級山岳25回先頭通過と、超級山岳1回先頭通過が同じポイント。つまり、マイヨアポワを狙うためには、こつこつと4級山岳をポイントを重ねるのではなく、難易度の高いカテゴリー山岳でポイントを稼がなければならない。
中級山岳ステージで逃げてポイントを加算するのではなく、アルプスやピレネーの難関山岳でポイントを量産する真のクライマーがマイヨアポワの候補に挙がる。なお、山頂フィニッシュのポイントは通常の2倍。そのため総合上位の選手たちも必然的に山岳賞ランキングの上位に絡んでくる。
カテゴリー山岳のポイント配分
・超級山岳 25pts, 20pts, 16pts, 14pts, 12pts, 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts
・1級山岳 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
・2級山岳 5pts, 3pts, 2pts, 1pt
・3級山岳 2pts, 1pt
・4級山岳 1pt
総合上位陣が山岳賞も独占する?ピュアクライマーの活躍に期待
ジロ・デ・イタリアで総合4位に入ったティボー・ピノ(フランス、エフデジ)は山岳ステージでの勝利を狙うことを宣言。つまりターゲットはマイヨジョーヌではなくマイヨアポワだ。総合争いの束縛から解き放たれたピノが最初から山岳賞にフォーカスすれば敵無しの強さを見せる可能性も。開幕前の記者会見でピノは「プレッシャーが少ない状態で開幕を迎えることが良い結果をもたらすと期待している。総合順位を一つでも上げるようなことはせずに、大きな山岳ステージでの勝利を狙いたい」とコメントしている。
2016年ツールでアルベルト・コンタドール(スペイン)のリタイアに伴って急遽ティンコフの総合エースを託されたラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)は、4つの山岳ステージでトップ3に入るとともに逃げに乗って2度目の山岳賞獲得。2015年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合3位、2016年ジロ・デ・イタリア総合5位という成績を残していることからもマイカの第一目標は総合成績だが、総合順位を下げた場合は目標を赤玉ジャージにスイッチする可能性も。マイカは今季ツアー・オブ・カリフォルニア総合2位&ツアー・オブ・スロベニア総合優勝という成績を残している。
逃げのスペシャリストであるトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)はマイヨアポワが似合う選手の一人。デヘントは2016年にモンヴァントゥー山頂フィニッシュを制して山岳賞2位に入っている。その他にも2013年ブエルタの山岳ステージで2勝を飾ったワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)やツール・ド・ヨークシャーを制したセルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ)、ツアー・オブ・カリフォルニアを制したジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)といった比較的自由が許されるオールラウンダーたちは山岳賞を狙ってくるかもしれない。
ツール・ド・フランス2016山岳賞
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) 209pts
2位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 130pts
3位 ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、IAMサイクリング) 121pts
4位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ) 84pts
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) 76pts
6位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ) 62pts
7位 スタフ・クレメント(オランダ、IAMサイクリング) 53pts
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) 36pts
9位 クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ) 36pts
10位 トマ・ヴォクレール(フランス、ディレクトエネルジー) 33pts
歴代のマイヨアポワ受賞者
2016年 ラファル・マイカ(ポーランド)
2015年 クリス・フルーム(イギリス)
2014年 ラファル・マイカ(ポーランド)
2013年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2012年 トマ・ヴォクレール(フランス)
2011年 サムエル・サンチェス(スペイン)
2010年 アントニー・シャルトー(フランス)
2009年 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア)※ドーピング違反により失格
2008年 ベルンハート・コール(オーストリア)※ドーピング違反により失格
2007年 マウリシオ・ソレール(コロンビア)
2006年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2005年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2004年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2003年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2002年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2001年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2000年 サンティアゴ・ボテーロ(コロンビア)
1999年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1998年 クリストフ・リネロ(フランス)
1997年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1996年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1995年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1994年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1993年 トニー・ロミンガー(スイス)
1992年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1991年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1990年 ティエリー・クラヴェロラ(フランス)
text:Kei Tsuji in Dusseldorf, Germany